シスプリ2をやりに
2003年03月26日(水)


 近代消費者は、商品そのものというよりは商品に付随するイメージを買う。品質が優れているとか、あれば便利だとか、どうしても必要だとかいうよりも、その商品を所有している自分、その商品を使う自分のイメージの方が重要らしい。服飾のブランドやステータスとしての自動車なんかがわかりやすい。だが、それは面白ければそれでいいはずのゲームに於いても当てはまる。「シスタープリンセス」はその代表格ではなかろうか。
 大々的に宣伝ぶって前評判が高かったこのゲーム。二次元的性向の人間の多くは、その名を知っている。その凄絶な設定を知っている。いかれたキャラクターや呼称を知っている。話題性は抜群だ。オフラインでもオンラインでも、二次元的な話をするときはこのゲームが共通言語として語られることが多くなった。とりあえず話せば通じる、二次元人ならば詳しくは知らなくても関心を示す、ネタにしやすいということで、「シスプリ」ほど便利な話題はなかなかない。もはや「シスプリ」は二次元人たる証明、あるいは二次元社会への参画手段とさえなってきている。だからこそゲームは売れたし、アニメも視聴されたのだ。どちらもそうすばらしいものでもないのにも関わらず、数多くの人によって観られ、そして語られた。これこそが現代の消費である。
 そして「シスプリ2」が出たのだが・・・さすがに私はもうシスプリ熱が冷めてしまっている。というか、すでに共通言語として十分な基礎知識を持っているので、取り立てて「2」を購入する必要などないのである。必要な情報は聞き手に回るだけで十分に得られる。さらに言えば我が家にはゲーム機はすでにないのである。もともとゲームをさしてやらない人間なのだが、時間・労力という資本をゲームに投入しない方針をとっているので。だがそれは、「シスプリ2」をやらないという意味ではない。買って完全制覇したりはしないというだけであって、人の家にはやりに行くのだ。「シスプリ買うたそうじゃのう、ちょいとやらせい」などと言いつつ後輩の家に押し入る。これもまた、共通言語としてのシスプリである。 




 というわけで、今日の夕方、大学時代の後輩・美津濃氏(仮名)宅に乗り込んだ。奴は「冗長すぎて苦痛だ」と言いつつも、各キャラクターの制覇をもくろんでプレイを続けている。その地獄を一緒に楽しみましょう、とのことである。ゲーム自体がそれほど面白いわけでもないのにやってしまう。これぞまさにシスプリ。 




 テーブルにはよくわからん文言が。美津濃氏は書道で位を持っているのだが、このような文字を書き付けるのにその腕前が使われるとは。それもまたシスプリ的行為である。




 長年貼っていた「Kanon」ポスターをはがす。「シスプリ2」についてきたポスターを貼るためだそうな。
 しかし、「シスプリ2」ポスターは横長だったため、このドアに貼ることは出来なかった。
 真琴は無駄死に。




 というわけで、これが「2」のポスターである。




 近くの持ち帰り寿司で夕食を調達。
 「シスプリ」は持久戦だ。メシはしっかりと食わねばならぬ。




 どうしても撮れというから撮ったが・・・。
 毎プレイごとに何度も妹たちの同じ社交辞令が繰り返され、その長いセリフをすべて聞いていると脳に異常をきたしてしまうらしい。




 「シスプリ」ばかりでは健康によくないとして、一度クリアしてからなぜかビデオを上映。美津濃氏がご友人から徴発したテープらしいが、ちゃんとCMカットまでしておる。しかし突発的に入る字幕はどうしようもない。行橋局とはいずこですか。




 そして今度は「ライ」を上映。「コミックコンプ」を読んでいたので、原作はある程度まで知っている。だが、テレビ東京が入らない地域に住んでいたため、アニメは未見だった。難しいコトバを使わないようにし、割と低年齢向けにされていたとは聞いていたが・・・あまりの登場人物のバカぶりには爆笑であった。ドン百姓のライが立身したのは、周りがもっとドン百姓だったせいなのは原作でも同じだが、アニメはライ自身が単なる切り込みバカになって、ガイラなんかはさらに愚鈍になっている。すばらしい。



 あとは、「メモリーズオフ」なるゲームなどもプレイした。「シスプリ」の主人公があまりにも無難かつ表層的な行動言動をし、やたらとテキストが冗長だったのに対して、「メモオフ」の主人公はなんと奇天烈な行動言動をすることか。選択肢が現れても、次に何が起こるのかまったく予想がつかない。脳で大気中の電磁波を受信しているのかとさえ思えるようなかの人物の行動。いや、テキストを読むだけで楽しめるゲームというのは久しぶりである。ここは「シスプリ」よりも遙かに優れていますわい。いやまあ、いわゆる「萌え」では勝負にならないのだが。
 そして今度は、再び「シスプリ2」。かくして夜は更けていくのであった・・・。


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