last up date 2003.01.12
Северодвинск(固有名詞・セヴェロドヴィンスク)
白海に面したロシアの軍事工業都市。英語表記では「Severodvinsk」。アルハンゲリスク州(Архангельск/Arkhangel'sk)に位置する北極圏の都市で、州都アルハンゲリスクの少し西にある。世界最大の原子力潜水艦造船所があることで知られる。ソ連には原子力潜水艦の造船所が5つ存在したが、ソ連崩壊後、今日まで原潜の建造を行っているのはここだけである。
潜水艦重視政策をとったソ連に於いて、ソ連初の原子力潜水艦「ノベンバー級」を建造し、戦略潜水艦「タイフーン級」を全艦建造するなど、東西両陣営にとって重要な都市の一つであった。このセヴェロドビンスクの原潜建造能力は、アメリカ・イギリス・フランスのすべての原潜造船所を合わせたものよりも高い。白海−バルト海運河によってサンクトペテルブルグ(レニングラード)と水運でつながり、鉄道・高速道路によってモスクワとも連結されていることからも、この都市の重要性がうかがえる(ソ連/ロシアは、北極圏では維持管理にコストがかかるため道路や鉄道はほとんど通さず、空路で輸送を行っている)。
ゴルバチョフ政権期に、多くの軍需工場と同様にセヴェロドビンスクもまた民需への転換を図ったが、その成果は(他の工場と同様)芳しくなく、ロシア唯一の原子力潜水艦造船所として何とか生き延びている。
ソ連/ロシアはずさんな安全管理によって多くの原潜事故を起こしているが、セヴェロドビンスクに於いてもそれは例外ではない。明らかになっているだけでも数件ある。1965年2月12日には、原潜の原子炉暴走事故によって放射能漏れを含む火災が発生。1990年12月21日には原潜修理中に艦内火災が起きている。1991年1月1日には同じ艦でやはり火災が発生。1994年前半には、タイフーン級がミサイルを暴発させ、艦内でミサイル2基が破損している。
さらには、ソ連崩壊と耐用年数の問題で数多くの原子力潜水艦が退役したが、流体金属を原子炉冷却に用いたため解体方法さえわからない"アルファ級"を含めた原潜が、費用に於いても技術に於いても適切に解体されずに繋留・放置、あるいは海中投棄されている。セヴェロドビンスクに於いてもそうした退役原潜が繋留され、アメリカや日本などの援助の下、原潜・放射性物質の処理が行われているがその進展は困難を極めている。