1999/08/14 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから (仮称)


#10 『白い王子様』


どこだ、どこだ、どこだ!
僕はひたすら遊園地の中を走っていた。

視界にルリはいない。

マキビ・ハリ「はぁ、ちょっと休憩。」

子供A「え〜ん、え〜ん……。」

子供B「おか〜さ〜ん……。」

子供C「ひっくひっく……。」

マキビ・ハリ「いぃ!? なんだ?」

そこは迷子センターだった。

係員「僕、迷子? お父さんとお母さん呼ぼうか?」

マキビ・ハリ「けけけっ、結構です、さよなら。」



マキビ・ハリ「うわっと、すいません。」

高杉三郎太「ハーリー?」

迷子センターから逃げた勢いそのままで三郎太にぶつかった。

マキビ・ハリ「三郎太さん、もしかして様子見にきたんですか?」

三郎太がキョロキョロして耳打ちする。

高杉三郎太「いいタックルだったぞ、ハーリー。あっれぇ〜、お姫様はどうした?」

マキビ・ハリの質問は無視された。

マキビ・ハリ「現在そう……。」

高杉三郎太「そう?」

捜索中と言いかけて止めた。

マキビ・ハリ「僕の方が迷子になってしまって。」

高杉三郎太「……へぇ、迷子ね。ナニかやったからはぐれたんぢゃないのか?」

マキビ・ハリ「なっ、何もやってません!!!………は。」

大声を出した為注目の的となってしまった。

高杉三郎太「……場所かえるか?」

マキビ・ハリ「もちろん、ははは……。」



マキビ・ハリ「三郎太さん……。」

高杉三郎太「ん? なんだよ、ハーリー。」

マキビ・ハリ「なんで 『馬』 に乗らなくっちゃいけないんですかぁ!!」

場所移動した先はメリーゴーランドだった。

高杉三郎太「別に気にすることじゃないだろ、なっ。」

三郎太がウインクを飛ばす。

女性達「きゃああぁぁ!!!」

高杉三郎太「で、…………ん? どうした?」

マキビ・ハリ「場所かえましょ!」

三郎太を本気で睨(にら)むハーリー。



マキビ・ハリ「もう…………。」

高杉三郎太「で、お前ホントのところは……はっはーん、お姫様に逃げられたな。」

マキビ・ハリ「……まあそんな所です。」

高杉三郎太「はぁ、なんだって?」

マキビ・ハリ「……だからその

高杉三郎太「……で、どうしたいんだ?」

マキビ・ハリ「僕は……あの人のあんな顔、もう見ていたくありません。」

高杉三郎太「ふ〜ん……どこに行ったか心当たりは?」

マキビ・ハリ「………………ないです。」

高杉三郎太「で、走り回ってたのか。でもそれぢゃぁ、埒(らち)があかねぇだろう。」

マキビ・ハリ「…………。」

高杉三郎太「まぁ、体動かしている方が 『探している』 って気にはなるかもしれないけどな。
                  もしお前だっならどこへ逃げる? 」

マキビ・ハリ「え? 僕なら?」

高杉三郎太「こんなに良い景色をお前と見れて幸せだぜ。」

ハーリーに迫る三郎太。
しかしいつも毛嫌いするはずなのに無反応。

高杉三郎太「……ちっ、おもしろくないなぁ。」

言葉とは裏腹に嬉しそうな三郎太。

マキビ・ハリ「僕なら…………。」



もうすぐ観覧車が1周する。

高杉三郎太「結局、観覧車からじゃ見つからなかったな。」

マキビ・ハリ「今日はコミュニケを置いてきたので、検索ができないので地道に探します。」

あっても使う気ないんですけどね。

高杉三郎太「まぁ、頑張れや。」

ハーリーの肩を叩く三郎太。



観覧車を降りた二人を待ち受けていたものは雨だった。

高杉三郎太「ちぇ、降ってきやがった。」

マキビ・ハリ「三郎太さんは何しにきたんですか?」

高杉三郎太「あ、ああちょっと野暮用でな。」

マキビ・ハリ「…………(ジト目)」

高杉三郎太「んだよ、オモイっきり疑ってるな?」

マキビ・ハリ「……別に。」

高杉三郎太「昔の仲間にあいにきただけだ。
                  俺達より前に 『ナデシコB』 に乗ってた奴にあいに来たのさ。」

マキビ・ハリ「僕達より先?」

高杉三郎太「お、小降りになってきたな、そんじゃそろそろ行くわ。」

マキビ・ハリ「ねぇ、誰なんですか?」

ポケットに手を突っ込む三郎太。

高杉三郎太「そうだな、お前の事を 『白い王子様』 と言いそうな奴だ。」

そう言うと折り畳み傘程度の物をハーリーに投げる。

マキビ・ハリ「え? うわぁ!!」

高杉三郎太「餞別(せんべつ)だ、持ってけ。
                  どうせプレゼントも何も持ってきてないんだろ?」

それはチューリップの形をしていた。

マキビ・ハリ「なんですれ、これ?」

高杉三郎太「ん。それを送り付けてきた奴に、今からあいに行くんだよ。」

マキビ・ハリ「…………。」

高杉三郎太「見てもいいぞ。それ映像だから。」

マキビ・ハリ「映像……?」

チューリップを開くとホログラフが浮かび上がる。

マキビ・ハリ「!? この艦(ふね)は!!!」

高杉三郎太「だろ。だから真相を聞いてくる。」

マキビ・ハリ「…………。」

高杉三郎太「お姫様を連れ出すのに使ったらどうだ?
                  あいつの事だ、そのために贈りつけてきやがったんだろうけどな。」

マキビ・ハリ「三郎太さん。」

高杉三郎太「まあしっかりナイトをやってこい!」

背中ごしに手を振る三郎太。

マキビ・ハリ「行ってきます!」

to be continued ...


なぜかあとがき

これはある意味、裏設定追加用に書いた文章を回しました。
……裏設定と繋ぐ為に書いた文章だったかな? もう忘れてしまった(冷汗)
チョット三郎太の出番が少ないかなと思い、書いたわけではないと思います(苦笑)

ここ半角日本語使いましたので、文字化けするかもしれません。

こんなに増やして13話で終わるのだろうか?
かなり不安……。


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