last up date 2021.11.05

『月刊Gun誌』読書記 1964年


 国際出版の銃器専門誌『Gun誌』の読書備忘録。基本的に読書メーターやメモの転載。
 知識のない人間の書く個人的なリファレンス兼備忘録なので情報そのものの正確性が期待できないのはもちろん、『Gun誌』の当該号に書いてある内容と一致するとも限らない。


1964年1月号(昭和39年)

目次
・あなたはどちらを選ぶか? スプリング銃対ポンプ銃
・日本の猟野に於けるライフルの特性
・今月のガンあらかると・ケネディ大統領を狙撃したイタリア カルカーノ・ライフルの全貌・コルトシングルアクション・アーミー・リボルバー[分解・断面図付]
・口径のすべて 第5回
・キジは射てなかった 作曲家・小野崎輔の巻
・銃砲史 第14回
・火薬に関する3つのW
・コンバット・シューティング(拳銃による)への招待
・西南戦史 最終回
・マスター自動22径ライフル・シャープ・エキスパート号
・シュマイサー自動拳銃・ガレシー自動拳銃
・「支那軍兵器一般」による小火器の展望
・天満騒動・戦闘たけなわの巻
・GUNホビースコーナー
・ガンブーム風雲録 第1話
・もってみたいハジキ達
・GUNあれこれ談義 珍玩具の巻
・ドイツ・ナチス勲章
・ナックルダスター・ガンの正体
・ガンフォトクイズ
・射撃教室・これだけは知っておきたい射撃用語
・暗殺の日の朝 18歳未満の空気銃所持について
・射撃大会の得点一覧表
・Q&A
・GUN POST
・掲示板
・バックナンバー御案内
・人気投票発表(ピースメーカーが第1位)

メモ・雑感
・エアライフルの国際試合で、従来日本では精密射撃には向かないと言われていたドイツ製スプリング式に日本のポンプ式が徹底的に負けたことについて、比較などしている。それはいいが、兵林館のコメントではドイツのスプリング式は非常な高価なので、「いたずらに外貨を費消して国産の進歩をおくらすことのないように切望する」とある。外貨が貴重だった時代だ。

・第2次大戦前、我が国で使われていたハンティング・ライフルは1,000丁に満たなかったが、現在は約10,000丁。散弾銃は21万丁が42万丁に。ライフルには、スモールボアが多数含まれている。ラージボアライフルの少なさと使う機会の少なさ、戦前輸入された旧式ライフルの実包の供給難などから、ライフルはあまり使われず、イノシシなど捕獲より増殖の方が多い。
 戦前の狩猟用ライフルは、「ウィンチェスターM73など.44-40などレバーアクション」「ウィンチェスターM07,10など.351、.401口径のセルフローダー」「ブローニング9mm(35口径)、レミントンM81、35(9mm)口径などオートローダー」が主で、少数のサイドバイサイド、コンビネーション、ボルトアクションからなる。今や、かつてはよほどの変わり者でないと手にしなかったボルトアクションが主流。その口径は、.308、.30-06、.30カービンなど軍用規格がほとんど。しかし.351や.401など大口径、低速、近距離用連発銃が我が国では本来は好適。遠射する機会など日本の猟野では滅多たになく、生命力の強いビッグゲームを半矢にしないためにも、重弾頭・低速の実包の方がよい。

・広告。「新型自動銃 マーリンGLEN FIELD 99G 19連 22口径」なるものが。19連も売られていた。

・ケネディ大統領暗殺事件を受けてカルカノライフルの特集が組まれている。事件直後の報道では凶器は、最初は.30-30ライフル、次に日本製25口径ライフル(つまり6.5mmの38式か)、さらにはドイツ製モーゼルライフルなど様々に報じられた後にカルカノに落ち着いたという。混乱だ。

・Gunバインダー3冊目は赤。1冊目はダークグリーン。2冊目は淡いブルーだった。

・有名人の銃を紹介するコーナー。仕事部屋に銃を立てかけてあったとあり、ロッカーは義務ではなかったのか。銃をかける台座も広告であるし。先輩が勝手に銃を買ってきたので、警察署に申請書を出して自分のものにしたとあり、ずいぶん緩い。

・広告。丸三精器のマスター自動22径ライフル。弾倉は6発および15発用とある。

・広告。散弾はほぼ12番。ごくまれに16番。20番はみられない。ライフルは、この広告では5連発までしか見られない。

・拳銃人気投票。何カ月も受け付けていた50丁の拳銃から1丁選ぶ人気投票の結果が出たが、1位ピースメーカー、2位ルガーP08、3位ワルサーP38、4位南部14年式となるが、5位がルガーミリタリーとある。7.65mmの方かもしれないが実質同じものではなかろうか。足したらルガーが1位になりそうな。

・懸賞の賞品・南部14年式カスタムメードが「当局からの要請により製造中止になった」ため別のモデルガンにするというくだり。実銃もモデルガンも大きく規制されるのはまだ先だが、こうした小さな記述から徐々に厳しくなっていく不穏な気配を感じる。

・日本の猟野に適したライフルを語る記事では、戦前の猟銃事情も語られており、戦前においても散弾銃に比してライフルがとても少なかったこと、現在の狩猟用ライフルのイメージとは異なりボルトアクションがごく少なかったことなどが描かれ興味深い。また、ケネディ大統領暗殺を受けて急遽カルカノ・ライフルを紹介しているが、銃そのものの紹介よりも外電として入った凶器に関する情報の混乱ぶりが生々しい。数か月続いていた拳銃人気投票の結果も出ており、これは西部劇やWWII戦争映画やドラマの影響をストレートに反映しているのが見て取れる。


1964年2月号(昭和39年)

目次
・キャスト・ブレット
・散弾銃用スコープ・サイト
・ビッグゲーム・ハンターとライフル
・レミントン・モデル8及び81 コルト・ダブルアクションリボルバー
・口径のすべて 第6回
・現代空気銃への道 第1回 吹き矢
・名コーチ物語 田村博克・甲村昭男コーチ
・火薬に関す目3つのW 最終回
・銃砲史 第15回
・アンシュッツ・モデル220 ウィンチェスター22径ライフル 口径32アストラ、口径22アストラ・カブ
・映画人ハンター・ナンバーワン 三橋達也の巻
・日清戦争 第1回
・ダブル・ライフルのすべて
・天満騒動火戦記 最終回
・GUNホビースコーナー
・ガンブーム風雲録 第2話
・もってみたいハジキ達
・GUNあれこれ談義
・ガンフォトクイズ
・TVガン紳士録
・戦没者200万に旭日章
・射撃教室・これだけは知っておきたい射撃用語
・新潟国体の準備すすむ
・射撃だより
・サロンコーナー 韓国も射撃ブーム?
・Q&A
・バックナンバー案内
・GUN・POST 編集部だより

メモ・雑感
・弾丸作りを指南してる。スクラップから鉛を調達して溶かし、半田を溶かし込んで錫と混ぜ、蜜蝋を溶かし、ガスチェックをし、弾丸を作る。これによりリロード弾の価格が更に下がり気軽に練習できるようになるとのことで、やはりライフル実包の価格は大きな問題だったようだ。
 キャストブレットの手製鋳造も含めて、カートリッジをまるごと作る愛好家はアメリカに多く、市販されていない個人の作った実包、ワイルドキャットカートリッドがメーカーからの市販につながることもある。鉛は柔らかく溶けやすく安価で銃弾に適しているが、融点が低いので初速1,200fpsまでは不要だがそれ以上になるとガスチェックしないと鉛が溶けて変形したり銃腔中に鉛が付着したりするガ。スチェックは弾丸底部につけるカップのようなもの。キャストブレッドはつぶれやすくゲームを貫通せず体内にとどまる利点もある。

・イノシシの毛皮70円、ハイライト1個の値段でしかないとの狩猟雑感。革不足のときは1,500円したこともあったという。

・広告。「ウィンチェスターM-250 レバー式 22 15連発」「マーリン GLEN FIELD 99G 19連 22 新型自動銃」などがある。

・口径の命名規則についての記事。様々な乱立する規則と数多い例外について紹介したあと、所詮商品名なのだから命名規則を覚えても意味がない、真空管の数ある規格を覚えるようなものだ、と締めくくるところがよい。

・銃砲史の連載。現代社会は主権国家から構成されているという話の流れでEECに言及されている。発足からまだ数年で目新しかったのだろうと。

・三橋達也の銃遍歴。中学生頃から空気銃を持ってスズメやセミを追いかけていた。大口径の銃は学生時代の軍事教練。陸軍に入り満洲の独立守備隊。戦後2世の友人から小口径ライフルを贈られて射場へ通うようになったという。軍隊でライフルに触れ、戦後は.22LRにはまるのはよくあるパターンだったのかも。

・ダブルライフルの記事。タブるライフルは概して注文を受けて製作するオーダーメード。同じ2連銃でもショットガンより遥かに精密。命がけのビッグゲーム用で、大口径重弾頭高初速。比較的近距離用の武器で、こちらに突進してくる猛獣を相手にする。比較的銃身がライフルとしては短く、強力な実包を使うので銃身は肉厚。.375H&Hはダブルライフルを前提に生まれた実包。インドの王侯は特にダブルライフルを愛好し、同じものを2丁買い、また、新しいものもどんどん買った。

・広告。まだ「モスバーグ 自動15連」がある。

・弾薬名の命名規則の一貫性のなさと規則性を覚えることの無意味さの例として真空管の規格を挙げるのが時代か。また、国家という単位の話でEECが出てくるあたりも。紹介される銃としては大物猟用の高級なダブルライフルが取り上げられるなど狩猟の専門誌を感じる。また、かの中田商店の成り立ち、サンフランシスコで学び日本で開業した銃彫刻職人など興味深い記事が並ぶ。


1964年3月号(昭和39年)

目次
・さいはいの日高にエゾジカを追って
・ウィンチェスター・モデル1897 コルト・ダブルアクション・ニューアーミー&ニューネービー
・M1ガーランド取扱い法(装弾・装填・分解・掃除)
・.308win(7.62NATO)
・アリランの国の銃・射撃・狩猟
・現代空気銃への道 第2話 エア・ガン
・口径7.62mmトカレフ 口径8mm九四式自動 ヘイリンカン22口径 223レミントン・モデル・ナイロン76
・銃砲史 第16回
・ゲリラが使う小火器の全貌
・異国船撃攘の鉄砲
・日清戦争 第2回
・バイアスロン競技 使用銃と競技ルール
・ガン切手あらかると スイス・チェッコ・ハンガリー・ユーゴ・オランダ
・GUNホビースナー
・ガンブーム風雲録 第3話
・アラン・ラッドを偲ぶ
・GUNあれこれ談義 プラモデル総まくり
・フォトクイズ
・もってみたいハジキ達 第8話
・射撃教室・これだけは知っておきたい射撃用語
・サロンコーナー 英国狩猟界・てんやわんやの大騒動 アフリカの森の戦士達の武器
・Q&A
・編集だより
・バックナンバー案内

メモ・雑感
・東京から北海道までエゾシカ猟に行く同誌チームが羽田空港で乗り込んだのは「110人乗りの大型ジェット機」コンベア880。「950km/hの音速に近い高速」で千歳空港まで到着したとある。高速度を追求したが、様々な問題からごく短期間しか使われなかったやつだ。

・ウィンチェスターM1897。剥き出しの鉛のバックショットは、体内で変形しやすいから国際法違反ではないかという声もあったが、鉛は柔らかいので貫通力が弱く弾薬集積地の警備にも適していた。大戦中、日本の猟銃供出を覚えている方もおられることでしょう、と。

・M1ガーランドについて、日本国内で狩猟に使う人が「ぽつぽつ増えてきた」と。

・99式小銃は.308win用に改造すると良好。.30-06よりも適しているので、試してみろとある。

・まだ国交樹立前の韓国の狩猟事情の紹介。拳銃も許可を得て所有できるが、猟銃事情は厳しく朴正煕就任後は警察署預かりとなり、品は国連軍将兵の中古銃しかなく、買うのは勿論維持するのにも高額な税金がかかり、実包も米軍PX経由で高価であり、富裕でないとできぬという。
 また、猟銃も競技銃も舶来品なので当時の経済状況では高価であり、実包も舶来品なので供給難。猟銃用装弾は米軍基地のPX経由。競技用装弾はオリンピック選手でさえ割り当てが少ない。軍用装薬でハンドロードして事故も起きている。後にオリンピックを開催した目覚ましい躍進を思うと隔世の感がある。

・トカレフが登場するがスライドの滑り止めが細かく、54式の気もする。

・広告。レミントンナイロン76、レバーアクション.22LRで14発の狩猟用。猟銃としてまだ売られていた。

・ゲリラの小火器という記事 UZIは「ユチ」と表記している。「AK-54マシンカーバイン」というのは、誤植か。この時代はとにかく誤植が多く、特に職人に馴染みのない単語は間違われやすい。
 キューバ革命軍は、かつてほとんど銃がなかったが、ライマン社製ハンドローディング器具がもちこまれて、弾丸が作られ、雷管や火薬までつくられるようになったという。進歩がすごい。

・広告。まだモスバーグ15連がある。

・バイアスロンの紹介記事。バイアスロン専用銃は国内に殆どなく軍用銃のM1ガーランドを使っていた。今とはルールが異なり口径の規定も違うが、しかし制式軍用銃を使うとは舶来の競技銃が高価で手の届きにくい時代ではあるが、自衛官の訓練としてはむしろ実戦的なのかも。

・広告。ゼンマイ仕掛けで引金をひくと薬莢を排出するM3グリースガンのモデルガンが。涙ぐましい仕掛けだが、便利かも。しかも全鉄製というハードボイルド。

・「昨年12月に独立したケニア」におけるマウマウ団の武装解除の様子も紹介されている。1960年代なんだな。マウマウ団の武器の大半はライフリングのない銃身を乾燥させぬ生木で包んだ手製銃で、ブリキ板に穴をあけたピープサイトで狙撃し戦果を挙げていたという。

・未だ国交正常化交渉中の韓国を訪れ、銃器事情を見聞するのは貴重だ。朴正煕政権樹立と共に銃の提出が求められ、猟銃を保持するには高額な税金と警察署預りが必要になるなど軍政下の銃器管理の厳しさを思わせる。他方でコルトM1911を用いた害獣除けの罠が農家にあるなど戦争後は銃器が市井にわりとあったことも感じさせる。他の記事でもキューバ革命軍やマウマウ団の涙ぐましい手製の武器弾薬、自衛隊のバイアスロン選手は適切な競技銃が手に入らずM1ガーランドを使っているのも印象深い(これは後の使用弾薬に関する規定の変化も大きいが)。


1964年4月号(昭和39年)

目次
・.30-30WIN対.300ウェザビー・マグナム
・ライマン310使用法<ライマン310を使ってホーワ300をハンドロード>
・ガンマンスリー マンリッヘル・シューナウェル・スポーター・モデル・ライフル、コルト・オフィシャルポリス・リボルバー
・これが狙撃銃だ<アメリカ篇>
・サウスポウの銃器<サベージ・モデル110、ウェザビー・マークV>
・銃器鑑識の世界 第1話
・現代空気銃への道 第3話 軍用空気銃の秘密
・.222レミントン及び30-30スプリング・フィールド
・口径.22コルト・チャレンジャー・モデル 口径.38グーレト・ウェスタン、ホーワ.300ライフル ニッコー・レインジャー88
・銃砲史 第17回
・日清戦争 第3回
・片井京助と雷火銃
・・バイアスロン全国大会の記録
・三船浩をパトロールする……銃を相棒に選んだボク
・GUNホビースコーナー 趣味の特集
・ルガーピストルのすべて [第1回]
・もってみたいハジキ達 第9話
・ガンブーム風雲録 第4話
・TVガン紳士録<カートライト兄弟>
・GUNあれこれ談義 発禁GUN具の巻
・フォト・クイズ
・ロイ・ウェザビーの横顔
・射撃教室 銃刀法解説
・Q&A
・Gun Post

メモ・雑感
・..300ウェザビーMagは引金をひいて、銃声がして、着弾までの時間がいかにも短いという。体感できるほどに。その新鋭実包と伝統的な.30-30とを比較。そこで持ち出すのは、「明日には肉屋行」という生きた鶏。ウェザビーみたいなハイパワー弾で撃ったら跡形もなくなるかと思いきや、想像ほどの被害はなく可食部が多く残ったという。.30-30は飛散する羽が少なく、孔も小さいが、似たり寄ったり。1965年4月号の.264Win Magなど小口径高速弾の方が被害が大きい。狩猟雑誌だけあり実際的だ。

・ライマン#310の紹介。広告でよく見るが、よくわからない器具だった。照準器メーカーとして有名なライマンだが、ハンドロード器具も製作しており、これもそのひとつ。簡易型ハンドロード器具である。プレスの役割、プライマーを抜いてケースの形を整えたり新しい雷管を挿入したりする役割を果たす。.300ホーワと.30-06に適合。
新雷管挿入時には万一発火して時やけどしないよう手の位置を考えること
 この器具は、ケースの首の広がりだけ矯正する。銃ごとに薬室のばらつきがあるが、ケース全体を矯正できない。そのため、同一の銃で撃った薬莢を、同一の銃で撃つために再利用するのに使用すること、とある。 

・オリン晃電社のニッコーレインジャー88なる.22LR自動式スポーツライフルの紹介。フィリピンへの輸出向けに開発とある。フィリピンは名門銃器企業の聳える国とのイメージがあるが、ユーザーの裾野が広いだけあり輸出の余地があったということか。

・日清戦争の連載。清国の制式銃レミントンは欠陥があって廃銃になりやすかった、とある。清国とスペインしか採用していないそうな。

・広告。明治銃砲火薬店。16番が4丁、20番が1丁ある。「FNブローニング 自動10連 22」もある。

・松代藩の造砲家片井京助が考案した迅撃銃。紙製弾薬包と雷汞粒により1分に10発撃てたという。もちろん相応の鍛冶職人が必要になるが、現代的な実包に近い。

・第二回バイアスロン全国大会。参加者は全員自衛官。バイアスロン専用銃を持つ選手とM1ガーランドを持つ選手とでは、成績に顕著な差があるという。専用銃は導入され始めたばかりという。

・発禁ガン具のコーナー。これから掲載される発禁GUN具、並びにこれに類するGUN具の写真は、発禁前のパンフレットの写真の複写か、弾丸の発射されないように改造した物の写真、及び廃棄処分前に写しておいたものです。とあるのが涙ぐましい。

・Q&A。沖縄に住む親戚に銃を購入してもらい、それを送ってもらう場合はどんな手続きが必要か、という質問に対し、東京税関が「結論から言えば可能、具体的なことは問い合わせろ」との回答。返還前の沖縄から銃を送ってもらうようなことも不可能ではなかったのか。

・話題の.300ウェザビーマグナムと古典的な.30-30との比較をしているが、鶏を使うのがさすがは狩猟雑誌。大穴は開くが思ったほど被害はなく十分可食部が残るという。簡易リロード器具ライマン#310の使い方について紹介するのも実際的だ。バイアスロンの記事では参加者は全員自衛官だがバイアスロン専用銃を持つ選手とM1ガーランドを持つ選手とがおり、専用銃がまだまだ行きわたらないのが見て取れる。発禁GUN具のコーナーでは写真は発売禁止前の撮影か、適法化改造をした後のものですと注意書きがあるのが涙ぐましい。


1964年5月号(昭和39年)

目次
・白夜の国のムース猟[江川士郎・旅のアルバム]
・ウィンチェスター・モデル12 コルト・デリンジャーNo3
・銃の外における"弾薬の発火" [N・R・Aのデーターによる考察]
・これが狙撃銃だ[ソ連篇]
・銃器鑑識の世界 第2話 銃と弾薬のちぐはぐな組合せ
・現代空気銃への道 第4話 初期のアメリカの空気銃
・.220スイフトについて
・銃砲史 第18回 鉄砲伝来(2)ピントの遍歴記
・東ドイツ(Vopos)の小火器をさぐる
・日清戦争 第4回
・ガットリング機関銃と河井継之助
・ルガー・ピストル 第2話
・GUNホビースコーナー
・ガンブーム風雲録 第5話
・もってみたいハジキ達 第10話
・GUNあれこれ談義 続・発禁ガン具の巻
・TVガン紳士録
・今月のハンドガン 口径7.63mmモーゼル 口径.45モデル1911A1
・フォトクイズ
・ウインチェスターのハイドロ・コイル
・射撃教室 ピストル所持について
・労力奉仕で射撃場完成 宮城県協会の壮挙 日本初のSBH大会
・Q&A
・学生射撃人と学連の動き
・掲示板・通信員募集・社中日記

メモ・雑感
・スカンジナビア遠征ムース猟。スウェーデンの田舎町に狩猟へ出向いたレポートが載っているが、「開闢以来の日本人」ということで群集が集まり、町一番のレスラーを自称するむくつけき大男を柔道2段の参加者が投げたところ大受けと、ありそうな話が。柔道は腕がたつと相手を傷つけずに圧倒できて便利そう。
 現地ハンターが1~2発しか実包を携行しない様を見て、それで勝負が付かなければ潔く負けを認める騎士道精神であり、貴重な蛋白源である動物の生息数を保護する知恵でもあると絶讃していたが、ハンターは制約を自らに課す様に美学を覚えるっぽい。しかし実際問題としてライフル実包が高価だったり、手に入りにくかったりするという事情もありそう。

・戦時中、猟銃は供出させられたが、させられなかったものも進駐軍に没収されるだろうと人々は思っていた。しかし、そうはならなかった。昭和20年の冬も狩猟できた。狩猟税を納め、「hunter」腕章をつければよいとのこと。この時代から日米ハンターの交流がはじまった。米ハンターと出会うと緊張したが、向こうから気さくにハローときて、友誼を結んだという。当時の日本人ハンターの多くは水平2連だったが、米ハンターはポンプアクション、ウィンチェスター12が多かった。日本でも戦前輸入されていたが、持っている人は少なかった。

・実包を火にくべたら弾丸が発射されるのかという問題。電熱ヒーターで温める実験をしているが、まず薬莢が裂けてしまい破裂し、弾丸を押し出すガス圧はごく小さなものとなり、銃から発射される場合とは比較にならないほど威力が弱いとあった。雷管は発火してないことが多かった。あと、.22LRの実包を湯で10分間煮込んだら発射不能になったという話も。弾頭を外したら中に水が入ってたという。熱で薬莢が膨張して、弾頭との隙間に水が入る余地が生じたか。


・鑑識連載。適合しない実包を銃に込め発砲した事件について。殺人犯が皆賢しい訳でなく、口径の違いはもちろんリボルバーと自動拳銃の区別もなく様々なことをしでかし、案外発火できてしまい、精度も威力も激減し、オートマチックは作動しないが、至近距離で人に当てるぐらいは出来てしまうケースが。ライフルマークもほとんど付かず、容疑者の銃と被害者から摘出された弾丸とが一致せず、鑑識を悩ませる。
 7.65mmルガー弾を9mmルガー用の銃に込めて撃ったところ、弾頭は飛んだがライフリングにほとんど食い込まず、ガス圧は隙間から抜けたが人に至近距離で当てたら用を足した話について、「熟練した鑑識ならわかる」というけど、それはそういう事件が数多くく起きるアメリカの一部地域の話に限られそうな。まず弾丸と適合する銃が見つからず迷宮入りしそう。

・広告。ライフル実包入荷しましたとある。口径は「22, 270,280, 351, 35, 30-30, 308, 3006」とある。22は22LRだろう。これらが当時の日本のメジャーなライフル弾か。

・広告。「チロル.22オート10連」なる銃がある。

・東ドイツ人民警察軍の小火器。噂の孫引きみたいな情報を手に入れた洋書から集めてるところが涙ぐましい。マカロフについては「.380ACPから9mmパラベラムまで使える」「9mmウルトラを採用した」など当時の未確認情報があってよい。

・広告。「FNブローニング 22 自動10連」がある。散弾はめずらしく20番が現れた。

・広告。マルホコルト商会のグリースガン、「量産成功により価格を訂正、お求め易く致しました」とある。ゼンマイで排莢する機械仕掛けのモデルガン。

・発禁ガン具。写真にはやはり「発禁以前に撮影したものです」との注釈。記事執筆中にも、警察庁からモデルガンから19種類の危険リストを作成して摘発の指示が為されたという。「金属製弾丸を発射する機能を持つ装薬銃及び空気銃」が、「加工すれば、金属製の実弾を発射できる可能性のあるもの」と拡大解釈された。

・「著者は38式歩兵銃を所有している(許可証あり)」とあり、旧軍のライフルは市井に流れたのか。アメリカに没収された後、里帰りして登録されたパターンだろうか。知人は38式を.308に改造したが、薬室だけ削り出したが銃身はそのままなのに発砲してしまった、という。99式長小銃は著者が所有していた(許可証あり)が、5000丁程度しか製造されなかったらしく、防衛庁武器資料室の要請で寄贈したともある。この著者は岩堂憲人。

・通信員(レポーター)募集。旧制中学または高等学校卒以上が資格。各地区自衛隊、各県警よりもレポーターを求めるとある。実際、後の号では関係者が、自分が職務上関わった射撃関係の記事を寄稿している。

・スカンジナビアへの狩猟遠征という当時は非常に高額な費用の掛かったであろう狩猟紀、戦後猟銃は没収されず進駐軍のハンターと友誼を結んだ懐古など狩猟の記事に力を入れているが、ソ連の狙撃銃、東ドイツ人民警察の銃など少ない不正確な資料から作成された洋書の引き写しかならなるが当時としては謎だった東側事情を特集するなど趣味性も高い。銃と適合しない弾薬を使用した事件や弾薬を熱した事故再現実験など様々な面から読者の知的好奇心を満足させる記事が並ぶ。


1964年6月号(昭和39年)

目次
・クレー射撃に於ける装弾のテクニック
・チョークの話
・11年式軽機関銃 コルト・オートマチック.32&.380
・これが狙撃銃だ <ドイツ篇>
・銃砲史 第19回
・現代空気銃への道 第5話 デイジー空気銃
・日清戦争 第5回
・銃器鑑定の世界 第3話 機関銃の犯罪
・二本松少年隊長・木村銃太郎
・射撃を通じて日韓親善 明大遠征記
・ルガーピストル 最終回
・22径でクレー射撃を楽しむ
・300ホーランド&ホーランド・マグナムについて
・GUNホビースコーナー
・ガンブーム風雲録 最終回
・TVガン紳士録
・もってみたいハジキ達 第11話
・クイズ
・今月のハンドガン 口径6.35mmブローニング 口径7.65mmワルサー
・射撃教室 所持許可関係
・銃器問答
・大物猟クラブ璃々御案内
・Q&A
・サロンコーナー オリンピック候補決まる
・バックナンバー案内
・社中日記・今月のニュース・GUNPOST


・広告。「水虫 さわやかジェット療法 さっと一吹き 強力な浸透力 強大な殺菌力 水虫菌はもちろんのこと、その胞子まで殺します 水虫の他、銭たむし、いんきんたむし、しらくも等にも アスタレンジェット」なる大衆薬の広告。銃砲店の他には海外旅行、大型家電などカネのかかる役務財貨の広告が目についたが、こういう大衆薬の広告も載る。

・11年式軽機関銃。5発ずつの小銃用クリップを使う画期的な方法だが、複雑でトラブルが多く、排除に苦労するという。「本誌の読者の中にも、11年式軽機関銃の弾倉には泣かされた、という経験の持主がいやっしゃるかもしれません」と記事が終わる。軍隊経験を持っている人がここそこにいる前提。

・広告。銃砲火薬店椿。散弾銃のうち、20番が1丁あり、他はすべて12番。

・広告。銀座銃砲店。「フィンランド・バルメ社製<エラ>22径ライフルお買い上げの方に、その場で当たる抽選券進呈。監的スコープ、ライフルコート、銃ケース」とある。末等でも高級自家製銃ケース等、空クジなしともあり、くじ引きで何等も設定できるほど売れる前提なのか。

・アメリカで押収された機関銃は、使用弾薬では.30-06、8mmモーゼル、.303ブリティッシュ、日本の6.5mmおよび7.7mmの順で多く、そのほとんどは兵士が記念品として持ち帰ったものという。記念品としての機関銃は、分解などされたら国内流入は完全に防ぐことは不可能というが。実際に犯罪に使われた機関銃は、せいぜい警察用に大量に配備したBARぐらいで、他の機関銃は未使用のまま発見されるケースがほとんどとのこと。

・.22LR用のショットシェルを使いミニクレーを撃つ、ミニチュアクレー射撃場を伊豆のホテルで開設して盛況というが、現存しないんだろうな。.22LRのライフル自体、競技銃としてしか持てなくなり、そのハードルも決して低くはなく、もはや商売として成り立つまい。

・銃刀法についての疑問に、警察庁保安課が判例を引きながら回答している。質問は、拳銃は機能喪失させれば所持できるのか、玩具が拳銃と認められるのは、軍用銃と猟銃との分水嶺は、刀剣の刃を加工したら刀剣ではなくなるのかなどなど。基本的に「所持できない」という話になる。

・国交樹立前の韓国へ、日航初の羽田金浦便で明大射撃部が親善訪問し、陸海空軍選抜チームに勝ってしまった記事が。外貨が不足し競技銃も競技用実包も調達に苦労し、オリンピック選手さえ厳しい割り当て弾数という記事が以前あったがそこからソウル五輪まで至ったのは本当に凄い。

・広告。明治銃砲店。散弾銃は大半が12番だが、若干の16番と20番も見える。

・エッセイ記事で「頭がたそがれがかった」という表現があるが、それは後の世で若者言葉となる「物思いに耽ってる様」でなく、単に「日の入り」という意味で頭髪がなくなりかけている様を軽口として表現したのだろう。軽妙だ。

・007の映画は2作目。AR-7が出てくる。ベレッタを使う。PPKだ。と、なかなか盛り上がっている。

・クイズの賞品はここ最近、許可不要のラバーコーク弾銃になっている。実銃は難しくなってきたか。

・6倍スコープつきレミントンM742 .30-06 約15万円、.30-06弾1発150円、という相場。当時としてはどちらも高いのだろう。外貨割当の枠内で、円安のもとで輸入され、関税が上乗せされ、さらには奢侈品としての物品税も乗っているであろう舶来銃が高いのはもちろんのこと、ライフル実包も1発あたりが気軽に撃つには高かったはず。

・社中日記なる編集後記的なところに、「自衛隊新機関銃をインタヴュー。はじめて覆面をぬいだ威容は圧巻」「富士学校の好意でシャーマン戦車に体験搭乗」とあり、61式戦車や62式機関銃が最新鋭装備だったことが伺える。64式小銃は噂に聞くさらなる未来装備か。

・読者からオリンピック開会式の入場券1枚と、当方が持つ射撃の入場券5枚を交換したいという投書。オリンピックだ。

・当時は手軽に持てた.22LRライフルを使って散弾を発射するミニクレー射撃を温泉旅館が設置した様が紹介されるのは隔世の感だ。アメリカにおける機関銃犯罪に関する記事も、戦争の記念品として少なくない各種機関銃が個人所有されていた様もしかり。国交正常化直前の韓国で親善射撃試合が行われた記事では、韓国における射撃選手の競技銃や実包入手の困難が描かれており、後にオリンピック開催まで到達したことを思うと感慨深い。


1964年7月号(昭和39年)

目次
・62式新機関銃の全貌[自衛隊兵器シリーズ1]
・クレー射撃に於ける装弾<第2回>
・マーリン・モデル90 上下2連銃 コルト.25ポケット・オートマチック・ピストル
・現代空気銃への道 第6話 ステッキ空気銃
・.270ウィンチェスター .475ニトロ・エキスプレス
・銃砲史 第20回
・銃器鑑定の世界 第4話 ライフルの犯罪と鑑識
・ニュー・ナンブ・ピストルの横顔
・先人達の歩んできた銃史 日清戦争<第6回>
・合伝流武学者 徳田邕興
・日本ライフル射撃の歩み [ライフル射撃沿革史]
・ワルサーのすべて1 MODEL1~MODEL9
・S&W・K38マスターピース、ルガーブラックホーク
・銃刀法4 射場の指定関係
・ハンガリー・アーテックス・スーパー・エアーライフル
・日本ライフル射撃教協会の頁 オリンピック予選記録
・学連の頁
・TVガン紳士録 <第11回>
・Q&A
・サロンコーナー・日本大物狩猟クラブの頁[J・B・H・Cの今日まで]
・バックナンバー御案内
・社中日記・掲示板

メモ・雑感
・広告。「スカンジナビア猟20日の旅 985,000円」。当時のカネで100万円。どれだけの大金だろうか。

・62式機関銃の記事。自衛隊機関銃について「現用のA1、A4、A6、さらにBARというシリーズ」と表現。M1919は末尾記号だけでわかるわけだ。62式機関銃という当時の新装備品の取材をしたのはすごいことだし、多くは自衛隊前史と米軍供与装備品のうち特に老朽化に苦しむ陸自の事情、新機銃の要求、開発史、メカニズムに記述が割かれており、実物を見ての感想は少ない。ただ写真は多い。最後の2佐の声、「世界最高と自負できるものではない。不備不満は改良しなければならない。我々用兵者にはこれを育てあげる信念がある」との控えめなコトバが不満を最大限押さえて発したところか。

・ライフル、散弾、水平、上下の別なく二連銃というものはマスプロに向かず手作業で摺り合わせるものであり、工賃の高いアメリカ国内では生産困難となり、ウィンチェスターは日本のメーカーに生産を委託してるとあり、1ドル360円を感じる。

・ステッキ銃は、イギリスで流行。日本では難波大助が現天皇狙撃事件をおこす。「現天皇」なわけか。

・.270ウィンチェスター。.30-30や.30-06とならび米国で非常にポピュラーなカートリッジ。一流メーカーの有名モデルなら大抵この実包を使用するものがある。威力は.30-06に似る。それでいて低伸弾道。

・ボアライトの広告がたびたび。ペンライトのようだが先端が曲がり、やわらかく、薬室につっこんで点灯し、ボアの様子を見ることができる。日本で開発して売るほど需要があったのか。

・広告。「マーリン99G 新型自動19連 口径22」と19連発がある。ちなみに20番も1丁みえる。

・鉄砲屋にカネを払っても自分のものにはならず、何週間も経ってから警察からもらった許可証に裏書をとってはじめて合法的に銃を持てる。が、待ちきれず鉄砲屋から銃を借りてきてしまうこともままあり、著者の友人はその「借りてきた」銃が盗まれたという。大雑把だ。

・日本の拳銃の記事。M60はチーフそっくりだがS&Wと異なり自動式撃鉄安全装置がある。鋼鉄の小さなブロックが撃鉄と実包との間に挟まり、引金を完全にしぼるとブロックが下がって撃鉄が実包に当たる、とのこと。ニューナンブM57Bについては、グリップが透明プラスチックで、マガジンセフティの作動状況を視認できるとあるが、これは面白いかもしれない。実際に法執行機関で採用されていたら、訓練や携行において役に立ったのかはわからないが。

・広告。散弾は16番2丁、20番1丁。あとは12番。15連発のような多弾数のものは見えない

・社中日記。「高層ビルブームのこの頃、都内銃砲店も夏空高くニョキニョキと建設の槌音もいさましい。8階、9階建ての超豪華ビルの完成を急ぐ」とあり、当時の旺盛な建設ラッシュ、そして銃砲店の繁盛ぶりが窺える。

・自衛隊の新機関銃62式について取材されている。老朽化したM1919の代替として期待されているが、取材に答えた幹部があまりよい評価をしていない様子がわずかににじむ。猟銃所持は警察署から交付された許可証に銃砲店の裏書を得てはじめて可能になるが、待ちきれず銃砲店から現物を「借りてくる」ようなことがままあったことも描かれる。まだまだ規制が緩かった。ニューナンブ拳銃についての記事はM60はもちろん、試作に終わったM57とM57Bについても紹介されているのが珍しい。銃腔をチェックするボアライトの広告と紹介記事が目立つ。


1964年8月号(昭和39年)

目次
・国産ライフル実包が誕生するまで 旭精機工場の内側
「銃刀法」改正に物申す[各界の声をめぐって]
セブ島の"武器密造工場"を追う[CRS拳銃始末記]
・リー・エンフィールドNo.4ライフル スミス&ウェッソンNo.1拳銃
・クレー射撃用装弾 第3回
・弾丸の威力を測定するには?[付・カウンタ・クロノグラフの仕組み]
・現代空気銃への道 第7話 近代イギリスの空気銃
・銃砲史 第21回
・銃器鑑識の世界 第5話 銃の破損
・先人たちの歩んできた銃史 日清戦争 第7回
・大筒抱え打ちの名人・稲葉重政物語
・大会史上飾る新潟の快挙 第19回国体カメラ報告
・軍曹の拳銃[オセンチ・ハンター物語]
・ワルサーのすべて (2)MODEL PPK~P38
・ユーザーのための銃器手入れ法
・今月のカートリッジ.303ブリティッシュ
・射撃教室 射場の設備
・国体の記録表
・Gunクイズ 第12回
・大物猟クラブだより
・射撃ニュース
・ローカルニュース
・社中日記・掲示板

メモ・雑感
・旭精機はライフル実包メーカーの老舗。大正時代から海軍と取引。昨年度は防衛庁に.30-06、.308をそれぞれ900万発、170万発納入。光電管(フォト・セル)による検査で、伝火孔の開いていないケースがあると警報。雷管はケースにクリンプされている。自動火器の中で雷管が脱落しないよう。同社の猟銃用実包ではそういう工程はない。

・銃刀法改正。「四国松山市でグレン隊同士がピストルや猟銃で白昼の市街戦」「CRS拳銃が各地で摘発」などの情勢に際して規制が厳しくなったようだ。身辺調査のため、会社はもちん前職まで調査。特に気軽に持てて少年層に人気の空気銃のダメージは大きく、空気銃専門店が多くつぶれている。

・フィリピン製のおそらく家内製手工業で作られた粗製拳銃、通称CRS拳銃についての記事。大抵コルト、ルビー、S&Wの刻印があるのでこの頭文字で呼ばれる。船乗りの小遣い稼ぎとして持ち込まれはじめ、横浜、神戸、函館など港町の飲み屋に引き渡され、飲み屋から暴力団へ流れたと紹介されている。リボルバーでほとんどが22口径。稀に38口径。刻印は本物のメーカー製とは場所も内容も違い、内部に至ってはピアノ線やありあわせのバネ板を使うなど雑。警察は当初日本国内でこさえられたものと考えた。

・三笠化学のボアライト。陸上自衛隊採用!とある。体育学校などの競技選手用だろうか。また、大学射撃部に1本無料提供とあり、拡販に熱心。

・銃の手入れの記事。撃つ前に銃腔のグリースは落とし、撃ったらすぐに銃腔や薬室を清掃して油をひき、長期使わないならグリースも使い、錆は専門家に依頼しないとならないが応急処置として銃口にコルクを詰めて除銹剤を充填して一晩置いてから掃除する、など実用的だ。

・清国海軍を仮想敵として建造された富士、八島は各地をまわったが、著者も子供の頃それを見たとある。高齢の執筆者の子供時代の話だが、日清戦争さえ地続きだ。

・広告。散弾は16番が2丁、20番はなし。多弾倉としては、「レミントンM572 9420 手動15連発 22」「レミントンM66 自動14連 22」がある。

・瓩(キログラム)という表記がある。

・京都駅から狩猟へでかけるエッセイ。執筆者の狩猟記かと思いきや突然記憶はマニラに飛び、日本人経営の理髪店の娘に憧憬をする若き下士官だったが、元いた部隊は玉砕、理髪店の娘もおそらく去り際に渡した拳銃で……とシビアな回想になる。当時は人知れずそういう煩悶が突然浮かぶ人がままいたのだろう。

・読者投稿。モデルガンを本物と警察が誤認することが幾たびかあり、玩具に一斉検査が入るという情勢。こうしたことがモデルガン規制につながっていくのではなかろうか、とのこと。

・ドイツの狩猟権は、密猟者は射殺もなむなしという強さというが。

・社中日記。「酷暑により東京で乗用車爆発」とある。ガソリンタンクが爆発するような作りをしていたのか。そんなこともあったのか。

・国際ガン出版代理部ご案内。銃を扱うのに必要な道具がこれ以上ないぐらい通販として並べられている。クリーニングキットからローディング器まで。薬莢のリーマー、弾頭の取り外し、雷管が一様に上を向く皿、カッツコンペンセイター、可変トリガーなどなど。

・フィリピン製の粗製拳銃、通称「CRS拳銃」が船員の小遣い稼ぎで持ち込まれて摘発されはじめた様相が描かれている。銃を発射後手入れしないと錆びるとして、清掃や錆の初期対応についてのメンテナンス記事もあり実用誌である。狩猟記事かと思いきや、筆者の兵隊時代に鹵獲したコルト拳銃を思いを寄せていた邦人女性に「いざというときに」と贈った記憶がフラッシュバックする不思議な記事があり、戦後20年近くなっても尚記憶に苦しむ人々がいたことが伺え、嘆息する。


1964年9月号(昭和39年)

目次
・日本で開発された知られざるサブ・マシンガン
・こんどはやるぞ 近代五種競技のホープ・内野重昭選手
・世界一風変わりな射撃クラブ 大砲射撃を楽しむ人達
・近代火器の威力を見る 富士学校綜合演習
・あなたの空気銃はあたりますか?
・ライフルとショットガンの混血児 ボール&ショット・ガン
・ニューデパーチュア・セーフティ・ハンマーレイ・リボルバー
・U.Sライフル・モデル1873 対インデアン戦の傑作銃
・ワルサーKPK ハイパワーモデル 軍用ライフルその他
・ブローニング自動拳銃1900型 CZ1945型自動拳銃
・現代空気銃への道 第8話 イギリス大手筋のエアー・ライフル
・射撃教室 散弾銃の用語
・銃器鑑定の世界 第6話 空薬莢の鑑識について
・日清戦争銃史 第8話 韓露秘密条約のいきさつ
・銃砲史 第22回
・銃豪小伝 米沢藩と上杉鷹山 鉄砲上覧騒動
・30U.S.M1カーバイン 15×95M/M モーゼル, MG151
・北見学園二連勝の偉業 全国高校大会
・第2次オリンピック予選会
・リチャード・エクスプローラーと西一郎氏
・思い出の鉄砲、草分けの頃
・クイズ
・Q&A
・射撃だより、大物猟クラブ記事
・ガン名店街

メモ・雑感
・大砲を撃つクラブについての記事は、「外誌要約」とある。取材ではなく、こうした外国書誌から引く記事は少なくなかった。

・鑑識連載。連続した10発余りの発射音の証言があり、現場には9mmルガーの薬莢が散乱してることから当初はSMGを疑い、次に13発もの弾倉を持つFNハイパワーを疑ったとある。戦争土産のSMGがわりと市井にあったり、多弾倉はハイパワーしか思い至らなかったりするのが時代か。結論は、ポーランドのラドムに手製ロングマガジンをつけたもの、とのこと。

・広告。散弾銃においては16番が若干。20番はない。28番が1丁ある。ライフルは5連発までしか見当たらない。

・第2回全国高等学校射撃選手権大会の記事。会場である射撃場があまりに田舎にあるため(射撃場は得てしてそうだが)、選手は近隣の農家に泊まる「民泊」が行われたという。射撃のようなカネのかかるスポーツをする都会の富裕な家の子にとって当時の田舎はカルチャーショックだった様子が描かれている。

・広告。「バーゴ自動8連」「ベレッタ自動10連」「ウィンチェスターレバー15連」「ウィンチェスター自動15連」など多弾頭ライフルがある。すべて22口径。

・猟銃について。火縄銃、先込パーカッションから一気に村田銃へ飛躍。13年式村田銃で照星照門というこコトバで生まれた。それまでは「見当」「元見当」であった。輸入猟銃は大半が散弾銃で、ライフルはほとんど売れなかった。拳銃は無届無税で買えたという。

・ガン名店街。いわゆる通信販売の取りまとめのコーナー。「銃器類は通産省の外貨割当制度のため到底ユーザーの皆様に満足していただくほど人気銃等の輸入はいたされておりません」「然し世界の状勢は、日本の孤立経済政策をいつまでも許しておくはずはないのです」とある。そうした情勢下で、気軽に銃が手に入るよう便宜を図るという目的、らしい。アクセサリーのみならず実銃も取扱。22口径の自動10連もある。

・高校射撃大会の記事では、射撃場があまりに辺鄙なところにあるので農家への民泊が初めて行われた様子が描かれており、全般的に好意的だが都市と開発から取り残された農村との著しい格差を垣間見る心地になる。戦前の銃器事情の記事ではライフルはほとんど売れず猟銃は基本的に散弾銃(というか滑空銃)だったこと、拳銃は無届無税だったことなどが描かれる。「ガン名店街」として各地の銃砲店の品を取りまとめた誌上通販もはじまったが、実銃も扱われている。これこそが狩猟専門誌か。外貨割当のため銃器輸入割当が少ないことから便宜を図るとある。


1964年10月号(昭和39年)

目次
・64式新小銃の全貌<自衛隊兵器シリーズ2>
・オホーツクの白い海 海獣を追って7日間
・スエーデン・モーゼルライフル SWミリタリイ・ポリスリボルバー
・U.S.スプリングフィールドライフル・グレネードM3 300ウェザビーマグナム 44-40(.44W.C.F)
・オリンピアードと射撃 [オリンピック射撃のすべて]
・銃器鑑識の世界 第7話 発射火薬の痕跡
・あなたの空気銃はあたりますか? 第2話
・プラスチック装弾の話
・オリンピック射撃・日本選手団の横顔 <精鋭15名のキャリア>
・銃砲史 第23回
・先人のたちの歩んできた銃史 日清戦争<第9回>
・米沢藩と上杉鷹山・鉄砲上覧騒動[第2話]
・モーゼルのすべて<第1回>
・射撃だより 全日本選手権大会開催とその記録 <於 朝霞射撃場>
・10行百科 狩猟免許のとり方
・鉄砲を買うには
・大正時代の狩猟
・ローカルニュース 北海道に熊跳梁す その他 全国通信員レポート
・Gunクイズ<第14回>

メモ・目次
・新小銃64式について。自衛隊の99式は、7.7mm銃身はそのままで薬室だけ削りだして7.62mmの.30-06を使っており、ライフリングはあまり食い込まないという。そして1割以上強力な.30-06の反動の強力さ、もともと米軍が進駐して武装解除したときのものなので簡易生産で品質のわるさの問題。警察予備隊発足時の応急装備だったが「今日でも、約5万丁も装備されている」とある。そのM1ガーランドも中古銃で摩耗は進み廃銃となりつつある。そういう中での新小銃、期待の大きさが窺える。

・ホーツク海で海獣撃ちをする猟師の取材記事。村田銃の16番や18番(28番の誤植か)を使い、真鍮薬莢に黒色火薬を注ぎ鉛玉を詰める描写が。当時はまだ村田銃が現役で、しかも黒色火薬を使う昔気質な猟師がいたのか。鉛玉はライフルドスラッグではなく球体なのだろうな。トド撃ちのときは黒色火薬を多く注ぐ。大砲のような村田10番もトド用に持っているらしい。「真鍮ケースに黒色火薬を入れ、鉛玉をほうり込み紙で押さえて、アノラックの腰に締めた弾帯にさし込む」とある。威力や精度の問題なのか、氷の上を忍んで有効射程までトッカリに接近して伏射する。近距離でないと効果がなさそう。後の号で海獣撃ち漁師が、自動式の..30AOAになって楽になった、それでも威力不足なので.308の国産ライフルが欲しいという話があったが、威力に欠ける黒色火薬の丸玉を単発で撃つのは職人芸の域だったはず。
 船でラジオをつけるとモスコウの日本語放送が、米国のヴェトナム政策を批判するのが流れ、カラフト沿岸で戦車等を満載したソ連の鉄船が見えるなど、ヴェールに包まれた大国ソ連が北に君臨する圧迫感が冷戦だ。

・東京オリンピックに向けてギリシャの採火がされ、聖火やオリンピックの歴史について解説する記事が。もちろん射撃について多く触れる。

・広告。広告もオリンピックでお祭り騒ぎ。

・時事に関する記事。「日本刀で切り付けられた警察官がSW拳銃を全弾発射して通行人を射殺」「狂人が阿蘇山火口で観光客にライフルを乱射」「関西では民家に突然.22弾がとびこむ」「船員はCRS拳銃の密輸で逮捕」「俳優はハワイ土産のリボルバーを世話になっているやくざに贈る」など。なかなかすごい。

・.38splから、9mmルガーや8mm南部の実包を作ってしまう器用な人がアメリカにはいる、という。

・広告。「バーゴ自動8連 22」がある。昭和39年度輸入銃リストとして。まだ、自動5連発以上の多弾数のものが新規輸入できた。

・広告はやたら「祝 東京オリンピック」という文句が目立つが、三和銀行まで「楽しみながら お金を貯めるために」と積み立てみどりの会の募集。

・広告。散弾はすべて12番。ライフルは「新同 モスバーグM51M 自動15連 22」がある。多弾数。

・「始めて鉄砲(空気銃を含む)を購入される方は先ず鉄砲の所持許可を取って下さい。18歳以上なら誰でも許可が下ります」って、誰でもか。1丁ごとに許可証がいるのは今と同じ。

・モーゼル拳銃の記事でチャーチルに言及しているが、「現在のような老人ではなく」とまだ生きていたのか。翌年死んだ。

・通信員からの記事。北海道から。札幌市立常磐小中学校はヒグマのため登下校できず、真駒内の自衛隊第11師団の3/4トンキヤリアー車両により輸送支援。オート三輪では「何ら防禦設備もない」ということらしい。他には終戦後にソ連兵と交友した人や石川県体育大会の射撃競技に役員として参加した人などが通信員として記事を送っている。通信員は、年配者が多いのかも。

・大阪で結成した射撃クラブの連絡先が千日デパート内の銃砲店で、この文字列を見たときに息をのんでしまった。そうか、8年前なのか。

・MGCから、動作はしないがワルサー、ヘンメリーの競技用拳銃の精巧なモデルガンが東京オリンピック記念で出されている。

・Gun名店街。「銃を買う場合は銃砲所持許可申請書及び譲渡承認書を送るので所定の条項に書き入れ所轄の警察署保安課へ申請してください。許可証が交付されましたらインターナショナルガンクラブ宛にお送りいただければ発送します」とのこと。「ウィンチェスターM62 22 15連」なども売られている。

・広告。射撃用の標的を印刷した印刷会社まで、その精度を誇っている。

・誌上で常に意識されてきた東京オリンピックがいよいよということで、射撃競技はもちろん聖火の歴史まで紹介されている。広告までお祭り騒ぎ。五輪以外の記事では新小銃64式について丹念に紹介されている。オホーツクの海獣猟師の記事では真鍮薬莢を再利用して黒色火薬を注ぎ、丸玉を込める様子が描かれており、時代が駆け足で進んでいる様が見て取れる。時事の話としては、日本刀で切られた警官が応戦し第三者が死亡、阿蘇山で狂人が観光客に乱射、船員がCRS拳銃密輸で逮捕、俳優がハワイ土産の拳銃を暴力団に贈るなどなかなか物騒である。


1964年11月号(昭和39年)

目次
・本年のゲームはどうなっているか?
・全国猟場案内[昨年度の狩猟状況と今年の猟場のすべて]
・猟銃をえらぶためのアドバイス
・インドに豹を追う
・気軽に楽しめるキジバト、コジュケイ猟
・キジと中佐
・あなたの空気銃はあたりますか[第3回]
・.300サベージ
・第9話 スチーム・ガン
・扇型弾倉・円型弾倉・円筒型弾倉・箱型弾倉
・銃器鑑識の世界 第8話 散弾銃の犯罪
・銃砲史 第24話
・先人たちの歩んできた銃史 日清戦史<第10話>
・米沢藩と上杉鷹山・鉄砲上覧騒動[第3話]
・モーゼルのすべて[後篇]
・口径.22ハイスタンダード 口径6.35ミリDUO自動拳銃
・モデルガンのメッカ MGC協会訪問記
・ローカル・ニュース
・7.62NATO オリンピックに進出
・クイズ
・Q&A
・大物猟クラブ記事

メモ・雑感
・猟野ガイドとして各県の前年における狩猟の獲得数が載っている。沖縄県がない。まだ返還前か。また、熊がまだ九州でも四国でもとれた実績がある。徳島県で600頭、宮崎県で数頭などとある。四国の熊は現在はごく少数が保護されており、九州では絶滅した。当時すでに鳥獣が減少傾向という論調なので、さらに急速に進んだことになる。

・二連銃について。中折れすると薬莢を自動的に排出するエジェクター「あり」と「なし」では、差額は1万円という。好みの問題だが猛獣相手にはあった方がよい、とのこと。

・急激に開発されており猟場の近くにはダンプカーが行きかう中、妹をつれて歩いていたら何度も悪口を運転手から言われたとのこと。鉄砲担いだ(当時のことだから剥き出しだろう)人間にダンプの運転手が大声で罵ってきたという話、まさか撃ってきたりはするまいとのことなのだろうけど、別の号では列車への発砲が年間100件で山野のことで犯人が見つかることもないともあり、人目がなければ危ない気もする。

・自動火器の性能は弾倉の信頼性にあるとも言える。海外では弾倉専門の研究グループもある、とのこと。

・広告。まだ自動15連がある。「モスバークM51M 22口径」。

・19世紀前半に試行錯誤される中で生まれたスチームガンについて紹介されている。石炭で熱した銃身に水を注いで蒸気を発生させ、その圧力で次々重力に従って落ちてくる弾丸を発射する仕掛け。もちろんそんな大掛かりなもの実用化するわけはなかったが、連発銃の可能性ではあった。

・読者から募った通信員のたより。おそらく射撃場関係者からのもの。「はじめて来られる方の中には全弾装填、いつ敵に襲われても反撃できるように用心深い人がいて、肝を冷やされることがあります」とのこと。

・狩猟だより。「本年は、禁猟区の設置が増したので、例年・従前のように到るところで発砲するわけにはいかなくなった」とある。つまり禁猟区以外はすべて撃ってよかった。この当時もまだ。

・広告。兵林館。「高校射撃専用銃 日本ライフル射撃協会御指導製作 日本ライフル射撃協会御指定」というのがふるっている。ポンプ式エアライフル。「パームレスト(高校生用)」とわざわざ諸元にあるのもよい。

・読者質問。ウィンチェスターM1895を買ったが適合弾薬がわからないとの相談が。薬室寸法を測るしかないとの答えだが、そんな使用弾薬もわからないような雑な売買が為されていたとは。

・読者質問。ライフルから散弾を撃ちたいという読者質問に、散弾は柔らかいのでライフリングを傷つけはしないが、鉛粉が残り、そのままライフル弾を撃つと精度に影響する。また、散弾のグルーピングは予想不能になり至近距離でないと役に立たないと回答。やはりスムースボアが実用的な猟銃だ。

・広告。「ウィンチェスターM94 7連 .30-30」「バーゴ 自動8連 .22」など多弾倉がある。多弾倉はほとんどすべて.22LRなのだが、ウィンチェスターM94は.30-30という威力の実包で7連発のものが売られているのをこの時代の広告にはたまに見る。

・狩猟の実用誌として猟野情報が載っているが、熊がまだ九州でも四国でもとれた実績がある。今ではすでに絶滅したか保護されている。また沖縄県が記載されていないことにも気づかされる。郊外に鳥撃ちに出かける記事では、急速に開発が進んでダンプが行き来するが、女連れであることを行きかう運転手に何度も罵られたというが、銃を持っている人間相手になかなかの度胸。射撃場関係者らしき読者からの記事では、「いつ襲われてもいいよう」弾倉に装填して来る来訪者いて肝を冷やすこともあるという。兵林館の広告では「高校射撃専用銃」が登場した。


1964年12月号(昭和39年)

目次
・.30-06か.308か?3つの被射体に対する実験から。.30-06スプリングフィールド対.308ウィンチェスター
・世紀の祭典[オリンピック射撃観戦記]
・実猟用ライフルをえらぶためのアドバイス
・マシンガンの給弾方式(後篇)
・銃器鑑識の世界 第9話 "世紀の報告書より"
・現代空気銃への道 第10話 ダイナマイト空気砲の話
・今月のカートリッジ 第9話 .243ウィンチェスター .244レミントン
・銃砲史 第25回
・日清戦争 先人達の歩んできた銃史 第11回
・米沢藩と上杉鷹山・鉄砲上覧騒動 最終回
・ジュニアのための兵器教室 新時代に備えるアメリカの新兵器
・"アチラ版"誌上名店街 アメリカにいるつもりでお読み下さい
・狩猟鳥に加えられる予定の外国産鳥類のプロフィール
・クイズ
・今月のガン スミス・アンド・ウェッソン チーフススペシャル回転式拳銃M36
・オリンピック射撃記録一覧[世界新記録続出の東京大会]
・ローカルニュース
・社告
・書評

メモ・雑感
・広告。「バーゴ1479 .22自動8連」「サベージ上下24DL 上.22LR下20番」「サベージ上下24 上.22LR下410番」
などもある。多弾数ライフル、狩猟用.22LRは今日では許可が下りず、散弾とライフルとのコンビネーション銃も不可能ではないが困難だったはず。狩猟用.22LRという段階でダメだが。

・.30-06対.308。狩猟では10発20発しか携行しないので実包のサイズ差はさほどの意味はないが、ケース長が短いと銃をコンパクトにできるので、携行性が上がるという。確かに野山を長く歩き、数発しか撃たないハンティングではそういう視点もある。また、レバーアクションなど.30-06では実現できなかったものが.308では製品化されているという違いも。また、速射性という利点も.308にある、という。もっとも、ハンドロードするならケース容量の大きい.30-06の方が調整しやすく有利とのこと。

・三年式や九二式重機にオイルタンクがついてたことを覚えてる読者もいるはずと断り、「あれは故障が多かった」という声は実包に油を塗布するオイルタンクの気孔を開けずに射撃して焼付を起こしたケースも多いはず、と戦後の従軍経験者間の評判を念頭においた語り口になってる。ただし、1965年4月号でこの記事に対して読者から「99式軽機に給油装置があるというが自分の記憶ではなかった」と当初があり、それが正しかった。

・空気銃史の連載記事。空気砲を取り上げている。蒸気機関で空気を圧搾して弾丸や爆薬を発射する代物で、空気砲巡洋艦が米西戦争で活躍したのが新聞紙面で話題となったという。もちろん火薬式の砲の発展の前にはすぐ忘れられた代物だが、フィクションにちょっと出すとよさそう。

・広告。散弾は16番が1丁ある。「サベージM29 22 手動15連」「モスバーグM51M 22 自動15連」など.22LR15連発がまだ売られている。


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