異国のねぐら
2012年10月xx日(x)


 なぜか異国で暮らすことになり申した。
 そこで久々にサイトの日記を開き、私の異国におけるねぐらの紹介などをしてみることにした。

 私が住んでいるのは、この土地では数少ない賃貸マンション。家賃は日本の物件とそう変わらない。いや、鹿児島で住んでいた似たような部屋数のマンションよりも高い。そのような額を払えるのは外国人や数少ない中間層に限られるのだけれども(富裕層はゲイティッド・コミュニティか郊外の豪邸で暮らしている)、その比較的上等な部類に入るマンションの様相は、なかなか日本では味わえない趣がある。一言で言えば、速水螺旋人作品に出てきそうな佇まい。





 まず一階は駐車場にその面積の多くを裂いている。他には守衛室、洗濯室(各戸に洗濯機を据え付ける場所はない)、数個の居室もあるが、夜でもあまり光が漏れてこず、一階は常に薄暗い。そしてここそこにケモノがとぐろをまいている。上の写真にもケモノが。



 多くの部屋は2階以上にあるので階段を上るのだけれど、階段は0.5階分上ってから左右に分岐するという、「バイオハザード」の洋館を思わせるつくり。




 もちろん階段が分岐する踊り場にも、ケモノが待ち構えており、上る者の歩みを否応なく止めることとなる。




 ストロボ撮影するとこんな感じである。南の国らしい、猛々しい文様。







 照明は散在しているのではあるけれども、それでも暗い。






 このマンションは、ロの字型で真ん中には中庭……というべき空間がある。が、建物全体を屋根が覆っているので、昼でも薄暗い。ただ、人間が居住する場所としては最も降水量が多い場所のひとつとも言われる当地においては、雨に降られない中庭は井戸端会議にはうってつけである。犬や猫にとってもしかり。




 その建物全体を覆っている屋根は、仮のものである。鉄骨でそれなりにしつらえてはあるけれども、いずれ取り外して再工事する目論見なのだろう。当地ではよくあることだが、建物をつくる際は、まず1階をつくって営業し、資金が貯まったら2階を増設し、1〜2階で商売して資金のめどがついたら3階を……という積み木のような増築をして、このマンションはできている。そしていずれは4階を作る気なのだ。




 階段は3.5階まで作られ、増築に際に使うよう鉄筋がむき出しになっている。途中までの階段とは、ゲームならば何かアイテムがおいてある場所か、あるいは知らないで進み続けると転落する危険箇所か……。




 コンクリートの床からは、上階を増築すべく、階段を延長した際の様子がうかがえる。

 いや、これはゲームの舞台として使い出がありそうな場所です。
 当地で暮らす方はこの物件、おすすめですよ。


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