美津濃氏の、最後の晩餐
2006年03月31日(金)


 最後の晩餐と言っても、別に明日刑死するわけではないが。
 この3月に大学院を修了した学部時代の後輩・美津濃君(仮名)は、4月から社会人である。しかも最初の任地は奇しくも私と同じく札幌。島流し。物理的にこれほど強烈な距離が開くと、なかなか会うことはできなくなる。札幌は空路では1時間ちょいしかなく、競争の激しい路線なので運賃もそれほど高くはないが、しかし気軽にどうこうできる距離ではない。だからこそ、美津濃君を我が家に泊めて、最後の晩餐が開かれることとなった。ちなみに彼は下宿をすでに引き払っており、学生時代の友人宅を渡り歩いている。思えば、私は彼の下宿に何十回と逗留したが、その逆は数えるほどしかなかった。だから最後にはこちらが歓待せねばならん。




 エアコンのある和室にテーブルをセッティング。
 この季節のボロ屋は、まだまだ冷え込む。
 部屋を整えてから待ち合わせの新宿へと向かい、新宿書店からさくらやホビー館、ソフマップなどを軽く回る。




 そして川崎へと戻り、我が家の近所のスーパーにて惣菜を調達。




 今回はこの多摩ビール1本と、キリンやアサヒなどの733ml瓶を3本。
 私も美津濃君も学部時代は多摩市民だったのだが、この多摩ビールは多分飲んだことがない。
 上面醗酵のエールである。私はラガーよりもエールの方が好み。これはなかなかうまい。




 惣菜を食い尽くし、ビールを飲み尽くしてから、まだ飲み足りないとコンビニ(そう近くもない)まで行って焼酎を一本。その店で一番高いものを躊躇せずに買う。安酒を量飲み、翌日くたばる生活はもう終わった。上質な酒を時間かけて楽しみ、翌日への影響も最小限にするべき年齢である。と言っても、この焼酎は2000円台。大して高価なわけではないが。そして、私自身焼酎を飲む習慣がまったくないので味がわからないだけかもしれないが、さしてうまいとも思わなかった。だがこの感想は美津濃君も同じらしい。やはり、先日奥野さんから院試合格祝いに戴いたウォッカは、この日に動員すべきだったか。




 そして夜更かしすることなく、規則正しく寝たのであった。
 お互い来年度の都合は詰まっている。
 ただし我が家には掛け布団は2組あっても敷布団は1人前しかない。その為、雑魚寝である。
 畳に雑魚寝。
 しかも雑魚寝から起きてからは、余ったミネラルウォーターで余った珍味と柿の種を流し込む朝食。
 そして朝の益体もない番組を観ながら、内容にケチをつけて笑う。
 もうそうそう出来る体験ではなかろうて。
 彼に再び相見える日は、いつになるのであろうか。
 そして彼を見送ってから、私は新しい学生証を取りに、大学院まで行ったのであった。


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