last up date 2003.06.14
кусковой сахар(男性名詞・クスカヴォーイ サーハル)
角砂糖。ロシアに於いて流通する角砂糖は、主にキューバのサトウキビから製造したものである。しかし製造技術が杜撰なため、一般的に流通する角砂糖は紅茶に入れてもなかなか溶けない。あらかじめ細かく砕いてからカップに注いで混ぜてみても、細かいカケラがいつまでも水面に浮かぶこととなる。そのためティーカップと一緒に差し出される角砂糖は、「お茶に入れるもの」ではなく、「お茶を飲みながらかじるもの」として定着している。ロシアで暮らす人の中には、角砂糖がお茶に入れるものだと知らない者さえも珍しくはない。
それを知らずに外国人がカフェで紅茶に角砂糖を入れて、溶けないと言って焦ったり、角砂糖をスプーンで砕いたりしている様は、ロシア人をほくそ笑ませるのに十分な姿である。そして角砂糖をかじって見せれば、外国人なのに通だなと思わせることもできる。「角砂糖は溶けない、かじるものである」ということは、ロシアへ渡る際には知っておいて損はない。
大衆的なカフェや旅客列車で出される紅茶についてくる角砂糖は、大抵はこの「溶けない角砂糖」である。しかし各家庭では高価な上質の角砂糖を用意している場合もあり、また高級レストランや欧米資本の飲食店ではちゃんとして角砂糖を出す。そこで角砂糖にかじりつくのは、貧乏人の所業とみなされるかもしれない。角砂糖ひとつをとっても、一概にどうすればよいかわからないのがまた、ロシア的であると言える。