last up date 2026.10.07
『月刊Gun誌』読書記 1972年
国際出版の銃器専門誌『Gun誌』の読書備忘録。基本的に読書メーターやメモの転載。
知識のない人間の書く個人的なリファレンス兼備忘録なので情報そのものの正確性が期待できないのはもちろん、『Gun誌』の当該号に書いてある内容と一致するとも限らない。
1972年1月号(昭和47年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・次期NATOライフル〈世界の軍用小銃の傾向は……〉
・栄光の紫電改戦闘隊〈勇壮に米機と戦った〉
・バッファロー・ライフル
・.25口径ピストルの変わり種
・フランス外人部隊(6) 〈イタリア独立戦争〉
・暴徒に対する警察の武器 (アメリカ版)
・ナチ・ドイツの秘密兵器(3)
・知られざる日本軍の兵器(11) 擲弾筒
・自動拳銃の鑑識〈15〉
・ファスト・ドロウ選手権大会
・銃砲史109回
・SMGシリーズ(5) PPD1934/38
・それが知りたい
・Gun百科辞典〈第35回〉
・売りたし/買いたし/交換したし
・読者イラスト展示室
・読者の声
・カートリッジ
・射撃論壇
・クイズ
・バックナンバー
メモ・雑感
・米軍がM16を全面採用するとの特集記事。7.62x51mmからのコペルニクス的転換と思いきや、ベトナムで大量導入して見慣れているので大して驚きもない筆致である。とはいえ、かつてゴリ押しでNATO標準弾を決めておいてそこから正式に離脱することは各国軍に相当な衝撃になろうとも。各国メーカーはすでに5.56mmの時代を予期していたとして、既存の5.56mm小銃を紹介している。FN
CALのみが3バーストを備えており、当誌でも初めて登場した機能ではなかろうか。きわめてユニークな機能で、大いに注目されている、とある。
・海軍航空隊の回顧記事で「源田実大佐(現、参議院議員)」の記述が。まだ健在なばかりか国会議員をやっている時代なのか。
・バッファロー・ライフルの記事。19世紀北米における野放図な野牛狩りを紹介するにあたり、「いまや日本中、国をあげて公害公害と大騒ぎだ」とし、当時社会問題となっていた大気汚染、環境破壊、ヘドロ、水銀中毒に言及している。開発は進んだが公害も看過できなくなっていた。また、ライターが日系アメリカ人らしく「私たち日系人は野牛以下であった」「西部劇ごっこに興じていると近所のガキに『テメエのような黄色いワイアット・アープがいてたまるか』と絡んできて大喧嘩になった」と差し挟まれるのが、なんというか。
・広告。エアライフル射撃場のコピーが振るっている。「男の孤独ときびしさがこれほど浮彫りされるスポーツはない」とある。孤独ときびしさ。射座ではひとり孤独な勝負をするし、結果はシビアに現れるものではあるが。ちなみに貸し銃が基本だが、当時はまだこれが可能であった。
・20世紀初頭のポケット自動拳銃が流行始めた頃、まだ価格や信頼性に購買を躊躇する層向けに作られた.25ACP弾を使ったリボルバーや多銃身拳銃などの珍品ポケット拳銃の特集もある。自転車乗車中に野犬を追い払うと謳う5.5mmベロドッグ弾の代替というが。
・5.5mmベロドッグ弾は並木書房の『ピストル弾薬事典』64頁にも掲載されているが、「自転車に乗っている最中に寄ってきた犬を追い払う」などという用途にそんなに使われたのだろうか。昔になるほど野犬は多かっただろうけども。威力は..25ACPより弱威力だというので本当に追い払う程度か。
・モーゼルC96自動拳銃についての記事で、国民党政府が山西省造兵廠で作った民国18年式、19年式大型拳銃について言及した後、「私も北支事変の初期に戦争から帰ってきた小学校の先生がその分捕り品を学校の教室で展覧会を催したときこの大型拳銃があったのを子供心に覚えております」と続く。
・出征した小学校の先生が、帰還後に鹵獲品を学校で展覧などしていたのか。その筋の物語に使えそうなエピソードである。
1972年2月号(昭和47年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・現代の装甲人員輸送車と搭載火器
・スペンサー・ライフル(リンカーンと共に……)
・.50M2MGと戦った日本の航空機銃
・ナチ・ドイツの秘密兵器(4) 対戦車、対空火器篇
・フランス外人部隊(7) <メキシコ戦争>
・三八, 四四式小銃に関する100問(上)
・知られざる日本軍の兵器(12) 対戦車火器
・自動拳銃の鑑識<16>
・銃砲史110回
・SMGシリーズ(6) PPsh41他
・それが知りたい
・Gun百科辞典<第36回>
・売りたし/買いたし/交換したし
・読者イラスト展示室
・話題のタネ
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・読者の声
メモ・雑感
・装甲兵員輸送車、APCの記事。M113A1が最新鋭と紹介されているのが時代だ。M113は基本的に輸送にしか使えないが、ベトナムの戦訓でAPCにも戦闘力、それも車内から火器を操作し戦えることが求められているとある。それに対して独マルダー、仏AMX-10Pは先んじているとある。
・無薬莢弾薬について紹介している記事で、問い合わせ先として開発元のハーキュレス社の電話番号を内線まで含めて記載している。シャレだろうか。また、同じ記事でデュポン社の紐状産業用爆薬について、過激派学生が持っていても機動隊の身体検査でわかるまいと加えるのも時代か。
・時事の記事。台東区の喫茶店で6発撃たれた男が病院にかつぎ込まれるという映画ばりの事件が。6発も被弾し、よく命に別状ないと思ったが小口径の.22LRであった。当時は、密造CRS拳銃ばかりではなく、アメリカから米軍郵便で.22LRリボルバーを大量密輸する事件も起きていた。
・「児童に拳銃を見せようとして暴発した」話、小6児童の膝上5cmの大腿部貫通で全治1ヶ月の重傷。大変なケガだ。警官は「児童にせがまれ拳銃を見せようとし暴発した」と供述しているが、当初は「児童を追い払おうと銃を抜いた」とも言ってたそうな。事実はわからないがその後どうなったのだろう。
・質問コーナーでは「南ベトナムの米兵が散弾銃を持つ写真を外国雑誌で見た。米軍は散弾銃を使っているのか」「新聞で米海兵隊員が持つM16ライフルの銃口に変なものがついていた」など写真に関する疑問も寄せられているが、「米国製小銃用無煙火薬の番号と化学組成について聞きたい」など渋い質問も。
・装甲車と搭載火器、.50M2と日本航空機銃、ナチスの対戦車対空兵器など比較的大物の記事が多い。小火器に関してはモーゼルのC96系ではないピストルの特集、38式小銃・44騎銃に関する昭和10年発行の問答集の現代語訳が掲載されている。論説では銃器犯罪・事故について触れられているが米軍郵便を使った大量拳銃密輸、元暴力団員への白昼の銃撃、警察官が児童にせがまれて見せた拳銃が暴発など当時の情勢を思わせる。
1972年3月号(昭和47年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・ジョン・ブローニング・ストーリー
・日露戦争脅威の新兵器〈28サンチ榴弾砲〉
・どうなる?日本の狩猟は(狩猟談義)
・自衛隊のAPC火器の開発
・ベルグマン・オートマチック・ピストル
・三八、四四式小銃に関する100問(中)
・知られざる日本軍の兵器(13)照空灯他
・フランス外人部隊(8)〈インドシナでの戦争〉
・自動拳銃の鑑識〈17〉
・銃砲史(111回)
・SMGシリーズ(7)MP38
・それが知りたい
・Gun百科辞典〈第37回〉
・売りたし/買いたし/交換したし
・ガン・ニュース
・射撃論壇
・読者イラスト展示室
・カートリッジ
・クイズ
・読者の声
・バックナンバー
メモ・雑感
・狩猟記事に掲載されている新聞記事。見出しが「横行するメクラ撃ち 1ヶ月で死傷者93人」「ハンター事故3件 農民ら3人が負傷」「犬に撃たれて重傷
ハンター安全装置忘れ」とある。猟銃の所持が容易な時代だからレジャーとしての狩猟人気は高く、それだけ事故も多かったのか。
・むかし住んでた八王子や川崎あたりで、少し民家が少ないあたりまで行くと「銃猟禁止」の古びた看板が立ってて、「こんなところで銃を撃つバカはおるまい」と思っていたが、しかし昭和40年代ぐらいだと少し野原があったら、そのへんで鳥撃ちぐらいする人がいたのかもしれない。空気銃なら特に。
・狩猟記事では「全国を禁猟区にして、その中で撃ってもよい場所をつくろう、というのが役所の考え方だが、まったく非文明的だ」みたいなことが書いてあるが、当時は基本的にそのへんは狩猟可能区域で、部分的に禁猟区域があったということなのか。そりゃここそこに「鉄砲禁止」の看板が立つわけだ。
・当時は狩猟人口が膨れ上がり、それに伴い増加する事故やレジャーで動物を撃つことへの反発が高まっていたことが伺える。それに対して、シカの食害がいかに農家を苦しめているかを説く、魚釣りと比較するなどの定番の言辞が為されている。
・エールフランスの機長が大量の拳銃を持ち込んだり、米兵宛の米軍郵便で拳銃を密輸できたりした時代なので、ツテがあれば比較的拳銃の入手が容易な時代だったのかもしれない。捕まるが。
・ジョン・ブローニングの伝記、自動拳銃黎明期に一世を風靡したベルグマン拳銃、さらには旧軍の照空灯・聴音器・閉塞気球、中国(主にROC)のコピー拳銃と、なかなか渋い記事が目立つ。また、国体に合わせて毎年ライフル射撃場が新設され、また他方で野放図なハンターによる事故が多かったようで、当時の銃器事情が窺える。
・千葉県営ライフル射撃場が新設されたと紹介しているが、「毎年国体開催のたびにライフル射撃場が新設される」とあったが、まったく隔世の感がある。記者を案内したのは千葉県ライフル射撃協会理事長と千葉鉄道管理局公安課長だが、国鉄の公安課も関わるものなのか。
1972年4月号(昭和47年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・バトル・オブ・ブリテン(英本土攻防戦)
・キミもエアピストルを……
・チャールス・ニュートン(高速ライフルの父)
・赤軍歩兵の小火器を斬る!〈拳銃編〉
・続・ジョン・ブローニング・ストーリー
・フランス外人部隊(9)〈アフリカ〉
・三八、四四式小銃に関する100問(下)
・知られざる日本軍の兵器(14)歩兵砲他
・自動拳銃の鑑識〈18〉オルトギス、ラドム
・銃砲史(112回)
・SMGシリーズ(8)MAS.MLE1938
・それが知りたい
・Gun百科辞典〈第38回〉
・売りたし/買いたし/交換したし
・ガンニュース
・読者イラスト展示室
・カートリッジ
・バックナンバー
メモ・雑感
・ワイルドキャットカートリッジをいくつか考案したが量産にはなかなか至れず名を残せなかったチャールス・ニュートン、ジョン・ブローニングの伝記の後編、38式・44式の小銃問答の現代語訳の終篇、オルトギス自動拳銃とラドム自動拳銃、日本軍の歩兵砲、そして赤軍の小火器と通好みの記事が並ぶ。赤軍小火器はとりあえず拳銃篇であり、ライフル等は後の号になると思われる。
・赤軍小火器特集だが「この銃で血の粛清が行われた」「侵略と共にソ連の銃あり」と決して好意的に描いてないのが、まさに1972年だ。他方でツーラ造兵廠TOZといえば2万円程度の射撃用ライフルを連想する読者もおられようなどともあり、身近な側面もあった。
・競技射撃の記事では、昨今の銃刀法改正は厳しく保管場所の規定も定められたとあるが、それまでは保管場所に規定がなかったということか。
・エアピストルは国際競技選手として推薦を受ければ所持可能だが、民間射撃場での使用禁止、ピストルを持って酒を供する店への立入禁止などが協会規定で定められており、違反すれば推薦取消でもちろん公安委員会の許可も取消になる。なるほど、稀少な民間人ピストル選手は、民間射撃場を使えないのか。
・横井庄一軍曹の報を取り上げているが、注目したのは38式歩兵銃で、銃床は腐りボルトは他の道具に転用しているが残った部分は手入れを怠っていない様が紹介されてる。
・関西の町で拳銃射撃をしているという通報を受けてやってきた警察官らが逃げる若者に威嚇射撃(S&W M1917か)したところ、相手は中学生で玩具だったという話も。時代だ。.しかも威嚇射撃というのも空に向かってではなく、「ギャング映画さながらに」地面に向かって撃ったという。跳弾が不安になる話である。
1972年5月号(昭和47年)
目次
・GUNフォト・ギャラリー
・GUNフォト・ギャラリー
・グアム島決戦の全貌〈横井さんは、かく戦った〉
・「ハート社」訪問記
・ウィンチェスターのリボルバー
・イタリアで製造された日本の小銃
・バイアスロン(札幌オリンピック)
・軍用ライフルの手填め実包で楽しむ
・赤軍歩兵の小火器を斬る!〈小銃篇〉(ボルト・アクション)
・フランス外人部隊(10)〈アフリカ〉
・知られざる日本軍の兵器(15)榴弾砲他
・自動拳銃の鑑識〈19〉レミントン
・銃砲史(113回)
・SMGシリーズ(9)UZI
・それが知りたい
・Gun百科辞典〈第39回〉
・売りたし/買いたし/交換したし
・ガン・ニュース
・読者イラスト展示室
・話題のタネ
・読者の声
・射撃論壇
・カートリッジ
・クイズ
・バックナンバー
メモ・雑感
・横井庄一さんのニュースは相当なインパクトだったらしく、本号では冒頭からグァム島における戦いの推移と、その間の横井庄一さんの所在について特集が組まれている。内容は戦史であって、横井庄一さん自身に関する情報は乏しいが、それでも話題性のある特集だったのだろう。
・ライフル射撃の漫画エッセイで、スモールボアライフル所持の模様が描かれている。最後に札幌オリンピックのバイアスロンの放送時間はたった5分であることに憤り、また、浅間山荘事件が発生し、銃刀法強化に怯えるなどもしている。最後の不安は、後に予想以上の強化となった。
・ガンスミススクール時代の高野武(後のタークタカノ)氏の記事が。ベンチレスト競技に優れた銃身を供給するハート社を訪問している。見学を歓迎しない職人気質の会社だが、ガンスミスを志すマスターコースの学生だから心証がよかったのかもしれない。
・札幌でオリンピックが開催され、羽田空港には横井庄一さんが降りたった、と始まる記事も。当時の話題が窺える。横井さんの「恥ずかしながら」と並んで、「陛下から預かった小銃も持ち帰れた」というコトバも、若い人には理解不能だそうだ、と戦中派の筆者が感嘆するなどしている。
・札幌五輪バイアスロンの記事。当時は高威力の実包が使われ、日本を含めた多くのチームは6.5x55mm Swedish、米国ばかりは.223と.243Win、フランスはMAS1936軍用ライフルを持ち込むとなかなかダイナミック。後に.22リムファイアに変更されたが、安全確保を考えたら大変な話である。
・鑑識の連載。あさま山荘事件の新聞記事を大きく載せている。しかし事件に言及したのは数行で、そこから銃のなんたるか、生活や競技のためのものであって凶器に留めるものではないとも語る。そして記事本編はまた別なのであった。それだけインパクトの大きな事件だったのだろう。
・競技射撃の記事。ライフルやモデルガンの規制が大幅強化されたが、他方で拳銃扱いだったエアピストルが認められるようになったと伝える。ARまたはハンドライフルで所定の成績を納め、あるいは大会で国内10位以内に入れば申請でき、枠は250人。装薬拳銃よりは緩いがハードだ。