last up date 2021.12.25

『月刊Gun誌』読書記 1966年


 国際出版の銃器専門誌『Gun誌』の読書備忘録。基本的に読書メーターやメモの転載。
 知識のない人間の書く個人的なリファレンス兼備忘録なので情報そのものの正確性が期待できないのはもちろん、『Gun誌』の当該号に書いてある内容と一致するとも限らない。


1966年1月号(昭和41年)

目次
・「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」と狩猟講習会の再考
・ヘンメリー・ワルサー・オリンピア
・モダン・ガンスミス ヘッド・スペースについて/その2(第7回)
・思い出の38式歩兵銃 その歴史と性能
・銃器鑑識の世界 第22話 予備的鑑識
・狩猟犬の手引き 第3回 イングリッシュ・セター
・M52A1型105m/m自走榴弾砲について
・現代空気銃への道 第21回 空気銃弾の歴史
・于宝君と彼の最後
・空気銃射撃教室 第12回 呼吸作用のすべて
・銃砲史 第38回
・日露戦争 第3話(日清戦争後の朝鮮)
・世界のサブ・マシンガン 第10回 イタリア編
・モーゼル社最後のピストル, モーゼルHSzポケットオート
・今月のカートリッジ .280NATOほか
・クイズ
・ガン試写室
・日本ライフル射撃協会の頁
・射撃だより
・射撃論壇(関野邦夫)

メモ・雑感
・昭和33年から狩猟者講習会制度が創設。猟銃講習会特集では、替え玉受講者、昼休みに一杯やって酔ってる受講者、後ろの席で将棋をさす受講者、机がなく椅子で書く受講者、一夜漬けで質問に答えられない講師、非識字者のために「眼鏡を忘れ字が読めない方」という言い方で呼びかけて口頭で考査する職員など隔世の感だ。

・広告。多弾倉ライフルとして「ウィンチェスター レバー7連 94 30-30」「ウィンチェスター 自動15連 290 22」「ウィンチェスター レバー15連 250 22」「ベレッタ 自動10連 スポーツ 22」がある。

・ヘンメリー・オリンピアとワルサー・オリンピアとは、ほぼ同じで、部品も多くは交換可能。初期はスライドオープンラッチと緩衝器がなく不便だったが加えられた、とのこと。

・明治4年廃藩置県にあわせて民間の兵器還納の令 明治7年までかかって終了 軍用となる銃は返納させた

・広告。ガンケースについて「汚れに強い、スマート、軽い汚れない第2の金属と云われるABS樹脂製」という文句も時代だ。先進的な未来素材だったのか。.22LR15連発のレミントンナイロン66なんかも素材名ナイロン66を冠するのが誇らしくも挑戦的だ。当時、木ではない合成繊維製ストックは相当な冒険だったはず。

・競技拳銃50人の枠が出来たが、そもそも民間において、誰が拳銃射撃にすぐれた資質をもっているかわからない。ということで後に言うハンドライフル、片手式のエアライフルが産まれた様子が描かれる。
 昭和40年度全日本ライフル射撃選手権大会。のちに言うハンドライフルのテスト。拳銃経験のない一般選手と拳銃選手とがそれぞれ撃ってみると、拳銃選手が上位を独占。ライフル射撃協会のねらいどおり。センターファイアーピストルでは静岡射協会から海兵隊スコット軍曹が.45で参加。大会規定では.38までなのでオープン参加となったが最高点。技能賞をもらう、とのこと。自分のコルトで飛び入りとはすごい。しかも最高点。

・ホイールロックの説明で、現在のガスライターでさえ着火に失敗することがあるのだから、粉の黒色火薬に対しては着火失敗の確率がより高かったはずとある。1965年には100円ライターは販売されていなかったはずなので、ダンヒルなどの高級なガスライターを念頭においてのことか。

・狩猟者講習会制度についての記事は、当時から見ても過去の破天荒な話(替え玉、酒酔い、将棋など)を挙げているが、取材当時の講習会でも机がなく椅子で書いたり、非識字者のための口頭考査をしたり、隔世の感がある。競技拳銃の枠を作ったはいいが民間人の資質を図る方法として、新たに軽量の片手用エアライフル(後にいうハンドライフル)が登場し、全日本ライフル射撃選手権で拳銃射撃選手や民間のライフル選手が試している。なお同大会には海兵隊軍曹が45口径で参加し最高点を記録するも、規定外の銃を使ったとして技能賞にとどまっている。


1966年2月号(昭和41年)

目次
・特集 ハンティングの旅
・みちのくにヤマドリを追って
・さい果ての原野に鹿を追う
・スケールの大きい琵琶湖のカモ猟
・日本クレー射撃協会年忘れパーティーの集い(世界選手権参加選手団歓迎祝賀宴)
・ガンマンスリー ジョンソン・セミオート・ライフル
・モダン・ガンスミス ヘッド・スペースの測定
・銃器鑑識の世界 第23話 銃の連続番号
・狩猟犬の手引き 第4回 ドイツ・ポインターの巻
・AK47自動小銃(ソ連製)について
・現代空気銃への道 第22回 スプリング空気銃の得失
・猟に学んだ満洲の猥談猥歌
・空気銃射撃教室 第13回 膝射姿勢
・銃砲史 第39回
・日露戦争 第4回(閔妃事件)
・世界のサブ・マシンガン 第11回 スカンジナビア諸国篇
・今月のカートリッジ(ゲーリッヒの超高速弾)
・クイズ
・日本ライフル射撃協会の頁
・ガン試写室
・射撃だより/トピックス
・射撃論壇(関野邦夫)

メモ・雑感
・狩猟紀行の記事。東京から盛岡まで2代目クラウンで10時間かかっている。現在の高速道路と自動車性能から見ると長い旅だが、工事区間もあるが完全舗装でトラックの定期便も活発に行き来するということで、すでに自動車旅行をしやすくなっているのだろう。

・射撃協会の年忘れでは国産銃器メーカーが自動銃を持参し試射させている。試射させることも出来たのか。酒も出ているようだが、少し心配になる。

・広告。多弾倉ライフルとしては「ウィンチェスター レバー7連 94 .30-30」「ウィンチェスター 自動15連 290 22」「ウィンチェスター レバー15連 250 22」「イタリー ベレッタ 自動10連 スポーツ 22」がある。

・鑑識の連載。刻印は大きなヒントになるが惑わされることも多いという。商売上の都合で、わざと大手メーカーと誤認させるような刻印が為されることも多い。S&Wはシリアルナンバーをリボルバーでは5箇所に刻印しているが、5箇所すべてを削りとったものにはお目にかかったことがないとのこと。銃の流通では、メーカーは問屋までは記録しているが、そこから先はろくに記録されていないことが多く、ましてや個人取引はもうお手上げとのこと。それでもシリアルナンバーから追えることもある。
 事件においてシリアル番号から追跡できる銃は10丁に1丁程度。コルト45は「戦闘中に紛失」という報告が国防省から返答されることも。メーカーは、「~の番号以前のものは照会不能」と断っている場合もある。また、米国製の長物は必ずしもシリアルナンバーを刻印していないとのこと。

・AK47自動小銃の記事。陸幕武器課火器班長の2等陸佐が執筆しているのがすごい。設計や仕様について淡々と解説しているが、欠陥として重さや精度の他、撃ち終わりの標示と遊底止めがないので残弾の有無がわからないという指摘もあり、また「塵に弱そう」という予測もされている。

・日清戦争の記事。唐突に、筆者の尋常小学校の教師が突如職を辞し、有志として閔妃事件に関わったという筆者と地続きの話がでてきて驚いた。1966年、第二次大戦は記憶に生々しいにしても、日清戦争さえまだ子供だったとはいえ当時を知る人がいたりした頃合いなのか。

・広告。多弾倉ライフルは、「FN 自動15連 B スタンダード22径」「ウィンチェスターM250レバー17連22径」「ウィンチェスターM290自動17連22径」「モスバーグM 350K 自動17連22径」「M351K 自動15連」「M402レバー17連」がある。

・冒頭は狩猟紀行が数本載っているが、2代目クラウンで10時間かけて東京から盛岡まで赴くなど当時の旅の様相が伺えて面白い。ベトナム戦争において解放戦線の武器として目に着き始めたAK47について自衛隊幕僚武器課火器班長の2佐が執筆しているのもツテの広さを感じる。また、日清戦争の記事では筆者の尋常小学校の教師が突如辞職し有志として閔妃事件に関わったと記述されるなど、現在から見たWWIIより当時から見た日清戦争の方が若干近いことを認識させられる。


1966年3月号(昭和41年)

目次
・サハリ<ライオン、豹、バッファローと闘った日本人の記録>
・ガンマンスリー ポーランド製 ラドムP-35オートマチックピストル[分解・組立図付]
・大砲の模型を作って30年<この道、数十年のベテラン・エンジニアの生活と意見>
・銃器鑑識の世界 第24回 銃番号と国有
・狩猟犬の手引き 第5回 アイリッシュ・セター
・空気銃射撃教室 第14回 立射姿勢
・密林の魔物、豹との対決
・現代空気銃への道 第23回 イギリスの空気ピストル
・英国陸軍の歩兵用火器について
・銃砲史 第40回 フランスのフリント・ロック
・日露戦争 第5話
・世界のサブ・マシンガン 第12回 スカンジナビア諸国篇(2)
・小説・海兵軍曹スコット 第1話
・今月のカートリッジ マドセン・マシンガン
・ライフル射撃協会広報室
・Gunクイズ
・ガン試写室
・今月のGunニュース<従者・馬クンのこと>
・昭和40年度フイル10傑表
・射撃マナー
・「銃」愛好者に告ぐ!
・県警射場、エアライフル射場に
・射撃論壇
・表紙コンクール当選者発表

メモ・雑感
・サハラ狩猟記。今回の旅は招待旅行だが、自費だととんでもないカネがかかるという。当時は本当に遠くて遠い土地だったはず。正当防衛であろうとなかろうとライオンを撃てる頭数は決まっている、とのこと。広大な野生の土地の狩猟だが、拠点たるベースには冷蔵庫、水などもある文明世界という。植民地本国から来る金持ちを接遇する延長線上のビジネスか 

・ラドム拳銃の記事。デコッキングレバーについて言及しているが、記事内ではそういう言い回しはしていない。

・大砲の模型について。かつて製作した作品が戦火で焼失したというのが悲しい。執筆者は、もともと軍事関係の技術者で、執筆時は三菱重工の技術者という。

・鑑識連載。シリアルナンバーについて。「近年戦場になったことがないので国が新しいにも関わらず記録書類が残っている」というのは、戦災で多くの記録が焼失した後に生きる世代の実感か。
 シリアルナンバーからの追尾はなかなか困難で、何十万丁も製造したのに4万より大きいシリアル番号はない、なんらかの略号や記号で区別はできるらしいが資料散逸、銃によっては00からはじまり100丁目には00に戻るものさえある、という。軍用銃は複数の工場で生産するが、SMLEなんかはシリアルナンバー自体打っていないこともある。故障などにより複数の銃から部品を組み合わせていることもある。
 他方で、削り取ったシリアルナンバーの刻印は化学的・磁気的に復元可能なこともあり、そうした処理をしてうっすら浮かび上がった痕跡はまた消えるので、すかさず写真を撮るという。

・広告。多弾倉ライフルは、「FN 自動15連Bスタンダード22径」「ウィンチェスターM250レバー17連22径」「ウィンチェスターM290自動17連22径」「モスバーグM350K自動17連」「モスバーグM402レバー17連」がある。

・日本ライフル射撃協会主催競技に秩父宮杯の御下賜が決定された、とある。「下賜」というコトバが生きていた。

・読者投稿欄では規制や世間の目の厳しさに対する反発や、それらの原因になるマナーや安全管理の悪いハンターへの苦言などが書き連ねられている。1965年における猟銃・競技銃による死者は39人、負傷者199人で、大半は狩猟中の散弾銃によるものだがARでも2人亡くなってる。侮れない。

・広告。「永らく御愛顧を頂いておりました刀身が鉄身の趣味の刀剣類は、去る1月20日付にて本庁よりの通達により発売禁止となりました」とのこと。模造刀も規制が進んでいる。

・アフリカの猛獣狩りが掲載されているが、当時においてもすでに頭数制限が厳格になされており、自衛であっても頭数オーバーは許されないという。また、べらぼうな金額がかかるだけあって当時の現地事情では信じられないぐらい快適なベースも用意されており絶望的な格差を垣間見る。鑑識の記事では削り取られたシリアルナンバーの再現について紹介されているが、しかし戦火で記録が滅失していたり、軍用銃は複数の工場で独自にカウントしていたりして追跡できないことが多いという。広告では鉄身の芝居用観賞用の刀剣が販売禁止にされたという話が。


1966年4月号(昭和41年)

目次
・アラスカに挑む<大ツンドラ地帯にムース・カリブーを追う>
・ルガー・モデル10/22カーバイン[分解、組立図付]
・「38式歩兵銃の射撃訓練法」
・銃器鑑識の世界 第25回 プルーフマーク
・狩猟犬の手引き 第6回 ワイマラナー
・空気銃射撃教室 第15回 タマを使用しない練習法
・満洲、山鷲と興安禿鷹
・現代空気銃への道 第24回 イギリスのスプリング銃
・銃砲史 第41回 ライフル(施条)のおこり
・今月のカートリッジ 7mmデスクプライム、無薬莢カートリッジ、10.8mmシュミット&ヤング
・日露戦争 第6話
・世界のサブ・マシンガン 第13回 ベネルックス篇
・海兵軍曹スコット 第2話
・ライフル射撃協会広報室
・Gunクイズ
・ガン試写室
・今月のGunニュース<全国クレー射撃大会詳細発表>
・読者投稿欄<陽の当らぬ地帯を行く、石狩川にカモを追う>
・射撃論壇

メモ・雑感
・アラスカ狩猟紀行。述懐するのがふたりとも社長。カネがかかる旅であることを思わせる。セスナからゲームを探すなどなかなかの豪快。ただしこのセスナ、シートは2つで、3人目は板の上とのこと。小便したくなったらそのへんに着水するという大雑把さ。これがアラスカのハンティングか。

・ルガー.44マグナムカービンの記事。口径10.5mmを超えるものは所持できないので日本への輸入は不可とのこと。当時の猟銃事情なら輸入できそうな気もしたが、口径の制限にかかっていた。

・狩猟日記の読者投稿。現代病に悩むエリートサラリーマンの青年が、犬がわりに少年工員を連れて狩猟の旅へ。番小屋で飯盒炊爨に缶詰が気の利いた携行食の発達していない時代っぽい。農家の人に泊まっていけと言われたり、カラスを撃ってくれと頼まれたりもする。ダムの水没を免れた、開発に取り残された孤立集落は文明から取り残されたかのようとのこと。薄汚れた子供たちに乾パンを与えるとついてきたともある。経済成長と開発の時代位のイメージがあるが、田舎では取り残された場所があった。また、無人の死んだ集落もあるとのこと。ちなみにこの青年の銃は、「アメリカでは使い捨てにされているような」単発銃で、半矢をつくりやすいとのこと。
 ちなみに少年工員はバーのホステスの話ばかりするなかなかの人物。

・世界のサブ・マシンカンの記事はベネルクス諸国。ベルギーはともかく、当時人口29万、兵力1,800人のルクセンブルクが開発した超低価格SMGのソーラー・モデル・スーパーとそこさらなる簡略版まで紹介するとは、なかなか気が利いている。

・アラスカ・ムース猟紀行の記事は、奢侈な旅らしく参加者は経営者2人なのが当時の海外狩猟を思わせる。ベネルクス諸国のSMGの記事ではベルギーはともかくルクセンブルクのSolaなるめずらしいモデルを取り上げており、アルジェリア民族解放戦線に密輸するも発覚したことしか特記事項がないというのも尖っている。投稿記事ではエリートサラリーマンの青年が「猟犬がわりに」田舎から出てきた少年工員を連れて狩猟の旅に出るが、少年はバーの女性の話などして都会ずれし、集落の子供は乾パンを与えると貪りつくなど当時の開発格差が垣間見える。


1966年5月号(昭和41年)

目次
・銃の見どころ、カンどころ
・米陸軍の車載機関銃について
・コルト・ガバメントM1911A1
・日中親善射撃試合
・モデル1937[分解、組立図付]
・フィリピンのハンティング・ツアー
・現代空気銃への道 第25回 ドイツの空気銃
・空気銃射撃教室 第16回 危害予防とそのマナー
・王者の棲家-虎穴見聞記
・銃器鑑識の世界 第26回 薬莢の刻印
・狩猟犬の手引 第7回 各種のスパニエル
・銃砲史 第42回 三兵戦術の創始
・今月のカートリッジ 7.7mm×58 日本、アーマー・ピアシンク、その他
・日露戦争 第7話
・世界のサブマシンガン 第14回 スペイン篇
・海兵軍曹スコット 第3話
・第3回S.E.A.P.に招かれて
・ライフル射撃協会広報室
・Gunクイズ
・ガン試写室
・今月のGunニュース
・射撃論壇

メモ・雑感
・フィリピンハンティング・ツアーの記事。「昨今は、BGがボーナスを出し合い海外旅行に行くことも」などとあり、BGときた。非常に響きがわるい言葉として言い換えが始まった頃合いだろうけれど、当時はまだまだ使われていたわけだ。
 また、フィリピンでは銃器持ち込みは本来禁じられているはずだが72万円の保証金を支払って通したとあり、当時のカネではかなりの額のような。現地でライフル実包はあまり手に入らず、一般的な12番の00バッグも日本の倍なので香港で買っていけばいいともいうが奢侈な話ではある。

・法政大学射撃部が台湾を訪問し在華米軍射撃場で親善試合をしたレポートがあるが、相手は台湾大学と在華米軍。中華民国軍の将軍も立ち会うなど、なかなかすごい。

・スペインのSMGの記事。9mmベルグマン・ベヤードばかりで思い出したように9mmルガーが登場するのが異色だ。もちろん輸出に向くわけもない。しかも小規模メーカーが多く冒険的だがあまり受け入れられず終わったものも多く、それを網羅するのは貴重かも。

・フィリピン狩猟紀行では「本来銃の持ち込みが出来ない」ところ当時のカネで72万円の保証金を払って通すなどごり押しがすごい。米陸軍の車載機関銃は、M60戦車搭載の12.7mm M85と7.62mm M73を取り上げているがどちらも短命だったことを考えると物珍しい。世界のサブ・マシンガン スペイン篇は9mmベルグマン・ベイヤードのばかりで、しかも小メーカーによる冒険的な品が多くそれを網羅するのは刺激的。


1966年6月号(昭和41年)

目次
・国産ライフル装薬と雷管は マグナム・カートリッジに使用可能か?
・幻のアーミイライフル―二式「テラ銃」小銃の秘密
・ウィンチェスター・センテニアル モデル66
・空気銃射撃教室 第17回 空気銃の手入れと修理
・現代空気銃への道 第26回 ドイツ空気銃(2)
・野鳥の王 山七面鳥討ちの苦心談
・銃器鑑識の世界 第27回 鑑識写真のはなし
・狩猟犬の手引き 第8回 各種のレトリーバー
・銃砲史 第43回 アメリカ新大陸
・今月のカートリッジ チェコ・ショート M1950 ロシア・ショート M1943
・日露戦争 第8話
・中世の鎧は鉄砲に安全だったか?
・世界の軍用拳銃 第1回 日本篇
・海兵軍曹スコット 第4話
・ライフル射撃大会のお知らせ
・Gunクイズ
・Gunニュース
・ライフル射撃協会広報室
・射撃論壇
・Gunトピックス

メモ・雑感
・日本の国産発射薬と雷管は、マグナム・ライフルのリロードに使えるかという記事。日本の国産発射薬と雷管は、戦後.30-06用に再開され、狩猟用もそれをベースにしている。韓国も軍用ライフル用発射薬で競技銃用の実包をリロードしようとして失敗した話が以前紹介されたが、似た事情か。アメリカの発射薬でも.30-06と.300WMあるいは.300H&Hと共用できるものもある。基本的にマグナム・ライフル用は緩燃性、.30-06用発射薬は速燃から緩燃までレンジが広くいろいろある。国産発射薬NY500とAS30と国産雷管TK300の組合せで.300WMはやや遅くなるが問題なく発射でき、命中精度もそれほど違いがないという話。腔圧は低め。国産発射薬とウェザビー純正雷管の組み合わせで試したら、腔圧も速度も純正に少し近づいたという。発火力の強い雷管が必要とのこと。

・「明治百年」の記念計画がここそこで見られる頃合い。他方、米国ではウィンチェスターの第一号、モデル66がうまれたとして、やはり記念モデルが。元込への本格的な移行の立役者たる名銃、黄色い真鍮製機関部からイエローボーイと呼ばれたとのこと。

・元満州国県参事官による現地の狩猟回顧録では、警戒心の強い山七面鳥の周りを自動車で円を描いて走り距離を縮め、著者が転がり降りて撃つ様が紹介されている。当時の自動車で50cmの溝もある荒れ地を走るのは無茶で、エンジンやクラッチを焼きスプリングは何本も折ったという。公用の自動車を乗り回して猟に使うとはなかなかすごい。

・北海道では、クマによる人畜の害に対してハンターと陸上自衛隊、そして個人参加の米軍人も加わりクマ狩り作戦が行われた。7頭射殺とのこと。

・鑑識写真についての記事。フラッシュ付きのスピード・グラフィックが理想だが35mmのライカを持ち歩く優秀なカメラマンもよい絵を撮る、ポラロイドで速報を送りそれから16mmで撮る、大したことない事件ではポラロイドだけでいいし失敗もその場で確認できて便利とある。写真だ。

『Gun誌』1966年6月号、下瀬火薬の記事で「ノーウォエ・ウレミヤ」なるロシアの新聞に言及されるが、これはНовое Времяをラテン文字に翻字する際にВがWになったのだろう。当時の少ない文献を引き、重訳をされてたりもすることを考えるとよくあることである。こういうのも古い書誌を読む醍醐味である。

・日本の軍用拳銃の記事。26年式拳銃について、反動が強い、低伸性がわるく大分上を狙わないとならないとある。威力についての言及はなし。当時の使い方としては、片手撃ちでわりと至近距離で撃つのだから精度や低伸性はさほど問題ではなかったとは思うが。

・時事ニュースの記事。阪急電車の網棚にハトロン紙で包まれた陸軍14年式拳銃と実包150発が置かれているのが見つかったという話が。輸送中の忘れ物か、はたまた復員の際に持ち出したが処理に困って故意に置いたか不明とあるが、後者が連想されるあたりが時代か。

・「豊和自動ライフル・モデル300」に着剣装置を追加しタイ警察軍の紋章を刻印して5,000丁船積みし、1,000丁追加契約したとの報も。後にAR18ライフルのライセンス生産が国会でも取り上げられる騒動になったことを思うと地味なニュースだったようだ。

・.300WMなどマグナムライフルのリロードに国産火薬と雷管は使えるかという記事は、当時供給が非常に限られる外国製実包のリロードをやはり選択肢が少ない(というか軍用品の転用)国産火薬と雷管とでうまくできないか試すのが実際的だ。鑑識の記事は写真に焦点を当て、まだ蛇腹式のスピードグラフィックが主流だったり、ポラロイドがかなり重宝されていたりするのが新鮮。時事ニュースでは、復員兵が軍用拳銃の処分に困って電車に置き去りにした可能性のあるニュース、自衛隊と米兵がヒグマ討伐に乗り出したニュースなども時代を感じる。


1966年7月号(昭和41年)

目次
・「北海道熊狩り作戦」
・97式自動砲
・現代空気銃への道 第27回 ワルサー空気銃ほか
・H&R モデル 158
・空気銃射撃教室 第18回 標的射撃と射撃競技
・銃によらない日本の鳥類狩猟法(1)
・銃器鑑識の世界 第28回 顕微鏡写真
・狩猟奇談
・銃砲史 第44回 新天地の建設
・軍用銃史 日露戦争 第9話
・世界の軍用拳銃 第2回 アメリカ・イギリス
・エキスパンション
・海兵軍曹スコット 第5話
・ライフル広報室
・SKB射撃大会成績
・全日本社会人射撃選手権大会
・Gunクイズ
・射撃論壇

メモ・雑感
・自衛隊のヒグマ討伐の記事。町村金五知事から陸自にヒグマ討伐の要請があり、ヒグマは災害なのかという疑問や民業圧迫への懸念から陸自がハンターの支援をすることに。雪上車さえ立ち往生する中ヘリを動員するなど大作戦。自衛隊は自衛以外で発砲しない予定が、正当防衛・緊急避難なら可ということで、ハンターが半矢にしたのを64式小銃でトドメを刺す様も。

・.410番散弾について「装弾の国産品がなく輸入装弾(それも輸入されていない)に頼る他ない」とある。この時代の同誌掲載広告には.410番の銃も載っているので、「近年は輸入実績がない」程度の意味で、過去には輸入されたのだろうけれど、そういう弾薬を使う銃を持つとなかなか大変そうな。

・鑑識連載では顕微鏡写真を取り上げているが、乾板を使った蛇腹式カメラで黒い布を被って撮影するが、熟練を要し、撮り方によって痕跡についての説得力が変わってくるという。が、米国においては銃器鑑識の報告だけで済ませ写真の登場頻度は減っているという。権威というやつだ。

・銃砲史、アメリカ大陸と欧州人との邂逅の15世紀の話なのだが、年号が19xx年と20世紀の年に誤植されている箇所が多い。手書きの4が9に見えたのと、年号は19xx年に決まっているという先入観とが相まったのだろう。この時代の書誌は、年号と固有名詞とに特に気をつけて読まねばならん。

・北海道の羆討伐に自衛隊が参加する大作戦が取材されているが、民業圧迫の問題から自衛隊は輸送などハンターの支援に徹する。しかし半矢となった羆を64式小銃で撃つことに躊躇はなかった。猟銃弾頭のマッシュルーム化する度合いを紹介する記事は、なかなか詳細で実用誌らしい。銃器鑑識の連載では顕微鏡写真を扱っているが、布をかぶり蛇腹式カメラで乾板に撮影するが撮影者の腕により心証がまったく異なるため、アメリカでは専門家の判定とその解説だけで裁判を進めて写真は出さないという、専門家の権威を認める流れになっているのも興味深い。


1966年8月号(昭和41年)

目次
・問題提起!警察官の拳銃装備は是か否か?
・ルガー(パラベラム)1908ピストル
・空気銃射撃教室 第19回 射撃競技の方法
・ヘンメリ・ワルサー・オリンピア
・銃によらない日本の鳥類狩猟法(2)
・現代空気銃への道 第28回 続・ワルサー空気銃ほか
・銃器鑑識の世界 第29回 銃器鑑識の設備
・狩猟で拾った次男坊
・銃砲史 第45回 新大陸での銃の誕生
・軍用銃史 日露戦争 第10話
・世界の軍用拳銃 第3回 ドイツ
・盲人のライフル射撃
・電気発火の散弾銃
・第一回 ライフル射撃大会レポート(本誌主催)
・海兵軍曹スコット 第6話
・カートリッジ
・銃の発展課程
・ライフル射撃協会広報室
・射撃論壇
・狩猟講習会の問題解答
・ガンニュース
・Gunクイズ

・広告。12番以外の散弾銃は16番と20番が2丁ずつある。

・警察拳銃について一席打っているが、戦後直後は警視庁警察官40人に1丁しかなかった拳銃を米軍供与により警察官数と同数を揃えるも、取扱いに不慣れなため寮で同僚を、家で我が子を犠牲にする暴発事故が続出して署で保管するようになったとあるが、持ち帰っていたのか。
 また、警察拳銃の使用例についてもいくつか挙げているが、警察官が暴れる酔っ払いらを連行しようとしたところ酔っ払いが警察官のS&W M1917を強奪して45口径を躊躇なくパトカーに向けて5発全弾ぶっ放したとか、当時の様子は迫力がある。

・広告。電子リコピーBS-1。原稿台の上に読み取るべき開いた本や立体物を載せて複写できるという、現在のコピー機と同じ使い勝手を実現した革命的な製品。こんな先端オフィス機器の広告が載っているとは、やはり当時の読者層には会社経営者や個人事業主が割といたのだろうか。

・フィリピン賠償ベースで弾丸プラント輸出契約が、価格など折り合わないという時事ニュース。

・鑑識の連載。鑑識設備は、基本的に狭かったりして不遇な中で職人芸を見せているという。試射弾の回収は綿や屑の中に撃つ込んで回収するが、綿を巻き込んで繭玉のようになるとのこと。9mmルガーや7.63mmモーゼルは綿を固く巻く。屑を強く詰めると弾頭が変形したりキズがついたりするので難しい。.22LRの場合は脆弱すぎて綿でも弾頭が変形する。試射弾を撃ちこむ水を張る設備がある警察署もある。設備がない場合はドラム缶を2つ重ねたり工夫する。自動開閉扉のある水槽設備があるところのは少ないとのこと。

・狩猟連載をしている執筆者が満州の官吏だった頃、夫が急逝し家から子供諸共叩き出された婦人を哀れに思い、末の乳飲み子を自分の養子にし我が子として愛情深く育てるが、敗戦後の過酷な状況で人に託さざるを得なかったが、日本に呼びたいという話が。再会できたのだろうか。

・電気発火式散弾銃を紹介している。銃床に収めた市販の4.5V乾電池で5万発撃てるという。利点として銃を単純にでき、引き金の調整も容易になること、欠点として電池の消耗、電気回路の錆、汚れ、海水、油の影響、特に雷管接触面の接触不良などなど。猟銃としては無理があったか。専用実包が1発100円超とライフル実包並み。散弾実包としては信じられない高価格。もちろん量産すれば値段は下がったろうけれど、おいそれと撃てない価格なら普及せず、普及しないから量産できない。新方式はこうして珍品にとどまるのだろう。

・インターナショナルガンクラブの射撃大会。貼り紙の案内は筆文字。当時は普通に硯と筆とで描いたのだろう。もちろん印刷なんかではなく、極太マジックペンでさえない。

・警察拳銃の是非について一席打つのは意欲的な試みだが、戦前戦中には警察にはごく僅かしかなかった拳銃を米軍供与で1人1丁に揃えるも、持ち帰っていたらしく自宅で寮で事故が続発したというくだりは隔世の感がある。電気発火式銃は新方式として紹介されているが現在でもごくわずかな実験的な品でしか実現していないので、やはり普及する理由はないのだろう。ドイツ軍用拳銃の記事では実物が遠く、数少ない洋書(それも重訳だったりする)を頼りにしているがゆえに、機構についての若干の誤りもあるが、当時としては貴重な特集だったことだろう。


1966年9月号(昭和41年)

目次
・ブラッシュ弾道の実験
・シモノフ7.62mmカーバイン
・銃によらない日本の鳥類狩猟法(3)
・これから狩猟をはじめる人のために
・狩猟講習会虎の巻
・ボルトアクション・ライフル銃の操作と分解
・銃砲史 第46回 ケンタッキーライフル
・日露戦争 第11話
・ベトナムの狙撃兵
・世界の軍用拳銃 第7回 ドイツ・オーストリア
・海のギャングを追って
・2連銃の知識 ボックスロックとサイドロック
・『殺しのテクニック』とガン・プレイ
・空気銃射撃教室 第20回 競技会の運営
・銃器鑑識の世界 第30回 装置のいろいろ
・ニューガング図鑑 ワルサーP38
・海兵軍曹スコット 第7話
・大正時代のクレー射撃
・ガンコレクション
・カートリッジ
・射撃論壇
・Gunニュース
・バネ、発条、ハジキ・スプリング
・ガン試写室
・ライフル射撃協会広報室
・クイズ
・Gunニュース

メモ・雑感
・広告。12番以外の散弾銃は、16番が2丁ある。

・ブラッシュ、すなわち草や木の枝の影響を見る実験記事。影響を抑えるためには重い弾頭ほどよく、軽いとハネるという説を藪越しの実射で検証している。結論としては重いほど有利には違いないが、.223Remでも.30-06でもそれほど極端な差が出るわけではないが、しかし12番のスラッグ弾だと殆ど影響がないという。
 撃ち比べに使われたのは.30-06二種類、.300ホーワ、.223Rem、.22LR二種類、12番スラグ。目を引くのは.223Rem。どんな銃で撃ったかは記載がないが、いずれにしても今では所持許可が降りない代物。当時は市販されていたのか。

・ワルサーの記事。ダブルアクションの自動拳銃がめずらしく、ワルサーPP, P38, サウアー7.65mm, S&W M39ぐらいという記述。それだけなわけはないにせよ、まだそれほど多くはなかったはず。

・日本の猟野においては20世紀半ばまでライフルは珍奇な銃だったが、他方でアメリカの猟野においては18世紀には先込ライフルが有用な猟銃として現地生産されるようになったとある。猟をする距離、ゲームのサイズ、鉛や火薬の貴重さ、などの事情があったというが製作は大変そうな。

・トド猟の記事。猟銃=散弾銃だった時代から変わり、トド猟にライフルが現れた様子の取材が。28番や30番の村田銃では数発を要し、単発ゆえ指に挟んだ実包を矢継ぎ早に装填する早業が必要だったが、ホーワ自動式は革命的な威力。しかし.300ホーワでさえ力不足で国産.308自動銃が切望されている。

・猟銃の記事で「はやりの言葉でいうならカッコイイ鉄砲だ」とある。「カッコイイ」ははやり言葉だったのか。「ゴキゲンな鉄砲だ」みたいな表現も同時代の『Gun誌』には見られるが、こっちは生き残らなかった。

・富山市民体育大会民警交歓エアーライフル競技のチーム名が「警察軍」「民間軍」なのがふるっている。そもそも「民警」という2文字もмилицияの訳語以外ではまず目にしない。ここはひとつ、「民間軍」は「市民軍」の方がしっくりきたかもしれない。内戦が始まりそうな勢いだが。

・村田銃の撃針は松葉バネ。コイルスプリングではない。世界的にも例がごく少ないく、弾力が強く、故障もめったにない、とのこと。

・広告。ルガーネービーのモデルガン。「高精能兇銃」との文句がすごい。

・広告。モデルガン。「5発射てます ただし発射はできません」とある。ここでいう「発射」とは弾丸を飛ばせないという意味か。

・茂みを通して銃を撃つと弾道にどれぐらい影響するかの実験は、茂みが多い日本の猟野では実用的。重い弾頭ほどよいという巷間のイメージは正しいが、しかし実際上、それほどの差ではないという。トド撃ちの同行取材では、以前の似た記事では村田銃に黒色火薬を詰める様が描かれていたが、今回は自動ライフルが使われており、その威力と利便性には隔世の感がある。しかし.300ホーワではまだまだ威力不足という。村田28番30番の単発でのトド射ちには、職人芸が必要だったということか。


1966年10-11月号(昭和41年)

目次
・ガン マンスリー
・銃によらない日本の鳥類狩猟法(4)
・銃砲史 第47回 植民地から共和国へ
・日露戦争 第12話
・世界の軍用拳銃 第8回 ソビエト
・銃器鑑識の世界 第31回 鑑識の組織と運営
・狩猟講習会の充実
・来るか20番時代
・世界射撃選手権大会
・楽しい韓国狩猟旅行
・空気銃のテスト(上), テストの方法
・農薬と鳥獣
・S&Wのダート・ピストル
・ニューガング図鑑 S&Wセンティニアル M40リボルバー
・カタログの裏にあるもの ライフル編
・『コルトAR-15』
・メキシコ大会への豊富 ライフル
・メキシコ大会への豊富 クレー
・北海道網走地方の狩猟
・海兵軍曹スコット 第8話
・カートリッジ
・Gunトリックマンガ
・ガンコレクション
・射撃論壇
・ライフル射撃協会広報室
・ガンニュース
・クイズ
・ガン試写室

メモ・雑感
・ガンマンスリーは当時の日本の猟野における代表的な猟銃を何丁か取り上げ、それにまつわる評判、イメージを語る。戦前輸入されたブローニングオート5が自動式散弾銃の代名詞となり、「ブロ」といえば自動式散弾銃のことになり、戦後入ってきたガス利用式散弾銃を「ガスブロ」と呼ぶ人もという。また、フランキーは「軽い」自動式散弾銃というイメージとのこと。それまでは自動式散弾銃は重く、あまり歩かない鴨撃ちにもっぱら用いられていたとのこと。

・広告。「レミントンM760 223」とある。AR15ライフルに採用された5.56x45mmのもとになった.223レミントンか。そんな最新鋭実包を使用する銃も国内で入手できた。もっとも現在では許可が下りず、もはや実包の入手もできず、現存しているかもあやしいが。

・初期のホーワ300は回転不良が多く、ホローポイント弾頭も少なく、熊撃ちには「命知らず」とのこと。.30-30は、.308が入手しずらかったこともあって長く使われたが、ウィンチェスターのレバー式には暴発の危険が指摘されている。アメリカ製の「フリーフローティング」と称するバレルは、実際には銃床と接していることが多いが、外観の雑な安いソ連製は案外しっかり隙間が開いており、本当の「フローティング」になっているとの評も。 

・映画の紹介記事で、モーゼル軍用拳銃でヘリコプターを撃墜するシーンについて「ベトコン並の猛威力」と評するのは、小火器でヘリコプターを次々墜落させる様が日々報道されていた時代ゆえの感想か。

・当時の日本でポピュラーだった猟銃の紹介記事はどういう品が主に出回っていたかだけでなくそれにまつわる評判やイメージについても触れられる。また、.308実包が入手しづらかった時期には.30-30が好まれたり、最初期のホーワ300は回転不良が多く、ホローポイントも少なかったため意外に使い勝手がよくなかったなど当時すでに過去になった話も興味深い。他方で広告には.223レミントンを使用するライフルが記載されており、そんな最新実包とその使用銃も入ってきたことに驚かされる。もっとも現在では廃銃か置物になってそうだが。


1966年12月号(昭和41年)

目次
・散弾装弾のハンド・ロード
・世界選手権大会-新らしい銃器
・銃によらない日本の鳥類狩猟法(5)
・日露戦争 第13話
・空気銃のテスト(中), スプリング空気銃
・海兵軍曹スコット 第9話
・銃砲史 第48回 続・植民地から共和国へ
・空気銃射撃教室 第21回 空気銃の段級位
・USカーバイン Cal.30
・銃器鑑識の世界 第32回 鑑識の歴史
・リブとその効用
・モーゼルポケットピストルM1910
・世界の軍用拳銃 第6回 共産圏諸国編
・カタログの裏にあるもの 散弾銃編
・私は20番を礼賛する
・大物猟への招待
・中田忠夫氏とライフルクラブ
・コルトポケットオートマチック ピストル
・自衛隊富士学校大演習報告
・カートリッジ
・チクリパチリ
・売りたし、買いたし
・ガンコレクション
・ガン科学賞発表
・射撃論壇
・ガントリックマンガ
・ガンクイズ
・Gunニュース
・ガン試写室

メモ・雑感
・広告。12番以外の散弾銃は、20番2丁、16番1丁。多弾倉ライフルとしては、「ウェザビーマークXX11 自動10連 22」「ウィンチェスター66レバー7連 .30-30」「ウィンチェスター290自動15連 .22」「マーリン39A レバー15連 22」。

・散弾リロードの記事。週末、鳥猟へ行こうとしても、予約していないと実包がないこともあるという。週末は釣りブームで釣りのエサも予約しないとない。戦後の復興から安定成長に至り、レジャーの余裕が出来た世相が見て取れる。実包不足に対してリロードを勧めるという記事。
 発火金は雷管の上に載せる様が紹介されているが、発火金内蔵の雷管なら省略できるとある。発火金。薬莢を3度再利用するなら薬莢代が1/3になり、火薬などのロスを考慮しても1発30円足らずで撃てて経済的とのこと。火薬はライフルの場合、2度詰めるとたいていあふれて気づくが、散弾では気付かない。「なんかおかしい」と思ったら勇気をもっと最初から図り直すこととある。二度詰めたり三度詰めたりする事故はままあることらしい。別に強威力になるわけでもなく、ただ事故に繋がるとのこと。

・銃によらない狩猟法では、宮内庁により動態保存されている猟を紹介している。外国の来賓に見せることもあるが、不評を買ったこともあるという。

・猟銃講習会に行ったら、係官に小さなことで「オイコラ」と注意を受け、呼ぶときも「おい、そこのおっさん」とアゴをしゃくるなどあまりに傲慢な態度との怒りの投書が。当時はまだまだあらゆる場面で人々が威張っていた。

・田舎のおじさんは村田銃の手詰めで新聞紙を詰めたりするので、現場の新聞片から足がつくこともあるという。地道な捜査だ。

・散弾銃のリブについて。軽さが大切な散弾銃において、重量を増し、角ばったリブは握る手にも痛い。それでもリブをつけるのは狙いやすくするため。飛んでいる鳥を撃つ散弾銃には、照門が原則としてない。合わせているヒマがないため。機関部上面が照門の役目を果たす。リブは線を切っていて光が乱反射し、ぼんやりであっても線が見える。ベンチレーテッドリブは放熱の効果もありカゲロウ効果を軽減させる。ハンダや銀蝋が熱ではがれることもある。また熱い銃身が冷たい銃身につられることも。

・大藪春彦の猟銃談。フランキは軽いがマグナム装弾には合わない。ブローニングはタフだが分解がめんどう。ウィンチェスターM50は日本の装弾を撃つには撃針の力が弱い。レミントン1100やウィンチェスター1400などのガスオートは、アメリカ製やイタリア製の工場装弾を気楽に買える人以外は避けた方が無難。などなど実体験からくる当時の風評が興味深い。

・「うりたしかいたし」のコーナーに、猟犬もとむ、というひとも。

・世の中豊かになってきたようで、週末鳥猟に行こうとしても予約しないと実包がない、釣りに行こうとしてもエサもないと人々がこぞってレジャーを楽しんでいる様が窺える。他方でまだまだ威張っている人間も多く狩猟講習会の係官がオイコラ口調で横柄に振舞うことへの怒りの声も。散弾銃のリブの役割りとその種類など、猟銃をはじめて手に取る人に親切な記事も目立つ。作家の大藪春彦の猟銃談義では、フランキは軽いがマグナム装薬には向かない、ブローニングはタフだが分解が面倒、WinM50は日本製雷管を打つには撃針が弱いなど体験談が面白い。


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