学部生に勧誘されようとは
2006年04月05日(水)
今日は奨学金申請に学部時代の成績証明書が必要とのことで、古巣・椎応大学に行って来た。だが、まさか28才にもなって、サークルに勧誘されるとは思わなかった。
卒業5年目にもなると、古巣というより漫画「げんしけん」の舞台としてのイメージの方が強くなってくる。キャンパスも変わっている。法学部棟横のロビーには大型の薄型テレビが掛けられ、学内案内が放送されていた。関係ないカードのバーコードでも開いた図書館のゲートも、期限切れの入館証では開かなかった。設備が強化されている。だが、この時期のキャンパスで勧誘活動が繰り広げられることには変化はない。
そして今日は、正面から私を勧誘してくる若人が出現しおった。後からではなく、正面から顔を見ながらだ。先日の某大学ではなかった事象だ。勧誘してきたのは、昔からある割とマジメに練習している球技サークルだった。なんとガッツのある若人か。レーニン勲章をくれてやってもよい。
もちろん「新入生っぽい奴」ばかり狙い打ちしていると、それっぽくない新入生を逃すことになる。私は在学中には、新勧に於いては誰でも声をかけろ、例え声を掛けた相手が4年生だと言おうと怯むな、途中入部歓迎だからと連れてこい、と先輩に叱咤されたものだった。だが、不特定多数に声を掛けること自体多くの学生にとって不慣れなこと。もちろん、声をかけた相手の大多数には、拒絶・無視・逃亡される。これは結構堪えることだ。だから声を掛ける相手としては、御しやすそうな相手、如何にも新入生っぽい相手を選ぶようになるのはわかる。
だがその結果、すばらしい部員や生涯の友人になれたかもしれない人間を逃すこともありうる。私の所属部でも、入学当初からハゲかかっていた者もいたし、学士入試で入ってきた者もいた。彼等はそれぞれ卒業まで熱心に稽古し、多くの部員と親交を深める人物となった。見かけで勧誘相手を選ぶことは、所属する組織と自分自身に役立つ人材を確保する可能性をも狭めている。
それを考えると、玉砕覚悟で私にまで声を掛けた若人は、英雄だ。ソ連邦英雄だ。だが、「学部生ではない人間」は想定外だったようで、「僕は院生ですよ」と応えると驚き、そして恥じていた。まあ今回はひどいハズレを引いたが、その意気で精を出してくれたまえ。
それと、キャンパスでは偶然、センプラで稽古の実演をやっている現場を目撃。まあ偶然というか、私が法学部事務室と図書館の双方に用があった以上、センプラは十中八九通るのだが。そこで、手の開いている学生に、悪いと思いつつ声をかけてみた。
いや、私の経験上、直接の面識のないOBほど鬱陶しいものはない。
ましてや新勧で疲れているときではなおさらである。
だから少し話しただけで早々に立ち去ったけどね。
現在の新勧は「あんまり芳しくない」とのこと。
ま、感触がわるくても結果はわからないものだけれども。
あと、1998年に作った部のジャケットがまだ動員されているのには感動した。
新勧のときは目立つので使われるのだね。
以下、余談。私の在学中から言われたいたことだが、部・サークルといったもの自体が、あまり流行らなくなっているとも耳にする。大学生になってまで、多人数と関わって、それなりに拘束させるわずらわしさを避けたい、と思う学生が増えているとか。まあいつから見ていつから増えているのか、本当に増えているのかは確かめようがないが、そういう傾向があっても不思議ではない。さらに言えば、法令の関係上、個人情報の諸問題について大学当局が執拗に新入生に警告を出さざるを得なくなり、ますます新入生が勧誘に対して拒否反応を持つようになった面もあるかもしれない。
もっともそれを言えば、極左学生集団やカルト教団が、一見関係のない名称の部の看板をかかげて勧誘活動を行うようなことは、何十年も前からあった。運動部なんかだと、粗暴な上下関係についての恐れも昔から付きまとう。運動部ではないサークルでも、頭の悪い酒にまつわる暴力なんかで死人はしばしば出してきた。それを考えれば、今の学生が極端に神経質になっているわけでもないかもしれない。今も昔も部・サークルそのものに拒否反応のある学生は存在しよう。
しかし部・サークル当局者にとっては、新入部員・入部希望者名簿ひとつ作るのも、面倒になってきたのは否めまい。さらに言えば、名前も連絡先も学部学科も控えることもなく「入部志望者」を歓迎することにはリスクがある。無料か廉価で酒や食い物を給仕して、最大限親切にして「入部志望者」を立てることは、金銭的にはもちろん、精神的にも時間的にもかなりのコストである。しかし実は入部する意思なんか最初からなかったり、あるいは新入生を装っていたり、あるいはここの学生でさえなかったりするような「新勧荒し」もしばしば存在する。ただ、他者にちやほやされたい虚しい人間や、女性と話して連絡先を聞き取ろうとするナンパの真似事をする輩はいるものだ。これを排除する方法も難しくなる。まあ私にとってはもはや縁遠くなった話だが、ちょいとした学生団体もやりにくくなってきたみたいではありますね。