「クレクレタコラとは何ぞや」


 私は大学へ入学して、はじめて「クレクレタコラ」と邂逅した。私が入部した棒術部では、この作品のLDとテレビ神奈川の録画が古来から保管されており、部員の必須科目として扱われていた。私が大学に入る前、棒術部に入る前に、いったい何が起こっていたのか。「タコラ」はどう扱われていたのか。その手がかりとして、私の入学以前に書かれた先輩の文を掲載したい。


1996/12/19


 たしか1ヶ月前に「クレクレタコラ研究序説」の予告を行ったが、未だ観ていなぬ人のためにその前段階、「クレクレタコラとは何ぞや」について言及しておこう。度々私・■■・○○あたりの会話に登場するこの作品に、どれだけのインパクトがあるかについて軽く触れておこう。

作品解説

 S48東宝が製作。ゴジラやガメラと同じスタジオで、「当時問題であった公害(海洋汚染)により突然変異を起こした生物だそうだが、森の中に潜んで生活し、そこで起きるエピソードについて語った作品。」として完成。TV放映は1年間18:55〜19:00までで月〜金ペースフジTV系列全国14局ネットで放映。この作品の特徴として次の点が挙げられる。

 おそらく下線部の所は、未だに信じられないだろう。
 この作品の特徴として次の点が挙げられる。

1、粗末な設備

 同時期のガメラ・モスラと比べると、恐ろしいまでにチャチなつくりとなっている。色画用紙の背景・おそらくSTAFF持ち込みの小道具・子供だまし、いや子供すらだませないほどの特撮技術・ゴングとトロンボーンだけで8割を占める効果音・いい加減なデザインの登場人物(?)の着ぐるみ・・・どれをとっても安っぽくもうどうしようもなくわびしい。「総製作費19万8千円」という噂を流したら、高校時代の友人らは皆信じてしまったほどだ。ちなみに家の母親の第一印象は「粗末な番組・・・」だった。

2、無理ある設定

 果たして”設定”の存在すら危ぶまれる程の作品であるが、仮にあるということにして話そう。
タコラ・・・タコ→直立歩行化
チョ○ボ・・・ピーナッツの果実(殻ごと)→感情を持ち活動開始
モンロ・・・トド(♀)変色・装飾後森のアイドルと化す
トロロ・・・?→?(液体生命体の可能性アリ)
デブラ・・・リス→巨体となり肥満後直立
ビラゴン・・・?→?(ネズミにウナギが巻き付いたかんじ
トリオ怪獣・・・?→?(それぞれ「嘲笑」「号泣」「憤怒」を表し、おそらくそうした感情の具現化したものと推定される)

やはり下線部のあたりに疑問を持つものが多いと思われるが、おそらくそうであろうからどうしようもない。キャラ以外”設定”と呼ぶものもないので、以上。

3、絶望的に不条理なストーリー

 この番組で困る点を列挙していこう。以下箇条書きとする。

・毎日の様に略奪・強奪シーンがある(というよりないと話が始まらない)
・私刑(リンチ)は日常茶飯事(たまに流血)
・武器の乱用(金属バット・棍棒(殴打専用)・ピストル・日本刀・火薬類・大砲・弓矢)
・暴力革命の肯定(「タコラの独裁者」を参照)
・「物質主義」を至上とする世界
・まったく理解できない彼らの行動(飯が欲しいからハンガーストライキ)
・蝶をつかまえる為に将棋をうっておびきよせる
・他人に食われた食物を吐かせてまで取り返す
・運転免許をとってリアカーを引く
・教師、警察、神父、医師を1人の人物に任せてしまう(しかもデブラに)
・この荒廃した社会で銀行を営んだトリオ怪獣
・スター(死語)に対抗すべく”スターより偉いスター養成学校の先生”になるタコラとチョンボ
・そこに通う他の連中
・世界旅行に地球儀を持って行こうとする(デブラ)
・私的な理由で逮捕する警官(デブラ)
・すぐに警棒ふり回す警官(やっぱりデブラ)
・トドとガチャピンを足して2で割ったような姿であるモンロに惹かれる他の連中
・ろくな目に会わずにそれでもタコラの手下となるチョ○ボ
・意味もなく煙を吐くチョン○
・それにまったく言及しないナレーター
・チ○ンボの名前
・チョ○ボの存在・・・。
・オチが無い、難解、不可思議(でも強引にオトす。)
・ひょっとしたら脚本がないかも
・スタッフ全員がマリファナを吸ってから集団幻覚に従って場当たり的な撮影した恐れあり(チ○ンボの煙が説明つくね)

 もうおわかりであろう。ハッキリ言ってこれだけ粗末で、何とも誉めるべき所が全く見つからない作品は珍しいのだ。かなりヤバい要素を含む為幼児には適さない。あまりにもチャチな作りである為、小学生は見ない。中高生以上が関わる筈もない・・・。一体この作品の対象は誰なんだ!!
 高校時代、いや浪人時代に時間をさいて(何やってんだか)討論した結果こうでた。「あれは20年後のマニアにあてたメッセージなんだよ」。我こそはと思うものはビデオもお貸ししよう。きっと5分見たら5分、10分みたら10分人生の中の一部を無駄にした事に気づいて「時の有難み」を思い知ることができよう。
(最短記録、5分でリタイア。アベレージ、20分程度。最長記録3回連続通して)


戻る