フィルムスキャナー購入セリ
2003年01月05日(日)


 遠くない将来の引っ越しに備えて、フィルムスキャナーを購入した。ミノルタのDiMAGE Scan Dual。2820dpiと、今まで使っていたフラットベッドスキャナー、GT7600Uの1200dpiを大きく凌駕する。引っ越し前ならば、余計な物品、特に壊れやすい精密機械は買わない方がいいのではないかという気もするが、これはものを減らすためである。私が高校時代から今まで撮りためた写真は3000〜4000枚。これらは基本的にアルバムへ収めてあるのだが、アルバムは重くかさばり、写真そのものも質量がある。そのため、アルバム・写真類は実家に置くこととした。しかし私はサイトを作成したり、趣味で加工するために写真は必要である。フラットベッドスキャナーを使えばいいような気もするが、古い写真はすでに劣化がはじまっており、埃や指紋がついている。そこで、できるだけ高精度な画像を得るためにフィルムスキャナーを購入したわけである。
 引っ越しだけではなくて、今後の人生はいつ何時経済的にどうなるかわからないので、狭い部屋への居住や、万が一の海外移住に備えて、こうした個人的な写真の類はデジタルデータ化しておきたいからね。


 さて、フィルムスキャナーを使った感触は、思いの外、手がかかるというのが一つ。
 フィルムを扱うには写真編集用手袋がなければ指紋で汚れ、微細な埃はブロア(埃を飛ばす高圧ガス)で吹き飛ばさねばならない。また、どうしても飛ばない埃や指紋には、専用の・フィルム拭きが必要。なかなか消耗品が要るものである。なんというか、はてしない埃と皮脂と傷との戦いのような。まあそれだけ高精度な作業をしているということであるが。
 現像代・フィルム代を度外視しても、銀塩フィルムでの撮影をスキャンするのは消耗品などの経済性がよくない。そうした経済性に於いても、劣化や埃の影響されない手軽さに於いて、デジカメは便利だと再認識した。


 次に時間がかかるということ。フィルムスキャナーは予備校時代から「いつかは欲しいもの」として考えていた。そのため非常に時間がかかるということはわかっていた。スキャニングそのものや補正はもちろん、特に私のパソコンはUSB2.0には対応しておらず、転送にも時間がかかる。私の設定では、6コマをスキャニングするのに12分ちょっとかかる。フィルムのセットや出し入れを含めると、24枚−およそフィルム1本−スキャニングするのに1時間はかかることとなる。これが速いのかどうかはわからないが、私が保有するフィルムをすべてスキャンするのにはどれくらいの時間がかかるのだろうか。
 ただ、時間がかかるということは楽だということでもある。フラットベッドスキャナーならば、写真をアルバムから出して(ポケット式なので簡単だが)、スキャナーに並べて、領域指定して1つずつ読み取って、またアルバムに入れて・・・となかなか手間がかかる。だが、フィルムスキャナーは最初にフィルムをセットすればあとは自動的に6コマ分読み取ってくれる。スピードで言えばフラットベッドスキャナーの方が枚数をこなせる気もするが、フィルムをセットすれば全自動に近いフィルムスキャナーの方が休めるし、時間を別のことにも使える。そこは便利だ。


 最後に、画質について。
 まず、長いこと続けられているデジタルとフィルムとの優劣論争について触れたい。おおむねフィルムは900万画素。まあ感度や種類にもよるが、つまり「写るんです」にさえ市販のデジタルスチルカメラは劣ることになる。しかし、露出やフォーカスをデジタル制御した300万画素のデジカメと、安物のコンパクト・フィルムカメラとでは、300万画素のデジカメの方がきれいな絵を撮れる。いかにフィルムが優れていてもすぐれていても、精密な像を焼き付けないとポテンシャルを発揮できないということか。
 私の感覚としては、いつでもISO400のフィルムを詰めた安物のコンパクトカメラよりは、300万画素の高機能デジカメ。場面に合わせた感度のフィルムを詰めた高機能コンパクトカメラならば、300万画素のデジカメに勝ると感じている。それはフィルムをスキャニングしていると実感する。使い捨てレンズ付きフィルムや安物のカメラで写した写真は、フィルムからいかに高解像度で読み取ろうと画像の粗が目立つ。300万画素のデジカメで撮ったJPEGの画像の方が、拡大してみてもよほどキレイに見える。しかし粒子の細かい低感度のフィルムで撮った、高機能カメラの写真はまだまだデジカメには勝る。フラットベットスキャナーで読み取っていたときは、あまり違いはわからなかったのだが。


 まあ最近のフラットベットスキャナーは、EPSONのGT9800UFのように3200dpiもの解像度を持つようになってきている。これは同程度の金額のフィルムスキャナーを凌駕しうる精度だ。それなのになぜ専用のフィルムスキャナーか。それは自分でも考えてはみた。だが、写真をスキャンするのには前述のような手間がかかる上に、プリントされた写真は指紋や埃を取り除くのが困難だ。それを考えると、ブロアなどで埃をとばせるフィルムの方が高精度を追求できる。
 もっともGT9800UFを含めて、フィルムスキャン能力を持ったスキャナーも増えてきた。だが、フラットベッドスキャナーはガラスごしのスキャンだ。そこではガラスの保守まで徹底しなければならない。さらには、フィルムの歪みなどへのフォーカス調整能力は、専門機に軍配が上がる。やはり、写真のスキャニングにはフィルムスキャナーの方が手間でも画質調整でもすぐれている。そう私は判断したから購入したのだが・・・やはり今後はますますデジカメが主体になりそうではある。フィルムスキャナーもフラットベッドスキャナーも、どちにも手間がかかる上に、スキャンの際に埃や歪みのために画質の低下がある、とフィルムスキャン作業で実感しているからね。


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