マキビ・ハリ「三郎太さん。」 高杉三郎太「ん?」 マキビ・ハリ「やっぱり。」 満面の笑(え)みで三郎太を見るハーリー。 高杉三郎太「なっ、なんだよ……気持ち悪いなぁ。」 マキビ・ハリ「やっぱり三郎太さんは、木連の軍人さんだったんですよね。」 『ふんっ』 と鼻で返事する三郎太。 高杉三郎太「今ごろ気がついたの? おまえ……。」 その行動に思わず吹き出すハーリー。 マキビ・ハリ「あははははは……。」 高杉三郎太「よ〜し。やっといつものお前に戻ったな。」 マキビ・ハリ「三郎太さん……。」 高杉三郎太「おっと、俺に惚れたか?」 マキビ・ハリ「むかっ!」 せっかく、見直したのにぃ、この人は……。 高杉三郎太「え、どうなんだ?」 顔を付き出す三郎太。 マキビ・ハリ「三郎太さんの……。」 目を閉じる三郎太。 マキビ・ハリ「ばかぁーーーーーー!!」 三郎太の耳に殺人超音波が炸裂する。 高杉三郎太「いいいいぃぃぃ……。」 高杉三郎太「何だよあいつ……。」 てっきり、殴るものだろうと踏んでいた三郎太は思いっきり意表を付かれた。 そこにハーリーの姿はもうなく、どこかへ行ってしまったようだ。 高杉三郎太「お姫様だけでなく王子様の相手もしなくちゃならないのか……。」 言葉とは裏腹な心持ちを楽しんでいる三郎太であった。 高杉三郎太「はぁ……。」 長い沈黙があった……。 マキビ・ハリ「ルリさんは本当にそれでいいんですか!」 ホシノ・ルリ「…………。」 ルリは応(こた)えない。 マキビ・ハリ「ぼっ、僕は……。」 言葉に詰まるハーリー、しかし。 マキビ・ハリ「貴女(あなた)の……ルリさんのそんな顔は見ていたくありません!!」 ホシノ・ルリ「え?」 ルリがハーリーの顔を見る。 ホシノ・ルリ「!?」 ハーリーが目から涙の雫を零(こぼ)している。 マキビ・ハリ「はははっ……初めて……初めて人を殴っちゃった……。」 頭をポリポリ掻(か)くハーリー。 ホシノ・ルリ「…………。」 そしてルリに背中を向けるハーリー。 マキビ・ハリ「アキトさんか……まだ探しに行かないんですか?」 ホシノ・ルリ「…………。」 マキビ・ハリ「やっぱりル……。」 頭を振るハーリー。 マキビ・ハリ「艦長はあの人のことを……。」 ホシノ・ルリ「………………。」 マキビ・ハリ「………………。」 ホシノ・ルリ「………………。」 マキビ・ハリ「はははは……やっぱりそうですよね……ぇ。」 ルリの顔を見て金縛りにあうハーリー。 ホシノ・ルリ「あの人が 『帰って来ない。』 って解かった時も…… 涙は出なかったのに……何で……?」 ルリが涙を流している。 ルリを泣かせてしまった事でやるせない気持ちになるハーリー。 でも、 外へ気持ちをぶつけないよりはましですよね? そう思いませんか? アオイさん、記憶喪失さん、三郎太さん。 ホシノ・ルリ「あの人は変わってしまった……。」 マキビ・ハリ「…………。」 ホシノ・ルリ「出会いがあって、別れがある……こんな当たり前のことなのにね……。」 マキビ・ハリ「怖いんですね……。」 ホシノ・ルリ「…………。」 マキビ・ハリ「大丈夫ですよ。僕らがいますから。すべてはこれからです。」 ホシノ・ルリ「ありがとう、ハーリー君。」 満面の笑みのルリ。 まだ、感情の雫(しずく)が消えてはいない……。 ハーリーは目をうがった。 そう、その笑顔はまるで――――――――。 ホシノ・ルリ「わたしは……私はあの人が……。」 |