登場兵器


 中学高校時代、私は軍用機マニアとしての側面もあった。幼少期に読んだ「影の戦闘隊」の影響か、いつから航空雑誌を買いあさり、PC9801で当時数少なかったフライトシュミレーターをやり、「大戦略」で航空作戦に全力を傾けるようになったのかは自分でも定かではない。
 だが、もともとささやかだった軍用機関連の書籍購買を、予備校・大学で上京するのを契機にほとんど止めてしまった。もう何年間も軍用機趣味は停滞している。それゆえ、私の軍用機に関する知識はあまりにも乏しい。このページにおいては、間違い・不適切な記述があるかもしれないが、それらはご容赦を。また、メーカーは合従連衡を繰り返している上、各航空機のライセンスはさらに複雑に取引されているので、現在の呼称しは必ずしも一致しません。


アメリカ開発兵器 

◆戦闘機

・マクダネルダグラスF4ファントムU
 作中に登場するファントムは、自衛隊のF4EJの他は、すべてF4Eのようである。ベトナム戦争より帰投中の米海軍空母に載っていたファントムまでE型だというのは、少し疑問を覚えるが、まあそこまでこだわる必要はなかろう。F14やF15と当時の最新鋭機種が幅を利かせている劇中では、ファントムはもっぱらやられ役であり、目立った活躍はしていない。

・ノースロップ5EタイガーU
 作中では、「スコーピオン」細菌工場の防空戦闘機として登場する。和城達のB52を迎撃に出たF5E二機は、反撃のないB52相手にミサイルを惜しみ、機関砲しか使わず、和城の奇策によって空中衝突してしまった。だが、和城らのB52がF5Eに対して地表限界の低空飛行を行ったのは適切な行動だった。ルックダウン(つまり下方索敵)能力が欠如し、グラウンド・マッピングや地形回避機能も持たないF5Eは、低空への攻撃が不得手だからだ。だが、同高度でB52の背後につけたとき、サイドワインダーを撃っていれば、それで終わったはずなのだが・・・。
 ちなみに、F5Eパイロットは搭載機関砲を「バルカン砲」と言っているが、搭載されているのはM39・20o機関砲である。「スコーピオン」では航空機搭載機関砲を慣用的に「バルカン砲」と読んでいるのかもしれない。

・グラマンF14トムキャット
・マクダネルダグラスF15イーグル

◆攻撃機

・ダグラスA4スカイホーク
・LTV・A7コルセアU
・フェアチャイルドA10サンダーボルトU

◆戦闘爆撃機

・ジェネラルダイナミックスF111
 型はわからないが、作中では和城達の「影の戦闘隊」のもとへ配備されるはずであった。ドッグファイトで和城のF15に簡単に撃墜されたため、あまり読者の印象はよくないであろうが、対地攻撃能力は一流であり、リビア爆撃や湾岸戦争ではその攻撃力が証明されている。低空侵攻の全天候性やECM能力も高く、サバイバビリティはF105の比ではない。隊員達が、かなりの戦力になると喜ぶのは決して大袈裟ではない。
 だが、戦闘機としては本格的な性能を持つわけではないので、F15とのドッグファイトでは分が悪すぎた。

◆爆撃機

・ボーイングB52ストラトフォートレス
 作中に於いてB52は、「スコーピオン」によって細菌兵器を散布された佐貫島に対する全島規模の爆撃、「スコーピオン」細菌工場の攻撃に登場した。散布された細菌兵器は抗生物質で対処できる程度の代物。しかも撒かれたのは外界から隔離された離島。はたして、佐貫島に対してナパームによる焼却をする必要があったのかは疑問だが。
 和城らは「スコーピオン」細菌工場への爆撃に際して、高々度からの爆撃ではなく、割と低空でのアプローチを図った。だが、結局「スコーピオン」に捕捉され、F5Eの迎撃を受けてしまった。高々度からの爆撃では、もちろん容易にレーダーで捕捉されたであろうが、より低空で侵入すれば、発見が遅れたはずである。和城らは細菌工場を守る防空部隊を想定しておらず、油断があったと言わざるを得ない。結局、F5Eに対して空中衝突という奇策をとるしかなく、ダメージを受けた機体ごと細菌工場に突っ込ませるしかなかった。

・ロックウェルB1ランサー

◆偵察機

・グラマンOV1モホーク
・ロッキードSR71

◆練習機

・ロッキードT33
  作中作中では練習機として登場。しかし訓練生と教官が乗り込んで操縦訓練をするのではなく、F4の射撃訓練用の的を曳く役として登場。しかも訓練を終えて帰投するF4が撃墜されたのに対し、その前にF4と分かれたT33は被害を受けなかった。
 T33は非常に扱いにくく、それ故乗りこなせば一流になれると言われた機体だった。稼働率・整備性もよく、訓練生に長く使われた機体であった。自衛隊パイロットにとっては、T33は特別な思い入れのある機体であろう。航空自衛隊に籍を置いていた原作者の武論尊氏は、それ故に、T33を墜としたくなかったのかもしれない。

◆対潜哨戒機

・ロッキードP3Cオライオン
・ロッキードS3バイキング

◆輸送機

・ロッキードC5ギャラクシー

◆早期警戒機

・グラマンE2

◆SAMシステム

・ホーク
・ナイキ
・SAM-D
 中・高高度用の地対空ミサイル。1966年から開発の始まったパトリオットミサイルのこと。パトリオットミサイルは1984年から配備されはじめたのだが、1980年にはすでに限定的ながら生産がはじまっていいた。それを鑑みれば、1980年代という「近未来」が舞台の「影の戦闘隊」にパトリオットミサイルが登場してもおかしくはないが、凄まじいまでの最新兵器であった。SAM-Dミサイルが描かれた話は、1978〜79年に制作されたと思われるが、よく実戦配備もされていない兵器を登場させたものである。
 こんな最新鋭兵器が配備される「スコーピオン」は、アメリカ政府か兵器メーカーと、よほど密接な関係があるに違いない。

◆航空母艦

・キティー・ホーク級
 「影の戦闘隊」では、キティー・ホーク級空母「インディアン」なる空母が存在する。実在のキティー・ホーク級空母と同様にベトナム戦争へ派遣され、アメリカへの帰還途中で消息を絶った。そして、「スコーピオン」の空母として日本侵略に派遣され、民間旅客機の戦闘機によるハイジャック作戦の拠点として用いられた。和城の乗るP3Cに魚雷攻撃を受け爆発炎上し、沈没した。
 余談だが、いくら架空の空母といえども、アメリカ国民が自己の原罪の象徴たる「インディアン」という名を、軍艦につけるとは凄まじい。


米英共同開発兵器

◆V/STOL機

・ホーカマクダネルダグラス/ホーカーシドレーAV-8ハリアー


イギリス開発兵器

◆攻撃機

・BACライトニング

◆爆撃機

・ホーカーシドレーバルカン


独伊英共同開発兵器

◆攻撃機

・トーネード
 作中に登場するのはIDSである。当時はまだADVが登場していないこと、機関砲を2門搭載していることから、これは確実である。トーネード登場の話は1980年に描かれたのだが、なかなか最新機種を出すものである。
 劇中では対空攻撃しか行わないため、IDSの実力はあまり発揮されず、また悪役の乗機ゆえにすぐに撃墜されてしまった。それにしても、このような最新鋭機を入手しているとは、「スコーピオン」は国家や兵器企業と密接な関係にあるに違いない。


フランス開発兵器

◆戦闘機

・ダッソー ミラージュF1

◆攻撃機

・ダッソー シュペルエンダール

◆航空母艦

・クレマンソー級
 作中では、「クレマンソー」や「フォッシュ」というコトバは出てこない。それどころか、消息を絶って「スコーピオン」に乗っ取られた空母の名は「ドゴール」という。原子力空母「シャルル・ドゴール」を連想したが、クレマンソー級に代わる空母の建造は1980年に決定され、1989年に起工された。この話が書かれた1979年当時には、史実における「ドゴール」という空母は存在しない。だから私は、作中で「ドゴール」と名づけられたこの空母を、クレマンソー級と考えたのである。
 作中では、「スコーピオン」に奪われた「ドゴール」が日本攻撃に使われるが、結局艦載機のジャガーMはフェニックス・ミサイルの斉射で殲滅され、空母「ドゴール」は潜水空母「ポセイドン」のSSMによって撃沈された。フランスの威信の象徴であり、「ドゴール」の名を冠する空母が奪われ、そして撃沈されるなど国辱ものの出来事であろう。 


英仏共同開発兵器

◆攻撃機

・ジャガーM


日本開発兵器

◆攻撃機

・三菱F1

◆対潜哨戒機

・新明和PS1
・川崎P2J


イスラエル開発兵器

◆戦闘機

・IAIクフィル
 作中では「影の戦闘隊」隊員が数機使用していたが、F14やF15、ミラージュF1などの最新戦闘機を大量導入できる「影の戦闘隊」が、どうしてこのような機種を導入したのか疑問である。しかもそうしたクフィルは対地戦闘に投じられることはなく、もっぱら空対空戦闘で活躍していた。稼働率の高さ、堅牢な機体であるが故に、片桐や小谷隊員はこのクフィルを信頼していたのかもしれない。


旧ソ連開発兵器

◆戦闘機

・Su17"フラゴン"
・Mig21"フィッシュベッド"
・Mig25"フロッグフット"

◆爆撃機

・Tu16"バッジャー"
・Tu22"ブラインダー"


スウェーデン開発兵器 

◆戦闘機

・サーブ37ビゲン

◆攻撃機

・サーブ105


スイス開発兵器

◆対空機関砲

・エリコンL90


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