日経ビジネス

94年x月y日

中国国家統計局は旧臘12月28日に旧93年の中国経済の実績見通しを発表した。これによると、93年の実質成長率は13%であり、92年とほぼ同じ水準を維持した。「双13」すなわち「二つの13%」という言葉かある。これはGNPも13%、物価上昇率も13%という積極成長論(あるいはインフレ容認論)である。全国レベルで13%のとき、都市では14.5%になり、35の主要都市では19.5%という高い水準なので、要注意であることはいうまでもない。しかし、買い溜め、売惜しみのため「狂乱物価」的現象が演じられた天安門事件当時の状況とは、局面が基本的に違うのであり、その見極めが観察のポイントだ。なによりもまず、食糧生産量が「史上最高」の4.56億トンであることから分かるように、食糧を初めとする消費財に供給余力がある。「民は食をもって天となす」とは古来の鉄則である。食糧など基本財に問題がないかぎり、中国が乱れることはあるまい。

昨年秋にケ小平が大号令をかけて以来、引締めは中途半端のまま棚上げされ、インフレ傾向が著しい。ケ小平はなぜ、インフレを甘受してまで、成長を呼びかけたのか。インフレによる被害者は年金生活者や特権を持たない公務員である。他方、低成長によって犠牲をこうむるのは、年間千数百にのぼる新規労働力人口である。東京都の人口以上の雇用を作るためには、一〇%程度の高度成長がぜひとも必要であり、しかもそれが可能だとみるのがケ小平流の判断であろう。今年の中国は、「高度成長と物価安定の綱渡り路線」である。困難は大きいが、朱鎔基なら、なんとかやれると私は読む。