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【揚羽石】(あげはいし)
アフォーリア大陸原産の宝石。英名をレインボー・ストーンと言う。名前の通り、七色の光を放つ希少価値の高い宝石。
この宝石の主要原産国である、ザベージのモッペラ族に伝わる言い伝えによると、この石には願いを一度だけ叶えてくれる効果があるそうで、部族のシャーマンに代々伝えられているらしい。
「伝えて、マイハート」では、宇都宮瑞穂に槍下冷夢がプレゼントしている。
【貴方を待っている】(あなたをまっている)
「鈴の音は魔の調べ」事件の一週間後のコンサアトで初披露されたラブソング。スチュアートへの思いを込めたこの曲は、そのコンサアトの一月後に発売され、世界的なヒットとなり、日本でも五十万枚の売り上げを記録した。
【アポーツ】(あぽーつ)
薄野深舞香が手に入れた能力。
思い描いた物を取り寄せることができる。
【操り(仮称)】(あやつり)
藍群清人に備わった能力、群衆の上に漫画の「吹き出し」のような形で群集心理を見いだすことが出来る。それに細工をして、群衆の中の一人に「落とし」てやることによって、人を操ることが出来る。かっこいい名前募集中。
【五行】(ウーシン)
陰陽五行説に基づいた、この世の事象全てが木火土金水(もっかどこんすい)のいずれかの原素の支配を受けて成り立っているという考え方。
それぞれの原素には、生成、相生、相剋と言った相性が存在すると考えている。道(タオ)の思想に染まって育った中華人は、一般にこの五行の影響を受けやすいと考えられている。
【ヴェルローゼス】(う゛ぇるろーぜす)
東都に新しくオープンした、西洋菓子店。「強聴者」で、丹沢静音が、ここのショートケーキを持って探偵事務所を訪れるという描写がある。オーナーは、フロラン帰りで、味は保証付き、少々値段が高いのが難点だが、若い東都娘を中心に、なかなかの好評を博している。
【欧州】(おうしゅう)
主として、イギリン(英)、フロラン(仏)、ドネリア(独)など、ユーロパニア一帯のことを示す言葉。
この時代、迷流のような欧州かぶれを始めとして、若い人々に、モダーンな欧州風のものがはやっている。
【大迫】(おおさこ)
関西地方の主要都市。古来より商業都市として発展してきた、関東とは一風変わった文化背景を持つ。最近は、大迫在住の作家が増えてきて、一大ムーブメントを起こしている。 交通網が整備されたことと相まって、最近は東都の出版社もこぞって、上方の文人に寄稿依頼をしているという。
【影葵】(かげあおい)
北陸地方の小村。氏子である縁澤家から南に向かって広がる。
昼なお明るい東都の町とは対照的に、この村では未だに因習が闇の中に息づいている。
村を守護している神は『鳥』(朱雀?)、しかし、縁澤尚芳の手によってその加護は失われ、縁澤家は炎に包まれた。
【影白虎】(かげびゃっこ)
影葵から川を上流に向かったところに数年前までは存在した小村。
村を治める神として、白き虎、『白虎』が崇められ、時としてその化身として生まれるという白子を奉っていたと言うが、長い歴史の中で、白子は祝福された子供から、『忌み子』へと変化していったという。
数年前、干ばつが起きた際にそれを領主の家に生まれた忌み子の所為だとして、村人が暴動を起こし、屋敷に火が放たれた。
それ以降、村人は一人減り、二人減り今ではすっかり廃村になってしまったのだという。
【樫の宮の姫君】(かしのみやのひめぎみ)
歎異抄大正八年第十号に掲載された、花田土門と葉・ロイフォードの合作ユニット、花葉田土呂井のデビュー作。
戦国時代を舞台に、松嵜清嗣とその義理の妹日夜との愛と、清嗣の苦難の決断について幻想的な筆致で描いた作品。
一節には花田と葉、彼ら自身の経験が元になっているとも言われているが定かではない。
【神嘉戸】(かみかど)
東都の地名の一つ。旧華族などの名家が連なる、本邦建築の目立つ高級住宅地。丹沢静音の実家である露倉家は、ここにある。
【貴知久出版】(きちくしゅっぱん)
東都の坂本町の三丁目、華茂野須木(けものずき)ビルヂングにある中堅どころの出版社。文芸、科学情報、大衆、と幅広いジャンルを扱うことで有名。
代表的な雑誌は、総合雑誌の「歎異抄」、文芸雑誌の「ミュゼ」など。
【吸血石】(きゅうけつせき)
アフォーリア大陸原産の宝石、ダイヤモンドの主要原産国である、ザベージでも非常に珍しいとされる赤いダイヤモンド。
所有している人物に災いをもたらすと言われており、シシールの女王に死をもたらした後に、ユーロパニアはザプセンブル−グの一族の手に渡り、そこの皇女であるアントワーヌの命をも奪ったとされる。
所有者に体の中の血液全てを失ってしまう奇病をもたらすこの石の正体は、実は吸血虫という、一種の寄生虫であった。
【草苅】(くさかり)
東都の地名の一つ。住宅地だけではなく、行政機関なども幾つか建ち並び始めており、最近では「小都心」と呼ばれることも有る。
東都大警察もこの辺りにあり、迷流の事務所も、ここの「伊坂ビルヂング」の2階にある。
【首刈り峠の怪僧】(くびかりとうげのかいそう)
歎異抄大正八年第八号に掲載された、葉・ロイフォードの手による小説。
妖怪変化が出ると噂される『首刈り峠』を訪れた男が出会った怪異をテンポの良い語り口で語った快作。
評論家筋の間でも新境地と褒めそやされた。
【幻夢庵】(げんむあん)
東都は綴喜橋の中華人外の一角にある古道具屋。なかなかに変わった品揃えではあるが、それほど客の入りは良くはない。
店主は丸いサングラスを掛けた老人だが、実はその正体は東都を騒がす怪盗の魔韻羅銘である。ある合い言葉を言うと、地下にある魔韻の事務所に通されて、怪盗に依頼をすることが出来る。
【強聴】(ごうちょう)
石田に備わっていた能力。例えどのような小さな音だとしても、逃すことなく聞く事が出来る。
【坂本町】(さかもとちょう)
東都の地名の一つ。多くの出版社のビルや、本屋、古本屋などが建ち並ぶ文芸の街として知られる。
東都日日新聞社や、貴知久出版などがあるのもここ。
【崎谷】(さきや)
関東を東都から海沿いに西に向かって下った半島一帯を指す。温泉も豊富で観光地としての人気が高い。
【事件予知】(じけんよち)
野次馬男に備わった能力。何となく事件の起こりそうな気配を察知して、事件の現場に居合わせることが出来る。
具体的にどのような事件が起きるのかではなく、ただ、事件がありそうだという事に気がつくだけなので、事件を未然に防ぐのには役には立たない。
【中華】(しな)
日本から見て、西に位置する大陸にある、歴史ある大国。正式名称は、中華共和国。(しなきょうわこく)
日本とも古くからのつきあいで、両国間の交流は盛ん。迷流の助手の美鈴も、この国の出身である。中華料理は美味と評判。
【想】(しゃん)
人間の持っている「想い」の力のこと。
黄老師(ホァンラオスー)率いる一派は、人が誰でも持っているこの力に注目して、媒介者(メイジエツ)と呼ばれる女性を用いて、その「想」の力が強い人々を特殊能力に目覚めさせると言う試みを行っている。
目覚める特殊能力は、やはりその人間が一番欲しいと望んでいた力になることが多い。従って、道の思想が人間の根底を占める中華では、どうも目覚める力が、五行(ウーシン)に関係したものが多いようで、黄老師は、道の思想がそれほど浸透していない日本の人間に白羽の矢を立てたらしい。
【水蛇】(しゅいしー)
青流が性交媒介者(シンジャオメイジエツ)である美鈴を抱いたことによって得た能力。
空気中の水分を即座に液化して、激しい流れを伴った蛇のようなものを生み出す。このようにして水で作られた蛇は、術者である彼の意のままに動くことができ、また、水蛇が見たり(?)聞いたり(?)した物は、青流も同じように感じ取ることが出来る。
能力の性質が花燃(ファラン)の火龍(フォロン)に対応した物になっているのは、彼の能力による羨望と嫉妬から来ているのかも知れない。
【朱雀】(すざく)
四神の一体で、南の方角を司ると言われる炎の鳥。影葵の神社の奥宮にあった御神体はこれに似た代物だったようだが・・・
【鈴の音は魔の調べ】(すずのねはまのしらべ)
昨年発売され、三十万枚という記録的な売り上げを上げたシャンソン。迷流も、丹沢静音も持っている。歌っているのは、フロラン人歌手の、シャルル・モッテンバーニ。
なお、彼女はつい先日日本で公演を行った。
【道】(たお)
中華に古くから伝わる教えの、道教の事。ただし、この場合は特に道教の中の陰陽道のことを指し示すようである。
【道士】(たおしー)
「道」使いの事。ただし、ここで言う道とは、一種の特殊能力を指し、また、媒介者によって能力を引き出されたものではなく古来より陰陽に通じた、修験者的な人々のことを指している。
【歎異抄】(たんにしょう)
貴知久出版発行の、一種の総合雑誌。それこそ時事ネタから、最新の科学技術、人気作家の小説など、何でも載っている。美鈴が特にお気に入りな様で、日本語を読むのがあまり得意ではない彼女は、よく、迷流に読んで貰っている。
ちなみに、この文章も、歎異抄編集部によって書かれています、宜しく。
【ちりんこさん】
全身黒づくめの格好をして、真っ黒な袋を担いで、言う事を聞かない悪い子を連れ去って言ってしまうと言われている。
シャルルが昔連れ去られたのも、この「ちりんこさん」に酷似した人物であり、美鈴の記憶の中にも、ちらりとそれらしい人物が登場している。
一種の人買いであろう事は間違いがない。
【綴喜橋】(つづきばし)
東都の地名の一つ。活気溢れる下町。
一歩足を路地に踏み入れると、貧民街や外国人街も姿を現す。魔韻の営む「幻夢庵」やおばちゃんの経営するタバコ屋があるのもここ。
【テレポート(限定)】(てれぽーと)
鏑木史彦が手に入れた能力。
自由自在に行きたい場所に行くことができる訳ではなく、自分の「自分の今一番行きたい所」という漠然とした目標に向かってテレポートすることができる能力。
【東都】(とうと)
日本の首都。活気があり、欧州風の建物も数多く建ち並ぶ。東都大警察や、東都病院は、その名に東都を冠している通り、それぞれ日本一の組織である。
連日様々な事件の発生するこの都市で、迷流藍花は猟奇を読み解いている。
【東都日日新聞】(とうとにちにちしんぶん)
坂本町の一丁目にある東都日日新聞社から発行されている、東都第二位のシェアを誇る新聞。この新聞の三面記事を担当しているのが、渕上や野次である。
【度目樹】(どめき)
東都の地名の一つ。発展著しい新興住宅街。また商業地としても知られており、外国人の人口も多めで、ごった煮的な華やかさがある街。
見せ物小屋なども建ち並び、近々、オペラハウスが建設されるとの噂もある。
【念信】(にぁんしん)
美鈴を日本の地へと運んできた船の船長が所有していた能力。電波(?)に乗せて、自分の意思を相手の頭に直接送りつけて会話を行うことが可能。
一応普通の通信機に増幅をかける形で行う、電波状況が悪いと通じないこともある。
【眠り谷】(ねむりだに)
東都の地名の一つ。どちらかと言えば古くからの住宅街で、比較的閑静な佇まいである。
「老人の街」とも言われ、数多くの保養施設が建造されている最中。東都美術館があるのもここ。
また、作家の花田土門もここの住人。
【ノベリング】(のべりんぐ)
迷流藍花に備わった能力。これを用いて、彼は事件を推理(?)する。
一種のサイコメトリング能力のようなもので、人や場所に残された、強烈なイメージから、物語を作りだして、事件を解決する。しかし、あくまでそれは、その人自身の記憶、感覚に依っている為、確実とは言い難い部分も併せ持つ。
これを行うことは、肉体的にも、精神的にもかなり疲れるものであるらしい。
更に、“ノベリング”を行った相手が、通常の思考体系から大きく逸脱した物を持っていた場合、(例えば、相手が盲目だった場合、鳥目男のように神だった場合等)逆にそれにあてられてしまい、自らがダメージを被ってしまう。
また、”ノベリング”によるものの為かどうかは不明だが、迷流は、能力者と相対した場合、相手が能力者であることを感知することが可能。・・・ただし、これも確実とは言い難い。
この能力は媒介者(メイジエツ)である美鈴によって引き出された物らしい。
【長谷川町】(はせがわちょう)
東都の地名の一つ、港のほど近くにある漁師町。
余談になるが、東都の前の海で捕れる魚から作った寿司は、「穢土前」(えどまえ)と呼ばれ、喰ったらその旨さで危うく死にそうになる・・・と言う意味だそうである。
【羽馬谷グループ】(はまだにぐるーぷ)
自動車の輸入によって財をなした新興財閥。羽馬谷良澄の死亡後は、羽馬谷仁美が一応の総裁につき、重役だった一人が後見人となったらしい。
ゆくゆくは、仁美の産んだ男の子が総裁の座につくと言われている。
【羽里那】(はりな)
神舞月(かまわづき)県一帯の旧名称。戦国時代は松嵜氏によって支配されていた。
【雛流し】(ひなながし)
現在では雛祭りと言えば三月三日の上巳の節句に行われるのが恒例となっているが、元々はそうでもなかった。
また、雛祭りの原型となったこの流し雛の習慣は、中華から伝わったもので、川の上流から下流へと雛人形に厄を乗せて運んでいって貰う風習。
影葵では七夕の節句に執り行われていた。
【日本】(ひのもと)
迷流達が住んでいる国の国名。東央(とうおう)の海に浮かぶ小国。現人神を一応の元首とした、議会政治によって国が運営されている。現在は、急速な工業化の最中にあり、今、世界中で最も発展著しい国。
【ビブラート】(びぶらーと)
シャルル・モッテンバーニが所有していた能力。特定の組成の色硝子のみを、自分の声の振動で割ることができる。
【悲恋海岸】(ひれんかいがん)
長谷川町の港近くに広がっている海岸。何時の時代に作られたとも知れない迷路のような石垣が続く。
昔身分違いの恋をしたカップルが海に身を投げたという伝説があり、その事に基づいた怪談が民間伝承の形で生まれた。
【火龍】(ふぉろん)
本編には直接登場しなかったが、花燃(ファラン)の持つ能力。その由来は今のところ不明。
空気中に存在している「火」の原素を抽出して、右手に龍のような形に巻き付けて自由自在に操ることができる。
作り出された炎の龍は、花燃と五感を共有しており、龍が感じたことは、花燃も感じることが可能。
【舞踏病】(ぶとうびょう)
欧州の伝承に出て来るという奇病。タランチュラという毒蜘蛛に刺された時に、その毒の効力を消すために、一昼夜踊り続けなければいけないと言う逸話に基づく。
その存在はあくまでも伝承上のものに過ぎないとされるが・・・
【松尾神宮】(まつおじんぐう)
東都の松尾町にある、歴史ある大きな神社。主祭神は、芸弾織松乙之尊(げいだんしょくまつおつのみこと)。芸事、戦、織物を司る神であり、その姿は、しばしば松の葉を纏った若い青年神として具象化される、父親の、征勇松擦瑠之尊(せいゆうまつするのみこと、戦と印刷、採掘の神)と共に、全国の神社の祭神としてその姿を見ることが出来る。
近年では、恋愛、結婚の神としての性質も身につけ、若いカップルや、歌舞伎町のレエベマン達もよく参拝に訪れている。
【ミュゼ】(みゅぜ)
貴知久出版が発行している文芸雑誌。歎異抄などに掲載されるものに比べると、より文学的側面の強調された作品群が掲載されている。
【媒介者】(めいじえつ)
「想」(シャン)の力の強い人間に働きかけて、特殊能力の発現を助ける力を持った女性のこと。
意思媒介者(イースーメイジエツ)と性交媒介者(シンジャオメイジエツ)の二種類があり、前者は近くで念じるだけで、後者は性交をすることによって相手の能力を発現させる手助けをする。
黄老師(ホァンラオスー)が日本の人間の「シャン」の力を利用するうえで用いようとしていたらしい。
美鈴は元々性交媒介者だったのだが、藍花と出会ったことによって、意思媒介者により近い存在となったらしいが詳しくは不明。
【迷流財閥】(めいるざいばつ)
日本一の大財閥、元々は、印刷、出版に携わっていたが、欧州の技術や様式をいち早く取り入れ、多方面へと進出した。傘下に、葉韻住工(はいんじゅうこう)、亜舞瑠重工(あぶるじゅうこう)などを抱えている。
現総裁は、迷流華隠。会長は、迷流藍歳。なお、藍歳の長男である藍花は、家を出て、探偵事務所を開いている。
【杜谷】(もりだに)
東都から北の方に列車で小一時間ほど言った所にある郊外の閑静な住宅街。今もなお自然を数多く残しており、水田や畑も広がる。
作家の葉・ロイフォードが住んでいるのがここ。
【ヨソモノ】(よそもの)
余所から来たもの、即ち村の代々の居住者ではない者のこと。基本的に村民としては扱われない。
影葵においては、村八分の概念と一部同化が見られた。
【四十五回転の終焉】(よんじゅうごかいてんのしゅうえん)
歎異抄大正八年第八号に掲載された花田土門の手による小説。
レコオドの魅力にとりつかれた男の辿った数奇なる運命を描いた幻想小説。
【緑果】(りょくか)
東都の地名の一つ。新興財閥系の高級住宅街が広がっている。また、そう言った人々の息女のために、所謂坊ちゃん、お嬢様学校が建設されている。
【露倉家】(ろぐらけ)
紡績業を営む伝統的な旧家。最近は、その業種を広げようとしている。丹沢静音は、この家の娘なのであるが、自由を求めて家を出ている、が、結果として、父親も、旧態依然とした考えを捨て始めたらしい。
現社長は、静音の父親の露倉屑葉(ろぐらくずは)、会長は祖父の神楽(かぐら)、次期社長は、静音の弟の和葉(かずは)が就任すると言われている。
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