美津濃氏と新宿徘徊
2005年01月22日(土)


 今日は、大学時代の後輩・美津濃氏(仮名)と久々にメシを一緒に食うこととした。彼には去年帰省前に部屋に泊まらせてもらったが、家主本人と会うのは久しぶりである。取り合えず11時半に新宿に待ち合わせて、テキトーに店を探して昼飯を食うこととした。
 いきなりメシ屋を探しても、手頃な店を見つけることもどこに入るか決めることも、なかなか難しいものだ。ゆっくり出来る店を探すのは一苦労。だから私は、新宿で知っている数少ない店の1つである、沖縄料理店へと入った。




 美津濃氏が頼んだのはパパイヤイリチー定食。イリチーとはなんぞや。これは帰ってきてからネットで検索をかけて「イリチー」という文字列が判明したが、店にいたときはメニューの手書きの字を判別できず、注文のときは「パパイヤなんとか定食」としたものであった。美津濃氏曰く、旨いとのこと。




 私はヘチマ定食。ヘチマといったら小学校で鉢植えで育てたり、スポンジ状の繊維を風呂で使ったりした記憶しかないが、こうして料理になるとは。麺と炊き込みご飯だけでも(私にとっては)結構な量だが、豆腐とヘチマもまた、意外に腹に保った。沖縄料理はハマる。
 定食を食い終えてからは、店内が空いていたのでゆっくりと談笑などした。お国から手厚く保護されているはずの農業の不採算性や農業法人化の動き、FTAで保護が撤廃されると食い物はどうなるのか・・・といった話なんぞをしていたような気がする。


 メシ屋を出てからは、美津濃氏が買うモノ・見るモノがあったのが、ヨドバシ・ビックなどの量販店をハシゴした。
 彼はひげそり機の替え刃を買っていたが、フィリップスの刃は近所のベスト電器にはなかったそうな。フィリップスと言えば、シェーバーでは世界第1位のシェアを占め、家電分野でも全世界的に名を知らしめている老舗のエレクトロニクスメーカーだ。その替え刃を置かないとは・・・日本でもひげそり機に関してはフィ社のシェアは高いのに。
 余談だけれど、会社の研修寮では、誰もフィリップスを知らなかった。ナショナルかサンヨーぐらいしか彼らはシェーバーのメーカーを知らないのだ。だから彼らはフィリップスなんてどこの胡散臭い代物かと思ったようだが、9000円という値段を出したら驚いた。この世にそんな値段の電気剃刀があるなんて想像さえしていなかったようだった。ということを思い出したのだが、フィリップは割と売れているのにもかかわらず、知名度はあまり高くないような気もする。フィ社のシェーバーは、私や美津濃氏のように自分の道具へこだわりを持ち、ある程度の可処分所得を持っている人間でなければ買わないのかもしれない。


 その後はMP3プレーヤー、SDカード、携帯電話などを見て回ったが、美津濃氏は「電気スリッパ」なる面妖な商品も探していた。そのようなモノは聞いたことがない。それは電気コードが出ているスリッパで、コンセントを刺すと電熱器で熱せられる代物だという。それは拷問器具か!?拳王様への忠誠の焼き印との二者択一として持ち出された灼熱の鉄板か、はたまた悶邪の舞か。あるいはかわぐちかいじの「黒い太陽」か。と思ったら、机に向かっているときに足を暖める器具だそうな。いや、それ以外の何者でもないだろうけど。
 美津濃氏がヨドバシカメラの店員に「電気スリッパは置いていますか」と聞いたら怪訝な顔をされ、「コンセントを入れると暖まるスリッパ」と言い直してようやく理解された。「電気スリッパ」という名称は一般的ではないのかも。ちなみにヨドバシカメラのサイトを観たところ、その器具は「足温器」と記されていた。


 そしてエロゲー屋を見て回ってからソフマップへ行き、DVD-Rメディアを持って美津濃氏がレジで並んでいたとき。私は店外で彼を待っていた。そのとき突然おっさんに声を掛けられた。「久しぶり。元気だった?」などと抜かすその親父は、とても私と知り合いそうにない小汚いオッサンだった。一昨年も新宿を歩いていたら、突然見知らぬオッサンに声を掛けられたことがある。そのときの記述が掲示板にあるので掲載しよう。


[464] 地回りめ 投稿者:本日晴天 投稿日:2003/05/17(Sat) 11:56:48
 昨日新宿を歩いていたら、突然肩を叩かれた。振り返ると、パンチパーマのおっさんが歯の抜けた口をほころばせて、親しげに「よお、久しぶり。いつこっちに出てきた」などと話してくる。もちろんこんな与太者に知り合いなどいない。少なくとも40がらみのオヤジの知り合いなどそうそういない。
 私は瞬間的によからぬアプローチと判断した。悪徳商売、恐喝、ポン引き、狂信宗教・・・何かはわからんが、とにかくまともに関わっていいことなどない。めんどくさそうに「人違いじゃないんスか」と言い放って、背中を向けたところ、背後で「え?違うの?」などとの声が聞こえた。
 まあ十中八九、くだらん悪巧みの類だろうが、もしかすると本当に人違いだったのかも。


 このときのオッサンは一言で言い表すと「地回り」だ。だが、今回のオッサンは丸顔で胴長短足。決して脅威的な外見ではない。ナリは小汚いウェストポートをして古びたジャンバーという、貧乏人風であった。去年のパンチパーマは会社の現場研修のときにやって来た作業員の1人かとも思って「誰だっけ」と思い出そうとしたが、今回のは思い出す努力をするまでもない。こんな奴は知らん。知り合う機会もなければ、いかなる時期に於いても知り合いになろうなどと決して思わない。
 さすがにいきなり予想外の人間に想定外のコトバをかけられて、私は戸惑った。表情を恣意的に作る間でもなく不愉快かつ怪訝な顔をして、「誰ッスか?」と言うことしかできなかった。そうしたらオッサンは「覚えてないんか」と独り言のように言って、立ち去っていった。


 一体何なんだ!?知り合いのフリして「久しぶり」とか声を掛ける勧誘が存在するのか?若い女の子がやるのならば付いていく男もいるだろうけど、前回といい今回といい、こんな小汚いオッサン連中がいきなり知り合いを装ってきたところで、いったい誰が好意的な反応を返すというんだ。目的は何だ?宗教の勧誘か?風俗の客引きか?それとも何か非合法店への案内の暗号か?まったくわからん。
 それとも私に似た奴がこの新宿で、こうしたチンピラ連中と連んでいたのか!?中学時代は私を別のクラスの奴と間違えた先輩に因縁を付けられたことがあったが、このとき私と当該人物とは全然似ているようには思えなかった。高校時代には体育で合同授業を受けていた10組の奴に、10組の**氏(中学時代の人とは別人)と間違えられ、それ以来私は10組の人々に「**君みたいな人」と呼ばれるようになった。この**氏もまた、私には全然似ているようには思えない。
 まあ、瓜二つというほど似ていなくても、ちょっと似通った点があるだけでも人違いはしばしばおきるものだ。私自身も、間違って別人に声を掛けそうになったことがある。だから、本当に誰かと間違えられた可能性も、否定は出来ない。何にせよ、人違いでトラブルに巻き込まれたら嫌ですな。


 ソフマップの次は紀伊国屋へと行って、政治学書や会社法務の本について吟味などした。しかし美津濃氏はよさそうな本を選ぶと、タイトルと値段だけ覚えてあとで大学生協で発注するという。大学生協は10パーセント引きだから高価な専門書を買うときはかなり違いが出る。まあ私自身も、量販店で品物を見て帰宅し、家に戻ってから最低価格のネットショップに注文を出したことがあった。店舗を持つ小売店は大変だな。
 ちなみに彼はここで大学院の研究に使う地形図を購入していたが、筒に入った地形図はまるで、アニメポスターのようであった。




 歩き回って疲れたので、先週黒天使氏(仮名)に紹介してもらったアイリッシュバーにて一休み。
 美津濃氏はこれから一仕事があるのでウィンナーコーヒー、私はギネスをハーフパイント。




 美津濃氏はわざわざフィッシュ&チップスを頼んだ。不味いイギリス料理の代表例ともいわれる代物だ。だからこそ敢えて頼んだわけだが。そしてやってきたものは、。案外わるくなかった。日本の材料で、日本人シェフがレシピを作って調理しているんだろうから、本場のモノよりも日本人の口に合うのかもしれない。


 ところでここの店は、なかなか日本人には入りにくい。店に入ったら勝手に好きな席に座って、それからカウンターへ注文しに行って、その都度現金を払うというシステムは、日本人にはなじみが薄い。我々は入り口近くの席に座っていたのだが、ウェイターが来ないと行って入ってきたが帰った日本人客を何組も見た。ちゃんとシステムについては大きな字で書いてあるのだが、誰も気が付かないらしい。
 それでももちろん店内には日本人がここそこにいたが、アメリカ人とおぼしき白人客が多い店だ。欧米人のたまり場のような店なのかもしれない。真っ昼間から酒を飲んで(それはこちらも同じだが)、f____ upとかJapとか不穏当なことを言っている連中もまたいた。多分、この店の白人客全体の中でこういう輩は少数派ではあるとは思うが。こうした品のよろしくない連中も出入りしている店だから、便所には落書きがある。その落書きはほぼすべて英語だ。しかしそこで私はロシア語の落書きを発見した。




 まあ意味は・・・自分で調べてくれ。
 博友社の辞書には載っていないので、岩波か研究社の露和辞典を見るべし。 


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