油鍋
2003年02月04日(火)


 先日から所用があって関東に来ていたのだが、今日は大学時代の後輩・美津濃氏(仮名)宅に泊まらせてもらうことになった。昨夜までは事前に用意した宿に宿泊していたのだが、なんとか用を早めに片付けて、後輩宅を訪問したのだ。偶然美津濃氏宅を訪問したPGO(仮名)氏も交えて、すきやきなんぞを行った。

 すきやきの下準備を終えた人。背広で米をよそう人。私は手持ち無沙汰なので撮影をする。カセットコンロでメシを喰うのは久しぶり。

 タレは美津濃氏の自作。だが、追加のタレを作っている途中でみりんが切れてしまった。鍋のタレを煮詰めて対応する。

 さて、ある程度喰ったら理科実験の時間だ。今回はとりあえず、美津濃氏宅にある調味料の数々をぶち込むことに。

 何かが間違っている気がするが、とにかくぶち込む。躊躇はなし、だ。

 粉チーズとごま油とシナモンの匂いが漂う中、タバコなんぞふかして知らぬふりをする人。

 その恐るべきタレに餅をぶちこむ。味が染み込むようにじっくりと。ラー油、ごま油、粉チーズ、シナモン、タバスコ、青海苔・・・。


 今回の鍋は、調味料を山ほどぶち込んだだけである。菓子や漬物やインスタント食品を山ほど煮込んだときとは状態が異なる。まあ、ぶち込んだ調味料の大半が辛いものであったため、辛くなったというのが第一の感想。最初は煮えたぎる高温で口内の粘膜が剥がれるかと思ったが、ただ辛いだけであった。これも慣れれば大したことはない。食える。
 そして次に思ったことは、これは油だということ。ごま油とPGO氏と私とが重複して大量投入したため、かなりその風味と味が強くなっていた。だがなんとなく中華な雰囲気を醸し出すごま油は香辛料とよく合い、それほどは不味いとは思わなかった。何にせよ、この辛さと油は、翌日消化器に打撃を与えそうではある。暖かいからまだ油の多さは気にならないが、冷めたらとても喰えたものではなくなるのは必至であった。

 暖かいうちはまだ喰えたのだが、冷めてくるにしたがって、やがて厚い油の層が浮き上がって固まり始める・・・こうなったらもう喰いたくはない。

 やはりタバコで舌をごまかす人。不思議なことに、食前と食後とではタバコの味もまったくもって変わっていた。


 美津濃氏の制止を振り切って調味料をぶち込んだPGO氏曰く、入れたものはすべて喰えるものだ、これで不味くなるかどうかはまだわからない。そして喰ってみて、これではじめて不味くなるとわかった、とのことである。自己の味覚に極めて保守的な美津濃氏とは対照的な冒険精神である。ちなみに、「この組み合わせならば不味くなった。ならばまた別のものを入れると美味くなるかもしれない」と不吉な挑戦心をも露わにする。またの機会があったら、今度はいかような鍋になることやら。
 なにはともあれ、久々に後輩宅に転がり込んだだけなこの夜は、久々に既存の観念に挑戦する行為を楽しむことができた。収穫ある日であった。


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