last up date 2021.11.28

『月刊Gun誌』読書記 1965年


 国際出版の銃器専門誌『Gun誌』の読書備忘録。基本的に読書メーターやメモの転載。
 知識のない人間の書く個人的なリファレンス兼備忘録なので情報そのものの正確性が期待できないのはもちろん、『Gun誌』の当該号に書いてある内容と一致するとも限らない。


1965年1月号(昭和40年)

目次
・ヴェールを脱いだバルカン砲の全貌
・猟銃メーカーSKB工場を訪ねて[友部工場ルポ]
・世界記録を樹立したハンド・ロード弾 アメリカ・チームの使用実包
・これだけは知っておきたい 当る鉄砲、当たらない鉄砲(1)
・軍用銃の刻印調べ[前篇] 紋章に見る銃の横顔
・銃器鑑識の世界 第10話 弾丸比較の方法
・米西戦争 "荒馬のり"の空気ガン 第11話
・ソ連の小銃実包
・空気銃射撃教室(1)総論
・1965年射撃界の展望[オリンピックを頂点に全国体制へ]
・銃砲史 第26回
・先人たちの歩んできた銃史 日清戦争<第12話>
・拳銃・ライフル弾の貫通度
・モーゼル小型自動拳銃 WPT II
・モデル・チェンジされたポンプ銃
・射撃だより
・学連レポート
・クイズ
・ローカルニュース
・Gunサロン
・掲示板

メモ・雑感
・猟銃メーカーSKBの近年の生産数は1年ごとに倍増しているとあり、工場設備を増強するなど景気のよい話だ。読者像として少年期に空気銃に親しみ、軍隊で小銃に触れ、復員後は銃猟をはじめた人が多いらしく、そういう層が買い替え買い増しなど旺盛な購買行動を見せていたのだろう。

・7.62x54Rナガンは発火金がなくリロード困難という評価は、読者が実際に猟銃や競技銃の実包をリロードして使う実用誌ならではの着眼点か。素人のリロードなど考慮していないということか。東京オリンピックにおけるソ連代表ライフル選手は、この弾薬の特製弾を使用とのこと。

・広告。「レバー7連発 ウィンチェスターM94 .30-30」、コンビネーションとして「サベージ 24DLおよび24S 上.22LR下20番」「サベージ 24 上.22LR下410番」がある。

・広告。「ブルーノ コンビネーション 7×57R 12番」という強力なものも見える。

・広告。ほとんどが12番だが「イタリー フランキー 自動五連 20番」「アメリカ レミントンM770 手動五連 16番」「レミントン11-48 自動五連 28番」「ウィンチェスター M42 手動五連 .410」などの口径もある。また、ライフルは多弾倉の「マーリンM39A レバー式十五連 22」もある。

・銃砲店の広告、まだ.22LR自動15連発が若干売られている。.22LRは猟銃としては許可されなくなり、また多弾数のものも許可が降りなくなるはずだが、まだ販売はされている。

・7.62x54Rナガンは発火金がなくリロード困難という評価は、読者が実際に猟銃や競技銃の実包をリロードして使う実用誌ならではの着眼点か。猟銃メーカーSKB工場の訪問記では、工場は建屋を新築し、最新の設備を導入するなど猟銃の需要がうなぎ上りという景気の良い時代を感じさせる。


1965年2月号(昭和40年)

目次
・熊の長さん 100頭の熊と対決するあるハンターの物語
・暗視鏡・その実体を見る[NECノクト・スコープの全貌]
・鴨撃ちの遠射に適する銃と装弾
・京都に鹿を追って
・軍用銃の刻印調べ[後篇] 紋章に見る銃の横顔
・銃器鑑識の世界 第11話 45径薬莢の鑑識
・これだけは知っておきたい 当る鉄砲、当らない鉄砲(2)銃身の振動について
・空気銃と弾丸の種類(2)
・現代空気銃への道 第12話 空気砲時代去る
・銃砲史 第27回 国内への伝統
・軍用銃史 日清戦争<第13話>
・銃の反動と命中について
・ライフル射撃協会の頁 新年度の重点事項と行事予定
・22口径のショット・ガン [順子の猟日記]
・クイズ
・今月のカートリッジ ソ連の小銃実包(2)
・射撃だより
・ローカルニュース

メモ・雑感
・熊撃ち名人の記事、復員すると天涯孤独になっており友人を頼って異郷に行くがよそ者の暮らしは難しく、熊を撃つと人々から感謝されたことから熊の習性を研究して討伐に活躍し、「感謝されるとよそ者の悲しさを少し忘れる」「いつか村人に認められるだろう」となんかつらい話だ。
 もっともこの名人の自伝・ 藤原長太郎『熊撃ち一代』によると、この頃テレビ取材で大きく取り上げられたことから多くの手紙が寄せられ、そうしてはじめた文通相手と結婚するに到るなど、ひとり孤独に暮らす寂しさからは抜け出したようで安堵した。

・鳥撃ちに赴いて降りた駅が京王線聖蹟桜ヶ丘でびっくりした。当時はまだ森がちだったのだろうけれど、狩猟区という概念がない時代なので、ちょっと森っぽいところで適当に撃っていたのが伺える。中大生だったときにときどき見た「鉄砲注意」「銃猟禁止」の古い標識はその名残か。

・広告。散弾は12番以外では、20番、16番、28番、.410が1丁ずつ。ライフルは「サベージM29 手動十五連 22」「モスバーグM51M 自動十五連 22」と多弾倉がある。

・鑑識の連載記事では.45ACPに絞って書かれているが、軍用の戦時生産では薬莢に鉄を使い、厚く防水ラッカーを塗布するため薬莢本体にも雷管にも痕跡が残りにくく鑑識泣かせという。当時はそういう軍放出品が安く出回っていたのだろうか。熊撃ち名人の記事では戦争で天涯孤独になり異郷にたどり着いた男性が、熊を撃ったら土地の人々に喜ばれたことからすべてを熊撃ちにささげた様が描かれている。「よそ者の悲しさを少し忘れる」「いつかは土地に人に受け入れられるだろう」とあるのが物悲しい。


1965年3月号(昭和40年)

目次
・M14ライフルのすべて[協力・在日米陸軍]
・スキート、スキート、Skeet!<目で見るスキート射撃技術>
・台湾・香港の旅<ガン・ショップに見るお国柄>
・今月のカートリッジ 第12話 対戦車ライフル実包
・異色ハンティング・ルポ 猿狩作戦
・これだけは知っておきたい 当る鉄砲、当たらない鉄砲(3)
・現代空気銃への道 コッキング・システムの歴史 第13話
・銃器鑑識の世界 第12話 弾丸比較の難しさ
・法律的に見た空気銃所持
・銃砲史 第28回 信長の台頭
・日清戦争<第14話>黄海々戦はじまる
・空気銃射撃教室(3)射撃と体力との関係
・銃身構造と命中精度について
・クイズ
・書評[新刊案内]
・射撃だより
・掲示板
・バックナンバー案内

メモ・雑感
・広告。やはり「ウィンチェスター レバー7連 94 .30-30」がある。.22LR以外で5連発を超えるライフルはこれぐらいしか見当たらない。

・広告。散弾銃は12番がほとんどだが、他は20番が1丁のみ。レミントンM58。ライフルは「自動10連 FNブローニング 22」「自動15連 サベージM29 22」と.22LRの多弾倉のものがある。

・徒党を組んで跋扈する猿群の為廃村に追い込まれる村さえ現れ、ついに討伐隊を組織する様が描かれている。が、「猿を撃つと祟りがある」とわざと外すハンター、手を合わせて拝む仕草をする猿に引き金を引けなかったハンターなどおり、猿は心理的抵抗が大きい様子が描かれている。

・台湾・香港の銃器事情の記事などは、銃器事情はもちろん当時の様子も物珍しい。


1965年4月号(昭和40年)

目次
・.222レミントンマグナム、.30-06スプリングフィールド、.264ウィンチェスターマグナム 三者を比較してみれば
・ライフルマンの夢みのるM14ライフル初の公開射撃
・"根性の男"林崎昭裕[オリンピック入賞の22歳の学生選手]
・貰いもの[舶来火薬で銃身がスツとんだ話]
・これだけは知っておきたい 当る鉄砲、当らない鉄砲(4)
・銃器鑑識の世界 第13話 空薬莢の比較
・今月のカートリッジ 第13話 ワイルド・キャット・カートリッジ
・現代空気銃への道 第14話 クランク式、レバー式、中折れ式
・銃砲史 第29回 長篠の合戦 その一
・日清戦争<第15話>
・空気銃射撃教室(4)射撃に関する定説
・世界のサブ・マシンガンのすべて[アメリカ篇第1回]
・日本ライフル射撃協会の頁福島会長、安斉理事長再選さる[会則改正で体質改善はかる]
・長崎県、国体誘致に熱意
・クイズ
・Gun 読者賞設定について応募案内
・Q&A
・ローカル・ニュース
・奥付

メモ・雑感
・.222Rem mag, .30-06, .264Win magを撃ち比べしているが、氷塊、石油缶、鉄板はともかく、最後は鶏なのにびっくりした。小口径軽弾頭の.222と.264では即座に動かなくなった(というか霧になった)が、意外にも力のある.30-06ではそうではなかった。これは今日では不可能では。

・戦前も戦後しばらくの間も、大物猟をするハンターは少なく鳥撃ちが盛んで、大物猟をするにしても散弾銃のスラッグや大粒のバックショットを使い、ライフルは珍奇な銃という感覚が長くあったという。その中でもマイナーなボルトアクションなんか持つハンターはさらなる珍奇か。ついでに、地方の漁師はスラグの代用に投網のおもりを適当に切って込めることさえあったという。囲炉裏で鉛を通して村田銃の丸玉を作っていたことを思うとありそうな話である。

・米軍新型制式小銃であるM14ライフル射撃に本誌読者を招待。抽選で30人。参加者には俳優もいる。すでにAR15の影もあるがM14は読者が「一度見てみたい」と願う垂涎の最型ライフルである。米軍は協力を惜しまず、米軍座間射撃場で実射。軽くて日本人向きでバランスがいいとの声。

・オリンピック選手の記事で169cmを「スラリとした長身」と表している。当時の成人男性の平均身長は165cmぐらいなので、やや背が高い方か。

・鑑識記事。薬莢から銃のモデルを割り出すことは困難だが、その1丁の固有の痕跡を見分けることは容易で、固有の痕跡は手入れの悪い銃ほど明確につくという。やはり手入れは大切だ。

・広告。12番以外の散弾銃は、20番1丁、.410が1丁、16番が1丁ある。多弾倉ライフルは「FNブローニング 自動10連 22」「モスバーグM51M 自動10連 22」がある。

・読者投稿で1964年12月号の記事で99式軽機に給油装置があるというが自分の記憶ではなかったとあり、それを受け執筆者が自衛隊武器学校の現物を分解調査したところ確かになかった、洋書に頼りすぎていたと謝罪している。軍隊経験のある読者も武器学校で現物を調査するのもすごい。

・新制式小銃M14ライフルを抽選で読者に試射させるのが意欲的。M16が一部で使われているといってもM14はまだ「一度は見てみたい」というマニア垂涎の品であった。.222Rem Mag、.30-06、.264Win Magの撃ち比べでは鉄板や石油缶だけでなく生きた鶏まで撃つのに驚かさせる。狩猟誌であることを考えれば鳥撃ちの延長線上のことなのかもしれないが。1964年12月号の機関銃の記事に対して「99式軽機に給油装置はない」という読者の指摘に対し、自衛隊武器学校で実物の分解調査をするなども時代を感じる。


1965年5月号(昭和40年)

目次
・緊急特集・これがベトコンの兵器だ ベトコン兵器の実体を探る
・虎をもとめて2万キロ
・トラップ射撃を楽しむために
・アメリカを中心とした最近の小火器の動向 M1からAR15へ
・世界のサブマシンガン 第2回 続・アメリカ篇 第2次大戦前後
・私のコレクション 佐藤五郎氏の巻
・大学射撃部めぐり 第1回 明治大学射撃部
・銃器鑑識の世界 第14話
・現代空気銃への道 第15話
・銃砲史 第30回
・日清戦争銃史 第16話
・今月のカートリッジ ワイルド・キャット・カートリッジ .218ビー .22Kホーネット
・海の見える射撃場 熱海国際射撃場誕生
・Gunクイズ
・映画紹介 007/ゴールドフィンガー
・Q&A

・ベトコンの兵器特集が組まれている。殆どが中国製(記事では一貫して「中共」表記)で、銃はモシンナガンカービンやSKS、PPsh、ZB26などのコピーが紹介されている。そしてベトコンついて「南ベトナムに対して今や対等ないし優勢」とある。1965年にしてそういう認識だったのか。

・今日の歩兵銃の列挙で米国M14、英国L1A1、ソ連SKS、日本64式とあり、まだM16やAK47は一部の使用にとどまっているという認識で、また、G3は開発されたばかりで記者の視野に入っていなかったっぽい。洋書を時間をかけて入手するしかない時代なので、ややタイムラグがあるのかも。ちなみに軍事技術の進化についての話で、携帯無線機用の要求から水銀電池が産まれたとあり、水銀電池が比較的新しいテクノロジーだった様も。

・ソ満国境における昭和12年の虎撃ちの話。当時は筆者は満州国東寧県参事官で中国語堪能らしい。虎撃ちは食うか食われるか。虎は人の虚をつく本能がある。虎に襲われた筆者の知る10指にあまる話ではすべて背後からやられている。鉄砲の腕はそれほど重要ではない。虎を恐れないこと、虎を知ること、そして三番目が銃の腕。など興味深い。「虎は狼が好物で酒を飲んだように気分よく他のエサもくわず寝る」という体験談も。

・鑑識連載。ライフルマークについては、1~12発のシリーズは類似性が明確に表れるが、1発目と100発目とでは曖昧になるという。散弾銃の薬莢はたいてい紙とある。そういう時代か。真鍮製の底部には明確な痕跡がつきやすく、手入れが悪いほど明確に固有の痕跡がつく、らしい。

・広告。晴海の東京国際見本市で世界の有名銃50丁余り出展と。猟銃競技銃の出展ができるほど人目を引き、また、需要があったのだろう。

・広告。12番以外の散弾銃は16番と20番が1丁ずつ。多弾倉ライフルは「モスバーグM51M 自動10連22」「FNブローニング 自動10連22」。

・明大射撃部は「明大射撃節」なる歌まである。他にはないだろうとのこと。「俺ら炭鉱夫」の節らしいが。今も引き継がれているのだろうか。

・「ベトコンの兵器」なる特集では中国の支援品が主に紹介されているが、未だAK47の姿はなくモシンナガン・カービン、SKSなどのコピーが目立つ。また、小火器動向の記事では、現代の多用途歩兵銃の例としてM14、SKS、L1A1、64式が列挙されており、当時AR15、AK47、G3などは存在はするがそれほど注視されていなかったことが伺える。少なくとも記者が苦労しタイムラグを経て手に入れた洋書ではそれほどの存在感はなかったのだろう。大学射撃部の名門明大の記事では、部歌があり蛮声で圧倒するなど当時の様子が目に浮かぶ。


1965年6月(昭和40年)

目次
・ライフル・ハンドロードでのトラブルとその対策
・満洲猟話 虎を求めて2万キロ 第2話
・96式軽機関銃の全貌 協力・自衛隊武器学校
・鑑識の世界 第15話 貫通力・銃声
・今月のカートリッジ 第15話 8×51Rフランス・レベル 8×51レベル・トレーサー他
・東京オリンピックへの作戦(1)アメリカはかく戦った
・銃砲史 第31回 長篠の戦い その3
・日清戦争 第17話
・空気銃射撃の練習法
・大学射撃部めぐり (2)日本大学の巻
・スコープはライフルだけのものではない
・世界のサブ・マシンガン ドイツ篇(1)
・誤りやすい銃用語
・観光と狩猟の旅 <香港・マカオ・台湾>
・空の護りに地対空誘導弾ホーク就役
・富士を仰いで大口径射撃のつどい
・日本ライフル射撃協会の頁
・クイズ
・今月のメモ
・Q&A
・読者賞発表
・岐阜の国体射撃場を見る

メモ・雑感
・ライフル実包のリロードについて。.30-06や.308など、軍用猟用ともに使用される実包の場合、軍用のケースを猟用にリロードすると、うまく雷管がはまらなくてトラブルが起きうるという。軍用雷管が小さいのではなく、軍用ケースは雷管をクリンプしたバリが残っていて、直径を狭くしている。機関銃などで雷管が脱落すると故障になるのでクリンプして固定してある。リロードにはバリをとらなければ雷管がうまく適合しない。プライマー・リーマーも売られている。雷管室整形をする。

・香港マカオ台湾の旅。読者公募。キャセイ航空コンベア880で行く。まず香港の銃砲店で銃を買い(あるいは日本から愛銃を持ち出し)、銃器持込が難しい台湾にツテで持ち込みをし、米軍射撃場で日華米親善試合し、そして狩猟をするという当時としては豪華な旅行。その読者公募がすぐ埋まったとは読者層が窺える。

・広告。12番以外の散弾銃は20番が1丁。多弾倉ライフルは、「モスバーグM51M 自動十連 22」「サベージM29 手動十五連 24」「フランス ユニキュウ 自動7連 22」がある。

・大学射撃部訪問。今回は日本大学。主将が「名物となっている真っ黒なアゴ髭をまさぐりながら」とあり、写真は次元大介っぽい。鉄下駄で石段、上級生監視のもと下級生の1時間の正座・一転凝視(武道っぽい)、風紀が乱れるので女子入部不許可などすごい時代だ。前の頁で空気銃の科学的訓練とやっていたのとは別世界。打倒王者明大の執念の下こうした鍛練を重ねており、明大は「奴らは目に異様な光がある」と恐怖する。

・クイズ。金賞がコルク銃ではなくエアーライフルに回帰している。当選者の住所しすべて住所を番地まで書いているが、中には自衛隊基地も時折みられる。

・MP38の32発弾倉は26~28発の装填にとどめるのがいちばんスムーズという。

・読者公募の香港台湾の旅は、香港で銃を買い、本来銃器持ち込みが極めて厳しい戒厳令下の台湾にコネで持ち込み、米軍射撃場での親善試合や猟野での狩りをするのがダイナミックだ。ハンドロード講座では軍用薬莢を狩猟用にリロードする際の注意事項が実際的だ。軍用実包は機関銃でも使うため雷管を強く固定しており、そのバリが残りやすいという。大学射撃部訪問では、王者明大に挑む執念を燃やす新興日大射撃部の武道部と見まがう精神修養とバンカラぶりに圧倒される。前の記事が科学的射撃練習法だっただけ尚更異彩を放つように感じられる。


1965年7月号(昭和40年)

目次
・サブ・マシンガンは斜陽兵器か?
・満洲猟話最終回 大熊と一騎打ち
・CZモデル27ピストル[分解・操作図付]
・銃身(1)銃身のやくわり
・96式軽機関銃の全貌 後篇<協力・防衛庁武器学校>
・銃器鑑識の世界 第16話 消音器・跳弾
・ニューヨーク狩猟官の来日とニューヨークの狩猟事情
・現代空気銃への道 第16回 現代の空気銃
・今月のカートリッジ 第16話 各種リム・ファイアー実包 .22スイス .230ショート他
・東京オリンピックへの作戦(2)ソ連はかく闘った
・空気銃射撃教室 射撃姿勢その1
・第7師団特科演習観戦記
・銃砲史 第32回 長篠の戦いの意味するもの
・日清戦争 第18話
・ここにこんな人が
・大学射撃部めぐり (3)駒沢大学の巻
・世界のサブ・マシンガン ドイツ篇(2)
・ワルサーPPKとモデルガン
・日本ライフル射撃協会の頁
・クイズ
・映評
・射撃記録

メモ・雑感
・短機関銃は斜陽兵器かという記事。核兵器の前では小火器など大した意味がないという意見もある、しかし核兵器が使いがたい以上、却って通常兵器の重要度は高まっていると冷戦真っ只中らしい言説から始まるあたりに1960年代半ばを感じる。ベトナムの密林を引き合いに出すのも。

・北海道第7師団の取材でBAR, M1919A, 62式新機銃、M3SMGの体験射撃を幕僚長の好意でできた、とある。好意で体験射撃を出来るのはおおらかだ。幕僚長は陸士49期、騎兵出身とのこと。

・銃身に関する連載記事の第1回が鉄材の種類と組成、その特性に終始するのがハードだ。イギリスの猟銃はニッケル鋼を使うものが目立つとか、雷管爆粉に水銀を使っていた時代に銃身の防銹性の研究が進んだとかいう話も交えている。


・鑑識連載。跳弾について。低速弾のやわらかい弾丸ほど跳弾しやす、.220スイフトなど高速弾は鋭角でも、水面を撃って跳弾することはほとんどない。ソフトノーズなら跳弾の可能性が少し上がる。遠距離で弾速が落ちるとなおさら、とのこと。石や凍った地面の他やわらかいものでも跳弾が起きる。.44-40は低速で跳弾が起きやすく、「パイでも跳弾する」と語られたとのこと。
 真上に撃って落ちてきた弾丸は、ライフルでも散弾でももう人を傷つける威力はない。角度が90度でなく30度など浅い場合は、最高点から落下しはじめても威力を保っており危ない。「犬が鼻を鳴らす声をつよくしたような音」が跳弾の飛翔時にはなるというが、ジャケットが半ば剥がれ変形して空気抵抗が大きくなっている。映画で聞く「ギューン」はそういう音か。
 「まさかこの読者の中によもや殺人犯人はいないと思いますが、それでも兵士として止むをえず人間をうった方はあるかと思います」と前置きをした上ではじまる話が、射入孔は必ずしも丸くないことがわかるだろうという話だった。実際に見た人間にしかわからない話だ。適当な火薬ではない場合、ライフリングと適合していない弾薬の場合、あまりに至近距離で弾道が安定する前な、射入孔が丸以外の形にやりやすく、リベレーターでもそうなりやすいとのこと。

・ 広告。ブローニング380モデルガン発表。購入の際は住民票を求める仕組みに。悪用を恐れてのこと。

・広告。「ソ連製22ライフル実包 7円」「ソ連 エム・ツェー12 58,000円」「ストレラ3(タイガー) 58,000円」「エム・エム2 45,000円」などソ連製の銃や弾薬が。

・ハンター紹介の記事、愛銃ベルギーブロー(たぶんブローニングオート5)は叔父から譲り受けた品で、叔父が関東大震災や大戦末期にはマンホールの奥深くに書類と共に隠して焼失を免れ、戦後GHQ/SCAPが猟銃は没収対象としないと発表したときは喝采したという話に時代を感じる。

・広告。12番以外の散弾銃は20番が1丁。多弾倉ライフルは、「モスバーグM51M 自動十連 22」「サベージM29 手動十五連 22」「ウィンチェスターM61手動十五連 22」がある。

・懸賞。エアライフルが賞品に。当選者が14歳未満の場合は父兄の名前で登録してください、とある。登録さえすれば14歳未満の当選者が使ってもいいという発想なのか。そもそも応募不可ではないところがゆるい。

・モデルガン・ブローニング380の購入時に住民票を求める思い切った自主的な取組が始まったが、後の規制の進展を思うと泣けてくる。第7師団幕僚長の好意により記者が各種機関銃の実射をしたというのは大らかな時代か。幕僚長が陸士何期で騎兵出身という話が出るあたりも。鑑識の記事では兵士として人間を撃った読者ならわかるだろうとして射入孔の話がされ、ハンター紹介では愛銃をマンホールに隠して関東大震災や空襲を乗り越えた逸話など、それらの時間的な近さを感じる。駒大射撃部訪問は、仏教学部生による座禅を取り入れているのが興味深い。


1965年8月号(昭和40年)

目次
・実際的なアフリカ猛獣狩への道しるべ
・ハイ・スタンダード・センテニアル・リボルバー[分解・操作図付]
・銃身(2)銃身設計のキー・ポイント
・V.I.P.(重要人物)の防弾自動車
・銃器鑑識の世界 第17話 錆びた拳銃
・現代空気銃への道 第17回 現代のアメリカ空気銃
・射撃姿勢(その2)伏射
・猪の小銃泥棒
・銃砲史 第33回 秀吉の朝鮮出兵と鉄砲
・日清戦争<第19話>威海衛の攻撃
・大学射撃部めぐり 法政大学の巻
・よみがえる38式歩兵銃
・世界のサブ・マシンガン イギリス篇
・ブローニング380とモデルガン
・誤まり易い銃用語 消音銃と消音器
・今月のカートリッジ 続/各種リム・ファイアー実包
・楽しきかな空気銃射撃
・ガン試写室 クロスボー作戦
・日本ライフル射撃協会の頁
・クイズ
・海外通信 米陸軍で開発される"夜の眼"
・今月の射撃競技会より
・ローカルニュース

メモ・雑感
・アフリカの狩猟案内。海外旅行ブームの世の中だという。年1回500ドルの枠内であればだれでも自由に外貨割当が出来、航空運賃は分割が提案されはじめている。
 ケニアには5丁まで猟銃を持ち込みできるが軍用の.303は禁止だというのが時代だ。マウマウ団の乱に際して欧米人はこぞって護身用の拳銃を持ち始めたが、今度は拳銃欲しさに欧米人を襲う事件が頻発したというのもなんというか。
 猟銃は堅牢なダブルライフルが推奨されている。ケニアでは自動式、ポンプ式、レバー式は散弾銃・ライフルの別なく禁止で選択肢はダブルライフルかボルトアクション。しかし.30-06などではどんな実包を使おうと猛獣相手には危険なので、危険のないガゼル相手など用途がかなり限られる。サファリ会社は1か月単位で貸銃も用意するので、高価なダブルライフルを買うことはないとのこと。

・防弾車の記事。直近のケネディ大統領事件のみならず虎ノ門事件にも言及されるのは時間的な近さからか。軽くて耐久性があるということでアルミ合金が注目されはじめている。数枚のアルミ合金板と鋼板とを組み合わせたボディへの発射実験では.30-06のAP弾では全部抜けてしまったという。そんなもん、そう持ち出せるものではないが。

・鑑識連載。「兵隊の位でいえば大将に当たるお角力さんのハワイ土産」を隅田川から警察が捜索してた話が時事ネタとして載っているが、そこから始まる話は遺棄された錆の塊と化した拳銃を除銹剤に十数日漬けて根気よく錆を落として試射可能にまでした話であった。鑑識はまったく侮れない。

・広告。多弾倉ライフルとして、
ウィンチェスター レバー7連 モデル94 .30-06
ウィンチェスター レバー15連 モデル250 .22LR
ウィンチェスター ポンプ15連 モデル270 .22LR
ウィンチェスター 自動15連 モデル290 .22LR
ウィンチェスター 自動8連 モデル290 .22LR 
イタリー ベレッタ 自動10連 オリンピア .22LR
が掲載されている。.30-06もある。

・空気銃の連載で著者が終戦直後に古本として手にしたSearsの通販カタログ(カラーで、飛行機からピン1本まで扱っている。格安で銃もある)を貪り読んで楽しんでいたというのが時代だ。モノはもちろん情報にも餓えているときはカタログなんかも貪り読んでしまう。Searsは銃も多く取り扱っており、「半完成品を通販会社が仕入れて下請けに完成させたメーカー品より一段劣る格安品」は、ハンターが猟期が終わると銃を土地に置き去りにするぐらいの格安という。

・大学射撃部訪問は今回法政だが、打倒明大の執念は一番強いとのことで、明大より古い大正創部の意地を見せる、明大の19連覇阻止をした先輩方に恥ずかしくない試合をすると、とにかく明大の存在感が凄い。18連覇していたということは、それだけ圧倒的な存在だったのだろうけども。

・広告。12番以外の散弾銃は、20番が2丁、410が1丁。多弾倉ライフルは、「レミントンM552 自動15連 22」「JCヒギンズM31 自動15連 22」「モスバーグM51M 自動10連 22」。

・暗視装置の紹介。「月とか星或いは夜光等自然の弱い力を利用する(中略)夜間用赤外線視覚器械のように人工光線を使うことは全くない劃期的なもの」というのはあまりにも革命的な未来装置だったのだろう。まだ試験中で生産を請負う会社も決まってない段階の話。

・スターリングSMG L2A1などはステンの基本設計を踏襲しているがプレス加工は最小限で精密な鍛造で作られているという。

・狩猟エッセイ。猪狩中に大便をしていると、そこに猪が現れ、そのままの姿勢で発砲したところ、大便の中に反動で倒れ込むしょうもない話が。

・年1回500ドルの枠内なら誰でも外貨割当されるようになったので海外旅行ブームというのが時代を感じさせる。航空券が割賦というのも。パッシブ式暗視装置は信じられないほどの最新鋭機器として紹介されている。「いずれヘルメットにつけられる」のは今日実現しているが、当時はSF同然の夢物語だったはず。関取がハワイから密輸した拳銃を隅田川に投棄した話が時事ネタとして出てくるのもあの事件の頃かと思わせる。猪猟中に便意を催し、誰もいないのでその場でしているところ猪が襲来し、そのままの姿勢で発砲する話など四方山話も面白い。


1965年9月号(昭和40年)

目次
・銃刀法改正をめぐって
・ビッグ・ゲーム, ライフルのすべて
・サベージモデル110ライフル[分解図付]
・.22口径国産ライフルをテストする[グランプリの性能]
・銃器鑑識の世界 第18話 凶器痕の鑑識
・モダンガンスミス 第3回 続/銃身設計のキー・ポイント
・ドイツ軍用拳銃とホルスターに見られる国民性
・現代空気銃への道 第18回
・照準のすべて/その1
・東京オリンピックへの作戦 (3)スイスはかく闘った
・銃砲史 第34回 秀吉出兵までの朝鮮小史
・日清戦争 <第20話> 南海作戦
・大学射撃部めぐり 中央大学の巻
・蒙古の打圍 <満洲猟話>
・収集家の憧れ デリンジャー拳銃
・世界のサブ・マシンガン ソビエト篇
・ガン&ガング図鑑 新しいステージ・ガン
・今月のカートリッジ 続/リムファイアー・カートリッジ
・クイズ
・ガン試写室
・射撃だより
・Q&A

・広告。.22Short, .22Long, .22Long Rifle(standard), .22Long Rifle(hi-speed), .22Long Rifle(match), .22散弾など.22リムファイアーだけで各種ある。今ではARから段階を踏んだSB選手しか持てなくなった.22リムファイアが手軽な猟銃かつ競技銃だったことが窺える。

・急に銃刀法が改正され、銃器購入には住民票と精神衛生に関する医師の診断書が必要となったが、運用がまったく定まっておらず、歯科医以外なら何の医者でもよいとのことで、小児科医が困惑しながら診断書を出す様子が取材されている。これが年々より厳格になっていくのだろう。筆者の怒りは激しく、「交通戦争を取り締まるべくジャリトラ、カミカゼタクシーの運転手を精神鑑定しろ」など暴論も飛び出す。
 当時の情勢として、名古屋の喫茶店乱射事件があり、犯人は前住所で精神疾患の診断を受けていたが現住所では知られておらず、警察はそれを知りえず許可を出してしまった。許可に際しては12回もの面接、職場への素行調査も行われたが調査結果は良好とのことだつた。また、鉄砲所持者のうち2万人の居所が不明になっているという。住民票必須になったのは追跡ができなかったからか。

・大英帝国のビックゲームライフルについて。アフリカをはじめとする広大な植民地で使用するために発達。高級なダブルライフルは、黒色火薬でできるだけ大威力を目指して大口径重弾頭。なるべく多くの黒色火薬で高速度も目指す。特急列車を意味するエキスプレスという名がカートリッジにつけられることも目につく。1880年代終わりにニトロ化合物による発射薬が作られるとニトロ・エキスプレスという名も。銃口エネルギーのスペックでは同じか上回る相対的に小口径・軽弾頭・高速度の実包より、重弾頭の方が大型硬皮獣へのダメージが格段に違い。重弾頭でないとアフリカでは危険とのこと。

・サベージM110はモーゼルタイプのボルトアクションだが新機軸が盛り込まれている。左利き用も用意されており、モデル名に「-L」がつく。

・寄稿について、「やむを得ぬ場合を除きペンネームはご遠慮ください」とある。実名、住所が寄稿者はもちろん、取材された人間のものまで載る時代、ペンネームを使って招待を隠すことへの忌避感があったのだろうか。

・広告。東独製の散弾銃もみえる。西ドイツは「独逸」と表記。

・中央大学射撃部について。当時キャンパスは駿河台にあるはずだが、既に聖蹟桜ヶ丘に土地を取得し射撃場を含む体育施設が出来ると期待したり、学業中心で無理なくやると話すなど、まあ中大っぽい地味な記事。なのだが、最後「打倒明大の為極秘練習をしている」と唐突に締めるのが面白い。

・大正天皇は射撃好きで御用邸の周辺でゴイサギや鴨を撃っていたという。水素ガスをつめたゴムまりを投げさせて撃つことも。宮内省からイギリスのW・Rベープ製銃会社に在外公館を通じて注文した高級2連銃が御用銃。ベープ社は絶大の光栄として「ミカド・オブ・ニッポン」とカタログに記載した。

・当時の新作映画『戦場にながれる歌』の紹介。馬賊役の持つ銃はMGCのモーゼルのモデルガンの他、実銃のホーワ300も使われているとのこと。許可を得た当人以外の人間が1秒でも触れたら罪に問われ実際に数秒で警察沙汰になった話もある今日から見ると牧歌的な。

・愛銃を持ち寄り同誌関係者・読者がアメリカ海兵隊と親善試合をし、射撃愛好者の意地で海兵隊を蹴散らす様が紹介されている。この親善試合は4回目。ちなみに審判は自衛隊が務めていた。近年はこういう企画はむずかしそうな。

・広告。12番以外の散弾銃は、20番が3丁。多弾倉ライフルは、「レミントンM552 自動十五連 22」「アメリカ JCヒギンズM31 自動十五連 4Xスコープ付 22」。

・誌上販売。「ウィンチェスターM62 22 15連」「FNブローニングスタンダード 22 自動15連」「ウィンチェスターM61 22 15連手動」「マスター 22 自動7連」などの多弾倉ライフルが見える。

・銃刀法が突如改正され、所持許可には精神衛生に関する医師(何科か問わない)の診断書が必要になったが、準備期間もなく、小児科医が訝しげながら診察らしいことをする様が紹介されている。こうして実銃所持の閾が高くなっていくのだろう。今回の大学射撃部訪問は中大だが他大が異様な執念を見せる中「学業優先」と余裕を見せるのが中大らしい。読者関係者チームと海兵隊との親善試合では、海兵隊を蹴散らすなど射撃マニアの意地を見せるが、こういうことも困難になっていくのだろう。


1965年10月号(昭和40年)

目次
・本猟期の猟果を占う<付・各県別狩猟状況>
・SKBオート・モデルA100&200自動5連銃[操作図付]
・モダンガンスミス 第4回 続/銃身設計のキーポイント
・日本の銃器鑑識/活躍する科学警察研究所
・「日本の戦歴」に見られる銃器とその背景
・銃器鑑識の世界 第19話 銃器犯罪の一般的捜査
・現代空気銃への道 第19回 ギファール・ガス銃とその継承者
・手負い猪の猛威<満洲猟行随想>
・東京オリンピックへの作戦(4)フィンランドはかく闘った
・照準のすべて/その2
・銃砲史 第35回 鎖国へ
・日清戦争<第21話>日清戦争の性格
・コルトAR15ライフルがこれだ
・世界のサブ・マシンガン 共産圏諸国篇
・S&Wセンティニアル・モデル40
・今月のカートリッジ 続/リムファイアー・カートリッジ
・クイズ
・ガン試写室 消された顔(ナポレオン・ソロ)
・Q&A
・射撃だより

メモ・雑感
・広告。ハンターも用途に応じて愛銃の2~3丁もそろえるのが実猟マンの条件、とある。まだまだ簡単に2丁3丁買える時代だった。

・広告。「新国産ライフル グランプリ 22自動10連発」とある。10連発の新製品をまだ販売できた。

・各県の猟果について「ノイヌ」「ノネコ」もカウントされている。猟場管理上の有害獣として駆除している。ゲームの幼年期および卵を荒らし、ノイヌは徒党を組んで鹿を倒すという。積極的な駆除が望まれるとのこと。個人的にはつらい。
 一般の鳥獣の生息適地が開拓されると鳥獣は減少するがイノシシやウサギは逆に増えるという。農作物を荒らして繁殖する。徳島でまだ熊が獲れている。現在では四国の熊は現在では絶滅寸前で保護されている。また、愛媛でスズメがよく獲られているのは職業として獲る者がいるためというのも興味深い。ヌートリアは各地で若干ずつ取られている。すでに土着化している。
 各鳥獣猟果の推移が載っているが、昭和20年の数字が軒並み激減している。その理由として、猟銃供出、弾薬不足、出征等による人手不足、艦載機が頻繁に飛来し1人の人間さえ執拗に撃たれる戦況など考えられる原因はいくつもあるがどうなんだろう。統計業務の混乱もありそうだが。

・国産自動散弾銃SKB A100/A200についての記事。SKBは創業者坂場氏の姓から。国産猟銃は二連銃を得意として発展し、仕上げはよいが連発銃の選択肢は少ない。しかしA100/A200で選択肢が広がると期待されている。「部品の完全互換性を達成しており、部品番号で注文すればすぐに部品交換できる」とあるが、これがわざわざ記述されるということは当時の国産猟銃(2連銃)は部品のすりあわせが普通だったのか。また、30%の関税を課される外国散弾銃に対して十分な価格競争力があるともあり、やはり外国から生産規模が大きいが故に設備投資をされて量産された安価で優れた品が押し寄せてくる状況を垣間見た。

・広告。多弾倉ライフルとして「ウィンチェスター レバー7連 30-30」「ウィンチェスター 自動15連 22」「ウィンチェスター レバー15連 22」「ベレッタ 自動10連 22」がある。基本的に5発を超える弾倉のライフルは.22LRに限られるのだが、たまに見かけるウィンチェスターM94だけ.30-30などそれなりの威力の実包を7発装填できる。
 ちなみに銃砲店の地図は、どの広告も現在のJRを国電と称しており、また路面電車の線路も縦横無尽に走っている。時代だ。

・鑑識連載。20番の薬莢に丸めた新聞紙をワッズがわりにして電気工作用のワイヤーの欠片を散弾がわりに詰めた恐ろしく雑な代物で人を撃つが、脳から発見された新聞紙の欠片が容疑者宅にあった引きちぎられた新聞と一致したという話が。鑑識の根気もすごいが犯行の雑さもすごい。

・007人気にあやかって秘密情報部ブームとあり。ナポレオンソロもそのひとつらしい。

・広告。12番以外の散弾銃は20番3丁。多弾倉ライフルは「レミントンM552 自動15連 22」がある。

・AR15について、軽くて威力が強いと評する。応用価値が極めて高く、これまでの制式銃に対して耐寒耐熱にすぐれ群を抜いて故障もない。5.56mmは軽いわりに破壊力がものすごく強力。現在ソ連でも.223径ライフルと同実包を開発しているという噂。軽く携行弾数が多い。反動が小さく全自動式でも正確に撃てる。操作が簡単。などなどAR15とその実包についてべた褒めしている。わずかに漏れ聞く噂を集めたのだろうけれども、未来銃としての関心の高さが窺える。

・共産圏のSMGについて。ソ連ではない共産圏諸国を扱う。チェコスロバキア系とソ連系の2つの流れがあり、チェコスロバキア系を大きく扱う。他の国はPPSh41かPPS43のコピーなので扱いは小さい。

・射撃クラブと自衛官とで、夫人射撃大会。夫の銃で射撃をしてもらうようだ。許可を受けた当人以外の人間が銃を借りて撃つとはのどかだ。

・誌上販売。「FNブローニングスタンダード 22 自動15連発 二つ折可」「M1カービンスポーター クリップ5発」「ウィンチェスターM61 22 手動15連」「マスター 自動7連」など多弾倉ライフルがある。二つ折可は全長制限において大丈夫だろうか。M1カービンスポーターはホーワではない。
 スコープ・コーワ。外国製のものに絶体劣らない鮮明さを持つ最高のスコープです、とある。国産光学機器はまだそれほどの信頼性を確立していなかったのか。

・各県狩猟統計では獲得鳥獣数とその推移が描かれているが、全体として山林開発を受け減少傾向にあるように見える。が、開発が進むと兎と猪とは逆に繁殖するらしく一様ではない。鑑識記事では被害者の脳内から取り出して紙片から犯人を特定するなど執念がすごい。当時最新鋭のAR15についてはすでにベトナムで使用されており「軽くて威力が強く故障が少ない」との評価。5.56mmは威力が強くソ連も同等のものを開発しているらしいという噂も(5.45mmのことだろう)。共産圏のSMGの記事ではチェコスロバキアの独自性の扱いが大きい。


1965年11月号(昭和40年)

目次
・ポンポン砲を解剖する
・K・F・C・自動5連銃[F, F, C, の沿革と新銃開発]
・モダンガンスミス 第5回 薬室<その1>
・日本陸軍のライフル擲弾とタ弾
・銃器鑑識の世界 第20話 傷口
・銃床彫刻<如何にして美しく彫るか?>
・照準のすべて/その3
・東京オリンピックへの作戦<最終回>西ドイツの巻
・銃砲史 第36回 近世ヨーロッパの発展
・日露戦争 第1話 <新連載>
・ここにこんな人が 伊藤喜男さんの巻
・猛虎と朝鮮牛の決闘
・世界のサブ・マシンガン フランス編
・0011(ナポレオン・ソロ)のガンとガン具
・今月のカートリッジ 第2次大戦におけるドイツ制式ライフル・カートリッジ
・猟犬 第1回 ヒトとイヌ及び狩猟犬
・クイズ
・プラスティック・バード射撃を楽しもう
・日本ライフル射撃協会広報の頁
・武器学校開校13週年記念大会開かる
・ガン試写室
・Q&A
・新SMGの開発テストはじまる
・Gun Post
・射撃だより
・掲示板

メモ・雑感
・前月号のSKBに引き続き、待望の国産自動散弾銃としてKFCの新製品を扱っている。軍用銃に生産力を集中させるため昭和13年に猟銃製造禁止令が出されて大きなブランクが生じていたのは乗用車と同様か。軍用銃技師を抱えたパインミシンと組んで猟銃開発するのも戦後の歩みだ。なお、2連銃は手作りに依存することから我が国の工業生産体系にマッチしたという。人件費と為替レートで優位性があり2連銃は輸出品となったが、しかしそこから部品の完全互換性を必要とする自動銃への脱皮は多くの困難があったはず。

・広告。多弾倉ライフルとしては、「ウィンチェスター 自動15連 290 22」「ウィンチェスター レバー15連 250 22」「ウィンチェスター レバー7連 94 30-30」「ベレッタ 自動10連 スポーツ 22」がある。

・寄稿者が中学生だった頃の狩猟回想。父兄が猟銃を持っている下級生を拝んだり脅したりして2~3発ずつ実包を持ってこさせ、父のオート5を無断で拝借して鳥を撃っている。この悪童が警察署長や病院長の倅というが高価な自動銃を持っているということはそういうことか。

・北海道でヒグマに.30-06を至近距離から撃ち込むもハンターが頭を噛まれ、ヒグマの口の中に猟銃を突っ込み2連射して九死に一生を得た話。.30-06でも簡単には行動不能にはならないとは、熊撃ち名人藤原長太郎氏が「近距離ではM1など自動式でなければならない」と述べるはずだ。
 この話はハンター2人組でヒグマと対峙しており、文章からは判然としないので推測すると、まず1人が.30-06のボルトアクションでヒグマを撃ったところ逆襲されて噛まれ、もう1人がおそらくブローニングオート5をヒグマの口の中にねじ込みスラッグ弾を連射したのだと思う。2人いなかったらおそらくは。
 至近距離では自動式でなければ命がないとは藤原長太郎名人の弁である。あるいはもっと強力な実包を使うダブルライフルがよいのかもしれない。外すと終わりだし2発で勝負がつかなくても終わりだが、ボルトアクションは至近距離では2発目がない。国内では銃も実包もなかなか入手困難だが。

・「チェッカリング」に(市松文様の飾り)と注釈がつく。カタカナ語はそのままではわかりにくいのはわかるが、「市松文様」がよりわかりやすいのか。

・日本ライフル射撃協会から警視庁に銃刀法に関する要望書。「競技銃」という用途を加えるよう要望。現状では銃の用途は、競技用でも「狩猟用」となっており、狩猟の許可されない未成年の持つ空気銃でも「狩猟用」となっていて、誤解を招来するとのこと。

・映画について、アメリカの若者は徴兵制があるので銃の撃ち方がサマになっているとある。まだ停止される前なのか。

・新中央工業の新SMGの実射試験の様子の取材記事。9ミリ実包の箱もある。自衛隊で現用のSMG、M3、M1トンプソン、そして「イスラエルから先日贈呈されたUZI」、さらにはモーゼル・ストック付とM2カービンと比較している。

・広告。多弾倉ライフルとして、「FN自動15連Bスタンダード22径」「ウィンチェスターM250レバー17連22径」「ウィンチェスターM290自動17連22径」「モスバーグM350K 自動17連22口径」「モスバーグM351K 自動15連22径」「モスバーグM402 レバー17連22径」などがある。

・38式や99式の所持許可を得るためにはスポーターに改造する必要がある。着剣装置の削除など。軍用銃の所持許可を得るためには、その他、外観も見られるが最近警察は厳しいとのこと。軍用自動銃の所持許可の場合、クリップなら5発用をつくらないとならないという。その改造は外国で行わないとならない。持ち込んでからの改造は不可。また旅行者用外貨の範囲内でないと持ち込みは許可されない。為替管理法違反とのこと。なかなか難しい。

・読者投稿。「カネを出し合い1丁の空気銃を買って道場で撃っている」とあり、許可を得ていない人間でも撃つことが気軽にできたっぽい。少なくとも咎められなかった。

・広告。12番以外の散弾銃は、16番1丁、20番2丁。多弾倉ライフルは、「レミントンM552 自動15連 22」「サベージM29 手動15連 22」がある。

・前月号のSKB自動散弾銃に続き、今回はKFC自動散弾銃を取り上げている。昭和13年の猟銃製造禁止令以来、大きなブランクが生じていた国内猟銃開発は、戦後ミシンメーカーで働く元軍用銃技師たちの力を得て遅れを取り戻そうとするのは乗用車開発と似た道筋だ。また、新中央工業の新SMG実射試験の様子が報告されているが、自衛隊現用のM1トンプソン、M3グリースガンはともかく、イスラエルから贈呈されたUZI、SMGに似た性格のM2カービンとロングマガジン&ストック付モーゼル拳銃なども用意されている。モーゼルは意外だった。


1965年12月号(昭和40年)

目次
・アイデアが育てる国産銃/「Gun科学賞」募集規定
・創刊3周年によりせ「月刊Gunと私」 超人的な力の本体・有馬成甫 Gun文化の進展のために・安斎実 3年のキャリア・安斉直泰 ライフルマンの修業道場・荒木俊次 大人の責任について・池田真次郎 迷った"銃砲史"・岩堂憲人 科学的に追う魅力の実態・上田正次 流行語・荏原秀典 桃栗3年柿8年・大竹伸宜 銃猟界の旗幟たれ・岡本光長 足でかく記事・奥田利光 不動の読者・小橋良夫 旧知の人達と対面・佐藤直 私の夢・清水正二郎 封筒をやぶり楽しさ・関野邦夫 事業は人なり・田中欽一 銃を読む・寺田近雄 Gunは私の恋人・内藤慶兼 広く深く読む・斉田正次 海外よりのメッセージ
・座談会 スタッフが語る3年間の歩み
・表紙コンクール
・ガンマンスリー スターモデルF.22ピストル[分解・操作図付]
・ガンスミス 第6回 ヘッド・スペースについて/その1
・日本の重機関銃・3年式と92式
・若人の祭典 岐阜国体を訪れて
・銃器鑑識の世界 第21話 調査の方法
・狩猟犬の世界 第2回 イングリッシュ・ポインター
・空気銃射撃教室 撃発<引金の引き方>
・現代空気銃への道 第20回 近代的ガス銃
・銃砲史 第37回
・日露戦争 第2話 扶清滅洋
・L/90 35m/m双連高射機関砲
・出雲の神に化けた虎の骨
・世界のサブマシン・ガン スイス篇
・ガン&ガング図鑑 日本のソリッド・ガン
・今月のカートリッジ 続・ドイツ制式カートリッジ
・クイズ
・ガン試写室
・射撃記録
・書評
・編集後記
・火薬類を購入する手続き
・日本ライフル射撃協会広報の頁

メモ・雑感
・「若い人はテレビジョンに映し出されるエレキ・ギターに夢中なようですが、彼らが小学校に入るか入らないかという頃にはテレビジョンは夢の技術だった」などと、若者と時代の流れに思いを馳せている。若者の子供時代から見てさえ時代が加速度的に変化している。

・Gun科学賞。実銃に役立つ発明、考案を応募している。007やナポレオンソロの道具ではなく実用的なもの、できれば試作や実験データを求む、とのこと。

・創刊3周年ということで3年間を振り返る。以前から狩猟雑誌はあったが、扱われるのは鳥猟がほとんどで、銃も散弾銃ばかり。その内容も体験談ばかり。表紙も無難。そこでいきなり創刊された本誌は、表紙からして銃のアップで挑戦的。創刊号はなんとリボルバー拳銃。内容はいきなりライフルを前面に押し出し、ホーワの威力調査やライフルマッチ。意欲的。日本のライフル人口は少ない。競技も少ない。ハンドロードも普及していなかった。そうした中でライフルを扱い、その競技やハンドロードを紹介する実践的な記事はすごい反響があったという。 

・広告。市外局番が書かれておらず、地名+市内局番の組み合わせで電話番号が書かれているケースが多い。 市外局番が書かれているケースは稀。市外局番が制定されてまだ数年か。

・広告。 多弾倉ライフルとしては、「ウィンチェスター レバー7連 94」「ウィンチェスター 自動15連 290 22」「ウィンチェスター レバー15連 250 22」「ベレッタ 自動10連 スポーツ 22」がある。

・競技用拳銃スターF.22の紹介。スライドストップがなく、射撃位置以外ではホールドオープンしなければならない競技規則に合わせるために、木片などを噛ませてスライドを開ける必要があるという。数年後の改良ではスライドストップが追加されたらしいが。

広告。多弾倉ライフルとしては「ウィンチェスター M250 レバー17連22径」「ウィンチェスター M290 自動17連22径」「モスバーグM350K自動17連」「モスバーグM350Kレバー17連」がある。

・エリコンL90高射機関砲について、FCSがついた超高性能火器のように扱っている。当時は先端兵器だったわけか。

・広告。12番以外の散弾銃は、 20番2丁、.410と16番1丁。多弾倉ライフルは、「FNブローニングIT10477 自動15連 22」「FNブローニング 122558 自動15連 22」。

・広告。日本高級玩具小売商組合。「重大なる理由により MGC ブローニング三八〇 S&W ワルサーPPKの各種製品の販売を全面的に中止」とある。モデルガンの規制が、一歩また一歩と進んでいる様を感じる。

・自衛隊創立15周年のパレード。本誌も創刊3年。海外でも東京オリンピック報道が話題になっていたようで多くの祝辞、とのこと。

・スイスのSMGの特集。1920年からせいぜい30~40年間のそう長くないスイスSMG史を詳細に網羅している。わりと7.65mmルガーや9mmモーゼルが使われるのも興味深い。

・広告。猟用ズボン。サイズについては「特大」の他、「肥満体」というサイズがある。直截だ。

・広告。丸三精器マスターライフル。.30-06と.308も登場。待望の国産大口径ライフルだ。

・創刊3周年ということで回顧や賛辞が寄せられているが、創刊当時は狩猟誌はあっても鳥猟主体かつ体験記中心であり、銃そのものに焦点を当て、ましてやライフルを俎上に載せハンドロード講座の実用記事や射撃大会の主催までするのはかなりのインパクトだったことが窺える。他の記事ではスイスのSMGの紹介はなかなかまとめて見る機会がないのでものめずらしい。購入には住民票が必要という自衛策を講じたモデルガン・ブローニング380の販売を「重大なる理由」により中止するなどモデルガンの進歩とそれを取り巻く環境の厳しさをも感じる。


戻る