解説



1,I am a boy.This is a octopus.
 あんまりでかいツラすんな、このタコ野郎。

 これは、鬼ヒゲより通訳に任ぜられた田沢1号生のセリフだが、言うまでもなく、これでは「私は少年です。これはタコです」になってしまう。ちなみに「a octopus」は「an octopus」の間違い。 

2,Why is that poor guy nuts about a girl like this?
 フフフしかしあのオッサン、こんな女のどこが気に入ったのかね。

 だいたい意味内容に問題はない。poor guyを「オッサン」と訳するのは、なにか物足りない気がするが。もっと侮蔑的な修飾語がほしいところ。

3,Geez!This bitch really wants to marry me.
 この女、おれと本気で結婚するつもりでいるんだぜ。

 これも文意には問題はないが、bitchは、直訳すると「淫売」。ひっでー言いようである。少年誌で使っていい言葉ではない。

4,I already have a wife and babies back in the States.
 おれには本国に女房と子供が待っているっていうのによ。

 「おれにはすでに女房子供がいる」というのを、「女房子供が待っている」というのは意訳として許容範囲か。Statesが合衆国なのは言うまでもないだろう。

5,Japanese gals want to love any foreigner.
 日本のギャルてな、外人みりゃあどいつもこいつもシリふってくる。

 これは使用英単語に問題がある。galには確かに、日本語で言う「ギャル」の意もあるが、あまり使われる表現ではない。さらにforeigner。これは「外国人」には違いないが、「よそ者」との意が強い。在日のアメリカ人が、自らをforeignerと自称するとは考えにくい。ここはGAIJINとローマ字表記した方がよほど自然である。

6,Thanks to this kind of Japanese bitch,I'm free to love any time and not run short of money.
 おかげでこづかいも、ナニの方も不自由しねえってわけだがな。

 なんかrun short of moneyという表現がひっかかる。amとrunが同格で、runの方だけが否定されているのだが、ただnotだけをつけるのではなく、don't runとするべきだ。ただnotとしただけでも通じなくもないとは思うが・・・。

7,Is it OK to say such stuff in front of her?
 フフフいいのかよかの女の前でそんなこといって。

 まあ問題ない。stuffは、ガラクタ、くだらないもの、ばかげた考え・話。

8,Sure,you know,she can't understand English at all.She is a really idiot,though she says she's a college student.
 なーに、女子大生なんていってるが頭の中はカラッポ。英語なんてわかりゃしねえよ。

 私が訳すると、「ああ、こいつは英語なんざ少しもわかっちゃいねえさ。学生だと言ってはいるが、マジで間抜けな奴だぜ」になるかな。idiotは、バカ、間抜けのくだけた言い方。

9,Ha-ha.Japan is a real paradise right?Baby.
 ワッハハ、まったく日本は外人天国だぜ、なあベイビー。

 意訳だが、この文脈に於いてはまあいいだろう。

10,Oops,my hand slipped.
 すまん、手がすべった。

 oopsは、「しまった」「おっと」など、失敗したときの驚きの声。少なくとも「すまん」という謝罪の意はない。日本語での「すまん」に、実際にはほとんど謝罪の意がないことを鑑みれば許容範囲。

11,Shit!You speak English?
 フフフてめえ英語ができんのか。

 shitは、桃にドタマをかち割られたことへの呻きなのだが、省略されている。あとの文意に問題はない。

12,Yeah,not with a good southern English accent like you,redneck!
 ああ、てめえの南部の田舎なまりまるだしよりはな。

 文意はちょいと意訳だがまあいいだろう。問題はredneckである。これは南部の最貧層の白人が、首を真っ赤に日に焼かせて肉体労働をすることをさした侮蔑的表現である。この単語自体とんでもない侮蔑表現なのだが、黒人に使うのはいかがなものかと。

13,Hey,you speak the same laungage,Jap.
 だったら話がはええ。

 文脈をふまえた意訳。

14,Don't you know I'm J.J.George,heavy weighter ranked of WBB,son of a bitch?
 プロボクシングWBB世界ヘビー級ランカー、J.J.ジョージ。

 「オレがWBBヘビー級ランカー、J.J.ジョージだってえことを知らねえのか、クソ野郎!」と訳するのがいいかと。言うまでもなくson of a bitchは直訳すると「淫売の息子」。凄まじい侮蔑表現につき、使わないように。

15,I'm the strongest!
 そいつあおれのことだーっ!!

 前の文章の続きでしかない。しかし、このフキダシだけを見ると、とんでもないとち狂った訳に見えて笑えた。

16,Sorry!I didn't say I would box with you.
 わるいな、おれはボクシングやるつもりはねえ。

 まあ文意に問題はないが、こういう文脈で皮肉的に「Sorry」などという言葉を使うのだろうか?

17,There's no need to count,I suppose.
 フフフ、カウントを数える必要はなさそうだな。

 ちょっと語尾がぼけるのが気になる。

18,Don't get carried away,Jap.
 ふざけやがってこのジャップ。

 まあ、そんな感じ。「とち狂ってんじゃねーぞ、このジャップ」の方がより的確ではある。


戻る