3 中国軍事情報の空白
平成七年版『防衛白書』(防衛庁、平成七年七月)をめくってきづいたことがある。七四頁で中国の軍事力を論じた箇所で「新型のルフ級駆逐艦およびヂャンウェイ級フリゲート」と記述してある。ルフ級はおそらく英文のLUHUをそのまま読んだものだ。中国語原文は「旅護」すなわち旅を護るの意である。これは中国式のローマ字ではLUHUであり、リュイフである。英文で便宜上「ウムラウトが省略されたもの」を「ル」と読むと「ウムラウトのないル」との区別がつかなくなる。リュイとルは異なる音であるから混同は許されない。ではヂャンウェイ級とはなにか。JIANGWEIをそのまま読んだものだが、中国語は「江衛」であり、江を衛るの意である。七五頁では台湾の地対空ミサイルを「天弓」、戦闘機「経国」を正しく表記しているだけに、この不統一ぶりは目立つ。
軍事専門家として著名な著者の本にも、この種の記述がみられるのは、信じがたい事実である。たとえば平松茂雄著『軍事大国化する中国の脅威』(時事通信社、九五年七月)には、つぎのような例がみられる。
三頁に「YUNKAN級」戦車揚陸艦とあるのは、「玉康級」の誤り、「YANNAN級」調査測量艦とあるのは「延安級」の誤り、「HONGQI級」補給艦はむろん「紅旗級」であり、「SHIJIAN級」測量艦は「実践級」である。
八頁の「旅滬級」最新型駆逐艦」は「旅護級」である。「旅滬」とは上海への旅の意味だが、「旅護」なら「旅を護る」であり、意味がとおる。五五頁には「江威級」とあるがこれは「江衛級」である。「江威」なら「江の威嚇」だが、これは「江を護る」の意味だ。一七七頁の「ホアンフェン級高速ミサイル艇」は「黄蜂級HUANG FENG」であり、黄色の蜂である。「ホグ級高速ミサイル艇」の中国語は「河谷級」HE GU のはずであり、むろん河谷を意味する。1)ローマ字表記をそのままとしたもの、2)当て字を間違えたもの、3)ローマ字をカナ書きにしたもの、三種類が用いられているが、このようなチャランポランはおよそ専門家の本にはふさわしくないであろう。
親亀こけたら子亀がこけた、というが、親亀はどうやら論者がしばしば引用する英国国際戦略研究所の年報『ミリタリー・バランス
The Military Balance 1995/96 』であるらしい。第5表をご覧いただきたい。邦訳あるいは不適訳の箇所を列挙したものである。
ミサイル駆逐艦や戦車揚陸艦など中国流のピンイン方式ローマ字をそのままカタカナにした例がいくつもみられる。これは手抜き翻訳あるいは欠陥翻訳といわなければならない。『ミリタリー・バランス』は中国軍事事情について英語で表記しているが、その素材は中国語である。したがって中国語の原文にもどしたうえで日本語に訳すべきである。ローマ字をカナ書きしただけでは翻訳にならない。訳者は中国語に無知であり、中国語文献を参照していない。この種の欠陥翻訳が横行すること久しいのは、中国の軍事力についての誤解のうえに論じていることになりはしないか。「敵を知り、己を知る」必要を説いた孫子の兵法に学ぶべきであろう。
中国の対戦車ミサイルはHJと略称されるが、これは紅箭HONG JIAN の頭文字をとったもので、赤いの意味である。対空ミサイルはHQと略称されるが、これは紅旗HONG
QI の頭文字である。同じくHYと略称されるのは、紅纓HONG YING であり、纓とは槍先に結ぶ赤い布切れの飾りを意味する。対艦ミサイルはHYだが、これは海鷹HAI
YINGの略称である(ちなみに、HY-2はシルクワームの俗称で有名だ)。同じ種類のものとしてHJがある。これは鷹撃YING JI の略である。空対空ミサイルPLは、霹靂PI
LI であり、青天のヘキレキである。このように、漢字をみれば、その武器の種類が類推できるネーミングになっている。このような漢字の機能を無視して、ローマ字だけを用いるのは適当であろうか。
H5は轟炸機(爆撃機)五号HONG ZHA JI の頭文字だ。Q5は強撃機(戦闘機)五号QIANG ZHA JIの頭文字だ。JJはは殲滅教育機JIAN
MIE JIAO YUの略称である。Zは直昇機(ヘリコプター)ZHI SHENG JI 、Yは運輸機(輸送機)YUN SHU JIの略である。末尾に筆者の知識のおよぶ範囲で誤訳を訂正したものをかかげておく。
各年の版を重ねている年報がこのような体たらくであるのは憂慮にたえない(注8)。第5表 『ミリタリー・バランス1995〜1996』の誤訳あるいは不適切な訳語一覧
1)原文は、The
Military Balance 1995/96
onal Institute for Strategic Studies,Oxford University Press,October 1995. 2)邦訳は『ミリタリー・バランス1995〜1996』監修・防衛庁防衛局調査第2 課、訳者・防衛庁防衛研究所上野英詞、メイナード出版株式会社、1996年3 月発行。 ミリタリー・バランス95/96 〔総兵力〕 現役:293 万(徴集兵はおそらく127.5 万。女性は約13.6万) 、削減中。兵役は選抜徴 兵制、期間は、陸軍、海兵隊3年、海軍、空軍4年。 予備役:120 万以上、民兵は省単位で編成される。 〔戦略ミサイル部隊〕 攻撃戦力:9万人 ミサイル:軍級の6基地に編成。ミサイル実験、訓練連隊×1 個を含む連隊/旅団から なる。編成はミサイルのタイプにより異なる。 ▲ICBM (大陸間弾道ミサイル) :約17基。CSS-4(東風DF-5号) ×7 基〔邦訳は、単にDF-5 であり「東風」の漢字なし。ちなみに「東風」は毛沢東語録「東風が西風を圧倒する」に 由来する〕、MIRV (多目標弾頭) 搭載テスト済みの改良型。CSS-3(東風DF-4号) ×10基以
上) 〔単にDF-4、東風なし〕。 ▲IRBM (中距離弾道ミサイル) :70基以上。CSS-2(東風DF-3号) ×60基以上〔単にDF-3、 東風なし〕。CSS-5(東風DF-21 号) ×推定10基〔単にDF-21 東風なし〕。 ▲SLBM (潜水艦):夏級原子力潜水艦SSBN×1 隻 [CSS-N-3(J-1) 東風DF-4号×12基] 〔単
にDF-4、東風なし〕 防衛戦力:
追跡ステーション:新疆 (中央アジアをカバー) 、山西 (北部国境をカバー)
位相配列レーダー網。弾道ミサイル早期警戒。 〔陸軍:220 万人〕
(戦略ロケット部隊を含む。おそらく107.5 万は徴集兵。兵力削減は継続中)。
軍区×7個、省軍区×28個、衛戍区×1、警備区×2〔原文では 3 Garrison Comd. とさ れており、邦訳は警備区×3個と直訳しているが、正しくは北京は衛戍区、天津と上海が 警備区である] 。統合集団軍×24個(西側のcorps 軍団に相当) 通常は、歩兵師団×3個 、戦車旅団×1個、砲兵旅団×1個、高射砲旅団×1個。または歩兵師団×3個、戦車師
団×1個、砲兵旅団×1個、高射砲旅団×1個で編成。各部隊の戦闘即応態勢はさまざま である。 戦闘部隊一覧:
集団軍:砲兵師団×73個 (機械化歩兵師団×2個を含む)
機甲師団×9個 (主力師団は緊急対応任務をもつ)、戦車師団×11個、戦車旅 団×13個、砲兵師団×5個、砲兵旅団×20個
独立機甲旅団:歩兵師団×5個、戦車旅団×1個、歩兵旅団×2個。
砲兵師団×1個、砲兵旅団×3個、高射砲旅団×4個。
地方軍(駐屯地守備隊、国境警備隊、沿岸警備隊):
歩兵師団×12個、歩兵旅団×4個、歩兵連隊×87個。
航空:ヘリコプター連隊×7個。
空挺部隊 (要員は空軍所属) :軍団×1個、師団×3個。支援部隊は工兵連隊50個 、通信連隊50個を含む。 装備:
▲主力戦車:約7500〜8000両。坦T-34/85 ×700 両〔戦車は坦克と訳する〕、坦T-54×若
干両、59型×6000両、坦T69-I/-II(59 型改) ×200 両、79型、80型、85IIM 型若干両。 ▲軽戦車:63型両用×1200両、62型×800 両。
▲装甲歩兵戦闘車/ 装甲兵員輸送車:4500両。63型、運武YW-531C 、85型を含む。77型(B
TR-50)、90型、武装WZ-523、WZ-551〔運武YWおよび武装WZは推量であり、未確認〕。 ▲牽引砲:1.45万門。100 ミリ [59型 (対戦車砲/野戦砲) ] 122 ミリ×6000門(54 型、
60型、83型、D-30) 。130 ミリ×1000門 (59型、59型-1) 。152 ミリ [54型、 66型×1400門、83型) 。155 ミリ [WAC-21×推定30門) 。
▲自走砲:122 ミリ[54 型-1 (車台は531 型) 、85型] 、152 ミリ[ 83型] 。 ▲多連装ロケット・ランチャー:3800基。 107 ミリ (63型牽引式/81 型自走式 (122 ミリに代替中) 。122 ミリ (81型、 83型) 。130 ミリ (63型、70型自走式、82型、85型) 。140 ミリ (BM-14-16) 〔BMの意味不明〕。273 ミリ (83型) 。284 ミリ (74型地雷発射器) 。320 ミ リ (WS-1) 〔WSの意味不明〕。425 ミリ (762 型地雷原啓開用) ▲迫撃砲:82ミリ [53型 (自走式を含む)]、120 ミリ [55型 (自走式を含む)]、160 ミリ (56 型) ▲地対地ミサイル:M-9(CSS-6/東風DF-15,射程600 キロ) 〔単にDF-15 東風なし。M-9 は 輸出用カタログに付されたコード・ネームである。96年に台湾海峡で用いられた〕 M-11(CSS-7/ 東風DF-11,射程120 〜150 キロ) 〔単にDF-11 東風なし。M-11は輸出 用カタログに付されたコード・ネームである] 。 ▲対戦車誘導兵器:紅箭HJ-73(サガー型) 〔邦訳は単にHJ-73 、紅箭なし〕 紅箭HJ-8 (TWO/ミラノ型) 〔単にHJ-8、紅箭なし〕 ▲無反動砲:75ミリ (52型、56型) 、82ミリ (65型) ▲ロケット・ランチャー:90ミリ (51型) ▲対戦車砲:57ミリ (55型) 、76ミリ (54型) 、100 ミリ (73型、86型) ▲高射砲:1.5 万門、以下を含む。 23ミリ (ZSU-23型) 、37ミリ (55型/65 型/ 74型、63型二連装自走式) 57ミリ (59型、80型自走式) 、85ミリ (56型)、100 ミリ (59型) ▲地対空ミサイル:紅纓HN-5 〔邦訳は単にHN-5としている。原文の纓Yingは槍先に結ぶ 布の意味〕。紅纓HY-5A/-C(SA-7 型) 〔邦訳は単にHN-5A としている〕。 紅旗HQ-61 二連装自走式〔邦訳は単にHQとしている〕 ▲捜索レーダ:チーター(対砲)、378 型(対車両)、ラシット(対車両、対砲)。 ▲ヘリコプター:Mi- 17×28機。S-70C-2 × 20 機。Mi- 8 ×25機。直Z-9 ×30機〔邦訳 は単にZ-9 、ヘリコプターの頭文字にZ を用いるのは、直昇機Zhishengjiの頭文 字〕。SA-342(HOT搭載) ×8 機、S-70×24機。
▲無人偵察機 長空1号 ASN-104/105〔原文は、Chang Hong としている。これは Chang Kong 長空のピンインを誤ったものである。邦訳は単にチャン・ホンとローマ字を そのまま読んでおり、長時間滞空の意であることがわからない〕。 予備役:90万人、歩兵師団×推定80個。省単位で再編成が進行中。
配備:集団軍部隊のみ。 ▲東北地区:瀋陽軍区(黒竜江、吉林、遼寧省軍区)=集団軍×5個、戦車師団×3個、
歩兵師団×15個、砲兵師団×1個
▲北部地区:北京軍区(北京衛戍区、天津警備区、内蒙古、河北、山西省軍区)=集団軍
×6個、戦車師団×2個、歩兵師団×20個、砲兵師団×2個、防空師団×2個
▲西部地区:蘭州軍区(寧夏、陝西、甘粛、青海省軍区、新疆・南疆軍区を含む)=集団 軍×2個、戦車師団×1個、歩兵師団×12個〔新疆・南疆にミスプリあり〕 ▲西南地区:成都軍区(四川、貴州、雲南、西蔵軍区〕=集団軍×2個、戦車師団×7個
砲兵師団×1個〔西南を南西と訳し、貴州にミスプリあり〕
▲南部地区:広州軍区(湖北、湖南、広東、広西、海南軍区)=集団軍×2個、戦車師団
×6個、空軍師団×3個〔南部軍区とミスプリ〕
▲中部地区:済南軍区(山東、河南省軍区)=集団軍×4個、戦車師団×2個、歩兵師団
×13個、砲兵師団×1個
▲東部地区:南京軍区(上海警備区、江蘇、浙江、福建、江西、安徽省軍区)=集団軍×
3個、戦車師団×2個、歩兵師団×11個、砲兵師団×1個、防空師団×1個
海軍:推定26万人。沿岸警備隊 2.5万、海軍航空隊 2.5万、海兵隊 5000 人を含む。う
ち徴集兵は4万人。 潜水艦:52隻
▲戦略潜水艦:原潜SSBN×1隻 ▲戦術潜水艦:50隻、△攻撃型原潜SSN:漢級×5隻。[533ミリ魚雷発射管、C801艦対艦ミ
サイル×12基] 。△非弾道ミサイル通常型SSG:ロメオ改良型(ES5G 型) ×1隻 [C- 801(鷹撃YJ-6) 〔邦訳は単にYJ-6であり、鷹撃の文字なし〕、エグゾセ派生型] 艦 対艦ミサイル×6基、533 ミリ魚雷発射管] 、△攻撃型通常SS: 44隻。キロ級×1 隻( EKM877型、533 ミリ) 。明改級×10隻( ES5E型、533 ミリ魚雷発射管) 。 ロメオ級×約33隻( ES3B型、533 ミリ魚雷発射管) 。さらに約50隻の非稼働のロメ オ級がある。△他の任務:ゴルフ級×1隻(潜水艦発射弾道ミサイルSLBM実験用) 主要水上戦闘艦:50隻。
▲ミサイル駆逐艦:18隻:旅護級×1隻〔邦訳は以前は原文のLUHUを単にルフと読んでい たが、96年版では「旅湖」と誤訳した。中国語原文は「旅護」であり、リュイフに近 い。英文LUのU ではウムラウトが省略されている。これをウムラウトのないU と混同 することは許されない。『防衛白書』平成7年版74頁はルフ級と読んでいる〕[C-801 艦対艦ミサイル二連装×4基、100 ミリ砲×1門、直Z-9 A(フランス製ドルフィン= イルカ型ヘリコプター×2基、対潜魚雷発射管三連装×2基、クロタール艦対空ミサ イル八連装×1基〕。旅大改級×2隻〔1隻はCSS-N-2 海鷹HY-2スティックス派生型 )〔HYは、海鷹と正しく訳している〕艦対艦ミサイル三連装×1基、1隻は C-801艦 対艦ミサイル二連装×4基、全艦に130 ミリ砲二連装×1門、Z-9A( フランス製ドル フィン) ヘリコプター( 超水平線目標捕捉) ×1機〔邦訳はZ のみで、直がほしい〕 、対潜魚雷発射管三連装×2基、クロタール艦対空ミサイル八連装×1基〕 旅大級(051型) ×15隻(対水上艦戦)[海鷹HY-2艦対艦ミサイル三連装×2基、130 ミ リ砲二連装×2 門、対潜ロケット発射器十二連装×2基〕〔邦訳は単にHY-2であり、 海鷹の文字なし〕 ▲フリゲート艦:32隻。 江衛級×4隻〔邦訳は94年版まではチャンウェイ級としてきたが、95年版からは「江衛 」と正しく訳されている。ただし、『防衛白書平成7年版』では「ヂャンウェイ」のまま である。なお江威と誤った記述も少なくない〕: C-801艦対艦ミサイル3連装×2基、対 潜ロケット・ランチャー5連装×2基、100 ミリ砲2連装×1門、直Z-9 A ヘリ×1機。 〔Z には直がほしい〕。 江湖級×約26隻(派生型3種) 〔邦訳は81年版以後、一貫して江滬級と当て字をつづけ てきた。中国語の意味は江と湖である。江滬なら江と上海のことで、意味をなさない〕 I型×約21隻:対潜ロケット・ランチャー5連装×4基、海鷹HY-2艦対艦ミサイル2連 装×2基、100 ミリ砲×2門] 〔邦訳は単にHY-2であり、海鷹の文字なし〕 II型×約2隻〔対潜ロケット・ランチャー5連装×2基、海鷹HY-2二連装×2基、100 ミリ砲2連装×2門〕 III型×約3隻〔C-801 艦対艦ミサイル×8基、100 ミリ砲二連装×2門、対潜ロケット ・ランチャー5連装×4基〕 成都級×2隻〔海鷹HY-2艦対艦ミサイル2連装×1基、100 ミリ砲×3門] 哨戒艦艇・沿岸戦闘艦艇:約870 隻。 ▲ミサイル艇:220 隻 黄級×1隻[C-801艦対艦ミサイル×6基] 〔原文はHuang だが、邦訳はそのままホウア ン級と読んでいる。実は黄色である。〕 侯新級×9隻[C-801艦対艦ミサイル×4基] 〔原文はHouxinだが、邦訳はホウクシン級 と読んでいる。中国語原文は侯新である。これをホウクシンと読むのはピンインに対する 無知をしめす〕 黄蜂/HOLA 級〔原文はHuangfeng だが、邦訳はファンヘン級と読んでいる。中国語原文 は黄蜂である] (ソ連製オサI型) ×120 隻[C-801艦対艦ミサイル×6基または8基、一 部は海鷹HY-2艦対艦ミサイル×4基] 河谷/ 河馬級( コマール型) ×90隻[ 原文はHegu/Hema だが、これをペグ/ ヘマ級と読ん でも意味をなさない。中国語原文は「河谷」(河床)および「河馬」(カバ)である] : 海鷹HY-2艦対艦ミサイル×2基またはC-801 艦対艦ミサイル×4基。 ▲魚雷艇:約160 隻。
湖船級×100 隻[ 原文はHuchuan だが、これをフーチュアンと読んでも意味をなさない
。正しくは「湖船」である] : P-6× 60 隻、533 ミリ魚雷発射管×2 基。 ▲哨戒艇:約495 隻。△沿岸型:100 隻
海瑞級×4隻:対潜ロケット・ランチャー5連装×3基。
海南級×約96隻:対潜ロケット発射器×4基。 △内海型:約350 隻。
上海級×300 隻、葫蘆島級×5隻〔原文はHuludao である。邦訳は94年版まではフルダ
オ級と読んできたが、95年版からようやく葫蘆島に改善された〕、汕頭級×45隻〔原文は Shantou である。邦訳はシャントウ級と読んでいる。スワトウ・ハンカチで有名なスワト ウさえ知らぬとは恐れ入る〕 △河川型:約45隻
〔注:一部の小型戦闘艦艇は準軍隊(武警、国境警備隊、民兵、税関)に割りあてられた といわれる。それゆえ合計隻数は多すぎるかもしれない〕 機雷戦艦艇:121 隻
機雷敷設艦艇:ベレイジャン級×1 隻といわれる。さらに旅大級、鞍山級、江南級、成
都級の各駆逐艦とフリゲート艦および海南級、上海級の各哨戒艇、さらにT43 級外洋掃海 艦は機雷敷設能力をもつ。 ▲機雷対策艦艇:約120 隻。
ソ連製T43 級外洋掃海艦×35隻。
窩掃級沿岸掃海艦×1隻〔原文はWosao である。邦訳はワサオと読む。これは推測だが 、窩掃ではあるまいか。機雷の巣を掃くの意である] 連雲級×沿岸補助掃海艇×80隻
近海掃海艇:窩場級×3隻〔原文はWochang である。推測だが、窩場ではないか] 、上
海2型×1隻、無人遠隔操作内海掃海艇×60隻未満。
両用戦艦艇:54艘
玉康級戦車揚陸艦×5隻〔原文はYukan であり、邦訳はユーカン級3隻と読んでいる。
中国語原文は「玉康」である。康はkangであるから、原文ではg が脱落している〕:揚陸 能力=兵員×約200 人、戦車×10両。
舟山級[ 原文はShanだが、これはサンパンである。邦訳は単にシャン級としている] (
米国製LST-1 級) 戦車揚陸艦×13隻:揚陸能力:兵員×約150 人、戦車×10両。
玉庭級LST ×1 隻〔原文はYutingである。玉庭の意であるが、邦訳はユーティン級とし
ている] 羽量級LSM ×30隻〔原文はYuliang である。邦訳はユーリアン級としているが、フェザ ー級のように軽いのであろう] 、楡林級LSM ×1隻〔原文はYulingである。邦訳はユーリ ン級としている。楡林とは海南省の軍港名である] 、玉灯級LSM 〔原文はYudengである。 邦訳はなぜか89年版あたりからユータオ級としている。ここでは「玉灯」と当て字をして おく] ×4隻:兵員×約100 人、戦車×3 両。 支援艦艇:約164 隻、福清級洋上給油艦×2 隻、給油艦×33隻、補給工作艦×14隻、潜水
艦支援艦×10隻、潜水艦救難艦×1 隻、修理艦×2 隻、瓊沙級兵員輸送艦×30隻[ 原文は Qiong Sha である。邦訳はキオンシャ級と読んでいるが、中国語原文は瓊沙であり、美し い砂の意である] 、測量・調査・実験艦×33隻、砕氷艦×4隻、外洋曳船×4隻、練習艦 ×1隻
沿岸地域防衛隊:2.5 万人
独立砲兵連隊および地対艦ミサイル連隊×推定35個が海軍基地、沿岸近くの島嶼、その
他攻撃を受けやすい地点を防衛するために25個の沿岸防衛区に配備されている。 ▲砲:85ミリ、100 ミリ、130 ミリ ▲地対艦ミサイル:CSS-C-2(海鷹HY-2の派生型「シルクワーム」) 、海鷹HY-4/C-201〔邦 訳は、ここでは海鷹の文字を添えている〕 海兵隊:約5000人
旅団×1 個。特殊偵察部隊
予備役:動員時には合計8個師団( 歩兵連隊×24個、戦車連隊×8個、砲兵連隊×8個
) 。独立戦車連隊×2個。
装備:▲主力戦車T59 型。▲軽戦車T60/63 PT-76 。▲装甲兵員輸送車 531型( キャタピ
ラー式) 、一部は77型。▲砲:榴弾砲、122 ミリ:54型(54 型自走式を含む) 。▲多連装 ロケット・ランチャー:107 ミリ、63型。 海軍航空隊:2.5 万人、
沿岸陸上基地の作戦機×855 機、武装ヘリコプター×68機、爆撃師団×3個、戦闘師団
×6個
▲爆撃:轟H-6 ×約25機、轟H-6D×若干機〔邦訳は原文と同じく単にH-6 であり、轟の文 字なし。轟炸機Hongzhaji の頭文字である] :C601 対艦空中発射巡行ミサイルを搭載し ているといわれる。轟H-5 魚雷搭載軽爆撃機×130 機。
▲対地攻撃戦闘:強Q-5 ×約100 機〔邦訳は原文と同じく単にQ-5 であり、強の文字なし 。強撃機Qiangjiji の頭文字である] ▲戦闘:600 機:殲J-5/-6/-7/-8 を含む。〔邦訳 は原文と同じくj のみ。殲撃機Jianjijiの頭文字だから殲の文字がほしい〕。▲偵察:轟
H-5 。▲海上哨戒/ 対潜:旧ソ連製体Be-6 Mマッジ×15機、PS-5( 水轟SH-5)[邦訳は原文 と同じくSH-5である。これは水轟機Shuihongjiであるから、この文字が意味をあらわす〕 × 5機。▲ヘリコプター:対潜:SA-321× 15 機、直Z-5 ×40機、直Z-8 × 3機、直Z-9 ×10機〔ヘリコプターを直昇機Zhishengjiとよぶことはすでに記した] ▲その他:運Y-8 を含む軽輸送機×約60機。〔邦訳は原文と同じく単にY-8 であり、運輸 機の運を補っていない〕。JJ殲教-5/-6 練習機〔邦訳は原文と同じく単にJJであり、意味 がわからない。前者は殲滅jianmie のj である。後者は教育jiaoyuのj である] ▲空中発射巡航ミサイル:飛竜FL-1/C-601〔邦訳は原文と同じくFLのみ。漢字なし〕。海 軍戦闘機は全国防空組織に統合されている。 配備と基地: 北海艦隊:朝鮮国境(鴨緑江)から連雲港の南(およそ北緯35度10分)にかけての沿岸 防衛。瀋陽、北京、済南軍区とその沖合に対応する。 基地:青島 (司令部) 、大連、葫蘆島、威海、成山〔原文はChengshan である。長山な らChangshan であり、このような軍港はない〕。沿岸警備区×9 個
部隊:潜水艦戦隊×2個、護衛艦戦隊×3個、機雷戦戦隊×1個、両用戦戦隊×1個、
さらに渤海湾練習小艦隊、哨戒艦艇・沿岸戦闘艦艇×約300 隻 東海艦隊:連雲港の南から東山(およそ北緯35度10分から北緯23度30分)にかけての沿 岸防衛。南京軍区とその沖合に対応する。 基地:上海(司令部) 、呉松、定海、杭州。沿岸警備区×7個
部隊:潜水艦戦隊×2個、護衛艦戦隊×2個、機雷戦戦隊×1個、両用戦戦隊×1個。
哨戒艦艇・沿岸戦闘艦艇×約250 隻。 海兵隊:師団×1個 (基幹要員) 。沿岸地域防衛隊部隊 (南京沿岸警備区)
南海艦隊:東山(およそ北緯23度30分)からベトナム国境にかけての沿岸防衛。広州軍
区とその沖合に対応する(西沙、南沙群島を含む)。 基地:湛江 (司令部) 、汕頭、広州、海口、楡林、北海、黄埔および西沙、南沙の前哨 基地。沿岸警備区×9個
部隊:潜水艦戦隊×2個、護衛艦戦隊×2個、機雷戦戦隊×1個、両用戦戦隊×1個、
哨戒艦艇・沿岸戦闘艦艇×約300 隻。海兵隊:旅団×1個
空軍:47万人(戦略部隊、防空要員22万、徴集兵16万を含む) 作戦機×約4970機、武装ヘリコプター少数。 空軍区×7個、司令部:北京
戦闘部隊はさまざまの数の航空師団からなる軍に編成されている (各航空師団は3個連
隊、連隊は3個飛行隊、飛行隊は3個飛行小隊、飛行小隊は4〜5機からなり、航空師団 には1個整備部隊、輸送機および練習機×若干機が配属されている)。輸送機は連隊にの み所属している。 ▲爆撃:△中型爆撃機:轟H-6 ×120 機〔邦訳は原文H-6 のまま、轟の文字なし〕 (一部 は核兵器搭載可能、一部はC-601 空対地ミサイル搭載) 。△軽爆撃機:轟H-5 ×約300 機
〔邦訳は原文H-5 のまま、轟の文字なし〕 (一部はC-801 空対地ミサイル搭載) 。 ▲対地攻撃戦闘:強Q-5 ×400 機以上〔邦訳はQ-5 のまま、強の文字なし。Q は強撃機Qi angjiji の頭文字〕。▲戦闘機:推定4000機、以下を含む。約60個連隊に編成された、殲 J-5 ×400 機、殲J-6/B/D/E ×3000機、殲J-7 ×500 機、殲J-8 ×100 機〔邦訳はJ-のま ま、殲の文字なし〕、Su-27 ×22機、Su-27B×4機。〔殲8IIMが96年3月31日初飛行に 成功。8II型にレーダー、誘導ミサイルを装備したもの〕 ▲偵察機:轟偵HZ-5×推定40機〔邦訳は原文HZのまま、H は轟を、Z は偵察ZHENCHA の頭 文字である。ヘリコプターの直Z とは異なる〕、殲偵JZ-5×150 機、殲偵JZ-6×100 機〔 邦訳は原文JZのまま、J は殲の頭文字、Z は偵の頭文字である〕▲輸送機:約600 機、以 下を含む:BAe トライデント1E/2E × 18 機、伊尓Il-14 ×30機、伊尓Il-18 ×10機、伊 尓Il-76 ×10機、Li-2×50機、運Y-5 ×300 機〔邦訳は原文Y のまま、Y は運輸機Yunshu jiの頭文字である] 。運Y-7 ×25機、運Y-8 ×25機(一部は給油機)、運Y-11×15機、運 Y-12×2 機 ▲ヘリコプター:約190 機、以下を含む:AS-332× 6機、ベル 214× 4機、米格Mi-8×30 機、直Z-5 ×100 機〔邦訳は原文Z のまま、直昇機Zhishengjiの頭文字である〕、直Z-6 ×100 機、直Z-8 × 15 機、直Z-9 × 50 機を含む。▲練習:初殲CJ-5/-6 〔邦訳は原文 と同じくCJのまま、初級Chuji 殲撃機Jianjijiの頭文字である〕、轟偵HJ-5〔邦訳は原文 HZのまま、H は轟を、Z は偵察ZHENCHA の頭文字である〕、殲J-2 、殲教JJ-2〔邦訳は原 文と同じくJJのまま、殲撃Jianji教育機Jiaoyujiの頭文字である〕、殲教JJ-4/-5/-6 を 含む ▲ミサイル:△空対空ミサイル:霹靂PL-2 /-2A 〔邦訳は原文と同じくPLのまま、霹靂Pi liの頭文字である〕、霹靂PL-5 Bアトール型、霹靂PL-7、霹靂PL-8。△空対地ミサイル: C-601 亜音速空中発射巡航ミサイル (対艦、おそらくは海鷹HY-2艦対艦ミサイルの派生型 ) 、C-801 超低空飛翔ミサイル。 ▲防空:師団×16個、高射砲×1.6 万門 (35ミリ、57ミリ、85ミリ、100 ミリ) 、独立防 空連隊×28個(地対空ミサイル部隊×100 個=紅旗HQ-2 /-2B 、-2J(CSA-1)、紅旗HQ-61 〔邦訳は原文と同じくHQのまま、紅旗の文字なし〕、SA-10 )。 在外兵力 国連および平和維持活動: 中東(UNTSO) :オブザーバー4 人、リベリア(UNOMIL)オブザーバー5 人 、イラク・クエ ート(UNIKOM)オブザーバー15人、西サハラ(MINURSO) オブザーバー20人 準軍隊:武警60万人、60個師団、国境警備や国内治安を含む。93年6 月に解放軍に帰属し た。 資料:The Military Balance 1995/96,The International Institute for Strategic Stu dies,Oxford University Press,October 1995. 参照した邦訳は『ミリタリー・バランス1 995〜1996』防衛庁防衛局調査第2課監訳、メイナード出版株式会社、1996年3月28日刊 。2 日米中の三角関係 本章の最後で、国際比較をこころみたい。中国の軍事力がどの程度のものかを知るため である。図●は、内閣官房広報室が毎年おこなっている「自衛隊・防衛問題に関する世論 調査」のために用意した資料である。この調査は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の 規模の是非を問うためのものである。各国陸軍の兵員数、各国海軍の艦艇トン数、各国空 軍の航空機数の概要を知るうえで簡便なので、資料として掲げた(注●)。 ・(注●)『防衛ハンドブック(平成八年版)』朝雲出版社、一九九六年三月・ 本書では、人民解放軍が徹頭徹尾「党の軍隊」であることを強調したが、それと対照に 便利なように、わが国の自衛隊および米国の国防指揮体系を一覧しておきたい。 図●および図●がそれである。 自衛隊が「自衛のための軍隊」であること、米軍が「世界の憲兵」の役割をはたしてい ることの一端は、この図からよみとれよう。 ・図● 自衛隊の組織の概要 1)司令部はドイツフシュトットガルト
2)司令部はハワイのパールハーバー
3)司令部はフロリダ州マクディル空軍基地
4)司令部はパナマのクウォリーハイツ
5)司令部はバージニア州ノーフォーク
6)司令部はネブラスカ州のオファット空軍基地
7)司令部はコロラド州シャイアン山中地下のピーターソン空軍基地
9)司令部はフロリダ州マクディル空軍基地
8)10)11)12)は、特定の司令基地なし。
資料: The
Military Balance 1995/96,The International Institute for Strategic
Studies,Oxford University Press,October 1995. pp.23-32.