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山の麓まで降りた辺りで、リードラはテントを張った。
リードラはまた一人になってしまったのだ。
テントを張っても、中に入るのはリードラ一人。食事も一人。昨日まで隣で笑っていたファーシィは、今は居ない。
朝が来て、歩き出す。
夜にはテントの中で一人寝る。傍にファーシィが居ないのが不安で仕様が無かった。もう戻ってこないのに。
町の外れに来た。初めてファーシィと出会ったのが、この辺りだった気がする。
「あの、」
後ろから、か細い声でリードラに声を掛けた者が居る。
リードラは振り返った。
「その、道に迷ってしまって。もしリードラさえ良ければ、一緒に行ってくれると嬉しいな、なんて」
困ったような表情を見せて、ファーシィが言った。
「ファーシィ」
リードラは迷わずファーシィを抱きしめた。もう会えないと思っていたのに、こんなに早く会えるなんて。
リードラに抱きしめられたファーシィは、嬉しそうに微笑んだ。
「ファーシィ、俺でよければ、一緒に行くよ。どこへでも行く。だから」
ファーシィの肩に手を置き、ファーシィの目を見る。
「だから、あんたのこと好きでいても良いだろ?」
ファーシィの頬が赤く染まり、俯いた。嫌そうではないのだ。
「あ、気持ちは、とても嬉しいけど、わたしは」
「いいのいいの。俺はファーシィの気持ちが変わるのを待つ気でいるから。……どうしても嫌なら、言って」
ファーシィは首を左右に振った。
「嫌じゃない」
リードラは、もう一度ファーシィを抱きしめた。
End
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