last up date 2023.10.15
『月刊Gun誌』読書記 1969年
国際出版の銃器専門誌『Gun誌』の読書備忘録。基本的に読書メーターやメモの転載。
知識のない人間の書く個人的なリファレンス兼備忘録なので情報そのものの正確性が期待できないのはもちろん、『Gun誌』の当該号に書いてある内容と一致するとも限らない。
1969年1月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・軍用銃とスポーツ・ライフル <その区別・所持についての問題>
・愛銃のチェック・ポイント
・英の新型ポータブル・ミサイル
・新しい小型対戦車砲・APX
・続・航空機銃(アメリカ篇)
・山ゆかば草むす野砲<フィリピン篇>
・変り者のガン達(4)
・.38口径と.45口径はどちらが有利か?
・ガンのメカニズム ウィンチェスター モデル1873
・トカレフ・モデル38, 40
・連載小説 コンクリート殺人事件(その2)
・世界の軍用小銃<自動小銃篇>(8)
・今猟期の狩猟法規等の注意事項
・銃砲史 第37回 続 後装銃の実用化
・読者応答室 それが知りたい
・国体ライフル射撃大会
・売りたし、買いたし
・日本ライフル射撃協会広報室
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・ガンニュース
・バックナンバー
メモ・雑感
・複数箇所で「式」を「左」と誤植している。(38「左」小銃、附属品一「左」のように)。これは単純に間違った文字を拾ったのか、ペン書きの原稿の「式」が左右反転して誤記されているのか、「式」の活字がなくて似た字で代用したのか。最後のパターンもむかしはたまにあったらしいが。
・猟銃と軍用銃との区別についての記事、分水嶺については曖昧ではあるが、しかし軍用銃(過去形も含む)の所持許可は下りない傾向にあるという。警察批判かと思いきや、警察庁保安課に取材をし、懇切丁寧に回答を得るなど終始友好的である。結論としては個別に判断するとのこと。
・フィリピン旅行記、戦争からすでに四半世紀たち、マニラには高層ビル(10階20階のレベルらしいが)が建ち並び、兵隊だった頃とは隔世の感とある。街には小商店の守衛に至るまで拳銃を吊しているのは今日と同じだが、当時は安物の22口径が殆どだったという。いわゆるCRS拳銃か。
・散弾が散らず塊になって発射される事例について、ワッズが低品質だと発射薬の燃焼ガスで散弾が溶けて固まり、思いのほか遠くまで飛び危険なことがあると紹介。対策として、手詰めの際にワッズ替わりに新聞紙など詰めないようとあるあたり、猟で実際為されていた行為なのだろう。
以前の号では、鑑識の記事で、アメリカで人を散弾で撃った犯人を、ワッズ替わりに詰められた新聞紙の欠片から特定した話が載っていたので、まあ安く散弾実包をハンドロードするときは新聞紙をワッズにするのは定番なのかもしれないが。
1969年2月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・ショットガン・スラグの分析<実射テスト>
・続・航空機銃(5)<ソ連篇>
・ベトナム 河の戦い
・山ゆかば草むす野砲<台湾篇>
・互換性実包?
・ブローフォワード・ピストル?
・ストーナーM63メイド イン ジャパン
・チョークとパターン
・変り者のガン達(6)
・ライフル・マーク登録制の是非
・独・ソ戦車の血みどろの競争
・連載小説 コンクリート殺人事件(その3)
・世界の軍用小銃自動小銃<自動小銃篇>(9)
・ダイアナ・中折式エア・ピストル
・銃砲史 第74回 続・後装銃の実用化
・読者応答室 それが知りたい
・ディスカウント・リボルバー?
・売りたし、買いたし
・ガンニュー化
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
メモ・雑感
・広告。通信販売について、代金分だけ切手、小為替、現金書留を送れとあるが、「琉球の方は特別返信切手券又は為替で送って下さい」とある。返還前の沖縄においても、『Gun誌』を購読し、モデルガンなどを通信販売で取り寄せる読者がいたのだろう。
・航空機銃の記事。Ил-2攻撃機について、「別名をシユツルモビク(嵐を呼ぶ男)」という紹介が振るっている。ロシア語からまず間違いなく別の言語の重訳を経た翻字。「嵐を呼ぶ男」というやくざなドラマーみたいな意訳。すべてがよい。
・台湾紀行。タクシーは「台湾製の日本車」とあるがKD生産品のことか。軍装備は完全米式で独自性はないとある。洋書の台湾版は廉価だが、雑な複写で細部は潰れ、カラーも白黒となり、検閲で中国やついでに朝鮮についての記述は削除されている。その上、国外持ち出し禁止とのこと。
・ベトナム戦争で「米軍の実包を共産軍の銃で撃てるが逆はない」なる噂を検証している。結論は7.62x51mm、7.62x54SR、7.62x39mmに互換性はなく、薬室に入らないか、入っても撃針が発火できず、排莢できないとのこと。そんなことまで軍当局が否定しないとならないのが戦場伝説か。
・マンリッカーM1894、日野式、シュワルツローゼM1908などのブローフォワード式ピストルを紹介している。遊底が後退せず銃身が前進する珍奇な機構は、店頭でスライド(と見なした場所)を引こうとして困惑する客を続出させたという。見てみたい光景だ。スクリーン映えしそう。
・キャデラック・ゲージ社がストーナーM63の売り込みのため、法律で銃器が厳しく規制されている国に持ち込める精巧なサンプルを六研に依頼したという。しかも1/2スケールという難しさ。これに六人部登氏らは見事応えたというが、市販の見込みはないと執筆者が落胆をしている。
・すべてライフリングを登録すべしとの議論に対しベテラン鑑識官が揃って無意味と断じている。摩耗、清掃、錆などにより極端な場合1発目と2発目でも痕跡は大きく変わる上、指紋のような分類法はなく顕微鏡と経験頼りで、1丁1発としても試射や記録で天文学的なコストになるという。
・ソ連の自動小銃の記事。AKはAvtomat Kalashnikovの略とあるが、翻訳元の資料にそう書いてあったのか、あるいは男性名詞の生格のaを誤植と思って省いたのか。ものを調べるのも容易ではない時代なので、どちらかはわからないが、後者の気はする。
・読者質問コーナー。先任の兵隊から、雨の日は弾着が少し上がるから、雨中戦闘では気持ち下を狙えと指示されたが、本当かとの投書。旧陸軍の部隊でそのような噂があったようだが、気圧の関係からそうした傾向はあるにせよ、大砲ならともかく小銃では無視できる誤差とのこと。
1960年代後半の『Gun誌』になると、創刊当初の1960年代前半と比べて、執筆者や読者が従軍経験者で当然といった筆致は影を潜め、軍隊の回顧も減っていくのだが、まだまだこうした軍隊話は時折現れるのであった。
・時事の記事。犯人未逮捕の進行形の事件として、広域108号事件について報じている。凶器が22口径拳銃であることから、当時は読者の多くが実銃を所持し、また購入しやすかった.22LR実包の管理の徹底を呼びかけている。実際には購入や譲渡で実包を補給していたわけではなかったが。
・108号事件で使われたRöhm RG10をはじめとする西ドイツ製格安拳銃を取り上げている。格安でも実用品として野山に持ち出し使いつぶす用途に、アメリカでは一定の需要があるという。Röhm RGは後にレーガン大統領事件や漫画『GunSmith Cats』の印象の方が強いが、すでに注目が。
1969年3月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・M1と呼ばれそこなったライフル
・火砲と装甲の激突
・ライフル・マーク登録制の是非(中)
・VCガバーメント・スペシャル?
・続・航空機銃(6)<フランス、イタリア>
・リボルバーの検査はどこに注目するか?
・火薬のいらない大砲<空気砲・遠心砲・電気砲>
・サイレンサー
・S&W ミリタリー&ポリス・リボルバー
・変り者のガン達(6)
・どう違う?高級銃と大衆銃
・ウィンチェスターM88
・GUN用語辞典
・コルトのスライド・アクション・ライフル
・世界の軍用小銃<ドイツ篇>(10)
・銃砲史 第75回 続・後装銃の実用化
・それが知りたい
・売りたし、買いたし
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・バックナンバー
メモ・雑感
・ベトナムで米軍が鹵獲した手製M1911を紹介している。軟鉄のプレス加工と銀蝋で作られ、銃身軸が寄り、セフティは形だけ、ブローバックに簡略化など粗雑な造りだが、試験では.45ACPを発射できたが、いずれ変形して危険になるとのこと。また、空爆下での作業に敬意を表している。
マニュアルセフティは動かず単なるフタ、グリップセフティは動くが機能はない、全弾撃つとスライドは後退して止まるがマガジンを抜くとスライドは前進するなど、なかなかの簡略化。しかしそれでも手作業で一応は.45ACP(実包も製造されていたそうな)を発射できて動作する自動拳銃を作るのはすごい。
・サイレンサーの記事。サイレンサーに実用性はないという言説と有用であるという言説とを検証する筋立てなのだが、それぞれの言説を語るのが銃吉と砲助、調停役が弾太郎と名付けられたキャラクターなのがなかなかのセンスだ。今日では思いつかない名前ではなかろうか。
・猟銃の高級銃と大衆銃についての記事、価格が天井知らずの高級銃を車に例えるとロールスロイス、他方で必要十分な性能を持つ大量生産品はフォード、シボレー、ブルーバード、コロナに例えているのが時代だ。BC戦争真っ只中か。
・チャーターアームズについて、組立や最終検査人が、時間で働くサラリーマンとしてではなく、職人として腕を示そうとしており、量産品とは思えない品質と手厚いアフターケアで名を揚げているとある。廉価なイメージがあるが、実用品として作り込むことで地歩を築いたのか。
ちなみに、記事では「チャーター銃器会社」とある。日本語では「チャーターアームズ」のカタカナ表記が定着しているが、Arms Co.を銃器会社と訳する方が字面が引き締まる。
・高校射撃の記事。昭和38年第1回全国高等学校ライフル射撃選手権大会において銃は手頃なものにすべしと申し合わせがあったが次第に高級化し、西独ファインベルクバウが幅を利かせるようになり、ブルジョワ階級のものになりつつあると苦言が。しかし価格制限は困難なのであった。
1969年4月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・武器参考館の新しい仲間達<硝煙、生々しいガン達のプロフィル>
・メキシコの反省とミュンヘンへの対策
・決闘用ピストル
・エンフィールドP14ライフル
・黒い外人部隊
・飛び出す砲身・2.5秒で6発の速射ち
・ウェブレー・スコット自動拳銃
・村田銃物語(1)
・戦場のキラーを集める
・ガンのメカニズム ワルサーP38
・AR-15は失敗作ではない!
・GUNと共に(1)<99式小銃篇>
・ライフル・マーク登録制の是非(下)
・世界の軍用小銃<ドイツ篇>(11)
・.22口径M1カービン
・銃砲史 第76回 近代的弾薬包の完成
・それが知りたい
・GUN用語辞典
・売りたし、買いたし
・ガンニュース
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
メモ・雑感
・第一次大戦前あたりに流行ったという雷管の力でワックス弾を飛ばし合う、擬似決闘用ピストルを紹介している。雷管とワックス弾なので致命的なことにはならないだろうけれども、なかなか荒っぽい娯楽である。いちおう手を守る盾、眼を守るゴーグルは装着するらしいが。
・独立を巡りアフリカで相次ぐ紛争の記事。第2次大戦の余剰兵器SMLE、モーゼル、カルカノが多く流れ、38式歩兵銃らしい銃の目撃もあったという。その後、UZI、FAL、G3などが装備されたが、目立つのはソ連、PRC、DPRKなどで製造されたAKとのこと。すでにAKの存在感が大きかった。
・岩下賢蔵・名古屋陸軍造兵廠鳥居松製造所長の携わった小銃を紹介する記事。当時は豊和工業顧問として存命で、書き出しは敬語で紹介し、我が国近代小銃史の過半を彩る国宝的な存在とまで称える。記事で言及される他の人物も「現在・日本製鋼顧問」など存命だったりする。
・造兵廠の記事、38式歩兵銃の組立は名人が勘所に鑢をかけると見事に仕上がったが、名人は自分を守るため勘所を秘伝とし、機嫌を損ねると関係ない作業に精を出したので、99式小銃では標準化を目指したとあるが、個人の生存戦略としては標準化より秘伝なのは今も昔もかわらないか。
・薩摩藩や明治政府において銃器専門家として名をはせた村田経芳や99式小銃開発で高名な岩下賢蔵・名古屋陸軍造兵廠鳥居松製造所長など、伝記的な連載が2本同時に開始されている。
・取り沙汰されるライフリング登録制について、精度の高い新品なら同型品の差異は僅かで、安物や古い銃なら同じ銃でもガタツキで1発ずつ違いが大きく、どちらにしても登録制はコストの割りに意味がなく、冤罪や真犯人の取り逃がしに繋がり鑑識自体の信頼性を失墜させると厳しい。
1969年5月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・ソ連のミサイル兵器の全貌
・15分の猪狩作戦
・日本一の早射ち満
・ハリウッドの兵器廠
・ヘッケラー&コッホ
・ホルスターを自作しよう
・ステンレス・ガン
・防弾チョッキの実射テスト
・銃犯罪と取組む科学
・ガンのメカニズム ワルサーP38
・変り者のガン達(7)
・村田銃物語(1)
・GUNと共に(2)<89式旋回機関銃>
・世界の軍用小銃<ドイツ・スペイン篇>(12)
・ゴールデン・ベア・ライフル
・銃砲史 第77回 南北戦争(3)
・それが知りたい
・GUN用語
・売りたし、買いたし
・ガンニュース
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
メモ・雑感
・H&K G3ライフルの記事、読者の中にはH&Kなる銃器会社をご存知ない方、聞いたことぐらいしかない方も少なくないはずとある。その程度の存在だったのか。これまで『Gun誌』において、世界の有力自動小銃を扱う記事でG3に言及されたのはかなり遅く、あまり存在感がなかったのかも。
・ステンレスのS&W M60の記事。拳銃の新製品といえばリバイバルか奇をてらった珍品ぐらいしかないと思っていたところ新素材を用いた画期的な新製品が現れたとある。当時は技術的な停滞期、頭打ちの感があったのだろうか。試験で塩漬にして高温多湿の環境に放置するなどしている。
さすがに塩漬けにすると発錆するが、湿ったホルスターに銃を突っ込んで放置する試験では発錆は殆ど見られず、磨いたら輝きを取り戻したとのこと。錆びないわけではないが日常の手入れをするとかなり発錆を防げるという結論。風雪に曝される警察官、国境警備隊、洋上の沿岸警備隊に打ってつけとある。
・防弾チョッキの記事。国内でアクセスできる銃として、.22LR、.300ホーワ、.30-06、.300Win Mag、.338Win Mag、.375H&Hを試すが、.22LRでは全弾ストップしたが、.300ホーワからはすべて容易に貫き、3着貫いた、4着貫いたとまったく別次元の話に。拳銃を使えないのが悩ましい。
・昭和23年~42年の間、警官の職務上以外の拳銃による死者は職務上の3倍とある。近年では西部劇の早撃ちの真似をして暴発、仮眠中に子供が弄り暴発、手入れ中に暴発し同僚に命中、その責任をとり自らに発砲、ホルスターから拳銃を落として暴発し出前持ちに命中などがあるという。
1969年6月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・64式小銃の生産
・ライフル射撃のABC A・入門篇
・LFU 新構想のミニ戦車
・日本一の早射ちマン(2)
・.17口径ライフル
・ベトコンのロケット
・スパンダウはよく当たる
・銃犯罪と取組む科学<白鳥事件と108号事件>
・ガンのメカニズム トンプソンS.M.G.
・変り者のガン達(8)
・フランス軍用M1935A ピストル
・GUNと共に(3)<44式騎銃と定起角>
・世界の軍用小銃(13)<西ドイツ・スイス篇>
・銃砲史 第78回 南北戦争(4)
・それが知りたい
・GUN用語辞典
・売りたし、買いたし
・ガンニュース
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
メモ・雑感
・広告に記載された住所が「都下西多摩郡桧原村」とある。住所で「都下」と表記するのか。郵便番号はまだ書き方が定まらず、「郵便番号110」のように「郵便番号」の4文字を書く例が多いが、「〒No.104」と省略するものも現れた。郵便記号〒を郵便番号として使うまであと一歩か。
・「皆さんのお父さんなどが軍隊で38式歩兵銃でおこなった実弾射撃」という文言が。読者も当然従軍経験者であるという筆致の目立った創刊当初から10年足らずで、想定読者層が変化したようだ。銃猟・競技射撃専門誌から、拳銃、軍用銃、モデルガンなど趣味性が高まってきた為か。
創刊当初の1963年のはじめの方の号で、軍用銃を取り上げたら反響が大きくもっと取り上げて欲しいとの声があり、まったく意外だったというような記述があり、最初は本当に実際に猟銃競技銃を使うユーザーの実用誌だったのが、手の届かない拳銃や軍用銃に焦点を当てる趣味誌に変化していった訳ではある。
・西ドイツ・スイスの自動小銃の記事、G1に「1式小銃」、StGw57に「57年式突撃銃」とわざわざ和訳をつけているのがにくい。読者としては、その方が馴染みやすく理解しやすいという配慮だろうか。
・64式小銃の記事では製造工場の各工程を多数の写真付きで紹介している。防衛産業の取材もまだまだ比較的自由度が高かったのが窺える。鑑識の記事では、白鳥事件や広域重要指定事件101号を扱うのも時代だ。
1969年7月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・L90双連対空機関砲<国産化迫る>
・ライフル射撃のABC‐B・実際篇
・三十五年式海軍銃
・長崎総合射撃センター
・早射ちのすべて<テクニックのすべて>(1)
・氷海のアザラシ狩り
・スパンダウはよく当る
・GUNと共に(4)<弾速の諸現象>
・銃犯罪と取組む科学(3)<ライフリング>
・ウェブリー&スコット・マークVI(1)
・モーゼル・ミリタリー・ピストル
・GUN射撃大会報告
・南部式自動拳銃「乙型」
・村田銃物語(3)
・世界の軍用小銃<フランス篇>(14)
・銃砲史 第79回 南北戦争(5)
・それが知りたい
・GUN用語辞典(5)
・売りたし、買いたし
・書評
・ガンニュース
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・バックナンバー
メモ・雑感
・誌上に載った写真の銅版、凸版を実費で譲るとのこと。何月号の何ページか指定することができ、暑中見舞いハガキなどに活用くださいとある。銃器写真の印刷用の銅版、凸版。あるとそれ自体に迫力があるが、自分で刷れるものなんだろうか。
・当時流行だったウェスタンスタイルの早撃ちの記事、グリップについてスタッグホーンや象牙でも好きなものを使うべしとあるが、鹿はともかく、象牙がまだ工芸品の材料に使える時代だった。もう少し前の号でも高級銃は象牙をフロントサイトに嵌め込んで見やすくしてるという話も。
・トド猟の記事。羽田発釧路行の便が1日1便しかなく、しかも帯広空港経由という南洋島嶼の島々を各駅停車で進む路線を彷彿させる運用。しかも札幌空港と千歳空港以外はC級空港であり、滑走路は空き家同然だが完全な有視界でしか着陸が出来ず、都会とは別世界となかなかのもの。
・トド猟の記事。旅館までタクシーは「行けるところまででいいなら行く」という条件で走り、途中ワイパーが氷結する度に停車したという。走行中に氷結で視界不良になるとは、暖房、熱線、被膜すべてが貧弱なのだろう。今日の寒冷地装備の進歩がいかに北国の交通に資しているか。
・エリコンL90機関砲の国産化迫るということで特集が組まれている。やはり、11年式軽機関銃に似た給弾方式が注目されている。早撃ちの記事では、グリップの素材として象牙も挙げられるあたりが時代だ。以前の号では高級銃のフロントサイトには象牙が使われるという記述もあり。北海道のトド猟の記事では、脳天を吹き飛ばされ眼球の露出したトドの写真が何とも言えない。しかし狩猟とはそういうものなのだ。羽田釧路便は1日1便しかなくしかも帯広経由、タクシーはワイパーの凍結のたび停車するなど、移動の様子に隔世の感。
1969年8月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・日本製鋼所広島工場<火砲の製造工場>
・神技の曲射ちライフルマン・ポール・ラ・クロス
・ノードアビエーションSS12/AS12ミサイル
・早射ちのすべて<シングル・アクション・テクニック>(2)
・ライフル射撃のABC‐C・実射篇
・銃犯罪と取組む科学(4)<続・ライフリング>
・モーゼル・ミリタリー・ピストル(2)
・村田銃物語(4)
・ウェブリー&スコット・マークVI(2)
・変り者のガン達(9)
・GUNと共に(5)<ピストル>
・世界の軍用小銃(15)<ベルギー>
・マドセンM1958
・銃砲史 第80回 南北戦争(6)
・それが知りたい
・売りたし、買いたし
・ガンニュース
・射撃論壇
・クイズ
・カートリッジ
メモ・雑感
・日本製鋼所広島工場を取材している。60式用の連装106mm無反動砲から61式戦車の主砲、研究中の105mm砲、ライセンス生産がはじまったL90対空機関砲、さらには護衛艦用の5インチ砲や3インチ砲を撮影している。以前の号の64式小銃やニューナンブM60といい、取材がおおらかだった。
・TVショーのために来日したアメリカの曲撃ちの達人を取材している。舞台は米軍横須賀基地なので、銃は数十丁持ち込むことができた。空き缶や風船の曲撃ちはおろか、放り投げたアスピリン錠まで撃ち抜くという。呼んだのはTV局だが、兵隊たちにも慰問になったようだ。
・新中央工業が3丁試作した.22LRターゲットピストルのうち1丁は来客への接待用に試射に供されており、非常に好評とある。発射弾数は1万発を超えても快調で、耐久テストも兼ねているそうな。筆者も撃ったが精度高く、名射手になった錯覚を得られたとのこと。試射接待、これは強い。
・村田銃で名高い村田経芳の伝記連載。明治8年に欧州留学へ赴いた村田は造兵廠や軍学校を視察するが、行った先々で射撃勝負を挑まれ、悉く薩摩藩きっての名手としての腕前を披露して人々を瞠目させている。が、日産1,000丁単位の小銃工場の技術力には村田が完敗の念を抱いている。
射撃の名人や鉄砲作りの名匠が何人いようと、1日1,000丁も歩兵銃を生産して、そのへんの人間に装備させて訓練でそれなりにした兵隊を揃える力の前にはまったく太刀打ちできない。伝記を信じれば村田経芳は相当な名射手だったらしく、東洋人と侮っていた連中の鼻をあかしたというが、工業は偉大だった。
1969年9月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・ガトリング・ガン
・散弾の弾速とパターンのテスト
・GUN射撃大会報告
・ベレッタBM59ライフル〈イタリアのガランド〉
・早射ちのすべて〈シングル・アクション・テクニック〉(3)
・ヘンメリーからの便り
・村田銃物語(5)
・銃犯罪と取組む科学(5)〈空薬莢の痕跡〉
・モーゼル・ミリタリー・ピストル(3)
・世界の軍用小銃(16)ベルギー(2)
・狩はハンターだけで
・銃砲史 第81回 南北戦争(7)
・GUNと共に(6)射撃台(1)
・アストラ モデル2000
・それが知りたい
・GUN用語辞典
・売りたし、買いたし
・射撃論壇
・ガンニュース
・カートリッジ
・クイズ
メモ・雑感
・試射に使う射台の記事。38式歩兵銃生産の検査は、勘所を押さえた名人と腕のよい射手とに依存しており、機嫌を損ねると検査待ち小銃が山となった。前者は部品の標準化、後者は射台がボトルネック解消策だった。射台は単に銃を固定すればよいのではなく、開発の困難さが描かれる。
・M1ガランドをベースにした箱型弾倉、セミ/フル切替式、7.62mmNATO弾仕様のベレッタBM59を取り上げている。新規生産の他、既存のM1をBM59に改修することも可能で、自衛隊でも64式小銃に取って代わられつつある余剰M1ガランドを同様に改修するべきではないか、と締めている。もちろんそんなことはしなかったが、箱型弾倉7.62mmNATO仕様改修M1、予備装備にはわるくないかも。
・.22ショートと.25ACPを使用するスペイン製ベストポケット拳銃アストラ2000の記事。戦間期に開発された代物の改良版で、1969年現在も生産されているというが、低威力のベストポケットピストル、あまり注目されることがなく、今やそれ自体がものめずらしいかもしれない。流行らなくなってきた理由は、シリアスな状況で使うにはあまりにも威力不足であり、かといってちょっとした諍いで使うには法的なリスクが厳しくなってきた、ということだろうか。
・狩猟の事故の記事では、飛ぶ鳥に反応して撃ったら同行していた恋人に散弾に当たった事件、木に立てかけておいた散弾銃を犬が倒して暴発し、同行していた孫に当たる事件が取り上げられている。どちらも当時はよくある話だったのだろう。
1969年10月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・太平洋戦争の戦跡を訪ねて〈グァム、サイパン、テニアン〉
・米軍の夜の眼〈スターライト・スコープ〉
・ガンのメカニズム ルガーP08
・アメリカにある旧日本軍の小銃〈コレクターの誌上展示会〉
・ガトリング・ガンーその後
・村田銃物語(最終回)
・銃犯罪と取組む科学(6)〈マーキングの位置〉
・モーゼル・ミリタリー・ピストル(4)
・早射ちのすべて〈シングル・アクション・テクニック〉(4)
・世界の軍用小銃(17)イタリア篇
・銃砲史 第82回 南北戦争(8)
・GUNと共に(7)射撃(2)
・それが知りたい
・ガンマンスリー レミントンM37レンジマスター
・GUN百科辞典
・売りたし、買いたし
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・バックナンバー
メモ・雑感
・グァム、サイパン、テニアンの戦跡を訪ねる記事。椰子の木の弾痕がすでに高いところにあるという。木の成長が年月を物語る。日本軍の銃砲は風雨に曝されて溶け、あるいは一応は保護のためか雑に白ペンキを塗られているのも諸行無常の趣がある。著者が記念品としてル式機関銃の円盤弾倉を躊躇なく持ち去ろうとしたのも時代性の迫力があった。腐食して外れなかったそうだが。
・狩猟用散弾空気銃なるものの広告。「威力は猛烈!値段は安価!操作は安全!堅牢で優雅!」との口上も威勢がよいが、銃の特徴はいまいちよくわからない。鳥だけではなく、いたち、きつね、むじな等々の猟果ありとのことだが、「たぬき」ではなく「むじな」と表記するのが渋い。
・ガトリング・ガンの記事。南北戦争では一部の将軍が私費で購入した程度だったが、ニューヨークタイムズ社が不公平な徴兵制度に対して起きた暴動を激しく批判したところ暴徒の怒りを買い、ガトリング・ガンを社屋に2丁据え付け路上掃射準備を整え暴徒を威嚇した話は迫力がある。
・モデルガンが強盗や脅しに使われる事件が増加していることから、警視庁は本物との区別のためモデルガンには王冠マーク刻印するよう業者に指導するとある。事件が続くようならば全体を本物とまったく違う色にさせる方針とあるが、後年においてはその通りになった。
王冠マークに何の意味があるのかという疑問は誌面においても呈されている。王冠マークがあれば、所持するモデルガンを真正拳銃と疑われて、科学警察研究所で鑑定が出るまで留置所に留め置かれる手間は省けるが、真正拳銃に王冠の刻印を入れる犯罪者が現れるのではないか、とも。
1969年11月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・レオパルドの搭載火器〈西ドイツの誇る最新鋭戦車の全貌〉
・ニュージーランドの鹿猟
・南部式けん銃のショルダー・ストック、ホルスター
・ガトリング・ガン―その後〈現代のガトリング・ガンへ〉
・ガンのメカニズム ルガーP-08〈第2回〉
・早射ちのすべて〈シングル・アクション・テクニック〉(5)
・栄光の日本火砲の歩み(1)
・モーゼル・ミリタリー・ピストル(最終回)
・銃犯罪と取組む科学(7)〈包底面マーク〉
・世界の軍用小銃(18)イギリス篇
・銃砲史 第83回 南北戦争(9)
・GUNと共に(8) 歩兵火器篇
・それが知りたい
・ガン・マンスリー チェコモデル1938
・GUN百科辞典
・売りたし、買いたし
・ガン・ニュース
・射撃論壇
・ガン・トピック
・クイズ
・カートリッジ
・バック・ナンバー
メモ・雑感
・レオパルト戦車の記事。まだ「2」が存在しないので敢えて「1」とは呼称されない。国際標準の100mmを上回る105mm主砲、アメリカのM60を遥かに上回るゼロヨン加速能力、AMX30に勝る価格競争力、欧州の大半の橋を渡れ鉄道輸送可能なサイズと重量、対ABC能力の完備と絶賛している。
・モーゼルC96の系譜を辿る連載の最終回。今回は他社や町工場によるイミテーションモデルを扱うが、さすがは若き日の床井雅美先生の記事だけあり、アストラや中国の造兵廠だけではなく、漫画『こち亀』で一瞬登場した5mm拳銃のカローラアニチュアなども紹介される。
・鑑識記事。「たとえばお手許のボルト式ライフルのボルトを引き抜いて、その先端の面をごらん下さい」という記述が。読者が.22LRのライフルぐらい持っているだろうという前提が時代だ。同じ記事において、64式小銃やニューナンブやミロク製の拳銃を持てないことを嘆いてもいる。
また、事件に使われた銃について、容疑者が自分のものではないし見たこともないと否認するも、容疑者の所持していた未使用の実包についた傷が、容疑銃のエキストラクター等による傷と特定されたという話が。薬室の残弾を抜き取る当たり前の習慣が命取りになることもある。
・Cz1938について、DAオンリーに割り切り、マニュアルセフティを省略しつつ安全性を確保する制式軍用拳銃としては大胆な設計についてリボルバーのようと表現している。DA/SA両方可能な機構よりシンプルで、拳銃を至近距離の補助兵器と割り切るのはすごい。騎兵にも使いやすいか。
騎兵がそれなりに存在感を持っていた時代と、自動拳銃が軍用拳銃として定着した時代とはそれほど長くは重ならないが、重なる時期にはチェコスロヴァキアのCz1938のようなDAオンリー、ポーランドのラドム1935のようにSAでありながらデコッキングレバーを備えたものなど、独創的な工夫があってよい。
1969年12月号(昭和44年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・今猟期はこの口径と弾でいこう〈.30-06の実験〉
・北海道の初猟〈厚岸のカモ猟〉
・世界鉄砲ある記(1)デンマーク篇
・G.I.コルトは欠陥拳銃かはてな〈理想的な軍用拳銃とは〉
・はじめて猟銃を買う人のために
・ジョンソン20mm航空機関砲
・銃犯罪と取組む科学(8)〈蹴子痕について〉
・栄光の日本火砲の歩み(2)
・早射ちのすべて〈シングル・アクション・テクニック〉(6)
・銃砲史 第84回 南北戦争(10)
・世界軍用小銃(19)スウェーデン・デンマーク篇
・GUNと共に(9)戦車と対戦車篇
・それが知りたい
・バラード・ライフル
・GUN百科辞典
・売りたし、買いたし
・ガン・ニュース
・射撃論壇
・クイズ
・カートリッジ
・バック・ナンバー
メモ・雑感
・厚岸カモ猟のキジ、筆者らハンターの泊まった宿は電化されておらず土間にランプが吊され、ゴザを敷いて雑魚寝し、周囲には商店もないという。厚岸湖周辺はそこまでのド辺境ではない気がするのだが、当時はまだそんな小屋に人を寝起きさせて飯を食わせる場面もあったのか。
・M1911は欠陥拳銃かとの記事。とにかく重く、即応性に欠け、反動の割には案外威力が不十分であり、ベトナムや韓国では重さの負担の割に効用がないと説く。どの道威力が限定的な護身用と割り切ればS&W M39や2インチ銃身38口径リボルバーがよいとも。またマカロフを評価している。
・猟銃をはじめて買う人の為のガイド記事。むかしと違って銃砲店には商品が選り取り見取りで、立ち遅れていた自動銃においても国産品が充実してきて、嬉しい反面、選択に迷うことだろうとある。当時は規制が厳しくなりつつある最中と言えども、まだまだ気軽に買うことができた。
・「ワルサーア38」なる表記があり、そういうカナ表記をしたこともあったのかと思ったりもしたが、単に活字拾いの際に手書きされた「P」を「ア」と誤認しただけなのだろう。手書きゆえに誤認にしであろう誤字はわりと見るが、はじめてのパターン。
・不法拳銃の記事。昭和42年の押収拳銃の出所は、終戦時から所持25丁、旧軍から持ち出し40丁、手製27丁、米軍から21丁、船員航空機搭乗員の持ち込み20丁とある。船員航空機搭乗員が外国で簡単に買って簡単に持ち込み暴力団と繋がる飲み屋に売って小遣い稼ぎが割とあったらしい
・上下二連銃で下の実包を撃ったら、上の実包のケースのケツが凹んだという投稿。ケースと薬室との隙間からガス圧がかかり、二連銃の場合は他の薬室まで影響することがあり、紙より近年普及してきたプラスチックケースで起きることが多いとある。まだ材質が発展途上だったのか。