1999/08/09 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから (仮称)


#08 『過去(むかし)』


いまだにミナトに連行されているユキナ。

白鳥ユキナ「ちょっと放してよ!」

ハルカ・ミナト「だ〜め! まったくこの娘(こ)はおせっかい焼きなんだから……。」

白鳥ユキナ「……お姉ちゃんもでしょ。」

そこに、飲み物を買い終えたハーリーとジュンに出会う。

マキビ・ハリ「あれ、ミナトさん? こんにちは。」

アオイ・ジュン「なんでミナトさんまで……。」

白鳥ユキナ「ギロッ!」

アオイ・ジュン「びくぅ…………。」

ユキナの熱いまなざし(?)に射抜かれるジュン。
ユキナをつかんでいる手を放すミナト。

ハルカ・ミナト「あらっ、奇遇ね、ハーリー君、ジュン君。ほほほ……。」

白鳥ユキナ「ぶぅぅぅ。」

ミナトに掴まれていた手を大袈裟に振るユキナ。

マキビ・ハリ「それじゃ僕は艦長の所へ行きますね。失礼しま〜す。」

ハルカ・ミナト「ちょ、ちょっと待ってハーリー君!」

ミナトが声をかけるより早くハーリーは走り去ってしまった。

白鳥ユキナ「……これはこれでうまく行くかも。」



『がたっ』

目を見開いて跳ね上がるようにベンチから立ち上がるルリ。
記憶喪失の顔には光の筋が走っている。
身体の中にあるナノマシンが活性化している印である。

ホシノ・ルリ「あなたも……。」

記憶喪失「ごめんね、ルリちゃん。驚いただろ?
              僕もA級ジャンパーだったんだ。だからさ、こういう事に……ね。」

やさしく微笑みかけるその顔にはさっきの光の筋はない。

記憶喪失「僕は、彼女を助けに行ったんだ。
               そこでちょっと変な女性につかまって、一服盛られてしまったんだ……」

ホシノ・ルリ「一服?」

記憶喪失「ナノマシンを活性化させるクスリさ。
              昔アキトにも一服持った女性(ひと)らしい。
              でも彼女は無事だったから、もうその頃、お腹の中に子供がいたんだ。
              犠牲になったのは僕だけでよかった、と思ってた……けどアキトも―――――。」

一瞬ルリの肩がぴくりと動く。

記憶喪失「もうそれは酷いものだったよ。
               ナノマシンが身体中走り回る用な感覚で気が狂いそうだった。
               アキトは神経が駄目になっていたから、
               体中を走り回る感覚はあまり感じなかったらしいけど。
               どっちがましって言われたら弱っちゃうけどね……
               彼女に心配かけたくないから、お腹の子に影響があると困るから、
               セイヤさんに頼んで、僕はネルガルに……。」

ホシノ・ルリ「記憶喪失さん……。」

ルリが記憶喪失の頬に触れる。
記憶喪失は知らず知らずのうちに険しい顔になっていたようだ。

記憶喪失「ごめん、こんなこと聞きたくないだろうけど、これからが重要なんだ。」

『からん、からん、からん……』

振り返る二人の視線の先に空缶が転がっている。
その方向にはハーリーが立っている。

ホシノ・ルリ「ハーリー君……。」

マキビ・ハリ「艦長……その人……誰です?」

不意に記憶喪失の右手――サングラスにハーリーの視線が集中した。

マキビ・ハリ「!?」

無意識のうちに後ずさりするハーリー。

マキビ・ハリ「さっ、サングラス……!? もしかして黒い王子様!??」

記憶喪失「ルリちゃん、この人は?」

駆けだすハーリー。

ホシノ・ルリ「まって、この人は……。」

ハーリーは信じられないぐらいのスピードで走っていた。

ホシノ・ルリ「ハーリー君!!」

記憶喪失「ルリちゃん!」

ハーリーを追い駆けようとするルリを静止させる記憶喪失。



マキビ・ハリ「あれぇ……? 何で僕、走ってるんだろう? ……何でだろう。」

もうあの場にいられないと、身体が勝手に動きだししてしまったハーリー。
それもこんなに――自分でも信じられないぐらい速く走っている……。

不意に目の前に青白い光が漂(ただよ)いはじめる。
それはある特定の行動をした時にしか検出されない光芒(こうぼう)。

マキビ・ハリ「うわぁっ!?」

ハーリーの前にルリを抱えた記憶喪失がボソンアウトする。
いきなりの出現にバランスを崩してしりもちをつくハーリー。

記憶喪失「驚いたよね……絶対に……。」

悲しい瞳で二人を見る記憶喪失。

ホシノ・ルリ/マキビ・ハリ「単体のボソンジャンプ!?」

確かにその特定の行動とは、ボソンジャンプであった。

to be continued ...


なぜかあとがき

今回、html講座の催促が(掲示板に)あったので、
ナデシコの方は無理かと思いましたが、何とかなりました =3

#09 の頭をこっちの最後に持ってきました。
どうにかして13話で終わらせたいものです。
やっぱりヒトマトメといったら13話ですから(笑)
そのかわり、ファイルのサイズが大きくなっているのですが……。

書いててなんですが記憶喪失君、お喋りし過ぎになってしまいましたね(汗)

一応、第3部まで行こうかと思ってますが、
2、3部は1部(この話)の裏設定なのでどうにか行けると思いますが、
第4部は書く気なかったのですが……なんかやりたいかも(笑)

DC版出る前にダイジェストみたいなの作っとくかな? <第4部


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