唐辛子三昧
2003年09月15日(月)
6日の日記にも書いたが、今月になってから、我が家であの黒い敵機が多数出現するようになった。陸軍十四年式拳銃で、1匹2匹射殺して水洗便所に放り込んだりしていたが、そんなことでは埒が明かない。敵は次々と我が領土へと侵入する。糧食を扱う台所に土足で侵入されるのは不衛生甚だしい。また、戸板一枚隔てた居住空間へと絶対防衛線を突破し、壁に張り付き、絨毯を駆けめぐることさえも起きてきた。
私は噴霧薬剤など決して使わない。人体に有害である。だが、固定式の薬剤は設置する。ホウ酸団子を奴らの進撃路に集中投入するも効果なし。コンバットやゴキブリホイホイでもそう効果はないのは、多摩時代に経験済み。そこで、中華料理に使う乾燥唐辛子を撒いてみることとした。
大学時代の後輩曰く、部屋の隅に乾燥唐辛子を置けばゴキは出ないとのこと。彼の家はあまり片づけが為されておらず、飲料や残飯がしばらく始末されていなかったりもするが、唐辛子を撒くようになってから5年間、一度もゴキが出ていないとのこと。まあ、唐辛子はカラス対策にゴミ袋に練り込まれたり、虫除けにも使われる代物。まったく効果がないということもあるまい。辛味というのは、動物には「痛み」と感じられる。催涙ガスのOCガス液に誤って触れたことがあるが、しばらく手を洗っても痛みがとれなかった。あれも唐辛子が主成分だ。
それにしても乾燥唐辛子。1袋で100円とは安い。数十本、進撃路周辺やゴミ回りに設置しても、まだ山ほど余っておる。どうせ、調理に使うことなどない。開放した以上、湿気で遠からず(食品としては)ダメになることであろうて。そこで私は、何を思ったか、乾燥唐辛子をそのまま口に入れてみた。そしてガムみたいに噛んでみる。
私は辛いもの好きである。口に入れてからもそう大したことないと思っていたら・・・。咀嚼して少しして、口の中に激痛が走った。慌てて台所に駆け込んで三角コーナーに唐辛子を吐き出し、水で口を濯ぐ。しかし、痛みはまったく緩和されない。10回ぐらい水で口を濯いでから、今度は牛乳を口に含んでみる。牛乳に舌を浸していると、少しは楽になったような気がした。しかし、少しするとまた舌の痛みが戻ってくる。そしたら、牛乳を飲み込んでまた新たに補給する・・・。こんなことを30分間繰り返して、ようやく人心地ついた。
唐辛子成分が溶け出した牛乳を飲んだため、胃まで痛いッス。エアコン利かせているのに汗だくになったわい。こりゃあ、こんなもん食ったら、ゴキブリも死ぬかもしれぬな。
教訓:乾燥唐辛子をそのまま食ってはいけない。マジで。
今日の昼、スーパーでこのビールが目に入ったから、私は乾燥唐辛子について思い出した。もちろんこの唐辛子を漬け込んだビールも買ってきた。胃も収まってきたし、暑いし一杯やるか。・・・乾燥唐辛子をそのまま咀嚼したことに比べると、少し刺激的かな、という程度のチリビールの辛味など、ガキの使いのようなものであった。不味くはないが、もう唐辛子の風味は飽きた、というところか。一本飲み干してから、中の出し殻になった唐辛子を台所の三角コーナーに捨てる。設置した唐辛子と相まって、台所に唐辛子の匂いが充満した。
そしてしばらくして、酔いが醒めた頃。便所に行こうとした私は、足下に黒い影が走るのを見た。
電気をつけて確認する。
奴だ・・・!
フルロードしてテーブルの下に置いてある十四年式をつかみ、コッキングピースを引きながら台所に駆け込む。
早速撃破。
またしても半殺しになったゴキを便所に流してから、再び視界の隅に黒いものが走った。
まさか!!
奴であった。
逃げまどう敵機をゴミ箱の影に追いつめ、2発ぶち込んだ!そろそろ死んだだろうと思って、ひっくり返った奴を幾重にも重ねたトイレットペーパーで始末しようとしたら・・・走って逃げやがった。だが奴は愚かにも、床の真ん中で動きを止めた。バカめ!ズボンに挿していた十四年式を抜き、すかさずもう1発!今度は、弾丸の威力で靴脱ぎ場まで跳ねたので、玄関のドアを開けて外に蹴り出した。靴に入らなくてよかった。
それにしても唐辛子。効果があるのだろうか・・・?
たまたま空気中に放出された刺激物質で隅々のゴキが燻り出されてきただけなのかもしれない。
それはわからない。
そして南部十四年式には弾丸を詰め直し、まだテーブルの下に置いてある。