last up date 2005.08.21

 二次元、つまりアニメやマンガ、ゲームについての備忘録。


ペトルーシュカ

 「Gunslinger Girl」に、ついにロシア娘が登場した。名前はПетрушка(ペトルーシュカ)。「人形劇の人形」を意図しての名前だそうな。そして、それを略してПетра(ペトラ)。なんと、Петрушкаが名前というかコードネームでПетраの方が略称だとは。私は同人誌のペトロシュカに対して、ペトロシュカが愛称でペトラがファーストネームかと解釈していたが、一般名詞をコードネームにして、女の子っぽい名前はあくまで略称として付けるとは。さすが相田先生。ネーミングがユニークです。
 同人誌版では下で私が書いたように、「ペトロシュカ」という首をひねりたくなる名前が付けられたが、今回商業誌に登場させるに当たって、ロシア語のアドヴァイザーからこの点について指摘を受けたのかもしれない。何はともあれ、これでロシア語話者予備軍として、私も落ち着いてロシア娘の義体の活躍を楽しめるようになったわけだ。これからも楽しみです。
 あと、劇中言われていたとおり、ネイティブと話さないとコトバが鈍るというのは同感です。早く院試を終えて語学を鍛え直したいですよ。そして劇中のテレビインタビューのロシア語字幕は、軽く読んだ限り文法的にも意味に於いても問題はなかった。ただ、どうも非ネイティブによる訳文っぽかったが、それは仕方がないだろう。もし私がテレビ画面に収まるように文章を作ったら、もっと不自然になったはずだし。テレビ番組の字幕で「ё」のアクセント記号を付けて表示するのかどうかは、渡露経験のない私にはわからない。あのような10〜18才の子供を対象にしたバレー学校で、学年は「курс」ではなく「класс」を使うのかも、とも思ったが、それもどちらが正しいのかはわからない。
 しかしついに「Gunslinger Girl」にもロシア語が出てきて嬉しくなりましたよ。これからも目が離せません。


ペトラ−ペトロシュカ?

 「Gunslinger Girl」の同人誌版には、ペトラというロシア人の義体が登場するらしい。私自身がペトラの活躍する話を同人誌で読んではいない。相田先生の描いた別の同人誌で軽く触れられているのを読んで、はじめてこの義体の存在を知った。そして、この娘の愛称形はペトロシュカというそうな。これには首をひねる。


 まずペトラという女性名は、どう辞書に当たっても見つけられない。ロシア人のファーストネームはバリエーションが乏しい。ペトラという名前がПетр(ピョートル)と対になる女性名だったら、必ず辞書に記載されているはずである。だが載っていない。Петраなる綴りの名前はПетрの生格しか見つけられなかった。ロシア語の検索エンジンにかけてさえ、軽く流して見た限り、男性形生格としての用法しか見つけられなかった。ちなみに「ラ」音をRではなくLとしてПетлаなる綴りで探してもダメだ。


 次にペトロシュカなる愛称形も、まったく見つけられない。Петрошка(ペトロシュカ)をロシア語の検索エンジンにかけて見付かったのは、(ロシア人にとっての)外国人の名前が僅か1件だけである。ラ音をLにかけると1件もかからない。
 一方、男性名であるПетр(ピョートル)の愛称・卑称はたくさんある。例えば、Петя、Петруша、Петька(卑)、Петрушка(卑)などなど。だが、これらは全てПетр、すなわち男性しか指さない。これらの名前から女の子をロシア人に連想させることは、「リコ」という名前から女の子を連想させることよりも難しいのではなかろうか。
 ちなみに、Петрの卑称でペトロシュカに近いような気もするПетрушка(ペトルーシュカ)も、もちろん男性名詞以外の何者でもない。この単語を辞書で引くと、「おどけ者」「へんてこ、きてれつなもの」「コミカルな伝統的人形劇」「指人形劇の人形」などが出てくる。同音の女性名詞では「パセリ」というものもある。このことを鑑みると、人をПетрушкаと呼ぶのはかなり失礼な行為のような気がする。さすがに女の子の義体にそんな名前を付けるほど悪趣味な担当官はいない・・・と思いたい。


 さて、相田先生がどういう魂胆で、あるいはどこから名前を参照してペトラ−ペトロシュカという名前を付けたのかはわからないけれども、これは伝統的なロシア人の名前ではない。これが今のところ私に出せる結論である。もともとПетр(ピョートル)とは言うまでもなく聖人ペトロから来ており、欧州各国でPietro、Petrus、Peter、Pierre、Pedro、Pietと若干綴りや音を変えながら同じ名前が普及している。それと同じように、ペトロを女性の名前に変化させた形も各国に存在する。それがPetra、Piera、Peta、Petrina、Pierretteといった名前で、Petraも欧州全体では決して珍しい名前ではない。ただし、ロシア語ではこれに該当する名前は存在しない。
 もちろん平原内陸国家ロシアは古くから移民や侵略で人間の出入りが激しく、同じ出自の人間同士が自分達の伝統を守って暮らす共同体がここそこにあったりする。ソ連時代には、非ロシア的な集落をまとめて奥地に強制移住させたりもして、今でも思わぬ所にかなりの規模のドイツ系やユダヤ人がまとまって住んでいる土地が存在する。さらに現代に於いては欧州−ロシア間の人の出入りは驚くほど容易で、ヨーロッパの他地域からロシアに定住する人間もしばしばいる。だから、ロシア人の名前はバリエーションが少ないと言えども、非ロシア的な外国に由来する名前を持つ人間もまた、ロシアには数多く存在する。


 だから、「Gunslinger Girl」のペトラもまた、英語圏かドイツ語圏、あるいはドイツ語の影響の強い東欧地域から移民していた人間の系譜なのか、あるいは単純に外国っぽい名前を付けられただけなのか。そういった解釈も可能だ。ペトロシュカという愛称形も、ペトラに対して無理矢理作った愛称形と解釈することも出来よう。けどその場合は、Петрашка(ペトラーシュカ)になりそうなものだけれどねえ。


「秋葉にあってPXにないものはない」

と、元自衛官の方が言っていた。PXというのは、駐屯地に於ける自衛官向け小売店のことで、雑誌やマンガから日用雑貨、手袋等の任務に必要な実用品まで売られているところだそうな。しかし「秋葉原にあって...」は大げさな言い方だとしても、いったいどのような品々があるのだろうか。とても気になる。この元自衛官によれば「古いものがあるから、懐古趣味の人には重宝する」とのこと。


目からビームにゅ

 ビーム兵器のことをロシア語では、пучковое оружие(プチコーヴァエ・アルージェ)と綴る。
 ぷちこですか!

 ちなみにпучковыйは「束を為す」という形容詞で、「ビームの」という意味は後付けだ。さらに言えば、пучок(プチョーク)がпук(プーク。「一束」「ひとつかみの束」の意)の指小形で「ちょっと一束」。これが転じて、一点から放射状に広がるものや光の束という意味に於ける「ビーム」の意味も持つようになった。
 実用にロシア語を供するに当たっては、工業技術でビームの研究でもしない限り、пукやпучокは「一束の書類」とか「ひとつかみの藁」のような意味でしか出会うことはないだろうけども。


ゲンリイェータ

 ヘンリエッタ(Henrietta)は、ロシア語読みではゲンリイェータ(Генриетта)となる。
 「ゲンリイェータ萌え♪」とか言うのには、少し抵抗がある響きだ。
 日本語のハ行はロシア語では「Х」を使う。「ха」は「kha」音なので、それほど違和感はない。けれども、ヨーロッパのh音は、割と高い蓋然性で「Г」、つまり「g」音に変換されてしまう。ヘーゲルはゲーゲリだし、コペンハーゲンはコペンガーゲンとロシア語では読む。もちろん「Х」を使われることもあるのだが、個人的な印象としてはヨーロッパの固有名詞は「Г」になる確率が高いような気がする。ちなみに、どこかでも書いたような気がするが、「ハリーポッター」のハーマイオニーは、ロシア語ではゲルミオ−ナ(Гермиона)となる。凄絶だ。日本人にはあまりg音はキレイに聞こえない。


Школа убийц

 「Gunslinger Girl」の露題は、「Школа убийц」という。直訳したら、「殺し屋学校」か。
 убийцは人殺し、暗殺者を意味するубийцаの複数生格。Школаは日本の小中学校に匹敵する初等中等一貫制学校を指す。ソ連/ロシアの義務教育制度はよく変わるが、現在では高校までをも含む。
 もっともшколаには、初等中等学校という意味ではなく、広義での「学校」の意も持つ。例えば、「夜間学校(вечерная школа)」「兵学校(военная школа)」「演劇学校(театральная школа)」など。この意味では、「школа убийц」はただの「暗殺者養成所」と訳すことも出来る。けれども、ヘンリエッタら登場人物が幼いことから、やはり小中学校としてのшколаと素直に解釈した方が妥当だろう。
 つまりは「殺し屋小学校」とか「暗殺中学校」などと訳した方がよいのか。ヘンリエッタやトリエラの年齢は、小学生か中学生か判断しかねるところだけれども。


ハンマー

 2004.01.29未明放送された「Gunslinger Girl」、あの状況でなんでSIGのハンマーがコックされていないんだ!
 他のすべては見過ごすとしても、これだけは看過できん!
 マニアック云々では済まない重大なミスだ。
 考えようによっては、事件の状況が大きく変わってしまいかねない。
 G3の装弾数オーバーについては、動画の手間がかかる、画面の流れが変わるという事情を考えてなんとか納得したが、このSIGについては不勉強も甚だしいと声高に言いたい。


Боже мой(ボージェ・モイ)

 「Gunslinger Girl」2巻に出てくるオリガのセリフ、「Боже мой」とは、「あらまあ」「いやはや」とかちょっとした感嘆を表す。божеとは、神を意味するбогの呼格(こかく)。боже一語でも感嘆や驚き、不満などを表す。「神よ!」とでも訳したらわかりやすいか。мойとは男性形に対する一人称単数の所有代名詞。Oh,my god!とでも英訳できよう。


Gun Slinger Girlメモ

◆ジョゼ−ヘンリエッタ
ジョゼはジャンの弟。黒っぽい髪。
ヘンリッタは家族皆殺しで暴行されたの。バイオリンケースにP90。
◆ジャン−リコ
ジャンはジョゼの兄。金髪。
リコは全身マヒ患者。記憶有り。スナイパー。
◆ヒルシャー−トリエラ
ヒルシャーはドイツ人。黒髪。
トリエラは褐色の肌にツインテール。バヨネット付きショットガン。
◆ラウーロ−エルザ
初の死者。
◆ラバロ−クラエス
ラバロは元大尉。足がわるい。いかつい親父。「交通事故」
クラエスはメガネ。VP70。 
◆マルコー−アンジェリカ
マルコーはメガネ。
アンジェリカはAUG。保険金目的で殺されかけた。義体第一号。

 こうでもせんと覚えられん。というか書き出すまで区別がほとんどついていなかった。


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