「プラトゥーンリーダー」を回想する
2002年12月04日(水)
私の知人・友人というのは、ほとんどが北海道外(特に関東)か、道内でも函館などの他都市に存在する。そうした人々とは、なかなか会うことはない。だけれども、パソコン・携帯電話のメールでは、頻繁にやりとりを続けている。直接顔を合わせるのに比べれば、文章によるやりとりはタイムラグが大きいし、意思疎通に余計に気を遣う必要もあるのだが、遠隔地との連絡にはメールは便利だ。電話と違って相手の都合を考える必要はないし、コストも極めて安い。だからこそ、どうでもいい雑談にもメールは最適だ。
大学時代の所属部の先輩、Г氏(仮名)もそうした重要性の低いメールを送りあう相手の一人なのだが、昨日今日とやりとりしたメールで、「プラトゥーンリーダー」のことが話題になった。若い士官が前哨拠点に配属されて戦うベトナム戦争映画ではなく、1997年にセガが出した第二次世界大戦を舞台にした戦術SLGゲームのことである。このゲームはすでに処分してしまったが、回想したついでに忘れないようここに記録しておく。
ちなみに以下のメールは、携帯電話で打ち込んだものである。
晴天→Г氏
コンシューマでリアルな戦争ゲームが出るに至りましたか。戦争モノはリアルすぎると一般ユーザーが敬遠するので、安易にデフォルメと簡素化がなされ、甚だしきは美少女や人型ロボットが跋扈する代物にされて大衆化が図られてきました。しかしゲームそのものが大衆の関心を引かなくなって、ようやく大衆迎合型ゲームより何かに特化した方が市場を開拓できると気付かれたのですね。なにはともあれ、戦争ゲーム、やってみたいものです。
ちなみに私が今までやった中で、もっともリアルかつ難しかったのはセガの「プラトゥーンリーダー」でした。Win3.1/95対応のゲームなのですが、私のFMVでは起動せず、1年以上放置してから修正パッチをDLして開始したという、代物。FMV処分後は、win98で走らせたりもしていました。まあFMVでもWin98でも、特定の局面で必ずバグるという致命的な欠陥を持っていましたが、
ゲーム自体はすごかったですよ。
装備はライフル一丁にもスコープ、銃剣、装弾クリップ、マガジン、ライフルグレネードを付け足せして装備でき、それはすべて実在するものです。しかも100グラム単位で重さがあり、体力・行動力に影響するという。さらに、銃器の精度はかなり低くてなかなか敵を傷つけられず、確実に殺せる距離まで援護射撃で威嚇しながら匍匐前進で近付かなければならない。1フェイズで出来ることは手榴弾のピンを抜く、ピンを抜いた手榴弾を投げる、銃を構える、狙いをつける、撃つ、マガジンを交換する、ジャミングを修理する、伏せから中膝に姿勢変更など。とんでもなく小さな行為しかできません。気が遠くなります。移動は1ヘックスにつき複数フェイズかかります(立っていれば速いが、すぐ撃たれて即死します)。そんな苦労を重ねて接敵しても、銃が故障したり、手榴弾が爆発しなかったりします。ますます禁欲的。ちなみに間違ってリボルバーなんか持つとリロードに6フェイズかかります(ハーフムーンクリップがあれば、2フェイズで済みますが)。
さらにはジャミングは1フェイズ犠牲にして修理しても失敗したり、完全に壊してしまったり。あと重機関銃なんか、銃本体・三脚・弾薬を三人で運んで、一箇所(というか一人)に集めて設営して、撃つまでにすんげー時間かかります。威力は苦労に見合いますが、すぐ壊れます。しかも修理も困難という難物。ブローニングM2が一丁稼動しているのとしていないのとでは、戦局が逆転するほど重要な意味を持つのですが、大抵は一瞬しか使えません。
あと、敵を簡単に殺せないのと同じく、味方も適切な地形で姿勢を低くしていればなかなか死なないのですが、敵弾が当たらなくてもすぐに恐慌状態に陥ります。また、手榴弾の爆発等で(傷つかなくても)気絶することもありますが、沼や川で気絶すると溺死します。進行がとにかく遅いですよ。
楽しみは鹵獲兵器。よくKar98やP08やMP44をコレクションしましたよ。モーゼルC96のスペイン製コピーであるアストラ900やポーランド製のラドムのような珍品を持った奴がいたら、すかさずぶち殺して奪ったものです。ウィザードリィをやった人間ならばはまります。デバックをやったうえで復刻を望みます。
晴天→Г氏
とにかく敵兵を殺傷すのが難しいのに、多くのシナリオではプレーヤー側が攻めなければならないんです。プレーヤーがコントロールできるのは5〜8人。多くても16人。敵兵はその数倍います。少数で、トーチカや塹壕や家屋や森に潜む多数の敵を倒すなんて異常者じみています。弾薬はミッションクリアまでに使い果たすこともしばしばありまする。拳銃やナイフで悲壮な戦いを演じ、敵の武器を奪うなんてこともザラ。私は「準制式」と称して、部隊の何人かには最初からKar98とワルサーP38を装備して出撃したものですよ。弾薬の鹵獲が簡単ですから。
まあ匍匐で近付きつつ、面の攻撃で敵を混乱させて攻撃できないようにして進むのですが、しかも視界の概念があるので、遮蔽物の陰や構築物や森にいる敵は接近しないと見えません。見えないと攻撃もできない。大変です。
さらに、トラックや牽引砲、はては装甲車や戦車まで出てくる。非装甲車両ならば性能の悪いライフルグレネードでも2〜3発打ち込めば始末できるのですが、戦車にはバズーカがあってもほとんど歯が立ちません。第一、出撃時に重いバズーカなんて装備しません。装備したところで、歩兵に対する火力不足で、戦車と出くわす前の被害が大きくなります。そこでとる方法は二つ。敵の高性能なパンツァーファウストなどの対戦車兵器を奪って使う。あるいは、爆薬を抱えて肉弾攻撃をする。いずれにせよ、成功率はそう高くはありません。W号戦車あたりが一両でもいたら、絶望的です。航空攻撃や砲術支援も要請できますが、精度が低くてアテにはなりません。シャーマンやクルセイダーがいても、独戦車を一両倒す前に米戦車は三両やられます。つくづく絶望的。
かくも絶望的な戦いを挑むのですが、二つ救いがあるんですよ。
一つは衛生兵の存在。別に治療なんて時間がかかるだけでさほど効果はないのですが、攻撃力として役立つのです。
衛生兵はクソまじめにハーグ陸戦条約を墨守しているため、ナイフ以外の武器を一切持てません。しかしそれは出撃時の話。戦場では、死体(ないし昏睡状態の重体者)から武器をはぎ取れるのです。衛生兵は敵からも攻撃対象にならないので、容易に接敵して索敵し、攻撃できるわけです。ただし、衛生兵とて手榴弾や砲撃のような『面』の攻撃にはさらされ、同一ヘックスに敵と居会わせたら片方が死ぬまで白兵戦をするハメになりますが。
もう一つは「ヒーロー効果」。ゲーム中に登場する兵士・下士官の中には、気絶しにくく、混乱からの立ち直りも早く、敵の弾にも当たりにくいヒーローがいます。彼らがいないと、クリアは完全に不可能です。ただし誰がヒーローかはパラメーターを見ても書いておらず(説明書で書かれているのは数人いますが)、こいつかと思って索敵させたら一発で殺されることも。ヒーローを発見したところで、彼らは不死身ではありません。油断していると結構やられます。さらに活躍させすぎると特別休暇を付与され、次のミッションに出られなくなります。やはり難しいです。
ちなみに敵にもヒーローは存在します。ティーゲルよりも厄介な相手です。
余談ですが、このゲームでは兵士の状態が いくつもあります。正常、かすり傷、軽傷、重傷、重体、昏睡、気絶、混乱、恐慌、死亡、捕虜。戦闘外では戦闘中行方不明、休暇、入院、除隊などがありますが。戦闘時に兵士をクリックすると、母語で叫んだりうめいたり嘆いたりして、楽しいですよ。
Г氏→晴天
何だこの執拗に細分化された状態表示は。それぞれの解決方法もまた面倒そうだな。
「MADI」のように一本でケリが着くような便利な方法は無いだろうし。
「プラトーンリーダー」は硬派を通り越して、もはや「クリアお断り」といったレベルの難易度とお見受けする。
同じレベルには「ザナドゥ」「Wiz4」が挙げられる。素人は間違っても手を出してはいけない代物だろうが、アイテム収集癖のある人間はハマる可能性あるな。未だにGBのWiz3で遊んでいる私の様に…。
>ドイツ戦車を一両倒す前に米戦車は三両やられます
戦車の食玩のウンチクに「シャーマンでティーガーと戦う際には必ず1,2機を捨石にして背後から襲って破壊する」とあったが、見事に再現されている模様。
あとステータスの「戦闘中行方不明」ってどういうこと?
逃亡したのか無縁仏になったか判明しない場合だろうか?
ちょっと気になる。