last up date 2004.01.27


хлебосольство(中性名詞・フレバソーリストヴァ)
 客好き(人ではなく、行為習慣そのもの)、歓待のこと。ロシアでは古来、хлеб(フレップ。パン)とсоль(ソーリ。塩)で客をもてなしたことから来ている。農業国だが気候は寒冷で土壌は貧しい古代・中世ロシアでは穀物の収穫性が極めて低く、岩塩を採る山岳も塩田となる海もほとんどなく、キエフやモスクワから遥か北方の、年の半分以上の期間凍結している白海から塩を採るしかなかった。その状況に於いては、人口の圧倒的大多数を占める貧しい農民にとって、塩とパンは貴重品であった。その貴重品でもって客好きな農民は客をもてなしたことから、このコトバが出来たと見られる。
 もっとも、ソ連時代に至って機械化・品種改良・土壌改良によって農業収穫性は飛躍的に向上し、塩も輸入や化学合成によってまったくもって貴重品ではなくなった。今客を塩とパンで持てなすロシア人など、よほど洒落好きな歴史マニア以外はまずありえないことかと。ただし、ロシアと日本を数十年間往復したロシア中世史の研究者曰く、「ロシアで塩とパンでもってもてなされたことは一回もない」とのこと。


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