携帯オーディオプレーヤー買い換える
2004年11月29日(月)


 先日注文したADTECが「MPIO」の名称で売り出している携帯オーディオプレーヤー、AD-FY200-512が到着した。韓国のメーカーが中共の工場で生産して日本の企業が売っているという、まあ今日の電子機器の縮図みたいな代物だ。


 私は去年の9月に、松下のSDカードを用いたオーディオプレーヤー、SV-SD80を購入している。もっとも購入と言っても、ポイントを使ったのでほとんどカネはかかっていないのだが。これは今日届いたAD-FY200よりも小さく、携帯性に優れたオーディオプレーヤーではあった。実際問題として、毎朝自宅から駅までは英語、最寄り駅から乗換駅までをロシア語のリスニングし、乗換駅から目的地までは音楽をかける習慣をつけて、耳慣らしと気分のコントロールに役だった。この習慣がなかったら、私の拙いリスニング能力はもっと低いままだっただろう。


 だが、このSV-SD80には大きな不満があった。使ってみてはじめてわかる類の不満だ。
 このプレーヤーは、著作権保護機能付きのSDカードを同機能付きのSDカードリーダーで読み書きする。しかもその書き込みには専用ソフトによって暗号化処理が施される。つまり、まずは「著作権保護機能付きのSDカード」「著作権保護機能対応のSDカードリーダー」「暗号化・転送ソフト」の3つがプレーヤーとは別に必要だったわけだ。だから、本体価格よりもよけいにカネがかかってしまって、ポイント還元から足が出てしまった。だが、これは買ってしまえば終わることだ。問題は、その使い勝手だ。
 著作権保護機能付きのSDカードリーダーは、松下純正のものを使用している。対応しているものが少ないのだ。そして松下のはUSB1.1。USB1.1で256MBやりとりするのは重い。まあ、時間がかかるだけならば放置しておけばよいが、松下の暗号化・転送ソフトが冗談みたいによく固まる。Win98時代に戻ったかのような錯覚を覚える。
 さらには、半角英数字か半角カナしか曲名を認識しないので、全角でファイル名を付けたMP3やWMAファイルは、いちいち書き換えないとならない。私は前回の引っ越しのときに保有するCDのすべてをMP3ないしWMAにして、原本を実家に送り返すなり廃棄するなりしてしまった。そのため、PC上のファイルをいちいちリネームしなければならない。面倒なだけならばまだいいのだが、名前の変更程度の作業をしていても、しばしば突然固まった。しばしばとは50%である。しかもタスクマネージャーから強制終了できないときたもんだ。これでは時間を食うばかりだ。


 そうしたパナソニック製プレーヤーへの不満がつのって、ついつい新しいプレーヤーに手を出してしまった。まだSV-SD80が店頭で売られているに、わずか1年2ヶ月で買い換えである。ただ語学の音声ファイルや音楽を聴くだけならば、だましだましやっていればそれでもよかったかもしれない。所詮は我慢すればそれでどうにかなったことだ。だが、「録音機能が使えたら便利だ」「USBフラッシュメモリがわりにできたらいい」とインセンティブを見出して、買い換えに踏み切った。
 まあどのみち、暗号化された音楽ファイルは別のHDに移したら動作しないしSDカードへの転送も出来ないので、今のPCのHDがぶっ壊れるか、やむを得ない事情でフォーマットするハメになったら、同じ手間をかけて再暗号化することはとても出来なかったろう。まあいずれは買い換えていた。




 そして到着したAD-FY200。不満があっての買い換えなので、今回は条件をしぼって検討していた。その条件とは下記の通りであるが、多数の商品を比較検討しているうちに少し見落としていた点があって、必ずしもすべての条件は満たせなかった。


・MP3・WMA両対応であること。私はWMAにすることが多いので、MP3専用では困る。これはクリア。
・全角カナ・漢字を表示可能なこと。英数字や半角カナしか表示できないのならば、結局リネームすることになる。どうせ買い換えるのならば、条件がいい方にするに決まっている。これはクリア。
・暗号化ソフトを必要としないこと。有名メーカー製やHD搭載プレーヤーほどその傾向にあった。これはクリア。ただし転送ソフトが必要だったので、利便性は半減。
・ストレージデバイスとして認識すること。どうせならば、ちょっとしたデータも持ち運びたい。確かにそのような認識をするが、USBフラッシュメモリをぶっ挿したときのようにはいかなかった。要転送ソフト。
・ドライバー不要なこと。これは確認を怠ったのか勘違いしていたのか、必要だった。
・マイク内蔵のこと。外語講義を録音して復習したいとは常々思っていた。さらに、流行の音楽プレーヤーにしか見えず録音機とは認識されにくいし、いつでも首からぶら下げているので、会話や発言を押さえたいときには便利かもしれない。これはクリア。
・容量が512MB以上なこと。予算の都合からメモリ内蔵タイプしかなかったが、だったら将来性を考えて現用の256MBよりも大きくしなければ。これはもちろんクリア。


 まあ、転送が松下よりは遥かに容易になったし、専用ソフトにまるわる妙なエラーも起きていない。いつでもどこでもUSBフラッシュメモリーのようには使えないというだけで、私の要求のほとんどは満たしている。


 

 確かにAD-FY200の方が、SV-SD80よりも面積があるし長い。だけれども、質量はそんなに変わらない。金属部品をつかい、容積のムダを省いたSV-SD80はやはり一流メーカーらしく洗練された設計だ。一方、AD-FY200はどうも容積を絞り切れていない印象を受けた。




 厚さは、若干厚い程度か。まあ大して邪魔にもなるまい。






 ただ、各国に売り込んでいる品だけあって、ネックストラップが長い。そのため縛って長さを調節した。




 そして試運転をしていると、なぜかフリーズした。カート・コバーンの歌う「Smells like teen spilits」だ。このファイルはエンコードエラーではないのだが。音も出ず、液晶画面はランプが消えもせず、なにをどう操作しても動かなくなった。仕方がないので、単4電池を取り出して電源を切った。
 再び電源を入れて同じファイルを再生すると、今度は問題なく演奏された。何だったんだ・・・不吉な出だしである。




 それにしても、SV-SD80と充電器、著作権保護機能対応SDカードリーダー、そしてPCにインストールされている専用暗号化ソフトと膨大な暗号化されたデータ、どうしよう。当分は予備役としてHDの暗号化データも含めて保管しておくが、結局はゴミになるような気がする。


 それにしても、今月はかなりカネを使ってしまった。新プリンターとこの携帯オーディオの2つで、私の月に余らせることが出来る金額を大幅に超えてしまった。以前、Canonの廉価デジカメを買ったときでさえ、カードの引き落とし月は25000円分捻出するのにえらく苦労したものであった。もちろん私は、カード頼りの無計画な買い物などしない。今回の2品目のために、私はささやかな貯金の一部を取り崩した。湯水のごとくカネを使っていると思わないように。少ない可処分所得と低い生活レベルの中で、計画して買い物しているだけなので。
 まあ、少し気の利いた電気製品や新しい物品を持っていると、すぐに他者を金持ち扱いする貧乏根性の持ち主や、他者を金遣いの荒いだらしのない人間のように扱いたがる人が現れるので牽制です。車を持って維持している奴に、デジカメ持っているぐらいで「贅沢してんなあ」と言われる筋合いはないし、毎月飲み屋やいかがわしいサービスをする店に札を落としている奴に、DVD-RAMプレーヤーを持っているだけで「金持ち」呼ばわりされる言われもない。まあ6万も7万もするHDプレーヤーが人気を呼んでいる中、2万円の内蔵メモリ式プレーヤーひとつ買ったぐらいで・・・と思うのだが、カネの使い方が違う人間を見ると「贅沢している」と思いたがったり、あるいは自分以外の人間を「金持ち」と思いたがる人って多い気がします。
 まあ、私が自他共に認める高額所得者になれば、他者からのステレオタイプと自己の現実との際がなくなるという意味に於いて、問題はなくなるのだがね。そんな日は当分は来ないとは思うけれども。


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