2001/05/02 公開
担当:カルネアデス

ADAM THE SPIRAL FACTOR

#04 Ver.μ


 俺の名前は江国雄二(えくにゆうじ)、夜間学校に通っている。
何故夜間かというと昼間はさる機関の手伝いをしているからだ。

 それもこれも俺の嫁、杏子の手伝いをしているからだ。
ついでに杏子は江国姓じゃない‥‥条件付でだけど。

 その理由(わけ)は‥‥
その機関での決まり、同姓だといろいろ面倒が生じるから‥‥だとよ。

 戸籍上は同姓だからどうでも良いけどね。
‥‥そういう訳で俺は既婚者なんだよ。左手の薬指にあるものがその証拠さ。

 まぁ、いろいろあってね‥‥本当だったら第二部ないし第一部終了後に
俺達の馴れ初めが語られる予定だったらしいけど‥‥無理みたいだ。

 第一部のアレみたいに水増しする余裕が無いらしい‥‥
水増しは余裕の内じゃない気がするけど‥‥。

 なぁ‥‥俺を宣伝に使うの、止めてくれない?







「もしもし」

「は〜い」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥俺です」

「‥‥雄二君? 彼女には会えた?」

「え、杏子には会いましたけど‥‥」

「‥‥緊急事項なのね?」

「ええ、まぁ。内調が爆破されました」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「解ったわ。その件は任せて頂戴」

「ノート(パソコンで)見ているんですが、通報されて無いみたいなんで‥‥」

 俺の所属している‥‥いや、杏子のおまけで手伝っているさる機関、
そこの権限で国のデータベースにネット越しにアクセスできるようにはなっている。
それを使うと警察、消防、救急車、いわゆる通報と言う類の情報も閲覧できる。

「ほんと?」

「ほんとの所は解りませんよ‥‥パス忘れちゃったので‥‥だから、お願いします」

 だが‥‥出先でこんな事はする気がなかったので死ぬほど
小さい端末しか持ち合わせてなかった、持ってきただけましといえばましなのかもな。
ついでにパスワードは今日変わったばかり‥‥タイミングが悪すぎた。

 俺がパスワードが変わると言う事をすっかり忘れていたから‥‥。
新しいパスワードすら教えてもらっていなかった、俺とした事が情けなすぎる‥‥。

 それが無ければ俺が引き出したい情報への扉は閉ざされたまま‥‥
アクセス権は有ったとしても肝心の合鍵がないんだよ‥‥くそっ!

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥まだ何かあるのね?」

「ええ、それともう一つ‥‥」

「なにかしら?」

「左手首を切断された人をそっちへ連れて行きます」

「‥‥今は駄目よ。だって‥‥」

「足りないものを今買いに向かっています」

「‥‥‥‥やるようになったわね、雄二君」

「‥‥そりゃぁ‥‥どうも」

「いいわよ、準備しておくから連れて来なさいな」

「助かります」

「それにしても‥‥雄二君がねぇ‥‥ふふふ‥‥」

「? ‥‥なにか?」

「ふふふ‥‥え?
雄二君がこんなに篤(あつ)い口調で話すんですもの‥‥大切な人なんでしょ?」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥さぁ‥‥よくわかりませんよ」

「内調と手術の件は承(うけたまわ)りましたわ♪ ‥‥こほん。
じゃあ急いでね、雄二君‥‥」



ぷちっ‥‥つーっ‥‥つーっ‥‥。



 大切な‥‥人‥‥か。
大切な人なんだろうなぁ、他人だったら誰だって‥‥。

 頼まれたから頼んだかもしれないのに‥‥いや、あの場所で‥‥。
あの砂漠で得た教訓のせいか? ‥‥なんなんだろうな、よくわかんねぇ。



どさっ! がちゃ‥‥ばたん!



「御買い物完了よ、おにぃさん」

「ご苦労様です‥‥おねぇさん」

 俺は松乃さんが持ってきた買い物袋の中身を物色する‥‥
物はちゃんと揃っているらしい。

「‥‥どう?」

「完璧ですよ、出してください」

 俺はそのまま袋を二、三重に袋詰にする。

「ええ、しっかり防水加工してね。これから先は雨の中ですものね‥‥」

 みんなと分かれてから雨が降り出した、俺達の進行方向には不幸か幸いか、
雨は降らなかった‥‥けど、これから向かう先は雨が降っているはず。

 全く誰だよ、オープンカーなんて物を選んだのは。
雨だとこういうことになるんだよ‥‥。(すみません趣味です、乗らないけど)

 それはさておいて松乃さんが駆る車は静止状態から加速状態へと移っていく‥‥。
どす黒い雨雲を車の進行方向に判断(みと)めながら‥‥。


to be continued ... ?


あとがき

 こんにちはカルネアデスです。

 なぜか雄二君サイトです、前に作ってあった方を公開しないで、
こっちを公開しています。何故でしょうか?

 それはだいぶ無茶するからです(笑)
この話で警告するんだったらまだ大丈夫かと踏んだからです。

 そんな心境で to be continued someday ....... ? を更に
間違えて使ってしまったため更新は遅かったです(笑)

 オヤっさんじゃないけど自分で考えたことがこんなに恐ろしい話になるなんて‥‥
とそういうことで純粋な小説をお求めの方は尻尾を捲いて逃げてください。

 読者さんが逃げる前に担当さんが逃げるような気もしますけど‥‥。
小次郎をああしておいて今更言う科白でも――――。

 用語集は本腰入れて作るものじゃないです(爆)いや、こっちの話です(笑)


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