last up date 2003.04.01
手蔓縺(てづるもづる)
テヅルモヅル科のクモヒトデの総称。学名はGorgonocephalidae。クモヒトデとヒトデとの差異は、腕の中にまで消化器などの臓器入り込んでおらず、腕と本体(盤−プレートと呼ばれる)とが明確に区別できること。そのためクモヒトデの腕は細く自在に曲げることが出来き、かなり長く伸びる。この伸びた腕は複雑に絡まりつつも、海底表面に広がる。多数のクモヒトデが密集して生息している海底には、「高密度ベッド」が形成される。その中でも手蔓縺は、腕の分岐を繰り返して植物の蔓のように広がるものを指す。
クモヒトデ全般に言えることだが、ヒトデと違って吸盤はないため、ものに吸い付くことはできない。ヒトデが岩や船舶に張り付くのに対し、クモヒトデは海底の岩や砂の上、岩陰、砂の中などに生息する。手蔓縺も例外ではない。手蔓縺も含めたクモヒトデ類は、10メートル程度の浅い海底にも生息するが、主に1000〜3000メートルの深海では優占種として海底に「高密度ベッド」を形成している。エサは基本的にはプランクトンだが、口に入るものならば小魚でも食べてしまう。
2000以上もの種が存在し、海底表面を支配するこのクモヒトデ類だが、一般的にはほとんど知られていない上に、研究もあまり為されていない。なぜクモヒトデが海底を優占するに至ったかなど、研究の余地は多い。