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02/11/29(金) ペーパークラフト王夫人
02/11/28(木) こんなスレ読んでます
02/11/24(日) 『チェコアニメ新世代』
02/11/15(金) 『たそがれ清兵衛』
02/11/07(木) 発泡スチロール王
02/11/03(日) DVDが家に来た!
02/10/16(水) 文学オリンピック日本代表
02/10/13(日) 青松寺/ウィーン美術史美術館名品展
02/10/10(木) 作業着の似合うノーベル賞
02/10/09(水) ボディダブルな人々
02/10/06(日) ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団♪

2002/11/29(金)ペーパークラフト王夫人

昨日のTV東京「TVチャンピオン」は「ペーパークラフト王」。いつも楽しみにしているジャンルだが、今回は3連覇の前チャンピォン大熊光男さんと2連覇の野田亜人さんの二大巨匠は出場していなかったけれど、決勝に残った三人はお二人に優るとも劣らないテクニックと造型を見せてくれたので大満足。

紅一点の酒井志保さんは、なんと大熊光男さんの夫人だという。この番組で知り合って結婚した、とのことだ。作品も可愛らしいがご本人も作品通りの可愛いご婦人で、大熊さんが心配そうに見守るのも微笑ましい。

しかし、たしか大熊さんの奥さんは前回か前々回の放送のとき、画面に登場してたけど、酒井さんではなかったような気がするのだよなあ。もっと太くてごつくて……なひとでした。ペーパークラフトもしてるとは一言もいってなかったし、やはり別人だな。ということは・・って余計なお世話でどうでもいいのだけど、TVに出るというのはこんな詮索までされてなかなか大変なことなのだね。

2002/11/28(木)こんなスレ読んでます

リオハさんがご自分のところで紹介していた2ちゃんねるのスレッド「あの名作文学がライトノベルだったら」が面白かったので、私もまねをして日ごろ愛読している2ちゃんスレを紹介してみる。

こんな瞬間移動装置はいやだ
 ex. ダイヤルアップ接続の瞬間移動装置
 SF板です。ちなみに前スレは「こんな超光速航法はいやだ」。

スターウォ−ズ 一行以内リレー小説。エピソード1
 ex. そのころ、ジャバ・ザ・ハットは逆立ちしようと悪戦苦闘していた。
 読んでいると頭がぼんやりしてきます。

しかし、「あの名作が・・」スレの住人の読書量はすごい。ライトノベルは全然読んでないのでピンとこないのもあったが「耳なし芳一」ネタは笑えた。

さいたま愛生会病院
 こちらは2ちゃんではないけれど、H2さんが紹介するようなかっこいいサイトに対抗して、「ものすごいデザイン」のサイトとしてご紹介。 
 ・・・産婦人科もあるのに胎教によくないのではあるまいか。

イリーガル・エイリアン』読了。→レビュー

『ナショナリズムの克服』姜尚中/森巣博(集英社新書)購入。

2002/11/24(日)『チェコアニメ新世代』

新宿武蔵野館『チェコアニメ新世代』Bプログラム。

かのヤン・シュバイクマイエルの次の世代の作家たちのコマ撮りアニメの短編集。グロティスクな造型の人形がくりひろげる不条理なストーリー・・・・なかなか面白い。万人にうけるとはいいがたいが、そういうの(どういうのだ?)が好きな人にはおすすめ。

中では、二人組の泥棒が美術館から魔法の像を盗み出して、よみがえらせた怪物に願いをかなえさせようとする「大いなるくしゃみ」が一番インパクトがあった。強烈な造型と過剰な色彩が印象的。

愉快で楽しいのは「海賊」。アルコール依存症の孤独な海賊のキャラと、彼を邪魔するお化けタコの造型がすてきだ。ラストのブラックユーモアも効いている。

ただ68分で1,800円はともかく、2プログラム両方見ると3,600円はちと高い。Aプログラムもまた見に行こうか迷い中。

女性刑事』読了。→レビュー

ロバート・J・ソウヤー『イリーガル・エイリアン』(ハヤカワSF文庫)、E・E・スミス、『第二段階レンズマン』(創元SF文庫)、『宮田雅之の切り絵−史記・水滸伝・唐代伝奇・三国志』(平凡社)購入。

2002/11/15(金)『たそがれ清兵衛』

丸の内ピカデリー『たそがれ清兵衛』。

寅さんにしても黄色いリボンにしても秀作とは思うけれど、山田洋次監督の映画はさほど好きなわけではない。しかしこれにはまいった。ひさびさに映画を見て本当に感動してしまった。素晴らしい映画です。脚本、カメラ、美術、全てに隙がない。監督はじめての時代劇にして、黒澤映画に遜色のない、というか独自の世界を見せてくれた。山田洋次おそるべし。

私が今年見た映画でチャンバラ活劇ということで、『スターウォース/クローンの攻撃』と比べてみよう。『たそがれ清兵衛』を黒澤明と比べて論じてる文章はよく見かけるが、スターウォーズと比較するのは私くらいのものだろう。

一つめは殺陣(たて)。

ライトセーバーが両手斬りということからして、ジェダイの剣法は黒澤時代劇直伝に間違いあるまい。最近の日本の俳優の腰の座らない殺陣と比べればハリウッド剣法もなかなかのものだった。しかしここにきて『たそがれ清兵衛』の超リアルな殺陣だ。鎧袖一触。

殺陣のシーンは二回あるが、一回目はとにかく「かっこいい」。真田広之の躍動する肉体の描く軌跡の見事さは、CGや特撮では出せない、格闘や武道とも違う、鍛え上げられた(歌舞伎能狂言もふくんだ)日本の演劇の底力だ。最後の一撃には思わず「かっけー!」と声が出てしまったよ。真田広之は日本映画界の宝だな。

ラストの殺陣はこれは「こわい」。相手も一回めと違って強敵だ。緊張の極限で激発するように切り結び、徐々に出血していく。本物の切れる刀での戦いはこうだろうなあと思わせる迫力。この殺陣でやっと日本映画は黒澤時代劇を超えられたのではないだろうか。<ちょっと興奮気味?

二つめはロマンス

これはもう宮沢りえの美しさに尽きるでしょう。美貌がアップになったときは、四十男の頭に霞がかかってしまいました。よだれがたれたかも。それよりも、特筆すべきは「所作」の美しさだ。いとしい人の身支度をするときの、きりりと襷(たすき)をかけ、身を寄せて袴をつけさせ、髷(まげ)をととのえ、するりと襷をはずすまでの身ごなしの美しさは、日本の文化の美しさ以外の何者でもない。体現した宮沢りえも体現させた山田監督もすごいです。

三つめは敵役

スターウォーズ新シリーズの物足りなさはダース・ベイダーがいないことだと前に書いたが、『たそがれ清兵衛』の敵役、余吾善右衛門の登場シーンはダース・ベイダー級の無気味さだ。なにしろ蔵の中で仕事中の清兵衛に入り口から声をかけてくるのだが、逆光で長身のシルエットに光る眼しか見えないのが不気味かつ不吉な雰囲気。さすがに山田洋次は悪役の大切さがわかっている。なみなみならぬ存在感で演じる田中泯という人、だれだろうと思ったら、なんと世界的な舞踊家らしい。

ラストは[]。ひさびさに映画を見て涙が出てしまいました。

館内は年輩の人がめだった。私たち夫婦が若いくらいだった。本当はもっと若い人に見てもらいたい。と思いながら、心の片隅では「なかなかこの良さは若い者にはわかるまい」などといやらしいジジイ思考におちいるる秋の夕暮れ。

いやいや、本当にいい映画だからたくさんの人に見てもらいたい。殺陣シーンだけで十分に元はとれる。

一つ心配なのは、これから他の時代劇がいんちきくさく見えて見られなくなることだな。水戸黄門(←見てないけど)くらいまでいってしまえば逆に平気だけどNHK大河ドラマ(←これも見てないけど)あたりが一番あぶない。

皇位継承』読了。→レビュー

横尾忠則『名画感応術』(光文社知恵の森文庫)、マーク・オルシェイカー『女性刑事』(講談社文庫)、香山滋『魔婦の足跡』(扶桑社文庫)購入。

2002/11/07(木)TV発泡スチロール王

TV東京『TVチャンピオン−発泡スチロールアート王選手権−』。

「プロモデラー」「ペーパークラフト」「メークアップアーチスト」などに並ぶ、ひさびさに面白いジャンルでした。

決勝はさすがにチャンピオンの巨大福助ロボの造型が一段抜きんでた印象。あれなら世界にも通用しそうだ。次点の空飛ぶ真っ赤なSLも絵的には素晴らしいのだが、造型の新しさという点で及ばなかったですね。

乱歩のベストホラー』読了。→レビュー

2002/11/03(日)DVDが家に来た!

ここに書かなかったが、先月は父親の喜寿を祝い、一族郎党(郎党はいないが)で千駄木の天外天で食事をした。昨日はいとこの結婚式と、ささやかながらおめでたが続いたが、今日もめでたいことがあった。

息子が自分の学校の学園祭から意気揚々と帰ってくると、DVDプレイヤーをぶらさげているではないか。「自転車漕ぎ選手権」というイベントに友人と参加して優勝した賞品だという。固定した自転車を漕いで発生した電気の量を競うという、ただただ体力まかせのアトラクションらしいが、優勝したならなんでもいい。

そろそろDVDプレイヤーが欲しいなあなどと話していたやさきだったので、妻や娘と一緒に大拍手に万歳三唱。さすがいつも走っているだけのことはあるとか、まあ息子をほめたたえることほめちぎること。

巧言令色鮮し仁こうげんれいしょくすくなしじん

もちろん、優先権は息子にあるのだが、なんとかごまかして家族みんなが見られる居間に設置させるように誘導してやろう。

最近、更新が滞っているが、これは今、HTMLをスタイルシート利用に全面的に書き換えているため。内容をHTMLで、配色や罫線や細かなレイアウトはスタイルシートで、というようにきっちり分業するように直しているのだが、凝りだすときりがない。手間がかかるわりに、できあがっても代わり映えしないことが予想できるので、とっとときりあげるつもりではいるのですが。

早くすっきりして、また絵を描きたいものです。

絡新婦の理』読了。→レビュー

江戸秘語事典』読了。→レビュー

『乱歩の選んだベストホラー』(ちくま文庫)、ブラントーム『好色女傑伝』(鈴木豊訳/講談社文芸文庫)、『絡新婦の理』(講談社文庫)購入。

2002/10/16(水)文学オリンピック日本代表

 文化庁の翻訳事業に27人の作品 (yomiuri-online 02/10/16)
日本の現代文学を海外に普及させようと、文化庁が今年度から始める翻訳事業の対象に15日、作家27人の作品が決まった。文豪・夏目漱石らと並び、「外国人に一定の評価が見込まれる」との選考基準で、山田詠美、横森理香、末永直海各氏ら若手の作品も選ばれた。翻訳本は米国の図書館などに配られる。選定委員は田辺聖子氏、福田和也氏ら5人。

 作家と作品は次の通り。
▽芥川龍之介(作品未定)
▽石原慎太郎 わが人生の時の時
▽内田百ケン 冥途・旅順入城式(ケンは門がまえに「月」)
▽岡本綺堂 半七捕物帳(第一巻)
▽獅子文六 自由学校
▽島田荘司 占星術殺人事件
▽曽野綾子 天上の青
▽樋口一葉 たけくらべ・にごりえ・十三夜
▽宮本輝 錦繍
▽山田詠美 ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
▽逢坂剛 斜影はるかな国
▽大岡昇平 武蔵野夫人
▽大佛次郎 赤穂浪士
▽梶井基次郎(作品未定)
▽川口松太郎 しぐれ茶屋おりく
▽北方謙三 檻
▽小島信夫 抱擁家族
▽末永直海 百円シンガー極楽天使
▽永井荷風 腕くらべ(または「ボク東綺譚」ボクはサンズイに「墨」)
▽夏目漱石 坊っちゃん
▽長谷川伸 日本捕虜志
▽林芙美子 浮雲
▽藤沢周平(作品未定)
▽山田太一 異人たちとの夏
▽夢野久作 ドグラ・マグラ
▽横森理香 ぼぎちん バブル純愛物語
▽吉行淳之介 夕暮まで
 末永直海ってだれ?最近の作家さんにはうとくなったけど、日本を代表する人なんですか。

 川端康成大江健三郎のノーベル賞コンビや三島由紀夫谷崎潤一郎安部公房が載っていないのは、すでに翻訳されているということなんだろうね。
 山本周五郎中島敦なんて方が外人には受けそうだけど、北方謙三かあ。翻訳しちゃえば文章のうまい下手はあまり伝わらないからいいか。
 逆に岡本綺堂の名文と江戸情緒を翻訳するのは至難の業だろうし、それが伝わらなければ紹介する意味がない。外人に教えるのはもったいないので、日本人だけの楽しみにとっておいた方がいいような。

 『ドグラ・マグラ』とくるなら『家畜人ヤプー』だったら、もっと外人の度肝を抜けると思うぞ。
 筒井康隆はどのくらい翻訳されているのだろうか。『虚航船団』がどんな国でどう読まれるのか知りたい気がする。
 私のおすすめは小林恭二なんだけど、選定委員が田辺聖子に福田和也では選ばれないか。

2002/10/13(日)青松寺/ウィーン美術史美術館名品展

 娘の学校の文化祭に妻と顔を出し、文化祭はそこそこに、まず近くの芝愛宕の青松寺へ。
 ここには籔内佐斗司の十六羅漢像が収められ、今は四天王像の制作が行われているらしい。残念ながら、11月の復興大伽藍落慶法要までは一般公開はされていない。しかし、広い境内のそこかしこに籔内作品が設置されているので、散歩してるだけで十分楽しめる。
 境内の高台の望楼にはやはり籔内作品の「十二支の摩尼車」が取りつけられている。
十二支の内「申」
 涼しい風が気持ちの良い望楼には、昔愛宕に住んでいて懐かしくてたずねてきたという老婦人と、私たち夫婦しかいない。連休で東京タワー行きの観光バスでごったがえす下界の喧騒がうそのようである。

 続いて東京芸大美術館の『ウィーン美術史美術館名品展』へ。
 サブタイトルが「-ルネサンスからバロックへ-」というのだが、まさしくその通りの内容。
 特にカラバッジョや彼の後継者ジェンティレスキの写実表現が圧巻だ。「人物をリアルに描く」という技術はこの頃(16〜17世紀)にはもう完成されているんだね。

 他には北方マニエリスムの現代のゲーム世界にも通ずるような建築絵画や、私がこれまでに見た最高最凶のメデューサ絵、ルーベンスの「メデューサの頭部」などなど。

 谷中の「シャーレースイスミニ」で軽食。谷中まつりでいつになく混雑していた。経営者の謎のスイス人デニーさんも上機嫌のようだ。

2002/10/10(木)作業着の似合うノーベル賞

 ニュースがはじまったときは明和電機の新製品発表会かと思ったのだが、違った。島津製作所の新製、ではなく、田中耕一さんのノーベル化学賞受賞の会見だった。

 アジア大会では中国や韓国に水を開けられているけど、さすがに科学技術はたいしたものだ。これで理数離れに歯止めがかかる・・といけばいいけどね。
 東大でも京大でもなく、博士でもない民間人の主任さんの受賞・・色んな意味で励みになった人が多いことだろう。日本的序列をくずされてむっとしてる奴もいるだろうと思うと、ちょっと愉快であるし。

 心配なのは、田中さん、大御所先生たちの受賞とは違って上司同僚たちからのやっかみとかは大丈夫なのかね。他人事ながら心配してしまいます。まあ、そんな環境だったら、ノーベル賞に値するような研究はできなかっただろうとは思うけど。
 他の企業で「これから発表論文の署名は全部おれの名前にしろ」なんていうバカ社長が出てくるのではないだろうか。そんなとこが賞とれることはないだろうから心配はしていないが。(私が心配することでもないけど)

2002/10/09(水)TVボディダブルな人々

 「竹中ショック」とやらで、株価がずるんずるん落ちていますが、その竹中平蔵大臣、一部ではヤワラちゃんこと田村亮子に似ているといわれているが、私の見るところえなりの弟にそっくりである。リンク先の写真ではあまり似てないが、機会があったらじっくりご覧になることをおすすめする。

 えなりの弟が日本経済の舵取りをしてるというのも、なんだかお尻がむずむずするが、では兄貴のえなりかずきが誰に似てるかといえば、これが一部のOLのおねーさんがたに人気のTBSアナウンサー安住紳一郎に良く似ている。

 安住ファンらしい私の妹に話したら「似てないわよっ!!」と激怒しておりました。
 そりゃあ、髪型とか顔全体の印象とかは似てないけど、眼及び目つきがそっくりなのだ。良く見てごらん。
 といったら、もっと恐い顔で「うるさいわね!・・今ちょっとそうかも、と思っちゃったじゃない!!」と怒られてしまった。
 ほーら、やっぱり、似てるじゃないか。
 

 横尾忠則『名画裸婦感応術』(光文社知恵の森文庫)、京極夏彦『嗤う伊右衛門』(角川文庫)、『絡新婦の理』(講談社文庫)購入。

2002/10/06(日)ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団♪

 先々週の『内藤ルネ展』に引き続き弥生美術館に『江戸川乱歩の少年探偵団展』を見に行く。

 大乱歩の名声を確固としたものにしたのは『二銭銅貨』『心理試験』『D坂の事件』『陰獣』『パノラマ島奇談』といった本格探偵小説の傑作群だろう。
 戦後書かれた、『蜘蛛男』や『吸血鬼』などは「通俗」といわれて評価は低い。いわんや子供向けに書かれた少年探偵団ものにおいておや。

 たしかにそのとおりではあるのだが、子供時代にタイトルの「少年探偵団の歌を聞いてそだった私のような人間には、その通俗ものの怪人怪盗サーカス団などが登場する怪しげな物語が、なんともなつかしいのである。

 狭い館内は、少年探偵団ものが連載されていた当時の怪しげな表紙絵やさし絵がいっぱいに展示されている。怪しげといっても絵自体はみな一流のさし絵画家だ。現代のイラストレーションと比べれば泥臭いセンスではある。しかし、しっかりしたデッサン力と場面を劇的に描く歌舞伎絵的手法は、「面白さ」という点では上回るのではないか。

 なにより名探偵明智小五郎の助手役の小林少年が、実に美少年に描かれているのが印象深い。それも近年の七三分けのモダンボーイ、鉄人28号の金田正太郎のようなのは、もうひとつ面白くない。やはり、戦後すぐのさし絵に描かれている坊主頭の小林少年がいい。濡れたような目にふっくらした唇、まさに眉目秀麗の美少年。乱歩のお稚児さん趣味を見事に視覚化した職人絵描きたちの手腕に脱帽である。

 特筆ものは少女クラブに連載していた『魔法人形』のさし絵だ。
 娘の美しさを永遠のものにするために発明した秘薬のために、生きながら人形になってしまう少女・・・といった話らしい。
 話自体、かなりきてるが、その中の、悪人をあざむくため小林少年が女装してわざと囚われるというエピソードのさし絵が展示されていた。
 小林少年が長椅子の中に閉じ込められ、椅子には何本も短剣が刺さっているという危機一髪のシーン。昭和30年代の上流夫人らしい、いわゆるワンピースに身を包み、悲痛な顔で腰をくねらせて剣をよける小林少年が異常に色っぽい。
 画家は私の好きな石原豪人。怪奇もののさし絵を得意としていたけど、さすがにやります。

 帰りは千駄木まで歩き、乱歩ゆかりのD坂=団子坂を散歩してから帰路につく。

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