屋台タコス
2003年04月26日(土)


 原則として週休二日な私は、土曜の今日は休みである。平日同様、朝食前に軽い運動を2〜30分行い、昨夜摂取しすぎたエネルギーを始末する。それからは洗濯機を回して衣類を干し、掃除機をかけ、メシを炊いて食ったり皿を洗ったり、何気ない家事を行う。いやまあ、平日とて朝晩はほぼすべて自炊の上に、食器や洗濯物は溜めない姿勢を徹底しているつもりではある。ただ、今日は時間をかけてそれらを行った。そして、先日の「ガンダムSEED」の録画を観ていたら、大学時代の後輩・美津濃氏(仮名)よりCメールが。
「以前お話した屋台に**と行きます。ご一緒にいかがですか?」


 彼がいう屋台とは、駅からも大きな通りからも遠い場所で、一軒だけ商売しているタコス屋台のことだ。彼がその近くまで偶然出掛けたときに、発見したとのこと。実は私も、その場所は2〜3回歩いたことがあるのだが、屋台の存在は目にも入っていなかった。私が通ったときに、屋台があったのかなかったのかさえ覚えていない。しかしそうした店を見つけるのが美津濃氏の特殊技能である。彼は私のアパートに遊びに来たときも、近所にある私も知らなかったメシ屋を発掘して、居住者である私にその店を紹介したほどの男だ。これはどのような店か。気にはなる。今夜の屋台には同行することとした。



 そして夜になって、美津濃氏、そして同じく大学時代の後輩П氏(仮名)と待ち合わせて合流。早速その屋台へと向かった。かなり駅から歩き、川を越え、細い路地に入り、住宅地に入り込む。そしてようやくそれらしき明かりが見えた。




 軽トラックの回りを青いビニールシートで覆っただけの簡素の屋台。席は4人分といったところか。しかし我々が到着したときには、3〜4人の女性が勘定を済ませて出るところであった。それなりに客が入ってはいるようである。スペースの関係上、先客が出ていくのを待ってからのれんをくぐる。美津濃氏の顔をみて、屋台の親父は親しげに挨拶をする。それに応える美津濃氏。もう彼はここの常連扱いのようだ。頻繁にここの近くを訪れる美津濃氏は、もう何度もここの屋台を利用しているという。そして彼はすぐに注文を決めてしまった。私とП氏は少し考えてからタコスを注文する。
 美津濃氏が発泡酒と「ほろ酔いセット」(つまみのセット)を注文するので、私とП氏も発泡酒を頼む。すると屋台の親父は「今日は3人で来たくれたから」と、「ほろ酔いセット」を三人分で出してくれた。随分と気前がいい。タコスは包んでいる紙がつかみにくかったが、味はなかなか深みがあってうまかった。「ほろ酔いセット」として出てきたチョリソもわるくない。それでいて廉価である。同じ屋台でも、大通りや駅前の屋台で買ったら100円か150円は高いことであろう。親父曰く、包み紙の質やショバ代を落として安さを実現しているとのこと。なるほど。喰っていたら、テイクアウトで買いに来る若者も何人かいたし、安さは口コミで伝わったいるのかもしれぬ。


 さて、タコスを1人が2つずつ喰い、チョリソー、鶏肉、レタスの「ほろ酔いセット」が3人前(会計上は1人前)、デザートタコス2つ、発泡酒5本(うち1本はビールだったが会計上発泡酒扱いに)、コーヒー2杯、焼きそば1皿で、会計は3900円。しかし親父は切り捨てで3000円でいいという。1人につき1000円。これだけ飲み食いしてこれは安い。これで本当に商売になるんだろうか。さらにはタバコが切れた美津濃氏には、タバコまで数本くれたぐらいである。まあ、ほとんど親父の趣味のような店なのかも知れぬ。屋台で喰うという体験は、私はほとんどしたことがない。しかしここはそれなりに味がわるくなくて、安く飲めるというのならば、それはそれでいいかもしれんね。

  



 さて、屋台で飲み食いしたあと、駅まで歩いてП氏とはそこで別れた。彼は試験が迫っているため、今日出歩いて飲んだだけでも、例外的行動らしい。これ以上はほっつき歩けないのだろう。私は美津濃氏宅に転がり込んだ。П氏推薦の「ガンパレードマーチ」なるゲームをやってみたかったしな。私のアパートにはゲーム機なんぞ1つもないのでひとの家でやるしかない。




 美津濃氏宅に乗り込むが、これは今月二度目の訪問となる。わずか2週間たらずでは部屋の様子はそうかわらないが、心なしか散らかっていたような。バーコードのついていない二次元本や、大学の講義要項、辞書、学術書、様々なモノが床に敷き詰められていた。



 よくわからん食い物を発見。早速賞味してみる。イカの薫製をチョコで包んだというキワモノである。どんな経緯でこのような企画が通り、商品化されたのだろうか。市場に送り出すまでは何度も試作品を試食して、改良したりもしたんだろうなあ。なんてことを思いながら、口に放り込んで咀嚼してみた。
 ・・・甘みの少ないチョコがまず溶けて、それからかみ続けているとイカの味がしみ出してくる。甘みと塩味が混ざって得も言えぬ不協和音を織りなす・・・と思いきや、まあ別に不味くはない。チョコの甘みが抑えられているのが功を奏したのだろう。だが、好きこのんで喰うほどのものでもないような。あればあるで、それなりに食いはするが。


 簡易空気清浄機の「ギーゼルちゃん」。前回の訪問時は、その仕組みを確認しなかったが、やはり案の定、ファンの下にフィルターを仕込んで、吸った空気を通すだけであった。簡単な品である。しかしその効果は前回書いたとおり、あなどれない。タバコの臭いや煙たさが想像以上に早く軽減される。しかし今日ひっくり返して底部をみると、フィルターはすでにヤニで茶色くなっていた。清浄効果も低くなっている気もする。フィルターは月に一回程度交換せねばならんようで。本体の価格対効果は高いが、フィルターの価格や供給はどうなっているんだろうか。それは気になる。




 そして、今日訪問した目的たる「ガンパレードマーチ」をプレイ。П氏かが10日間家から一歩も出ずに、起きた瞬間PSの電源を入れ、食物はカップ麺の在庫を探して時間を惜しむように喰らい、疲れたらPSの電源を落として寝るという生活を繰り返したという代物。そこまで言われると気になるので、やってみたのだが。どうでもいいというか、後輩が勧めるから話のタネに軽く流しておくか、という程度の気分でプレイした。
 しかしこれがなんというか。アニメ版なんか話にならないぐらい悲愴な状況と、交錯する泥臭い人間関係がすばらしい。ぬぅ。これは危険だ。我が家にPSがなくて幸いであったかもしれぬ。自堕落ゲーム生活も大変な魅力ではあるが、「ハマるとめー、なの!」なわけでございまして。美津濃氏宅にメモリーカードの空かったことは、天佑神助かもしれぬ。
 気が付けば、翌27日の夜になっているではないですかい。ここで帰らねば終電に間に合わぬ。というわけで、セーブせぬまま今までの成果をリセット。急いで最寄り駅まで向かうのであった。


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