ソドムなゲームを
2004年01月21日(水)
本日は大学時代の後輩・弥崎氏(仮名)があやしげなゲームを携えて上京してくるとのことで、美津濃氏(仮名)宅に集まった。帰られないことを見越して、朝は2日分の荷物を用意して出掛け、夕方美津濃氏宅へと乗り込んだわけである。
美津濃氏の冬に於ける戦利品。このうち一冊は私へのプレゼント用とのことだったが、持って帰るの忘れた。
今度行くときに回収するわい。どれが私向けかはご想像に。
相変わらず凄惨なPC回りで。
造形物が増えているし、鏡餅もオブジェと化しているし。
いつぞや購入された旗。
アズラエルを崇拝し、地球連合政府に忠誠を誓う美津濃氏だが、まさか国旗掲揚までしているとは。
さて、私よりも少し遅れて弥崎氏よりそろそろ最寄り駅に着くという連絡が入る。
駅まで向かえに行って、弥崎氏は美津濃氏宅へと到着したが、彼女が真っ先に取り出したのは「学園ヘヴン」PS2版!噂には聞いていたが、このような代物を実際に目にする日があろうとは。
早速PS2に「ヘヴン」がセットされる。
なんというかね。学園のバックグラウンドとか設備とか、このゲームの細かい設定には目をつぶろう。それはともかくとして、このゲームに出てくる登場人物の行動原理があまりにも・・・。
男子校で公然と「プレイボーイ」や「女王様」との通り名がまかり通るって!
会話シーンでいちいちキャラクター同士が密接するな!
しゃべり方が妙に女性的すぎ!
ただ日常で話したりするだけでも、距離が近すぎ!
なんというか、ボタン締めて道を歩け!
はじめて選ぶ選択肢に「カッコイイ男だ」というものがあったり、「男子校のプレイボーイ」に秋波を送られたり、親切を装ってその実ストーキングしてくる野郎がいたり、しかもそういう野郎共が主人公を巡って嫉妬や羨望の炎を燃やして水面下で攻防を繰り広げたり・・・。
カンベンしてくれ。
断っておくが、「自然」や「伝統」の名を借りてヘテロ・セクシュアリティを絶対視することの暴力性を、私は快く思っていない。「自分が言うまでもなくヘテロで、今まで会ってきた人々も女好きだったし、今自分が接している他者もヘテロに決まっている。同性愛者やバイセクシャル、あるいは性的自己認識に齟齬を持っている人、劣情をほとんど持ち合わせない人というのも世の中のどこかにはいるらしいが、自分の周囲に現れるわけもいるわけもない」、という思いこみを前提として話すような連中を、私は軽蔑している。
こういう奴は、「異質な他者」との突然の邂逅に際して、無礼極まりない詮索を繰り返さずにいられず、あまりにも扁平なステレオタイプとイメージを築きあげることでしか安心を確保することができない。そして、一度「異端者」としてのラベリングを為された人間に対しては、何をしても、何をしようとしても、何をしなくても、ただそこに居るだけでも、冷静かつ公正な評価をしなくなる。セクシュアリティをはじめとした、こうした異端認定と異端迫害の心理は、多少青臭いと思いつつも「自由や個性」を礼賛し、自分が「個性的である/ありたい」とか思っている日本人の圧倒的大多数に蔓延っていることであろうて。
しかし!些か変態だがヘテロ・セクシュアリティの持ち主である私としては、なにも好きこのんでホモ・セクシュアリティな人々同士のやりとりを見たいなどとは思わない。まして、身の回りにそういう人々がいて妙なアプローチをしてきたものならば一目散に逃げ出すし、強引になにかをされそうならばぶん殴るぐらいのことはまったく辞さない。登場人物のほぼ全員が次々と主人公にそうした接触をしてくる「学園ヘヴン」のソドムぶりには、さすがに脳が弾けそうな心地であった。
電話で呼び出されてやって来たП氏(仮名)も、いきなりこのゲームに迎えられて、さぞかし度肝を抜かれたことであろう。
さて夕食である。美津濃氏がメシを炊き、モチを揚げ、麻婆豆腐なんぞを作ってくれた。さすがにあのゲーム画面を見ながら食べることはできかねるので、一時休憩である。
養命酒なんぞも、私は微量飲んだりも。
こういう漢方臭い酒は好むところであるが、他の人々はダメらしい。
そしてビール。
コープブランドでモルツが売られて居いようとは。通常のモルツよりも数十円安いらしい。
何が違うんだ・・・。流通の問題か、それとも成分製法まで違いのか?
そしておでんも少々。
弥崎氏が早くゲームを再開したいとのことなので、おでんがなくなると同時に早速ゲームへ。
・・・・・・。
冷徹で優秀な生徒会役員というステレオタイプなキャラクターが、何故虚偽報告をした「罰」として、二人きりの生徒会室で強制猥褻に及ぶのか・・・。この鬼畜メガネの行動原理、嗜虐的な言い回し。もう、ダメだ。しかし結局、この鬼畜メガネエンドを迎えるに至る。なかなかとんでもないセリフを主人に言うように強制したり、主人公自身も鬼畜メガネの所有物であることを自ら望むようになったりと、あまりにも凄惨な展開であった。
すでに「学園ソドム」という名のゲームは発売されているが、あれは残虐すぎるだけでヘテロな代物である。「男子校のプレイボーイ」や「男子校の女王様」、「誰々のペット」などというものがひしめき、男同士が男を巡って嫉妬を燃やし、さらには行為に及ぶというこのゲイ天国学園を描いたこのゲームこそ、「学園ソドム」の名にふさわしい・・・。
だが、今までのはすべてプロローグに過ぎなかった。ソドムの宴はこれからはじまる。
PS2版(18歳以上推奨)の次は、PC版(18歳未満禁止)。キャラクターボイスは一切ないが、その変わりにPS2版では婉曲になったりカットされたりしていた事象のすべてが、PC版では描かれている。なんというか。生徒会室での強制猥褻とか、すべてPS2版の比ではない。ダメじゃ!セクシュアリティ云々を別としても犯罪そのものだし、その行為に至る道筋があまりにも常軌を逸している!そしてなによりも、PS2版では抽象的情緒的な描写が主だったのに対して、PC版は具体的肉体的すぎる!いちいち何をどうして、こうなった、そしてこうされたって、やめてくれ!
実際問題として、PS2版は話としてはその常軌を逸した展開やセリフ回しが面白かったのだが、具体的すぎるPC版はダメだ。PS2版では隠されていたシーンに何があったかわかると、もうダメっす・・・。弥崎氏は嬉々としてプレイしていたが・・・曰く、「C/Vは脳内補完できるからいい」とのことだが・・・。
そして「マリア様がみてる」の時間に。あのゲームをした後になると、この話もまた「ヘヴン」の女性版ではないか、との声が挙がる。巨大な支持が得られているこの作品に、そのような評価をする度胸は私にはないが。けれどもまあ、この「マリみて」の舞台たる学園も、独自の価値観が支配する閉鎖的空間でのやりとりを描いているという面では、興味深くはあるのだが。
とまあ、このようにして夜は更け、私は早朝に美津濃氏宅を出た。実際問題として、予定が立て込んでいる中で無理矢理時間を空けての宴であった。だが、美津濃氏もП氏もこの八王子近辺から外へと引っ越し、弥崎氏もまた就職が決定している。こういうアホな集会をする機会は逃せない。けれどもまあ、もう「ヘヴン」はカンベンして。