白海運河
2006年12月03日(日)

 本日は、連邦税関の制服に身を包んだあるお方より、現代に生きる勝利シガレットたる「Беломорканал (白海運河)」を譲っていただきました。ロシアへ飛んだ暁には、手に入れて試したみたいと思っていたのですが、まさかかくも早く手にはいるとは。ロシア語関係のつながりは偉大であります。私は今のところ、その恩恵を享受するばかりでありますが・・・。




 パッケージのサイズは、横に広いです。カッターシャツの胸ポケットには、幅広すぎて入らないほど。さすがは労働者・兵士御用達の品。ホワイトカラーお断りである。一方でこれを吸う労働者は、よほどポケットの大きな作業服を着ているのか・・・。
 まあ昔は箱で持ち歩かないで、タバコ入れに移して携帯したのかもしれませんが。




 ただし厚みは一般的なサイズと同じくらい。箱が雑で、セロハンに包まれているわけでもないので、振ったら葉っぱのカケラが外に飛び出してきたりも。振ったら音がするあたり、勝利シガレットを彷彿させます。いや、勝利シガレットだったら、振った段階で中身がすべて出てしまうか。




 中身はこんな感じ。日本のタバコは箱に「みつしり」と詰まっていますが、「Беломорканал」はかなり緩いです。しかもフィルターのない筒状の吸い口が並んでいる様は、多連装ロケット砲のごとし。




 「Беломорканал」と日本たばこ「さくら」を、1本ずつ並べてみる。作りの差がよくわかります。「Беломорканал」は葉っぱがはみ出しているし、印刷は雑だし。さらに、葉っぱが、先端の1/3ぐらいにしか詰まっていません。




 フィルターはなく、本当に空洞です。まあ、さすがに横にしても葉っぱがこぼれ落ちない程度には詰めてあるのですが、このまま吸ったら葉っぱの1〜2カケラは口に入ってきます。ていうか、入りました。




 この空洞の底がどうなっているのか気になったので、おそれ多くも1本犠牲にして解体してもみることに。貴重品だからこそ、徹底的に探求せねば!




 よく切れるカッターで葉っぱと吸い口の境目あたりを両断したところ、壊れました・・。葉っぱをくるんでいる部分は、かなり弱い紙のようで。燃える部分は薄い紙なのですが、ここまで弱いとは。




 で、葉っぱが詰まった部分と空洞の中間には、紙を立たせて葉っぱを押さえていたようです。これは独立した部品ではなく、全体の2/3を占める吸い口の根元を、私がぶった切ったものであります。吸い口の内側を、少しささくれ立たせて、葉っぱを押さえているのです。
 もちろん勝利シガレットのように、詰まった葉っぱ全部が抜け落ちることはないでしょうけど、細かな破片の落下は免れないわけです。口にも葉っぱが入るわけですね。もちろんフィルターとしての効果は殆どないでしょうね。




 だから吸い口を潰して吸うわけであります。フィルターの代わりになるわけもないですが、少なくとも葉っぱの侵入は阻止できます。・・・多分。

 このとき私は一度潰しただけだったのですが、たばこを頂いた方より正しい潰し方の指南を受けました。「吸い口をつぶす時は+のように縦横2回クロスさせてつぶすのです。でちょっと吸い口をたわませるとそこにタールが溜まる・・・という按配。まあ気休め程度ですがのどを煙が直撃・という事態は避けられると思います」とのこと。フィルターが当たり前の世代にとっては、新鮮であります。




 で、吸ってみたのですが・・・。黙っていても、吸い口の方から煙が出てくるタバコははじめてですよ。「死の味」を覚悟して吸ったのですが、それほど不味くはないです。セブンスターを倍ぐらい辛くしたらこんなもんでしょうか。味自体は、添加物のない素直な味であります。

 ただし、まず、舌が痺れてきます。次に肺に一切の濾過のない煙が侵入して、肺が重くなったような感覚が。肺胞が死ぬ!そして最後に胃への刺激が!個人的にはこれが一番キツかった。たばこは消化器へのダメージも大きい代物なのですが、ここまでの刺激はなかなか。唐辛子のカタマリを食って胃が焼け付く痛みに苦しんだときの次に、強烈でした。

 マルキ・ド・サド曰く「快楽とは苦痛を薄めたものである」というように、ニコチンもアルコールも「薄めた毒」と言えましょう。しかしこれ、薄まってないですよ!毒ですよ、毒!

 煙の撮影がうまくいかなかったので結局2本吸ったのですが、この2本で寿命の2年ぐらい縮まったような気がします。おかげでこれからの人生、完全禁煙が出来そうです。「こち亀」で両津が自家製たばこを吸って、喫煙に恐怖を抱くようになった気持ちがわかりました。これは得難い経験でした。このような珍しいものを頂き感謝です。

 私はもう吸うことはないので、残りは友人連中に撒こうと思います。これはいいネタでありますから。ただ、友人の中でも喫煙者が減っているのが難点でありますが。

 今回はロシア関係のつながりでこのような手みやげを頂きましたが、いずれ私も、ロシアから文物をもたらしたいものであります。


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