水餃子の日
2007年08月05日(日)
博士課程に*年間在籍する先輩が、下宿を引き払って田舎に帰るとのことで、研究室で壮行会が催された。今回は趣向を変えて、大連出身の留学生の指導の下、水餃子をしこたま作ることに。
ちなみに餃子は必ずしも中国で広く食べられるわけではなく、福建省出身の留学生曰く「福建ではそのような習慣はありません」、台湾出身の留学生曰く「国民党が持ち込んだ食い物なので、台北以外ではあまり見られない」とのこと。
で、今回は、大連出身留学生の実家のやり方を再現してもらうことにした。
台はテーブルにラップをかけて固定しただけである。
まず卵と薄力粉を混ぜ合わせ、水で捏ねて、生地を練るのだが、これがなかなかの力仕事。
陶芸でいうところの菊練りというか。
ちなみにバランタインの瓶は、練るための水が入っている。
酒ではない。
そして練られた生地は少し寝かせる。
生地を少し寝かせる間に、ニラとキャベツとエビを細かくみじん切りにし、豚の挽肉を混ぜ合わせて、塩、コショウ、醤油で味付けをする。これが中身の具。100円ショップで買ってきた切れ味の悪い包丁と、小さなまな板に、大連出身の彼は苦戦しておられた。もっといい道具があれば…。
そして寝かせた生地を細長く伸ばして小さく切り、1つ1つを棒で薄く伸ばすのだが、これが簡単なように見えて難しい。真ん中を厚く、端を薄くするのは技術が要る。この留学生、いかにも今風の若者っぽい身なりをしているが、料理においてはなかなかの匠である。
「みんなでつくるところが、ギョウザの醍醐味」というが、壮行会にふさわしい料理だ。
出来た餃子は軽く100個以上。
水餃子はおかずではなく主食なので、皆で食うときはしこたま作るらしい。
というか、家庭や仲間内で、皆で作ることに意義がある。
それにしても皮から手作りの餃子は、皮の弾力が量産品とは段違いである。味もあっさりして、いくらでも食えそうな塩梅であった。広い厨房さえあれば、自宅でも作ってみたくなってきた。まあ、1人で作っても虚しいだけだとは思うが…。
こうして盛大に壮行された先輩は、30を超え、シャバの職歴もなく、長年離れて土地勘も交友関係も殆どなくなっている郷里に戻った後はどうするのか…。車の免許さえ持っていない。縁故で、地元の小さな事業所で事務の口でも得るのだろうか。そうした口もない場合は…。さて。
語学を学び、異国で資料蒐集をし、土地の有力者に体当たりでインタビューを試みて今までやってきた人物が、田舎に隠遁して、大して努力もせず学校を出た小僧でも出来る仕事に就くとしたら、それは国家の損失ですよ……。
明日は、我が身か。