夏とAthlonXP
2003年08月03日(日)







 うちで現役使用中のパソコンはすべてAthlonXPだ。昔はインテル派を自称していたが、自作をするようになってからはAMDばかりになってきた。先日購入したB5ノートのMURAMASAもAthlonXP。友人に譲渡が決定しているA4ノート、Satellite2140はK6-2。いつからこんなパソコン環境になったものか。


 私は冷房をつけない人間として有名だ。北海道出身なのだが暑さは平気で、上京してはじめての夏も予備校の寮で冷房はつけなかった。大学時代も冷房は来客時以外はつけなかった。さらには外出時は、出先の冷房で汗を冷やされるのを嫌って、真夏でも必ず長袖の上着を着込んでいる有様。一時札幌に住んでから、再び戻った関東の夏。もちろん私は冷房なんかつけていない。
 現在、関東では電力不足が深刻になっている。東京電力の原発が一時全て停止し、老朽化して休止中の火力発電所を再稼働させ、廃棄予定だった横須賀のガスタービン発電機までをも現役復帰させている。この電力不足の状態で、エアコンをつけないというのは自分自身の電気代節約などというケチなことに止まらず、公益性があると言える。ユタ州へ語学研修へ行っていたときも摂氏40度オーバーの中、平気で出歩いていた(湿度が低いから返って過ごしやすいぐらい)。私は暑さを苦にしない。


 さて私は在宅時、いつでもメイン機「Сакура」の電源を入れている。休日なんかは、ビデオ鑑賞や録画のために、動画専門機「Каеде」もしばしば稼働させる。買ったばかりのMURAMASAも、カスタマイズのために電源を入れて作業していることが多い。これらの熱はかなりのものになる。窓を開けっ放しにして風を通しているが、ちょっとした暖房を焚いているのと同じだ。それでもパソコンは快調に動いていた。
 しかし、電源を入れて放置し、あるいは文章書きやネット巡回をしているだけならばともかく、動画のエンコードやオーサリングをすると話は別になる。CPU負荷率100%の状態で20分近く動作させていると・・・突然電源が落ちる。熱による強制的な電源遮断。こんなことははじめてだ。2〜30秒待って電源を入れてチェックしてみると、CPUの温度は起動直後で摂氏80度を超えていた。なるほど、電源が落ちるはずだ。「Сакура」のアルミケースは外から触っただけでも今までになく熱かった。




 いくら自分が平気だといっても、パソコンが動かないようでは貴重な時間を活用できない。エアコンを入れることにする。確かにカネはかかるし、公益性の面でもあまり電気を使うのはよくない。だが、必要とあらばつける。窓を閉め切り、エアコンをつけるなんて習慣はなかったのだが。ついでに、熱の移動を妨げるため、カーテンまで閉めた。




 そして、「Сакура」のラックを10センチほど前進させて、壁とパソコンとの隙間を広げる。
 電源や筐体ファンの排気口は背面にある。




 そして、筐体と密接して置かれていた空きメディアや紙類を下ろす。筐体自身もまた、室内の空気に熱を逃がす役割を負っている。アルミならばなおさだ。


 パソコンの進歩は驚くべきものがある。1GHz、2GHzといった周波数のCPUなんかは数年前には想像もしなかった。もちろんパワーが上がるにつれて、発熱も強くなる。CPUだけではない。VGAにもヒートシンクが付き、ファンが付くようになった。しかし冷却技術自体はそう変わっていない。ヒートシンクで熱をケース内の空気に伝える。あるいはヒートシンクにファンを当てて熱の伝導と拡散を促す。そして、ケース本体のファンがケース内の空気を逃がし、あるいはケース自身が内部の温度を外部の空気に逃がす。Bf109や飛燕あるいは自動車のごとき液冷式のクーラーも現れているが、基本的には室内の空気にPC内部の熱を逃がすことにはかわりがない。部屋が暑ければ、つまり部屋の空気が熱ければ、パソコンの冷却効率も落ちるのは当たり前。圧倒的大多数のマシンが採用している空冷式ならば室温の影響は大きい。やはり、夏場パソコンを酷使するときは冷房で室内の空気を冷やさないとダメか。
 電子部品の設計をしている友人は、冷房を使わなければ仕事にならないと言っていた。彼の職場には製図用の巨大なモニタやハイスペックマシンがここそこにひしめき、冷房を使ってもなお暑いとのこと。夏場は冷房をつけなければ、止まってしまうだろうとのこと。パソコンとはつくづく熱いものである。


 四六時中エアコンをつける気はないが、パソコンで重い作業をするときぐらいは、室温を少し下げよう。そうしているうちに、私自身もまた、冷房に慣れてしまい、暑さへの抵抗がなくなっていくんだろうな。いやはや。


後日記

 エアコンを使えば、例えば32度の室温を27度に下げることはできる。湿度も下げられる。だけれども、エアコンを使ってもなお「Сакура」でエンコードを行うと電源が落ちた。エンコード開始から電源遮断までの時間が数分長くなっただけである。
 エンコードを行うのは久々だ。以前はうまくいった。最後に動画をエンコードしたのは3月。今と何が違うと言えばやはり温度。クーラーをつけているといっても、3月の室温の方が遙かに低い。15度程度だ。暖房を切ればもっと冷える。試しに一時停止を乱発しつつエンコードしたら、電源は落ちなかった。やはり熱か。



 ならばCPUクーラーを交換するしかない。リテールのクーラーでは夏場は乗り切れないか。早速秋葉原でやや大きなヒートシンクに風量の強いファンのついたクーラーを購入。早速とりつけた。
 そして起動して、思いっきり長時間エンコードしてみた。もちろんCPU負荷率は100%。約45分後、作業は無事終了した。CPU温度をチェックしてみたら50度台に止まった。同じ空冷ファンでもこうも違うものか。と言うよりも、定格動作なのにリテールのファンの不甲斐ないこと。オーバークロックしまくっていなくても、ファンにはもっと気を遣った方がいいようである。


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