2000/09/10 公開
担当:カルネアデス

ADAM の続き (仮名)

天城小次郎 #18


小僧は俺より奴の近くに位置している。
三角形を描いてその左下に居ると考えてくれ、面積はそんなに無いけどな。
右下には俺、頂点には奴がいる。大まかに言うとそういう状況だ。

つまり小僧は‥‥そばに居ないという事だ。

俺様が必ず手を出して来るのを見こしてるくせに、
退(ど)いてくれと言った奴‥‥目標に集中したいが為だけに
言った科白(せりふ)だったのかもしれんが‥‥くそっ!

奴「‥‥‥‥。」

天城小次郎「‥‥‥‥。」

奴「‥‥‥‥。」

天城小次郎「‥‥‥‥。」

奴「‥‥‥‥。」

天城小次郎「‥‥‥‥。」

奴「‥‥‥‥。」

天城小次郎「‥‥‥‥。」

奴「‥‥‥‥。」

天城小次郎「‥‥‥‥。」

奴「ふふ‥‥どうした、動かないのかね?」

悔しいが正直な所動けない‥‥おやっさんが居た頃は
修羅場ばっかりだったからな、いろんな意味で‥‥だ。
あの頃が懐かしいぜ‥‥おっと、集中しないとやられてしまうぞ。

‥‥やるか。

天城小次郎「そうだな‥‥。」

かちゃり。

俺は重力に引かれるまま右手に収まっていた愛銃の銃口奴に向け、
そのまま平行に‥‥足が地に付いているのを確かめるように歩き出す。
その歩みを途中で止め、今度は反対側へ歩き出す、それの繰り返し。

ただ回っているだけだったら、小僧に接触できてしまうからな。それは少しだけまずい。

奴は顔の位置を固定したまま俺を見てやがるぜ、ホントに俺の方を見ているのか判らないが‥‥。

天城小次郎「そういえばアンタ、殺し屋だったよな?」

奴は答えない。

天城小次郎「じゃあ獲物への執着心ってのはどれぐらい持ってるのかな?」

グロック22のレーザーサイトを発動させる。
銃口より下から放たれる光点、銃弾を導き行く先には‥‥。

奴「くぅ、まさかそう来るとは!!」

不審に思った奴は小僧の方を瞬時に見た。その行動の際、置きナイフというべき
飛び道具を俺に投げつけてきやがった、前回も投げつけられたんだが‥‥。

ドスッ!

今度は右肩に食らっちまった、下手に躱(かわ)している暇はない。
機会はこれだけだ‥‥といっても過言じゃないはずだ!

奴の瞳に見る映ったものはそれはとんでもないものだっただろう、
小僧の眉間にレーザーサイトのそれが輝いていたんだからな。

先ほど少しばかりレーザーサイトの固定軸を曲げて銃自体の照準は違う所を
狙っ(み)ているんだが‥‥。一体化みたいな物だからそんなに派手にはずれていないはずだ。

派手に隙を作った奴に向かって、距離を心持ち右寄りに縮めながら走った。

奴がこちらに向き返り始めようとする刹那(せつな)、更に力の限り右前方へ跳び距離を稼ぎ、
俺の愛銃が咆哮(ほうこう)をあげた。

バン、バァァァン!!

相棒の放った一撃――実際は二撃だが――奴の顔面に喰い付き、その衝撃に奴は吹き飛んだ。

ドサッ‥‥。

天城小次郎「小僧!!」

俺はありったけの怒鳴り声で小僧を呼ぶ‥‥駄目だ、放心してやがる。

跳び込みながら撃った為、膝や肘はジンジンと悲鳴を上げている、ついでに右肩も‥‥だ。
そんな文句はお構い無しだ、アイツがまだ生きていたとしたら次はない。
奴等――俺自身の身体の文句なんて子供だましだ、アイツに捕まった後の拷問に比べたら。

俺は小僧の力の抜けきった腕を取り、力任せに引っ張った。その反動で歩き出す小僧。
その背中を両手で押して逃げるしかない、距離稼いでなかったら不味(まず)かったぞ。

天城小次郎「‥‥‥‥!?」

嫌な感じがした俺は小僧を思いっきり突き飛ばした。小僧は‥‥こけた。
こけていた方が棒立ちより安全かもしれないが、俺は振り返った。

振り返り様に何か光るものが目に映った‥‥が、何かは識別できなかった。
その刹那、左手首を衝撃が襲い上向きに吹き飛ばされ、俺の目の前を何かが落下していった。

真上から俺の視界に落ちてきたものは俺の黒々しい相棒だった、真上から落ちて来るなんてそんなこと‥‥。

ドン‥‥。

と何かが下に落ちた音がした。俺の目線は地面へ向く。

先ほど気の所為だと思った相棒が床に転がっていた‥‥その相棒をしっかり握り締める俺の左手。

目線を前方へ上げていくと、何かを投げてそのまま動かないでいる様な奴の姿があった。
左目の周辺に赤いものが見える、俺の相棒は左目に襲い掛かったらしい。

ま、まて、落ち着くんだ天城小次郎、おそるおそる右手を左手首へ移動させる‥‥手応えが無かった。
視線を床へ落とし、首を床へゆっくりと降ろす、右手が見えてきた‥‥左手‥‥。

それを確認した瞬間、人間(ひと)が生きている証である熱き血潮が俺の右手を蓋(おお)いつくし、
先ほどまではまったく感じなかった激痛が、左手首から体中を駆け巡り始めた。

天城小次郎「ぐわああああぁぁぁぁぁ!!!!

俺は‥‥声帯へ掛かる負担などお構いなしに悲鳴を上げた。
今気を失うわけにはいかない‥‥それと‥‥激痛に耐える為、
意識を‥‥失わない(もっていかれ)ない為に‥‥吼(ほ)えた。

to be continued ...


あとがき

こんにちはカルネアデスです。今回は‥‥見ての通りのことになりました。
色使ったりいろいろしています‥‥多分今回だけでしょう‥‥。

私の力が足りないばっかりにこんな事になってしまいました、
天城小次郎ファン、並びにEVEファン、この創作を愛読してくれている方々、
本当に申し訳有りません m(_ _)m

これを書いている時に「プリーチャーが弾丸を叩き落とすっていうのは?」と訊かれて、
あれはひろえさんの設定だと言ったんですけど、結局私も使っているので、
「受け身の要領で、衝撃が伝わらないほど速く叩き落とすってのはどう?」と答えたら。
「じゃあこのプリーチャー4倍は強いですね(笑)」と言われました。



そんなこんなでこの結果は必然だったと思っています。
方法は他にもあったかもしれませんが今の時点ではこれが精いっぱいです。
プリーチャー相手に無傷でいられるというのは考えられなかったので‥‥。

4倍強いと言われたプリーチャーに一撃入れた方法は、
レーザーサイトの標準とは違う所に撃ち込む、これでした。

普通レーザーサイトと銃口の照準は同じなのですが、
それをずらしてやると‥‥と思ったわけです。


実際レーザーサイトの照準を明後日の方向に向けれるのか、1026さんとkoujiさんに
この事に全く触れず、「レーザーサイトの取り外しは安易か?」と訊きました。
どうやら「一体化させた構造になっているらしく取り外しすら困難」と解答を頂きました。

この時の状態は完璧な三角形状態で振り向かなくても男の子に
レーザーの照準が見えているという話だったのです。

グロックの照準はプリーチャーでレーザーサイトの照準は男の子で、
すぐさま撃とうと思ったのですが‥‥没でした。

没になった時点でレーザーサイトにこだわらなくても良かったと
言われるかもしれないですけど、隙を作る為にレーザーサイトを使いました。



ゲームの方では飛びナイフを左肩に貰っていたので右肩に食らって頂きました。
プリーチャーは左に隠し持っていたグロックによって不覚を取ったので、
「おいたが過ぎるようだな、その左手は!」だったのでしょう。
一人称ではこれが限界です。彼の心の底は‥‥まあ書けませんよね(冷汗)

ここらへんは今回同時更新の「ADAMの再現(仮題)」をご覧ください。
今回で全部終りましたから。

今回の後書きは支離滅裂になっていると思いますがお許し下さいますよう m(_ _)m

1026さんとkoujiさん、銃の構造の解説、ありがとうございました m(_ _)m



追伸:例のOP、それなりのが出来てます、一般公開は出来るわけないので、
それよりHDDの容量が足りなくて手詰まりなだけです(冷汗)
感謝の気持ちを込めて‥‥零号版をプレゼントです。いうことで‥‥下記の通り、連絡下さいね。


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