新型レジェンド
2004年10月15日(金)








 先日発売されたばかりの新型レジェンドに乗った。もちろん私が運転したわけではないが、これはとんでもない車だ。タイヤへのパワー配分が1輪ごとに全自動で調整されるこの車、ちょっと街乗りでカーブしただけでも、横滑りするかのようなコーナリングを体感できる。こんな車は今まで乗ったことがない。国産量産乗用車としては初の300馬力も、さすがに凄まじい。少し踏んだだけでこの大きな車体が強力に加速する。しかもトランスミッションの継ぎ目がまるでわからない。先代のレジェンドは流体トルクコンバーターがあまりよくなく、継ぎ目でかなりの振動があったものだが、まるで別物。標準装備のカーナビは、地方都市の住宅地の車庫やアパートまで一軒一軒表示する。カーナビに関しては今日日こんなものなのかもしれないが、これはこれで感心したわい。いささかサスペンションが硬いが、それはこの車が金持ちが自分で運転するための車だからだろう。Sマチックで300馬力エンジンをMT気分でコントロールし、吸い付くようなコーナリングを出来る。これはまさに運転手が使用人に徹するのではなく、あくまでハンドルを握った者が主役でいるための車だ。運転手を付けたいのならば、マジェスタかセンチュリーにでも乗ればよい。


 まあこんな高価でデカくてハイパワーな車、私は乗りたいとは思わない。けれども、諸経費込みで700万払えて、大型高級車でスポーツ気分の走りを味わいたい人間にとっては、ブランドだけの鈍重な高級車よりも優れた選択肢と言えるかもしれない。
 日本に於ける外車シェアは乗用車全体ではわずか数パーセントだが、高級車に限定すると25%にもなる。日本でカネを持っている人々は、なぜか外車がお好みのようだ。もちろんドイツやイギリスは優れた高級セダンも生産しているが、相対的に日本車よりもデカくやや価格が高いだけで、本国ではさして高級でもないセダンも、日本では高級車扱いだ。本国で高級車扱いの車であっても、ただ在来のローテクを極めただけで、重い金属を使ってコンセプトも古い、鈍重で燃費の悪い代物も少なからず存在する。
 自動車として高級セダンとしての性能を鑑みると、トヨタやホンダの高級車は決して外国車に比べて劣った存在ではない。この新型レジェンドはその象徴のようなものだ。一回乗ればわかる。この車の凄さは。まあそれでも、メルセデスのエンブレムが付いているだけで「すげー」「高そう」としか思えない人々にとっては、トヨタの高級セダンはダサい親父車で、ホンダは走り屋のアンちゃんが乗る車にして見えないのかもしれんのだが・・・。


戻る