last up date 2003.04.15


シルバーシート
 日本に於いて、公共交通機関に設けられている障害者・妊婦・老人などの優先席。近年は、携帯電話の位置確認電波からペースメーカー装着者を守るための、電波禁止地帯としての役割も担っている。


 身体や体力にハンディキャップがある人の優先席というのは、一見すばらしい発想のように思える。しかし、これはかなり前時代的な代物と言える。いかなる席に於いても、老人・妊婦・障害者・乳児連れなどに対しては、体力・身体能力に余裕のある人間は席を譲って然るべきである。一部分だけの「優先席」に於いてのみ譲ればそれでいいというものではない。つまり、シルバーシートの存在そのものが、それ以外の場所では譲らなくてもよいという発想の温床となっていると言える。
 また、席が余っているような閑散とした電車やバスでも、優先席に座るとそれを咎める人もしばしば見受けられる。だが、公共駐車場の障害者優先スペースと座席とは違う。駐車場の車はすぐに移動することができないが、座席からはすぐに立ち上がって席を譲ることが出来る。「優先席」には、「老人・障害者・妊婦」以外はいつ何時でも座ってはならない、というのは意味のない発想である。


 しかし近年の「電波安全地帯」という発想については、一概には評価できない。すべての人間が携帯電話の電源を切ればそれが一番安全なのだが、現実問題としてそれは不可能である。そのため、「電源OFF地帯」と「マナーモード地帯」との住み分けが妥協案として実施されているが、どちらにせよ電源OFFが遵守されることは少ない。


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