釧路→札幌 台風大過なし
2004年08月20日(金)


 今日は釧路を離れ、札幌の伊佐坂(仮名)へと向かう日だ。時間を有効に活用するため、0840時という早い時間に発車し、特急おおぞらの中でも最も停車駅の少ないおおぞら4号を予約してある。が、先日からの台風の接近でどうなることかと心配していた。強い勢力のまま北海道に台風が接近すると、おおぞらの運休もありえる。新得駅あたりで長時間停車した例もある。どうなることか。




 台風の影響で、釧路もすでに雨が降っていた。






 問題なく列車は運行しているらしい。
 台風の影響で多少遅れるかもしれないが、動いている以上は乗る。




 ネットで予約していた切符を受け取る。
 みどりの窓口では駅員が「指定席はあと何枚しかない」と叫んでいた。
 早めの予約で正解だった。




 ガキの頃から釧路−札幌を年に1往復していたから、おおぞらはよく乗った部類に入る。しかし車両はハイカラになって電光掲示板もあちこちに取り付けられている。しかしスピードは速く、停車駅が少ないこの4号だと、札幌まで4時間かからない。昔は5〜6時間かけていたものだが。




 早速席についてノートを開く。4時間弱は、東京−名古屋よりも遠い釧路−札幌の道のりとしては短時間だ。が、1人で過ごす時間としては長い。ノートでネット巡回でもするか。




 釧路から一歩出ると、もう建物はほとんどなくなる。新幹線に乗ったロシア人は、「日本にはдеревня(都市ではない場所。田舎)がない」と言うが、деревняとはこういう場所を言うのであろう。




 民家もほとんどないということは、もちろんPHSなんかは圏外に決まっている。PHSは釧路市内でさえ所々死角があって、高校時代の旧友の中には自分のアパートが圏外だという奴さえいた。八王子の中央大多摩キャンパスでさえ、私が通い始める頃まではPHSが圏外だったのだ。こんな北海道のдеревняで、PHSの中継器があるわけがない。




 北海道ではPHSは使い物にならない。やはり携帯電話だ。が、cdmaも圏外だとは。窓の外を見るとたまに民家があったりもするのだが、ここの住人は携帯を使えないのか。今日日ドコモとの差もほとんどないだろうし。携帯電話の人口カバー率99%というが、その1%未満の地域って、北海道には結構あるのかもしれん。


 ノートPCで「魔人ハンター吾一」などの映像をイヤホンをつけて鑑賞していたが、2時間保たなかった。結局ノートは新得あたりで力つき、それからは何をするでもなく過ごした。CPUパワーを食い、HDも動作しっぱなしの動画鑑賞は、長距離移動の暇つぶしには向かないのかもしれん。今後日本に長期住む見込みがあり、列車・バスなどでの長時間の移動が多い生活をする場合は、もっとバッテリーの保ちのよい携帯専用ノートを買うかもしれん。




 長いトンネルを抜けて千歳方面に出た。雨はほとんど降っていなかった。台風はもう通り過ぎたのか、それとももっと南を行ったのか。だが台風の影響を受けた列車も多いらしく、車内アナウンスではダイヤの乱れについてしばしば放送されていた。そして、帯広行きの特急とかちが台風のため遅れており、すれ違いの時間待ちで、このおおぞら4号まで15分程度遅れることになった。まあ、台風の影響はそれほど大したことはなかったようではある。




 そして札幌駅到着。ホームへ下りた瞬間に、「ああ札幌だ」と思った。これを書くのは、札幌や北海道に住む旧友達からの反発が予想される。今回は札幌在住の友人を訪ねたのに、その日記で札幌を悪く言うのにはやはり引け目がある。だが、それでも私は札幌が好きになれない。


 どうも札幌は、会社の内内定に際する会合のために数年ぶりに訪れたときから、生理的にいい感触を受けたことがない。私が何よりも嫌うドン百姓意識、無知と魔術的思考、そして不正が蔓延っていた札幌支社での経験を抜きにしても、だ。今日JR札幌駅に降り立った瞬間に覚えた「ああ札幌だ」という感覚。これは、私が札幌の街のどこを歩いていても落ち着かない、安いアルコールで深酒して深夜徘徊しているような気分になった違和感そのものだ。


 夜寝て見る夢の中で、必死で進もうとしているのに空気が重くて、泳ぐように前に出んとしても進まない。こういう夢をマレに見る。札幌では、朝起きて頭脳がはっきりした状態で歩いても、そんな感じを覚えたものであった。何故かは知らない。街の構造や気候が身体に合わないのか、関東に慣れすぎたのか、単純に異郷で落ち着かないのか、「田舎」への軽蔑心が意識下にあるのか。理由はともかく、最も住みたくない街のひとつである。駅に下りただけでそれを再確認した。
 しかし私は、またここに住むことになるかもしれないのだ。「街に対する違和感」といった益体もない理由で人生を左右するわけにはいかないが、将来また住むかも知れないと思うと、少し気が重くなった。




 まあ札幌はどうでもいい。私は友人に会いに来たのであって、札幌に来たのではない。
 朝っぱらだというのに人が少ない改札を抜けて、地下鉄に乗り換え、伊佐坂宅へと向かった。


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