徐々にアメリカ生活を楽しむ

 おかしな夢を見た。私が国に帰ったら、同期の●●が私の帰国会を催してるという電話が。そしてすでに、電話の向こう側の飲み屋に人々が集まっており、●●は出来あがっているようだ。私は「誰が貴様のやる帰国会なんぞに行くか!」と怒鳴りつけて、携帯をたたき壊すという・・・。ひでー夢である。
 起きたら時間は0615時。目覚ましはまだ鳴っていないが、とりあえず起きてこんなことを書く。


 初の登校日。Mrs.■■はちゃんと送る時間はわかっていた。当然なのだけれど。彼女の車で大学へ。礼を言って車を降りるときに聞いた。When will you pick me up?1730時だそうな。仕事で遅くなるとのこと。まあいいだろう。とりあえず確認し、約束した。
 大学のどこかに降ろされたが、ここはどこだ。どこに行けばいいんだ。どことは聞いていないが。偶然スタッフのトロイを見つけて、なんとかなったが、他の日本人連中はどうやって集まったのだろうか?他のホストファミリーが然るべき場所で皆を降ろして、私のホストがいい加減な場所に降ろしたということか?


 さて、大学で過ごすに当たっての注意を受ける。
 タバコは19歳以上。建物の中は全面禁煙、外でもドア・窓から25フィート以内はダメ。酒は21歳から。タバコ・酒を買える人間でも、州法に規定年齢以下の人間に渡してはいけない。これらに違反すると、ユタ州では罰金をとられ、さらには裁判所行き。強制送還。過去にこの大学で受け入れた留学生で、この違反で強制送還となった者がいた、ということなどなど。
 これを理解した・・・理解しようとした人間は、どれだけいただろうか?
 受験英語は役に立たないと言われし、現に私はコトバで難儀しているが、受け入れスタッフのわかりやすい発音ならば、この程度の内容理解できる。だが、一緒に来た連中の大半は高校生。それも、失礼だがそれほど出来そうではなかった。そのため、語彙の不足で注意の内容をほとんどわかっていないようだった。ま、彼らと私とで、hearing能力はそうかわらないだろうけど、語彙と文法も大切ということ。


 明日から集まる教室はUdvar-Hazy school of Bissinessということ。毎日やってくるレポートのこと。ホストファミリーと会話する宿題のことなどの説明を受ける。そして今週の週末は自由なので、ホストとどこかに行ってもいいし、寝ててもいい、大学が提供するOptional Grand Canyon Trip(50$、Dinner付き、0900-2000)に参加してもいい、ということ。次々と情報が。今までの落ち着かなさは、先が見えないことのせいもあったのだろう。一安心。


 conversation test.
 さっぱり聞き取れず。いやはや。
 だからこそ勉強に来ているのだが。


 休み時間、ダイエットペプシの592mlペットボトルを買う。1$。自販機で。アメリカの自販機は決まった面、決まった向きで札を入れないといかんらしい。しかも認識がタイトだ。日本の自販機技術の方が上だな。
 このペプシが生命線だ。清涼飲料水を飲む習慣がない私には、あんまり飲みたい代物ではなかったのだが、自販に水や茶などもちろんなかった。湿度は高くて5%、気温は摂氏で40度のこの地では、水分摂取は欠かせない。だから必ず飲み物は持ち歩けと言われた。実際その通りだった。乾く。


 昼食。先生がメシの買い方を教えてくれた。カウンターで注文をし、そこで書かれた注文票をレジに提出。そこでカネを払う。注文票にはpaidの判が押されて返される。そして食堂で待つ。できあがった食い物を持って店員が番号を叫び、注文票と同じ番号を呼ばれたらとりにいく。注文票を渡して受け取る。書くと長いが簡単だ。だが、私にはなじみのないシステムだった。
 喰ったものはテリヤキチキンバーガーとFF(French Fried、つまりフライドポテト)。「地獄の軍団スクワッド」で、ハフナー上級曹長とヘリのパイロットとのセリフがようやくわかった。フレンチフライとはフライドポテトだったのか。
 日本でハンバーガー1つとポテトではさすがに物足りないが、ハンバーガー自体デカく、フライドポテトも日本のLの倍の量はあった。十二分である。とりあえず量は。でも、こんなに油脂・タンパク質・炭水化物・塩分を採り続けていたら、健康にわるそう。しかし、この手のジャンクフードしかない。


 さて、午後はactivity、つまり課外活動。今日は、Campus Introductionだそうな。地図と紙を渡され、大学内のあちこちを回って、決められた人のサインをもらったり、問題に答えたりするというもの。
 ははあ・・・なるほど。高校生が多い理由がわかったよ。別に集中講義で語学力を鍛え上げる研修ではなく、活動をゲーム感覚でやっていく代物ということか。なんか仲介会社の説明と違うんだよね。まあ、それはそれでいいんだけれど。
 4人で組んだ班を組み、私は東京理科大学の4年生と、高校生の女2人と組んだ。理科大は私と同じ1浪で4年、有名大学で、運動部。さらに言えば、留年決定していた。共通項が多く、彼とはまあうまくやっていけた。なにせ、12人中、大学生は私と理科大の2人しかいないのだ。同じような人間とは、やはり気も合うらしい。
 しかしながら、あとの2人。このガキぃ!暑い、寒い、飲みたい、欲しい・・・やかましい!ぶち殺されたいか!結局、この任務は私と理科大の二人でやり遂げたようなものであった。ガキどもは最初から活動しようという意志を放棄していた。


 1500時。少し前に撮った写真を使ったIDカードが上がった。それを受け取ってから、カリキュラムが終了。皆のホストが迎えに来る。私は2時間半待つ。Mrs.■■は1730時にならないと来ないからだ。ヒマもてあましていると、先日の台湾人留学生と会った。コンピュータ室でパソコンを使うことを提案される。「ほな、いきましょか」とのこと。
 ネットで自分のサイトなんぞにアクセス。もちろん日本語は表示されず文字化け。その中に、GIF画像の表札やボタンの日本語、しかも私直筆の筆文字だけ表示されるのが違和感覚えた。後ろを通るアメリカ人学生がこの画面を見ても、この「本日ハ晴天ナリ」の文字はただの記号なんだろうな。
 自分のサイトの他、「伊佐坂部屋」、後輩のサイト「カチョウノヘヤ」、普段掲示板に跳梁跋扈させて頂いている「円玉園」などを訪問。書き込む分には英語でもローマ字でも出来るので問題ないが、日本語の書き込みもコンテンツも一切読めない。一方通行である。


 となりのパソコンを使っている東洋人2人。日本語をしゃべっていた。日本人か。家族とメールをやりとりするのに、「C.C.ってのは何?」とか話していた。わからないようだ。私が見かねて言う。
「C.C.というのはカーボンコピーの略で、別のアドレスにも同時にメールを送れるとかその程度の意味です」
 いきなり日本語で横から声をかけられ、日本人留学生は目を剥いていた。ユタ州では白人以外を見ることはほとんどなかったが、大学内は別だ。多種多様な人種が見られる。私も別に日本人だとは思わなかったようだ。私は背は低いし、どう見ても東洋人だが、必ずしも日本人面に見えるというわけでもない。日本にいるから日本人に見られるだけである。
 まあ、文字化けとか少し話して、彼らとは別れた。あんまり長時間パソコンを占有するのはまずい。
 それにしても彼ら、Eメールのアカウントを持っているとは、長期留学者なのだろう。英語に関しては私なんぞ比較にならないほど出来るに違いないが、パソコンの知識はそうないようだ。まあ、私も人様に自慢できるほどの知識は持ち合わせてはいないが。


 コンピュータ室を離れ、学内の写真を撮ったり(もちろん被写体は大学の風景であると同時に、ユタ州に居る自分自身)、別の日本人に話しかけられたり。この日本人曰く、こんな田舎の大学でも、日本人は多いそうな。留学生の比率は日本人>韓国人>台湾人、コロンビア人etcといった順番らしい。
 キャンパス歩いていたら、あからさまに白人連中が私を避けた。アメリカ人は日本人よりも広いATフィールドを持っているので、他者との距離に気を遣う。ただそれだけのことなのかも知れないが、私がそんなにヤバそうな奴に見えたのだろうか?殴り合ったら、私が負けるに決まっているほどの体格差があるのだが。
 あと、キャンパスに警官が歩いていたが、これは構内に常駐しているらしい。トンファーとオートマティックを持っていおった。どの銃かまでは確認できず。だが、さすがアメリカだ。


 1700時に実家に電話を入れてみた。日本では0800時か、問題のない時間だ。この時間ならば親父もいるだろう。公衆電話からコレクトコール。他愛もないことを話し、一応無事を伝える。渡米して何日目だったか、1本ぐらい電話入れてもいいだろう。
 ちなみに私の携帯電話C302Hもそのまま持ってきていたのだが、もちろんアメリカでは使えない。cdmaOneの中でもC111SAはアメリカでも特定の地域ならば使えるのだが、私には関係ない。しかし、アメリカで電源を入れてみると携帯には、圏外は表示されたりされなかったり。中継局と微弱な電波で交信しなければ圏外は消えないはずなのだが、どういうことか?もちろん受話器を上げても、通話も発信も出来ないが。


 1730時、やっと迎えが。Thank you for picking me up.とか言っておく。おせーよ、とは言えまい。仕事の都合ではどうにもなるまい。今日大学であったことを積極的に話し、車の中ではそれなりに会話できた。そして通じた。
 託児所に預けていたガキを拾い、家に帰る。車中でガキが泣きわめく。Mrs.■■はハンドルを握ったまま後ろを向いて、ガキをあやす。危ないって。私はガキと接しているところ話すのもわるいと思って黙っていたが、彼女は私が気分を害していると思ったのだろう。I'm sorry for (ガキがあるさいこと).と。後半は英語で何と言われた忘れたが、意味だけ覚えている。別に私は、ガキがうるさいことで怒るほど狭量な人間ではないよ。でも、押し黙っているというのは、彼女にとっては脅威だったのかもしれない。


 さて、家に着き、今日になってやって持参した手土産を渡す。忘れていたとか、テキトーなことを言って。
・中央大学ポストカード
 1枚ずつ取り出して、感想らしきことを述べる。
・ホンダクリオでもらったキーホルダー
 Oh!What meen "Clio"?とのことで、It meens "Honda Shop".と答える。
・東海道五十三次のトランプ
 Wow!Wonderful!!とすごく喜んでくれた。
・「オネアミスの翼」の英語版
 その場で内容を観られるわけじゃないから感想は言えないが、Oh!とか言っていた。
 一応、It is animation,but not for child.とは言っておいた。アメリカの規制の観点では、これはR指定ぐらいになるかも。まあ、念のため。
・「カードキャプターさくら」バイリンガル版1巻
 表紙が反対側からから、というのが不思議だったようだ。絵が美しいと感嘆し、この本は早速リビングの本棚に。  
・高級なふろしき
 テーブルクロスに使ってくれ、と言っておいた。これが一番喜ばれたようだった。あなたのセンスはいい、とか言ってた。まあ、私が選んだのではないのだけど。


 今日の晩飯は、うまかった。別にプレゼントのせいというわけではなく、Mrs.■■の料理はうまいのだ。いつぞや行った彼女の友人宅とはえらい違いである。今まではシリアルとかドーナッツとかそんなのばっかだったが、料理はうまい。すばらしい。
 醤油(わりと一般的らしい)とスパイスをふんだんに使用し、そしてスプレー式のパターも使う。調理中に、スプレーの噴射音を聞いたときは、どんな恐ろしいものを喰わせる気だ、と思ったが、バターがスプレーですか。
 内容は、米(日本米と違って粘性がまったくないが、スパイスとそれがよくあった)、レモン汁で炒めた肉、スプレーを使って仕上げたゆでたにんじん。品目は多くはないが、学食のジャンクフードなのぞよりうまいし、栄養価がありそうだ。


 メシの感想を述べて、明日の予定の確認をして、部屋に戻る。これで、それぞれが自分のプライベートに引っ込む。だが、今日はずいぶんと、彼女との意志疎通はうまくいった。


 私はトランクの容積の問題から、辞書をコンパクトな英和・和英の合併版しか持ってこなかった。三省堂のExceed英和・和英辞典<中型版>である。これは一冊で和英・英和の両方を兼ね、しかも軽量コンパクトなため、いつでも持ち歩ける。さすがにポケットには入らないが、携帯用としては必要十分なものである。出発前に、中大生協で長い時間かけて比較検討した辞書だ。それなりの価値はある。
 だが、あと2冊は欲しいところ。1冊はジーニアスとか高校あたりで使う学習英和辞典。文法や用法が詳しく載っているので、これはあると重宝しただろう。それと、リーダーズ英和辞典。簡易な辞書では、どうしてもわからないことの方が多い。これぐらい詳しい辞書も必要だ。しかし、Exceed英和・和英辞典<中型版>しかない以上、これでやっていくしかないだろう。基礎的なことはこれで十分。
 アメリカに滞在して数日。受験勉強も意味があると実感している。かつて詰め込んで忘れた語も、すぐに思い出せるし、思い出せばすぐに認識できる。あと、必死に英文読みまくったおかげで、前置詞の用法や接頭語はある程度感覚的に用いることが出来る。
 一方、同じグループの高校生連中。彼ら彼女らは、私の辞書よりも薄いコンパクト辞書か電子辞書しか持ってきておらず、しかも語彙や文法を本腰入れてやったことがないので、どうしても認識するのに時間がかかる。やはり、受験勉強で蓄えた語彙や文法知識、ある程度の感覚はムダではないのである。


戻る