天下の往来(おうらい)を疾走する三台の車が 交通法規ぎりぎりのところで運転技術を披露していた。 その中の松乃広美の駆るユーノス・ロードスターは他の二台とは進路を変えた。
それを合図としたのかは知らないが、空は恵みの雨を降らし始めた。 甲野三郎「‥‥ん、雨‥‥かい?」
車越しに水滴が当たる音が聴こえ始めた、
白いオープンカーは我々とは違う方へ進路をとった、
それと車に掛かる負担は最小限に抑える‥‥それが
この車に天城君を載せて正解だったねぇ、 それにしてもよもや雨が降るとは思わなかったのだが‥‥ふむ。 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 少年「‥‥‥‥」 桐野杏子「‥‥‥‥」 佐久間裕一「‥‥‥‥」 少年「‥‥‥‥」 桐野杏子「‥‥‥‥」 佐久間裕一「‥‥‥‥」 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 少年「‥‥‥‥」 桐野杏子「‥‥‥‥」 佐久間裕一「‥‥‥‥」 少年「‥‥‥‥」 桐野杏子「‥‥‥‥」 佐久間裕一「‥‥‥‥」 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 少年「雨だね」 桐野杏子「雨ね」 佐久間裕一「雨だな」 少年「屋根無いの?」 桐野杏子「佐久間さん?」 佐久間裕一「無理言うなよ‥‥」 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 少年「そこを何とか」 桐野杏子「ああ、お買い物袋がびちょびちょ‥‥」 佐久間裕一「桐野君、キミまでそんな事‥‥言うんじゃない!」 少年「桐野さんは悪く無いヨ」 桐野杏子「ねぇ、君、何で語尾が片仮名なの?」 佐久間裕一「カタカナ‥‥? 何を訳の解らない事を‥‥」 少年「画面の前の人には解るからさ、おじさん」 桐野杏子「画面? ‥‥そう言えば誰かに見られているような気が」 佐久間裕一「‥‥‥‥」 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 ギャギャギャギャギャッ!!!! 少年「ちょ‥‥!?」 桐野杏子「きゃっ!?」 佐久間裕一「あ、運転ミスった」 ‥‥ふ、もちろん『ワザ』とだ、悪く思うなよ。 ザ――――――――――――――――――――――――――――――――――。 ギャギャギャギャッ!!!! 俺だって屋根欲しいよ‥‥まったく‥‥はぁ。
でもアレに乗っているのは今日日の男の子と杏子君‥‥
まぁ、いろいろあるよねぇ、変な言い回しだねぇ、これは。
佐久間君はスリップした状態から四輪ドリフト 僕も若い者には負けられないからねぇ〜と言うか負けたくない。
チョット強めにアクセルを踏んで、速度を出して〜車体を滑らせてぇ〜‥‥。 |