HA78氏、最終号令
2001年12月06日(木)


 本日は、棒術部4年のHA78氏(仮名)の最終号令であった。
 稽古内容は、型の数稽古。棒の型を100本繰り返したとのことである。この日の稽古参加者が20人か30人かはわからないが、「78本目!」などとHA78氏が号令をとるたびに、一斉にこれだけの人数が気勢を上げるのは壮観であった。
 ちなみに、HA78氏は昨夜、夢で最終号令の様子を見たような。その夢では、HA78氏が「火の型100本やるぞ!」と命ずると、主将の.32グラム氏(仮名)と副将のトーマス氏(仮名)が話し合い、「おまえには号令はやらせん」と言い放ったという。凄絶な夢である。この日の稽古は、つつがなく終わったのだが。
 私は稽古についてデカいことのひとつも言えないが、私は稽古というものは数稽古だと思っている。雑多な技をあれこれやるのもよいし、高度な技に挑戦するのも意義あることだ。だが、稽古として身体のフォーマットを慣らすためには、基本技と型をひたやらやることが肝要と私は考えている。この方針を巡って、過去には先輩と対立したこともあったが、私の稽古思想は数稽古だ。その意味に於いてはHA78氏の稽古はなかなか好感の持てるものであった。


 稽古後は、部室に於いて飲み会が開催された。
 最終号令が続くと、慰労の飲みが毎日続く。それ以外の飲み会もあり、2週間近くほぼ毎日酒を飲んでいる者さえもいる始末。これではカネがかかって仕方がないということで、安上がりな部室飲みとなった。部室に何人集まった飲んだのかは数えていないが、20人近くいたような。恐るべき人口密度であり、車座になどとてもなれず、混沌とした飲みであった。ま、こういうのもまた、いいのだが。


 ちなみに、この後、П氏(仮名)宅に1年生が押し掛けたとのことだが、П氏は「ココロ図書館」を強制的に視聴させ、「このキチ@イ!」などと画面に向かって叫んでいたとのことである・・・。


 ちなみに、毎週木曜は棒術部の稽古場を侵犯してタマ遊びをしようとするクズが、高い頻度で訪れていた。どこのサークルにも属していない遊び仲間か、あるいはサークルの仲良しグループであろう。バスケットボールを持って体育館をうろついている連中だ。
 体育館というのは、基本的に公認部会の稽古/練習と体育の実技でしか使えない。申請をすればどの学生でも使えるのかもしれないし、空いているコートを借用しても悪いということはない。だが、この連中はこともあろうか、会議と外交努力と当局への貢献によって体育施設使用の割り当てを勝ち取った体育部会が、今まさに使っているコートに不法侵入して、タマ遊びをしようとする。我が棒術部に対しても行うし、他のサークルに対しても侵犯を試みる。


 我々がバスケコートで稽古をしていて、技の説明なんかで部員が集まり、ちょっとバスケのゴール周囲の空間が空くと、さっそくエテ公のごとくボールを持ち出し、ゴールにシュートを決めて遊びくさる。今の時間、我々の稽古で占有している空間、しかも努力の末に正規の許可をもらい、今まさに使っている空間に文字通り土足で踏み込み、遊ぶとはいい度胸だ。一定時間、コート全面を使っているということは人並みの視力があればわかるはずなのだが、奴らにはゴールの周囲半径2〜3メートルに障害物(つまり人)が存在するかしないかという、極めて純物理的かつ瞬間的な認識しかできないらしい。
 今までは奴らが侵入する度に、その日その日の号令者が叩き出してきたのだが、1分もすると、またボールを持ってコートに躍り出る。貴様らは鶏か!?記憶容量は何バイトだ!?数十秒前に叩き出されて引っ込んだ記憶は、どこに失せた。この心理は、2001年04月11日(水)の「3.混み合う往来でキャッチボール」のアホどもと同じものであろう。些細な欲望を抑制できず、他者が何かしてくるという些細な想像力も希薄という。
 こうしたクズは今日も来ていた。


 今日はHA78氏の最終号令。4年間稽古人として棒術部員としてやってきた人間の、稽古面に於いての晴れ舞台である。最後の華である。それを汚すことは許さぬ。私は夏休みからヒゲを剃っておらず、髪は冬でも短髪。背は平均値だが、肩幅は広い。しかも近眼で目つきは悪い。この私の外見は、結構怖いらしい。バスケボールを抱えたクズどもが、観客席の手すりを乗り越えて、稽古場に降りようとする素振りを見せるたびに、殺すつもりでガンをつけた。相手が目をそらすまで、圧力かけ続けた。もし、視線に人間を殺傷せしめる力があったら、私の勝利だった。奴らは結局、観客席の手すりを乗り越えようとしていたのを思いとどまり、足を降ろした。まあ、例によって奴らはしばらくすると再び同じ事をするのだが、私もその度に圧力をかけ続けた。これを何回続けたことか。
 そして、100本の型の数稽古の気迫もあったであろう。奴らはついには、稽古場に降りることはなかった。もっとハデに奴らの挑発に応えまくってやってもよかったのだが、それは号令者たるHA78氏の顔を潰すこととなる。バスケが出来ない不満を示すかのように、我々に対して挑発的な動作をする者もあったが・・・。


 稽古が終わった瞬間、私が奴らが登っている観客席のしきりの壁を、何者をも省みず、全霊の力を込めて正拳突きした。響き渡る打撃音。観客席の手すりにかけていた足を、奴らが引っ込めたのは言うまでもない。
 ちなみに、私の右手は出血した上、付け根から小指と中指の骨が少しずれたのは秘密である。右手を自力で開けなくなったので、左手で戻したけど、内出血で紫色に腫れ上がったものであった。まったく突きの修行が足りんわい。もっとも、壁などというハードターゲットは掌底で突くものなのだが、後先考えずに正拳で突いた私がアホである。

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