ステータスとしてのアニメ(高校前半)

 高校に入ってからしばらくの間は、「セーラームーンR」や「勇者特急マイトガイン」のような、特定のアニメを定期的に観るだけであった。アニメはあくまでたしなむ程度であり、娯楽の中心は洋画、マンガ、小説、銃器、ミリタリー。当時は特に仮想戦記小説にハマっていた。
 一般人らしい趣味は一切持たず、ゲームに関しては、ファミコンの次にスーパーファミコンを買わず、メガドライブやパソコンで「大戦略」にハマり、芸能人の名前や流行歌なんぞ一切知らん。私は完全に我が道を行く変人であった。


 そんな脱世間的な私の友人となったのは、やはり尋常ならざる連中であった。雨の中、野外で焼き肉をしたり、夜中に幣舞橋の袂で肩車をして写真を撮ったり、友人の下宿にたまって酒を喰らうなど、なかなか愉快な高校生活を送ることができた。その中には現在「伊佐坂部屋」なるサイトを共同運営している伊佐坂やくさかりべなどもいた。


 我々はアホの集まりではあっても、別に「オタク」の集団などではなかった。しかし、仲間のうちの何人かはアニメを観ていることが発覚した。例えば私の「セーラームーンR」、ナイワン(仮名)の「新機動戦記ガンダムW」、総統(仮名)の「魔法陣グルグル」など。もしかしたら、兄弟と一緒に観ていただけだったのかも知れないが。
 尋常ならざるがモットーの我々のこと、すぐに他の人間が観ている番組も観始めた。別にその番組に興味があったというわけではない。観ることに意義があったのだ。アニメという脱世間的を観るということに、奇人としてのステータスを感じ始めていたのである。


 付け加えておくと、我々の仲間の全員がアニメを観始めたわけではない。あくまで、仲間内でのネタのひとつとして、半分程度の人間が観たにすぎない。話題作りのためにわざわざ観ていた、という者さえもいた。残りの半分の人間もアニメを観ることはしなかったが、尋常ならざる行為としてのアニメ鑑賞は認めていた。
 そうして自発的意志で次々とアニメ番組を漁り始めたのが運の尽き・・・。
 これが私の高校時代の前半である。

作成日1999/11/17


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