銀塩の補助として
2002年08月17日(土)


 本日ようやく、まともなデジタルスチルカメラを購入した。
 デジタルスチルカメラは、1996年、つまり予備校時代から何を買うべきかと、吟味していた。予備校時代は、寮生活だったために、デジカメの情報を仕入れる雑誌でさえも禁制品であった。大学に入ったらパソコンを買って何をしよう、そのためにはどういうものがいいのか、と隠し持っていたパソコン雑誌をながめて考えるのが、数少ない娯楽であった。大学合格後、晴れて念願のWindowsマシンを手に入れたのだが、プリンター、SCSIボード、MOドライブ、フラットベッドスキャナーを優先させたため、デジカメには予算が回らなかった。結局、大学生活に於いては、写真を撮って、それをスキャナーで読みとることで、身の回りの光景のデジタル化をしていたものであった。


 大学2年次の後半には、父から韓国メーカー製の型式不明なデジカメを譲ってもらったのだが、パソコンとつなぐケーブルもドライバもなく、画像を吸い出す手段さえなく放置していた。これは35万画素でストロボ・光学ファインダーなし、ズームなしという代物。液晶画面を見ながら撮影し、記録は内部メモリーのみという半端な代物であった。だが、この当時はまだまだ、カメラとしての機能を十分に備えていないデジカメが少なくなかった。思いがけず手に入ったこのデジカメ。ケーブルやドライバを入手することが出来なく、使えないのが悔やまれたものである。
 大学3年次の後半、私はパソコンをWindows98SEの新マシンに買い換え、それに伴いUSBというインターフェースを使えるようになった。そしてコンポジットの映像をUSBから取り込むキャプチャーを入手。これは、音声なしの動画の無圧縮取込と、静止画の取込は一応出来たが、ひどい安物で画質は劣悪であった。しかし、コンポジットで件の韓国製デジカメのデータを吸い出すことは出来るようになったのである。あまりの画質の悪さに、ほとんど使わなかったが。


 それから数ヶ月もしないうちに、トイデジカメなるものが売り出されるようになった。その代表格としてCASIO LV-10があった。これは、かつての標準たる35万画素に準ずる31万画素のCCDを持ち、ストロボまで備え、USBで吸い出しも簡単という代物。しかも9800円という廉価。私は早速買い込み、活用したものであった。もっとも、液晶もなく、メモリーは内蔵のみ、レンズは暗くて使いづらく、ストロボは焼け石に水という代物であったが。
 そして大学5年次、今度は日立リビングサプライ iNC35なるトイデジカメを手に入れた。これはもらい物である。これもまた、かつて標準であった35万画素のCCDをそなえ、USBで吸い出しが可能な品。しかもサイズが手のひらに収まる程度で、ベルトに専用ホルスターを付けて携帯することが出来た。これは、日常の些細な出来事を記録するのに役に立った。ただ、ストロボがなく夜間撮影や室内撮影はほとんど不可能であり、電池が切れるとデータも消えるという致命的な欠陥も持っていたが。


 こうして、今までは安物のデジカメを駆使してきたのだが、本日ようやく、まっとうなデジカメを手に入れることが出来た。RICOH Caplio RDC-i500が正式名称。331万画素で、光学ズーム、液晶画面、光学ファインダー、ストロボを備え、音声付き動画撮影可能、記録はコンパクトフラッシュと内蔵メモリー。USBでのデータ吸い出しも可能。感度の手動設定、ピントのAF/MT切り換え可能。そして何よりも1pからの接写が可能というのがすばらしい。
 接写の対象としては代表的な例だが、私の腕時計なんぞを撮ってみた。腕時計というのは、実は撮るのが難しいものなのだが、わずか1p程度の距離から、ちゃんとピントが合うではないか。下の図は、サイズを縮めてjpgの圧縮率も高くしてあるけれども、画質にも満足。パソコンに吸い上げられた画のディテールは、想像以上である。

偶然、これもRICOH製品。12000円程度。「自宅で充電出来る」が売り文句 Semper Fi.DO or Die.Gung Ho!つまり「生涯忠誠、やるか死ぬか。闘魂」。米国海兵隊のスローガンである



 最初は、買うのならばやはり高級と息巻き、CanonのG2なんぞを考えていたのだが、来月旅行で大金を使うことを考えると、10万以上もかける余裕はない。第一、美しい画像を撮りたいのならば、35oの銀塩フィルムカメラがあるではないか。正直、今までそうしてきたように、CanonのAutoboy120で撮った写真をGT7600Uでスキャニングすれば、それで用は足りたのである。
 そこで何故デジカメが必要か洗い直した。デジカメの利点は、現像しなくてもいいこと、すぐ観れること、パソコンにすぐ取り込めること。まずはこの3点だ。つまりは、現像に出せないような異常写真、現像に出すまでもないゴミ写真でも気軽に撮れて、すぐにパソコンに取り込んで加工や保存、配布が出来るということだ。しかし、別に現像拒否されるような写真は撮らないし、人に見せたら「何でそんなもの撮るの」と余計なことを言われそうなものでも、平気で撮って現像代を払える。まあ、現像に出しに行く手間と時間はちょっと不便ではあるが。


 どうせ銀塩に取って代わるような高性能機は買えないのだから、ただ現像を面倒というだけでは、製品を特定できない。では、どんな代物が欲しいか。特に高画質でなくともよいから、35oフィルムカメラでは撮れないような写真が撮れるものがよい。私はそう考えた。マクロ撮影というのは、フィルムだろうとデジタルだろうと、技術的に難しいのだ。しかもAFのピントがなかなか合わない。そうしたら選択肢は限られてくる。接写に強いのはRICOH。生産が終わっていることもあって割安になっているRDC-i500を買うこととした。
 コンパクトフラッシュは付いていないので、コストパフォーマンスが高い64MBのを1枚。専用リチウム・バッテリーも予備に1つ。パソコンとの接続作業や屋内使用時のためにACアダプタも付けて、約64000円といったところか。予想よりもカネを使いすぎた気もするが、これから活用していきたいものである。


 ただ、実際に持ち歩いてみて思ったことは、少し大きすぎること。私はデジカメや携帯電話の宣伝に見られる「世界最軽量」「薄さxxo」などといううたい文句があまり好きではなく、あまりにも巨大でなければ文句はない。このRDC-i500もメイン機として考えれば、別に問題のない大きさである。
 ただ、日頃持ち歩いて、なにか面妖なものを見つけたときにちょっと撮って、サイトのネタにするような使い方には向いていない。そしてリコー独自のデザインは、どうしても液晶部分などの稼働箇所が多くなり、レンズに保護シャッターを下ろす機構も付けられない。そのため、ポケットや通勤カバンにテキトーにぶち込んむのには、やはり向いていない。ホコリや傷に弱そうであるためだ。
 小さいことに何の意義も見出していなかったが、小さくて可動部分がほとんどなく、そして自動的にレンズ保護シャッターが降りる機種なんかは、ポケットにぶち込んで歩くのには向いているかも。まあ、私が買ったRDC-i500は、大きいことと、人を選ぶデザインのために安かったのだ。ま、文句は言えぬわい。とりあえずは、9月の旅行で活用したい。


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