last up date 2016.11.06



 任地の南洋島嶼で購入した足である。タクシー以外の交通機関が存在しない島なので、車は必須であった。そこで手に入れたこの2代目キューブは、2012年中頃にはじめて島に入り始めた新しい部類の代物である。

 日本で使い古され値段のつかなくなった車が、ただ同然で買われて2,000ドル程度の運賃をかけて島に運ばれるのだが、このキューブの小売価格は4,900ドルであった。車内には、前の持ち主が使った100円ライター、灰皿の吸い殻、グローブボックスにはディーラー営業マンの名刺が残され、日本で引き取られたときのままであった。ただしエンジンは快調で、ブレーキやトランスミッションにも問題なく、ランプ類も点灯するなど、実用性は十分。もっとも助手席ドアのパワーウィンドゥが遅い、後部座席のロックが集中ロックでは操作できないなど、小さな問題はあったが、島ではこの程度は瑕疵に入らない。

 車高が低く、FFという街乗り車だが、私のいた島は他の南洋島嶼と比して舗装率が非常に高く、普段使いでは問題はなかった。ただし、奥に行くと悪路自体は存在する上、熱帯雨林気候の豪雨で路面が崩れても基本的に自力で対処するしかないので、その点では不安ではあった。一度立ち往生したときは、現地の人々が助けてくれたので事なきを得たが……。

 コラムシフトは見れば使い方ぐらいわかるが、足踏み式パーキングブレーキは人に貸すとリリースし忘れることが多く、交換部品もろくに手に入らない土地でブレーキシューに焼きを入れられてしまったこともあった。冷えると制動力を回復したけれども。

 私の島での生活を支える足として活躍したこの車は、島を離れる際に、後任者へ引き渡した。





形式不明なため、参考としてUA-BZ11のスペックを記載。

車名

日産キューブZ11

型式

UA-BZ11(※参考)

駆動方式

FF

トランスミッション

コラムシフト4AT

全長×全幅×全高

3730×1670×1640mm

ホイールベース

2430mm

最低地上高

140mm

車両重量

1060kg

乗車定員

5名

ドア数

5枚

エンジン型式

CR14DE

気筒数、バルブ、配置

直列4気筒DOHC

総排気量

1386cc

最高出力

98ps/5600rpm

最大トルク

14.0kgm/3200rpm

サスペンション(前)

ストラット

サスペンション(後)

トーションビーム

ブレーキ(前)

Vディスク

ブレーキ(後)

ドラム



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