泥臭い部屋

 私の大学に於ける知人友人の部屋をいくつか紹介したい。
 どれも凄絶な部屋ですぜ。

ワンルームマンション
(鉄筋コンクリート)
推定築15年
駅からそれなりに歩く

 割とまともなワンルームマンションだが、意外と古く、水道管からでる液体は赤錆ている。
 住人が勉強熱心なために本が多く、ベッドを置く余地はないようだ。これは私のワンルームマンション時代と同じ。しかしこの部屋の主は、布団を丸めて壁に立てかけ、物を積み上げて、大学の5年間辛抱したのだ。入学時に、下手にワンルームマンションにしてしまうと、合わない人は大変な例である。
 ちなみに、この部屋では酔っぱらいがしばしば大暴れし、キッチンの流しで小便をした者、スナック菓子を砕いて撒いた者、窓をたたき割った者など、さまざまな伝説が生まれている。


木造アパート
推定築25年
駅から極めて遠い

 壁は土壁、窓は曇りガラス、戸は引き戸という古い建物。風呂と便所は同じ空間にあるが、ユニットバスとかそんな気の利いたものではない。一昔前のJR両国駅の便所そっくりである。
 そこに住んでいる人間も凄絶で、部屋の掃除を年に1回程度しかしない。古新聞は一度も収集に出したことがなく、常に一升瓶やビール瓶が玄関にあふれ返り、ゴミが随所に散乱しているという有様。また、ここの住人にとっての掃除とは、空いているダンボール箱に物をぶち込んで、そのダンボールを部屋の隅に積み上げることらしい。そのため、物品が一度なくなると、捜索が困難である。
 この部屋はまさに泥臭い部屋の見本であり、多くのアホが極端に交通の便がわるいにもかかわらず、この部屋に頻繁に溜まっている。


木造アパート
推定築20年
駅からかなり歩く

 この部屋もなかなかに凄絶。
 ロフトが最大の特徴だが、このアパートに於いてロフトという名称が使えるのであろうか。ロフトの下はかなり巨大な収納となっており、かなりの物品が詰め込まれている。その中には特殊漫画が詰まった箱もあるとかないとか。
 ちなみに洗濯機は外にある。
 他の部屋と違い、物品は整然と整理され、風呂・便所はこまめに掃除されて清潔である・・・と部屋の住人は主張している。いや、実際きれいなんだけど。
 最大宿泊人数は、現在のところ8人。その様子は推して知るべし。


木造アパート
推定築30年
駅からそこそこ歩く

 この中でもっとも古いであろう住宅。雨戸の代わりに得体の知れない板が取り付けられている。また、この部屋は2階にあるのだが、年々床の高さが沈下している。床が抜けて、1階の住人を押し殺すのも時間の問題だとか。
 一応火災用の脱出ロープが取り付けられているが、この建物に一度火がついたら、逃げる間もなく全焼するのは必定。それだけボロで古い。壁板なんぞは数ミリしかなく、蹴りをかましたら、直径30センチもの大穴が空いたとのこと。しかも、壁板と壁板との間の隙間には、断熱材も何も入っておらず、空洞であった。
 ネズミが跳梁跋扈しているので、生ゴミの放置は厳禁。


 

軽量鉄骨アパート
推定築10年
駅から近い

 某駅から割と近く、近所にはコンビニもあり、新しく快適な学生アパート。部屋は畳、廊下はフローリングと、地方出身の男子学生に好まれそうな部屋。私も含めて、地方出身の男子学生は畳を好む。まあ、この部屋の畳には、どれだけの酒が吸い込まれたことか・・・。
 しかしこの部屋、とんでもない欠陥がいくつかある。
 まず、ドアの付け方が逆。ドアを開けると、まるで来客を拒むように開く。一人で帰宅したときはいいが、荷物の搬送や、多人数押し掛けるときには不便で仕方がない。私も何度もここには邪魔したが、入り口でつかえること毎回。
 もうひとつは、押入が半分しか開かないこと。図を見てもらえばわかるように、廊下の戸が閉まる分が邪魔で、押入の半分にしか戸を設置できないのだ。おかげで、布団はタテにして放り込むしかなかった。
 さらに言えば、冷蔵庫の設置スペースがない。そのため、ユニットバスへの出入り口が半分塞がれた格好となってしまった。
 どういう設計なんだろうか・・・。大した欠陥ではないように思えるが、最低4年住む部屋なのだから、こういう日常的な不満は軽視できない。というわけで、ここの主はわずか10ヶ月でここを解約してしまった。部屋選びの際に、細かいところもチェックしなければならないという例である。


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