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2001-09-19
tlady063
女子百景No.063

 荒野を歩むアルテミス
 古代ギリシャの女神であるアルテミスの絵や彫像が、十六世紀フランスで数多く作られている。犬を連れて野を歩く女神の姿なども好まれた題材だった。それはアルテミスのローマ名ディアナの名を持つ一人の美女のためだったらしい。その女性ディアーヌ・ド・ポワティエは純潔な処女神の名にそぐわぬ艶名高らかな美女だったようで、国王アンリ一世、国王亡き後はその息子アンリ二世まで彼女に夢中になったという。
 アンリ二世はディアーヌより十八も歳下だったが生涯この絶世の美女を熱愛し、二人の関係は王が死ぬまで二十三年間も続いた。割りを食ったのが王の正妻、カトリーヌ・ド・メディチだ。王の死後権力を握ったが、毒殺や暗殺を日常とし新教徒たちを虐殺するなど、専制的な大悪女として歴史上名高い。もって生まれた性格もあろうが、二十三年もの間、嫉妬と屈辱にまみれ鬱積した感情を思うと無理もない気がする。残された肖像画を見るとディアーヌはまさしく月光のような美女で、カトリーヌは陰気で地味な風貌、はっきりいって不美人である。勝負の行方はいたしかたないところか。

 二十世紀に入って、また女神の名を持って生まれた美女ダイアナが王家に嫁いだ。ところが夫たる皇太子には歳上の愛人がおり、彼の愛情がダイアナに向くことはなかったらしい。立場は十六世紀フランスの場合と逆だが、持って生まれた美貌はやはり女神の名の女性の方が衆目の見るところ遥かに勝っていよう。しかし恋の勝敗は逆であった。いや、それがカトリーヌ・ド・メディチの呪いだとは思わないがね。しかしカトリーヌが自分の息子たちの運命をかのノストラダムスに予言させたり涜神的な黒ミサなど魔道の愛好者だったなどと聞くと、妙な気持ちにはなりますわな。

使用ツール:61と同じ。
原寸で上半身のディテールをどうぞ。
最初のデッサンはこんな感じ

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