320万画素携帯、A5406CA
2005年01月12日(水)




 先日携帯電話を壊してしまったため、新しい端末に買い換えた。前回の機種変更から日が経っていなかったために解約→新規契約にしてしまったのだが、新規契約だと当然のことながら安価に購入できる。最初は1円のでもいいと思ったが、ついつい320万画素AF付きを謳うA5406を購入。
 カメラとしての性能はどんなものか。あまり期待はしていないが、デジカメを忘れたときでもサイトの更新には、100万画素の携帯電話付属のカメラでも十分役に立った。320万画素だとどれぐらい使えるのか。




 このA5406CAは内蔵メモリを12MBも持ち、充電器はUSB接続できる。ここもクレードル式のデジカメみたいだ。だけれども、私はドライバを徒にインストールしたくないので、miniSDでデータをやりとりすることに。それにしてもメモリスロットがこんなところにアルトは思わなかった。




 miniSDは3980円で128MBを購入。これだけあれば、カメラとしてもそこそこ使えるだろう。けれども、この携帯電話カメラ機能を使って1MB以上の画像データを処理すると、当然ながら電池をすぐに消耗してしまう。そういう意味では128MBはいらなかったかもしれない。旅行ならば、宿に戻るたびに充電して、miniSDにデータを撮り貯めることもできるが、さすがに旅行ではちゃんとしたデジカメを使う。




 さて、同じ300万画素クラスのDimageXtとPowershotA400と共に、A5406CAのカメラ性能を試してみた。もちろん画素数と画質は直接の関係はない。ちっぽけなCCDに無理矢理300万画素分の素子を刻み込んだところで、いい画質なはずもない。AFやAE、画像処理のアルゴリズムも、そうした演算処理専用のチップを持つデジカメ専用機には決して及ばないだろう。それを踏まえた上で、敢えて試してみた。
 載せた画像の左側は、横幅300ピクセルに縮小してJPEGに再圧縮したもの。右側は300*215ピクセルでトリミングしてJPEGに再圧縮したもの。


・日向1

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 太陽に対して、やや横向ききの方向を撮った写真。橋脚の影からその角度を判断してもらいたい。原寸大の画像を見ると粒子の粗さ、ディテールの雑さが目立つが、A5406CAの写真はそう悪くはない。色彩がXt同様あまりよくない気もするが、それはレタッチすればどうにでもなるレベルであろう。


・日向2

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 今度は太陽に対して完全に背を向けて、白いマンションを撮った。A5406CAは強い光に弱いらしく、色彩とディテールが白く飛んでしまった。


・日影

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 原寸大の写真を見てみると、A5406CAの画像は他の2機よりも荒いのがわかる。だけれども、強い光のない日影ではA5406CAはわりときちんと描写してくれる。色彩のクセはともかくとして、このぐらいの出来ならば問題はない。
 ただ、道路の先には直射日光が挿しているのだが、明暗の差にA5406CAは極端に弱い。ほとんど真っ白になってしまっている。


・暗い室内

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 窓のない暗い室内での撮影。先にある部屋は窓があるので、日光が入っている。デジカメのCCDは敏感なので、手ぶれさえ我慢すれば結構暗い写真も撮れるものだ。A5406CAも、他の2機よりは粒子の粗さが目立つが、それなりにちゃんと写っている。ただ、明るい部屋が白くつぶれかかっており、明暗のコントラストを描くのには不向きなようだ。


・軽い逆光

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 ファインダーに太陽を入れないで、逆光の写真を撮ってみた。どうもA5406CAには、影になった物体が黒く潰れる傾向は少ない。だけれども、光線の干渉を大きく受けてしまうらしい。これはレンズの性能差であろう。フィルターで太陽光線の干渉を廃し、優れたレンズで正確に光を捉えるデジカメ専用機に比べ、携帯電話は小さなレンズ1枚である。これはもっとも差が出て当然のシチュエーションである。


・強い逆光

 
PowershotA400

 
DimageXt

 
A5406CA

 太陽をファインダーに入れた強い逆光。よほど恣意的に効果を考えない限り、ひどい写真になる状況だ。しかしさすがはCanonと言うべきか、A400は強い光の中、木々のディテールや色彩をなんとか描いている。Xtは色彩がだいぶ薄くはなっているが、それなりに見られないこともない。けれどもA5406CAは太陽光線が画面縦一文字に走り、それ以外の部分も太陽光の干渉が強く、とても写真として使い物にならない。何度試してもこうなった。




 さらに、A5406CAで本棚を撮ってみる。




 300万画素クラスのコンパクトデジカメに比べると荒いが、背表紙はなんとか読めなくもない。
 コンパクトデジカメとの本棚・腕時計撮影の比較はこちらに掲載した。




 A5406CAでは、撮った写真を携帯電話のディスプレイで再生する際、ズームすることが出来る。背表紙は「知っていれば読める」という程度。こんなに小さな文字でも拡大して読めなくもないということは、名刺や書類、それに地図を机に上に置いて写して、出先で携帯の画面で読むといった使い方も可能ということだ。私はXtをメモ代わりに使っているが、そういう使い方でも携帯電話はコンパクトデジカメに近づいてきた。




 最後に、A5406CAで本を撮ってみる。被写体はロシア語の教本。B5判だ。
 暗い室内で、蛍光灯の明かりのみによって撮影。




 これが原寸大の画像をトリミングしたものだが、読むのにはまったく困らない。もちろんデジカメやフィルムカメラを使えばこんなこと当たり前に出来るが、誰でもいつでも持ち歩き、いつどこで持っていても怪しまれない携帯電話で書類や本を写し取れることの意味は大きい。
 日常レベルの話では、ちょっとしたコピーをとる手間がなくても、いつでもデジカメを持ち歩かなくても、数秒あれば情報を持ち帰ることが出来るということだ。勉強の為のプリントのコピーならばともかく、デジタル万引きもかなり詳細にできるようになるとも言える。
 非日常的な話では、危険を犯して単焦点の超小型フィルムカメラを隠し持ち、重要書類を盗撮した時代は遠くになりにけり。現代に於いては情報漏洩防止のために、コピー機でスキャニングできない紙も開発されているが、写真撮影すれば問題なく写し取れる。もっとも企業でも官庁でも、重要資料室の入り口に金属探知器を導入して私物の持ち込みを管理し、監視カメラで社員や職員の不穏な動きを監視するようになりつつある時代なのだが、まだまだ情報管理のレベルの低い場所も多いだろう。カメラやコピー機ではなく、携帯電話で内部の人間が重要書類を写し撮ることを防ぐのは、金属探知器や監視カメラでもない限りは難しいのではなかろうか。 


 A5406CAを使ってみた感想だが、確かに画質はまだまだだ。だが、「まぁ撮れればいい」という程度の画質の簡易デジカメは、食われる。つまり、遊びでちょっと撮ったり、アクセサリー感覚で持ち歩いたり、子供に与えたりするような、コンパクト・廉価が売りの小さな単焦点デジカメは、存在意義が危ぶまれる。実用的なストロボの搭載など機能面で差別化を図るか、ペンと一体化するなどデザインで工夫しない限りは、ほとんど売れなくなるだろう。
 具体的には、SONYのU50やカシオのEX-S20は危うい。A5406CA程度のカメラを備えた携帯電話が普及すると、わざわざ2万も払って単焦点廉価カメラを買う者は、カメラ・PCの好事家以外はいなくなる。もちろんA5406CAよりU50の方がカメラとしての性能は優れているが、A5406CA並の携帯を持っているのならば、U50ではなくて、3万出して光学3倍ズーム付きのより高機能なコンパクトデジカメを買いたくなることだろう。


 しかし、多少高機能なカメラと携帯電話はまだまだ競合すまい。A5406CAは携帯電話としては現在最高峰のデジカメを持つ。しかしちゃんとした写真を撮る役割に於いては、携帯電話の搭載カメラは廉価コンパクトデジカメの敵ではない。コンパクトデジカメの中では廉価な部類に入るXtやA400と比べても、A5406CAの画質は目に見えて劣っている。機械式シャッター、何枚ものレンズ・フィルター、携帯電話よりは大きなCCD、画像処理専用のチップを備え、ストロボも持つデジカメ専用機が、携帯電話の「おまけ」に負けるはずはない。
 ちょっと遊びで撮る分には携帯電話でもいい。カメラを持っていないときに偶然何かあったら重宝する。だけれども、旅行や結婚式のような大切なイベントでは、マニアだろうと機械音痴だろうと、信頼性の高く画質に優れたカメラを使いたくなる。
 さらに、携帯電話は電池の保ちがよくなく、しかも電池が切れたら非常に困る。何かを撮りに出掛けるときに携帯電話だけを持って出掛ける−そんなことには、まだまだならないのではなかろうか。携帯電話がデジカメ市場を本格的に脅かす為には、カメラ部の性能向上はもちろんのこと、電池の性能がもっと革命的に向上しない限りはあり得ないだろう。


 余談だが、このA5406CAは携帯電話としての性能はわりと優れている。C-mailをE-mailにコピー&ペーストするときは、半角カナ文字を自動的に全角に直してくれるし、クリップボードは10個もある。些細な機能だが、メールの再利用が非常に多い私としては、こうした細かな機能の充実は助かる。これとて、「電話」そのものの機能ではないのだが。
 まあ何はともあれ、A5406CAは12000円分の価値はあると私は考える。携帯電話としてのメール機能・文字入力機能に不満はないし、カメラの性能もちょっと何かを撮ってサイトの更新に使う分にはそう困らない。もちろん大切な写真には使えないけれども、遊びで面白いものを撮って、トリミング・縮小してサイトに載せるのには従来の100万画素の携帯電話よりは使いやすい。そのため、このサイトの日記では、携帯電話による写真が増えていくことが予想される。


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